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2011年11月13日日曜日

神聖かまってちゃん@恵比寿GARDEN HALL

恵比寿といったらリキッドルーム。この日、間違えてリキッドルームに向かった人も少なくはなかったようだ。なぜならリキッドとは正反対の方向には、クリスマスで煌びやかな装飾がされた街の光景が広がっている。そこに神聖かまってちゃんが来るという事実は、誰もが疑いをかけてしまうシュールな出来事だからだ。
と、いきなり失礼なことを書いてしまったが、スタンディングで1500人規模の会場はソールドアウト。留まることない人気は相変わらず。秋葉原でうみのての撮影を終え、打ち上げでアルコールを注入したおかげでクリスマスムードの街もへっちゃらだった。

すでに開場が始まっているGARDEN HALLに着く。みさこさんがニコニコしながら近づいてきた。配信でも見ていたが「髪切った?」と挨拶がてらに話しかけると、聞いてもないのに「ボブじゃないです!ショートです!」と断言してきた。更には「しおりんもボブじゃないです!ショートです!」とキッパリ。何なんだ。悲しいわ。
の子さんとちばぎんは配信に集中し、その後ろでmono君がまったりと座っている楽屋。スタッフの方々に挨拶する。心優しき巨人スタッフ・阿修羅くん(190cm!東京スカイツリー) が、僕が最近撮影させてもらったバンド・ガール椿と繋がりがあると聞いて驚いた。世間は狭い。阿修羅くんはデカイ。

間もなく開演。もはや恒例となった劒マネージャーの案内から。ステージ中央に立ち、薄っすらと照明を浴びながら蛇に睨まれた蛙のような表情で会場の注意事項を伝える。真剣に伝えるが、なぜか野次が飛び交う。しまいには「がんばれー!」という声援が上がり、笑いが。

真っ暗になった会場で登場SE『夢のENDはいつも目覚まし!』が流れ始まると、大歓声が。スモークがたかれたステージ。
みさこ、mono、配信中のノートパソコンを持ったちばぎんの順に登場する。一人一人の名が客席から呼ばれる中、monoが何かを言うが聞き取れず。「私も何言ってんのか分からない」とみさこに言われる。
最後にお酒を片手にの子が入ってくると、地響きにも似た歓声が。

「なんだこの歓声は?やっぱり俺は、ロック史というヒストリーの中の、人間ではないか!」

ますます盛り上がる客席。いまや、の子の人気は絶大なるものだ。
「ああ、ノリにノッてるぜマジでよー。みんな色々バーチャル上では溜まってるかも知れないが、今は直だからな!」
の子が喋り終えるのを見計らうように、ちばぎんが絶妙なタイミングで「そんな感じで神聖かまってちゃんです!よろしくお願いします!」と挨拶をして、いつものデーーーーーンとちばぎんとみさこが音を鳴らし、monoとの子は特に何もしないという神聖かまってちゃん特有のスタートへ。

配信中のノートパソコンを受け持った劒マネージャーに対し、「とりあえず『夕暮れメモライザ』のとき、歌詞わかんねーから…」との子がお願いをする。歌詞を覚えていないため、配信のコメントで教えてもらうという方法をこの日もとるようだ。
「の子さんの子さん!カバン、そこに置いていいのかな?カバン、なんで持ってきたのかな?」
たしかに、なぜかカバンを背負って登場してきたの子。まるでおじいちゃんを扱うちばぎんの優しげな話し方だ。の子は気に留めずギターを持とうとする。
「とりあえずな、かっ飛ばしていくぜ。そうじゃないと金払って何しに来たんだよって感じだよな。俺だったら行かないけど、まあ、みんな盛り上がっていこうぜ」
の子がアジテーションすると、またもや地響きに似た歓声が。1500人のオーディエンスの迫力と、ゆったりまったりとした神聖かまってちゃんのステージとのギャップ。スモークが温泉の湯気にも見えるくらい、彼らのテンションは普通すぎる。

