入江悠監督の映画『劇場版神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』のDVD発売記念イベントのため、渋谷シネクイントへ。
DVD特典映像として収録されている竹内主演のスピンオフ短編『お兄ちゃんの部屋』が上映されるということで、一応銀幕デビューに。その記念(俳優だぜ…)と確認(ハゲてるぜ…)のために鑑賞に向かいました。(画像は配給SPOTTED PRODUCTIONS直井さんのツイッターより)
ライブ撮影をやっていて、主演することになるなんてこれまでに例はあるのだろうか。神聖かまってちゃんだからこそ、こういうことが起きるのだろうと思っている。
渋谷O-nestでのうみのてのライブ撮影からダッシュ。会場に着くとすでに入江監督と主演女優の二階堂ふみさんのトークショーが始まっていた。テレビ局のカメラもあった。翌日、日本テレビの『PON!』でイベントの模様が流れたらしい。
全身ボーダーに身を包んだ二階堂さんは相変わらず野心あふれる人だった。「宇宙規模でいたい」など、入江監督と司会の森直人さんがリアクションに困るくらい。それでもこの映画の台本を家で読んだときは自分とあまりにもリンクしていたので泣いたらしい。初日舞台挨拶でも語っていたけど当初は「役に拒絶されていた」そうで、「お前にこの役をやれんのかよ」と主人公の成田美知子に言われた気がしたという表現がいい。それだけ真剣に役に向き合っていたんだろう。
思えば、映画の撮影でお兄ちゃん役としてご一緒したときに二階堂さんが言ったことが印象的だった。僕は本編では顔は出ないし、ほんの少しのセリフなのにロケに参加したわけだけど、「お兄ちゃんがドアの向こうにいないと、気持ちが入らないですから」とズバッと真顔で言われた。撮影前にど素人の僕にやたら優しく接してくれて、馴染んでくれたのも意味を感じる。それだけ妹として役に没頭しようとしていた。
「だからお兄ちゃんもああなったんでしょ!責任取れよ!」とお父さんに叫ぶシーンのセリフだけを下の階で聞いていて、その迫力に鳥肌が立った。家族とも距離を感じ、友人にも彼氏にも裏切られた気持ちの成田美知子というキャラクターの数少ない味方がお兄ちゃん。だから、ドア越しの会話は切実に思う。
二階堂さんは可愛いというよりかっこいい。全く気取った様子もないのに堂々としていて、恐いもの知らずの大物感があった。の子さんにも通じる、捉えようのないオーラを感じた。眼力もある。出会ってその帰り道に出演映画をTSUTAYAさんで借りたから、僕はお兄ちゃんでありながらもはやファンなのだ。後に園子温監督の映画『ヒミズ』で、ベネチア国際映画祭で物凄く名前の長い賞をとったとき、遅かれ早かれ世界に飛び出してほしいと思った。「早いほうがいいよ」とトークショーで入江監督が言っていたけど、本人は今にも「世界というか宇宙」みたいなことを言い出しそうで恐い。
トークショーの模様はシネクイントさんのブログに掲載されてあります。
本編が始まる前に楽屋におじゃまし、入江監督とは短編の撮影以来、二階堂さんとは対談の取材以来お久しぶり。
久々の兄と妹の対面に「