『ゆーれいみマン』は近頃スタジオ配信で振り付けをしたようで、「う~っゆれい!」とジェスチャーを楽しそうにするの子。おまじないのように手を合わせ、両手をガッツポーズの形にして飛ぶ。という結構恥ずかしい振り付けだ。「"うー、ゆれい"のときにみんなにそれをやってもらいたいんだよね?」と、またもやおじいちゃんを扱うような優しい口調で説明してくれるちばぎん。「ちばぎんもやって!」という声援に「やるよ」と面倒くさそうに応えるちばぎん。
「すべての羞恥心を捨てろ!」
の子が客席に告げ、みさこのダダッダッダッダというドラムで始まる『ゆーれいみマン』からライブはスタート。そしてちばぎんも「う~、ゆれい!」と飛び跳ねた。羞恥心を捨てたのだ。
チェック柄の服を身にまとい、ボブヘアー。そしてなぜか頭にカチューシャのような可愛いものを装着したの子は、性別はおろか、年齢も不詳なコーディネイトになっている。彼の表情は1500人どころか、15000人くらいを相手にしたようなロックミュージシャン然としたものだ。

「俺は6月16日生まれ、そう、悪魔の日だ。だから雨は降るんだよ」
強引な曲紹介に向かおうとするの子。きっかけを掴みづらく、「ちゃ…」とみさこが言いかけるがの子が話し続ける。の子が「いち、に、さん、し」とカウントし、無事、「ちゃららちゃららー」という大歓声から『ベイビーレイニーデイリー』へ。
monoのキーボードが優しいメロディで奏でられる中、の子が履いていたズボンがなぜかズレ落ち、そのまま蹴ってポーンとズボンを遠くに飛ばすの子。ラブソングなのに。パンツもチェック柄だった。ラブソングなのに。劒マネージャーはメンバーの姿を一人一人映そうと、ステージ周辺を忙しそうに歩き回っている。
間髪入れずに『レッツゴー武道館っ!☆』へ。
「武道館に行きたいか?武道館には行かねえ!絶対行かねえ!歌を歌ってあなたたちと、あなたたちと、そう、アリーナに行こうぜ!」
完全にタイトルとの矛盾の生じるアジテーションをするの子。そこからみさこのドラムが激しく叩かれ、演奏に向かう瞬間はたまらない。サポートバイオリンの柴さんの演奏もそこに加わり、GARDEN HALLの上品なライティングも相俟って、なんだか別のバンドのような印象もあった。観客との「走る!」「やーねー!」といったコール&レスポンスなやり取りも完璧だった。「センキュー!」と歌い終える。

「ズボンどうしました!?」とみさこが言うが、気にも留めずに喋り続けるの子。ズボンはスタッフの成田くんがステージ脇にいつでも用意できるよう、保管している。
「アゴー!」という声援に「うるせえ!ありがとー!」と返すmono。そしてメガネを外したmonoになぜかペットボトルの水をぶっかけるの子。水を浴びたmonoに歓声が起きる。「あとで殴れ俺のこと!今殴ってもいいけどな!」との子。パンツ姿だ。

「僕は19才ですけどね。年上の人の哀愁をうたった曲をやります。『23才の夏休み』」
の子は大嘘をつきながら曲紹介。みさこのドラムから『23才の夏休み』へ。「君の貯金はいくらあるんだい?そんなもんは俺に関係ねーんだよ!」と、過ぎ去った夏をますます過ぎ去らせるように、突き抜けた演奏を続ける。終盤のみさこの「そうさ今ーすーぐーにー」といったコーラスはなんだか不思議な可愛さに満ち溢れている。

「もう暑いっしょ?俺のが暑い!我慢しろ!」
曲が終わるとテンションを持続しながら喋り続けるの子。スタッフのまきおくんがマイクのセッティングに向かうと「あ?」と返し、ちばぎんが『美ちなる方へ』の演奏を知らせる。「でーかーけーるよーにー なーりーまーしーたーあ」との子が突然両手を振り、観客もそれを真似するように振る。「よし、これでいこう」と一人で納得したの子。この一瞬で振り付けを伝授したようだ。
「『美ちなる方へ』聴いてください。俺はこれが言いたかったんだ。『美ちなる方へ』、聴いてください」
大歓声の中、演奏へ。「出かけるようになりました」の部分では先ほどの伝授の通り、両手を振って応えるという客席の光景が。
曲が終わると、「まあ、最初で最後だな。その気持ち悪い振り付けは」と自ら一蹴。さすがの貫禄。

パンツ姿のの子にちばぎんが「ずっとズボンが…」と指摘する。「俺は宇宙人なんだからしょうがないんだ!」とボイスエフェクターで宇宙人のような声での子が叫ぶ。こうして『Os-宇宙人』へ。
鬼のような形相にも、子どものような愛くるしい顔にも、表情を多種多様に変化させて歌いじゃくるの子。この日、ステージ脇の彼の斜め後ろから撮影していたが、顔を十分に見えなくても気迫が伝わってくる。興奮のあまり、マイクスタンドをなぎ倒す。そして人差し指をさしながら客席を煽動する。

相変わらずの子が喋り続ける。『氷結』を飲んでいると、客席から「CMやってー!」という声が。「そんな感じで次は『天使じゃ地上じゃちっそく死』」とちばぎんが進行をするも、「や、ちょっと、チューニングを…」と控えめな声での子。「なんで喋ってた今までチューニングしてなかったの…」とちばぎん。monoがちばぎんの着ているつなぎを指摘するも、ほとんど聞き取れず。「チューニング終わった?」とちばぎんがの子に尋ねるが、なぜかの子がチューニングをせずにノートパソコンを持っている。「どうするんだよこの流れ!」とちばぎんが悲鳴を上げる。「チューニング忘れてた…?はい、今から始まるチューニングね…」と、もはやため息まじり。
チューニングがようやく終わったと思ったら、の子が「『グロい花』を…」と言い出し、「『グロい花』ぁあ!?」とちばぎんがまたもや悲鳴を上げる。
「お前らみんな死んでくれ!」との子が客席に告げ、無事に『天使じゃ地上じゃちっそく死』へ。まきおくんがサポートギターで参加し、いつもギターを弾くmonoがキーボードに徹する。みさこのドラムプレイが激しく、ズシンズシンと振動を与えてくる。見かけによらず筋肉質な音を響かせる。
最後はの子が「死にたいなあ!死にたいなあ!」と連呼しながらマイクスタンドからマイクを抜き取り、「センキュ」と呟いて終了。

喋るたびに「何言ってんのー?」と野次を飛ばされるmono。それに対して「なんだよ!」と怒るmonoに対して「何喋ってんのかわかんないって、いいフォローじゃねえかよー」との子。「俺も隣で聞いてて辛いわ」と上乗せ。
の子が劒マネージャーに「ダイブしろよ!」と命令する。「人生は一回しかねえんだよ!」と促すが、劒マネージャーは拒む。そりゃそうだ。
MCを延々と続けるが、またもやギターのチューニングができていない様子。ちばぎんが「誰かチューニングできる人はいませんかー?!」と医者を呼ぶような言い方で呼びかける。「はい。チューニングできました」という優しい声での子が告げると、拍手が。「なんで拍手が!?」とちばぎんが正しい反応を。
そんなこんなで、グダグダな雰囲気を持ったまま『ねこラジ』の演奏へ。「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぅ」から始まるとビシッときまる。柴さんのバイオリンがエキゾチックな雰囲気さえ醸し出し、「アイムソーリーなんていうか行ってきまっす!」からの展開と、その後の盛り上がりが気持ちいい。

お酒に酔ってゴキゲンなのか、この日はの子の語りが非常に多い。まったりとした雰囲気を楽しめる人もいるだろうが、「早くやれ!」といった野次も少なくはなかった。
「まあまあまあ。この余韻が次の曲でちゃんとな。なんてったって、初披露」
の子の声に、大歓声が。「なんてったって、初披露」とまた告げ、また歓声。「マンネリ化しているセットリストで、初披露なんて言う日が来るとは思わなかった。うん、余韻は必要だぜ?」と言うと、ステージ上でセッティングが始まる。またもや"余韻"が続き、「早くやれー!」という声が。

そして『聖マリ(タイトルが問題になったため、ここでは省略)』へ。
「みんな、これはテクノだ。クラフトワークだ」と告げると、の子が作ったトラックが鳴り出し、それに合わせてメンバーが演奏する。
天使のような声が延々と囁き、その中でボイスエフェクターで天使のような声になったの子が解読不明な言語を歌い続けるといった曲。「母さんがゲームオーバー 父さんがゲームオーバー」などと聞こえるが、定かではない。monoが終始パーカッションに徹し、ずっとうつむきながらメガネがふっ飛ぶほど激しく叩く。Radioheadの『There There』を思わせるライブパフォーマンスだ。元々ドラムも叩けるだけあって力強いアクションが妙にかっこいい。デモ音源にはなかったベース音が新たに哀愁を加えている。
最後はの子がギターを放り投げ、キーボードを切ないメロディで弾きながら終わる。叩き終え、試合終了のような表情でステージをうろうろするmonoの姿が印象的だった。この日、これほどまでかっこいいmonoは初めて観たかも知れない。

「俺、この曲好きだからさ。『聖マリ(省略)』に訴えられてよー」との子が言うと、「訴えられてはないです」とちばぎんがつっこむ。
「温まったかい?もっともっと熱くなれよ!テンション上げていけよ!マーミーー!!」
突然、の子がアニメ『魔法少女まどかマギカ』の登場人物の名をコール&レスポンス。今年2月の渋谷AXと同じ展開だ。「マーミーー!」と返す客席。の子は「マミさんを返せ!」「マミさんは出てくるのかな!」とコールし、観客は律儀にレスポンスする。「おぅナイス!」との子が英会話番組の外国人みたいな反応をし、会場に笑いが。
十分に客席を温めた後、ちばぎんが「では次の曲を」と促すも「チューニングが…」と。もはやお決まりの展開に。
それでも「こいっ!」との子が叫び、『ロックンロールは鳴り止まないっ』のイントロが始まると、この日最高潮の盛り上がりに。「おい!おい!おい!」という観客の声が、演奏の音量に匹敵するくらいの迫力。激しく髪を振り乱しながらドラムを叩くみさこ、あまりの激しさに頭につけていたリボン飾りが取れていた。

「お前ら、突き刺さるまで飛び上がれ!どんどんいくぜ!」
初披露の『友達なんていらない死ね』へ。monoが弾くキーボードのメロディが切なく鳴り響き、人ひとり殺すくらいの形相で「タンタンタンタンタン」と髪の毛を振り乱しながら歌うの子。低くなったマイクスタンドに自ら姿勢を低くして、うつむきながら歌い続けていた。終盤はもう一本のマイクスタンドに切り替えて歌い、なにかに恨みがあるような表情で遠くを見つめていた。

「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンみたいなライブみたいになってきたな。 レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを超えてしまったな」
の子が喋っていると『自分らしく』が始まり、monoがポンッポンポンと軽快にパーカッションを叩いている間、の子はびばるげばる書店時代の『るーるる村のがんばりどころ』を歌っていた。
チューニングの狂ったギターに腹を立て、「なんだこれ!?」と怒りながら曲が中断され、みさことちばぎんが演奏を続けながら再開する。テンションは見事持続され、中盤のmonoの空中を叩くようなアクションもキマっていた。キーボードに移行する瞬間は毎度、グッとくる。

「曲順どおりにいくと、配信組の出番ですよ?配信組が頑張る番ですよ?」
配信を見ているリスナーがコメントで歌詞を打たなければならないという意味で、ちばぎんが『夕暮れメモライザ』の演奏を促そうとすると、の子がステージ前方に歩み寄る。どうやら客席にタンバリンを持ったお客さんがいるようで、「投げてこい」といったジェスチャーで投げるように促していた。ポーンとタンバリンが投げられるが、見事の子の頭部に直撃。「あーーーっ!」という歓声が。ガシャッという音を鳴らし、地面に落下するタンバリン。
「鬼のような形相をしている…」とちばぎんがの子の顔を見て言い、タンバリンを拾ってマイクスタンドの前に立つの子。鬼気迫った表情だ。会場には笑いまじりの緊張感が漂うが、次の瞬間、の子がタンバリンを首に飾る。なぜか「おーーーーっ!!」という拍手まじりの歓声が響き渡り、よく分からないムードに。

「リスナーのみなさん、頼むぜ『夕暮れメモライザ』」との子が言い、劒マネージャーがの子にノートパソコンの画面を向けて座り込む。コメントに書かれた歌詞を見るため、パソコンの画面を凝視するの子。なんとも妙な光景に。の子は「いくぜ!」と言うが、「ちょっ待って。チューニングが…」とまたもや。
『夕暮れメモライザ』の演奏へ。歌詞を凝視しているように見えるが、なんとなく歌詞は覚えているように思える。配信の画面に歌詞を流してほしいから、コメントを書いてもらうように促しているようにも感じる。いや、やっぱりちゃんと覚えていなかったのかな。どっちでもいいか。アウトロでは「夕暮れメモライザー」と歌いながら劒マネージャーからパソコンを受け取り、危なっかしく手に持ちながらステージ上をふらふらとする。

「男ー!」とコールすると、「うおーーー!」という野太い声。「女ー!」には「いぇーーー!!」という黄色い歓声。 そこにみさこが「オカマー!」とコールすると、無反応。monoが「おいおいみさこさん、滑ってるねえ」と苦言を。
『男はロマンだぜ!たけだ君っ』へ。最初はの子とリズム隊がかみ合ってなくてハラハラしたが、後半になると持ち直す。
そのままちばぎんがベースを鳴らし、『いかれたNEET』へ。の子の語りから演奏に入る。この曲はステージ脇のムードがいつも印象的だ。終盤、の子がギターをぶん投げてくるからか、スタッフが厳戒態勢。決定的瞬間をとらえるためか、カメラマンが臨戦態勢。この緊張感がたまらない。の子はステージ中央の台に立ち、歌い終えるとマイクを投げる。無事、ギターは飛んでこなかった。
『夜空の虫とどこまでも』のベースが鳴らされると、客席から手拍子が。みさこがバスドラでリズムを取り、の子がアジテーションの語りを続ける。曲が始まったにも関わらず、ずっと喋り続けるの子。「ブレイク!ブレイク!」との子がmonoに叫ぶが、聞き取れなかったのかそのまま弾き続け、の子がmonoの頭を叩く。そして曲が再開する。
最後はの子の声が浮遊感溢れる音で会場全体に漂い、ステージがスモークに包まれて幻想的に終わる。

「劒さんダイブしてよ」との子のムチャ振り。劒マネージャーはそのままの子を離れていき、「劒さん、上手に逃げてきましたよ」とちばぎん。
本編最後の『僕は頑張るよっ』が始まるが、威勢よくギターを掻き鳴らした瞬間、の子のギターのシールドが抜けて中断。そして再開。
この曲はの子制作によるPVとともに公開されただけあって、聴くたびにPVの映像が思い出される。電車の中、サラリーマンの通勤風景、なんてことはない日常の光景が思い出される。その正体はPVというより、誰かの日常なのかも知れない。それほど、誰かのテーマソングになりうる楽曲だ。タイトルの『僕は』が誰かの曲なれば、『僕は』が一人歩きし、たくさんの『僕』自身に対しての応援ソングにもなる。押し付けがましくない「頑張るよっ」が言い放れたとき、柴さんのバイオリンが胸を締め付けるようなメロディを奏で、の子がステージ上を歩き回りながらギターを掻き毟る。ちばぎんのマイクのところまで行き、何かを喋り、また自分の位置に戻っていく。そしてギターをぶん投げ、キーボードをがむしゃらに弾きまくる。
メンバーがステージを去っていく中、の子は興奮冷めやらぬ状態。落ちていたマイクを拾い、延々と喋り続ける。なぜかMY LITTLE LOVERの『Hello, Again』を歌い出すが、ちょうどそのタイミングで劒マネージャーが止めに入り、ステージ脇に引っ込む。

ちょうどの子がステージ脇に歩いていくとき、目が合う。「あ、竹内さんじゃないすか!竹内さん出ましょうよ!竹内さん出ましょうよ!」と服をつかまれて連れて行かれそうになるが、必死に拒む。どう転んでも大やけどするだろう。

アンコールを呼ぶ拍手は鳴り止まない。ちばぎんが一人ステージに戻り、客席から「ソロ!?」という声。みさこが遅れて登場する。「いいよ?ソロ。私いなかったことにするから」とみさこが言うと、「なんでその話をぶり返すんだよ…」とちばぎんが嫌がる。「セッションか何かする?」とみさこが呼びかけ、ここでちばぎんとみさこの二人セッションが開始。
の子が登場すると、なぜか音楽に合わせてロボットダンスのような動きを披露。ペットボトルの水をかぶったり、キョロキョロしたり。最後にmonoが悠々と登場し、の子が「イラッとするなほんと!」と『さわやかな朝』の一節を叫び、「こんなことやってるヒマあったら、1曲くらいできんじゃないの?」との子が突然素朴な意見を。
「また来てよなんて言いたくないけど、また来るしかないよね。全然元気なんだけど俺」
の子は全身パジャマに着替えていた。もうお眠りの格好でありながら、表情は生き生きしている。 その間、monoがステージから消える。「あれ?どこ行ったの?」とちばぎんが不思議がる。
ステージ脇ではmonoが走っており、「最悪ですよ、バッテリーがなくなっちゃいましたよリズムマシーンの」と言い、楽屋に戻っていた。

mono不在のまま『あるてぃめっとレイザー!』が始まるが、ちょうどの子がギターを掻き鳴らす頃に戻ってくる。
パジャマ姿のの子はなぜかそのブルーのチェック柄が良いのか、ステージではかなりキマっていた。妙なロックスターの雰囲気を漂わせ、ライブ本編よりも我に返ったようなテンションでビシッと演奏をキメていたように思う。monoが演奏に加わる後半の盛り上がり。最後は「あるてぃめっとレイザー!」と両手でマイクを掴みながら絶叫するの子。

「俺がいなかった理由は聞かないでください!」となぜかmonoが先ほどステージを去った理由を隠す。何を喋っているのか分からなかったの子が「腹から声出せ!あるてぃめっとレイザー!みたいに!」と促すと、「俺が!いなかった!理由は!聞かないでください!」とちゃんと腹から声を出していた。「色々な!理由があるんですよ!」と。「それは一人配信で言って」と普通のテンションに戻るの子。

「なんか早いね。時間的に。4時間半くらいはできるわ。うん、でもまた来てください。追加公演とかまだチケット残ってるらしいから。追加公演、知ってる?LEDあるんだよ?」
の子が言うと、客席から「それ言っちゃっていいのー?」という声。「あ、言っちゃった。知らねえや」と照れ笑いするの子。
「じゃ、『ぺんてる』聴いてください」
『ぺんてる』のイントロが始まる。クライマックスにふさわしい楽曲。いつ聴いても感慨深くなる。「大人になりました」から会場全体が明るく照らされ、お客さんの顔がはっきりと分かる。
の子が「ありがとうございます」と礼儀正しく挨拶し、演奏を終える。

「の子、血ついてる」「何の血?」と、の子の顔に血らしきものがついているらしく、客席から声が上がる。「何の血って、別に」と返すの子。
最後は『ちりとり』
「俺がちりとりきれてないけどな、君たちの心を。もうちょっと長いことライブしたいなーほんとによ。そんなわけで俺はここで『ちりとり』をやります」
monoのキーボードと柴さんのバイオリンが絶妙なハーモニー(コアラのマーチではないが)を奏で、バッシーーンとスティックを振り上げて下ろすみさこのドラムの叩き方が気持ちいい。の子は途中、monoのマイクを借りて叫んだり。「このバカヤローめ!」の後、ギターを激しく振り回してマイクスタンドが倒れる。劒マネージャーがすかさず直しに入る。
最後はの子がステージから、ギターを抱えたまま客席にダイブ。スタッフの阿修羅くんに担がれてステージに戻ると、またもやズボンがズレ落ちてパンツが見えていた。
「大丈夫でしたか?」とダイブした場所のお客さんに尋ね、客席とステージの間の空間を歩きながらマイクで喋り、またステージに戻ってくる。
「いかんせん時間が短くて申し訳ありません!次はもっともっと新曲とかやるんで、配信で見てくれてもいいし」
中央の台に上がり、手を振って何度もお辞儀するの子。ずっと居座り、まだまだ名残惜しい様子。何をするわけでもないのにマイクを持ち、手拍子が。それに応えようとしたのかギターを持とうとするの子に近づいてくるちばぎん。優しくの子の背中を抑えながらステージ脇に連れていき、「片付けてる間とかもできないの!?」との子が必死に抵抗しつつ、「できないできない!」とちばぎんが笑いながらの子を抑え、「最後に一言だけ…!」とまだ諦めていないの子。ちばぎんの制止により、無事にライブが終了。

1500人のオーディエンスの迫力は凄い。歓声が常にズォォオオンと下から響き、その光景は神聖かまってちゃんを大物のスターにさせていた。の子さんの佇まいもますますカリスマ性を感じさせている。パンツ姿、パジャマ姿という夏と冬の寝る格好なのに、なぜか様になっている。これだけは本当によく分からない。
この日は初披露の『聖マリ(タイトル割愛)』がデモ音源とはまた違い、新たな魅力をみせていた。なんてったってmono君のパーカッションの叩き方が見事。終演後、「Radioheadの『There There』みたいだった」と告げると、「よく分かってらっしゃる!」となぜかヱビスビールをくれた。『友達なんていらない死ね』も、今後の発展が楽しみ。

楽屋近くで人と喋っていると、の子さんとまた目が合う。「『聖マリ』よかったですわー」と言うと、「それ、配信でも言ってくださいよ!」と無理矢理配信に出させられた。ステージ脇では抵抗できたが、「こりゃあ出なきゃいけないね」となぜかワーナーミュージック野村さんも言い、撤収時間が近づいているのにも関わらず配信に。
TBSのディレクターさん(美人!)→andymoriのドラム岡山さん(好青年!)→竹内(出っ歯!)という流れは辛すぎたが、の子さんが相変わらずいつも「この人が動画を最初に上げてくれた、録画隊第一号です。この人のおかげです」と紹介してくれるのは、本当に嬉しいことです。神聖かまってちゃんの配信を見ている人はやっぱり神聖かまってちゃんが見たくて見ているのであって、自分はなるべく映りたくないけど、彼がそういう風に出したがってくれる気持ちは素直に受け取りたい。「前歯すごいな」というコメントがあった。すごいよ。

神聖かまってちゃんがどこでどう言われようが、自分は神聖かまってちゃんとの関係は変わらないと思う。やっぱり、の子という才能を尊敬し、mono、ちばぎん、みさこというメンバー、周りにいるスタッフの方々のことが好きだから。

2011年11月13日 恵比寿GARDEN HALL
<セットリスト>
1、ゆーれいみマン
2、ベイビーレイニーデイリー
3、レッツゴー武道館っ!☆
4、23才の夏休み
5、美ちなる方へ
6、Os-宇宙人
7、天使じゃ地上じゃちっそく死
8、ねこラジ
9、聖マリ
10、ロックンロールは鳴り止まないっ
11、友達なんていらない死ね
12、自分らしく
13、夕暮れメモライザ
14、男はロマンだぜ!たけだ君っ
15、いかれたNEET
16、夜空の虫とどこまでも
17、僕は頑張るよっ
(アンコール)
1、あるてぃめっとレイザー!
2、ぺんてる
3、ちりとり

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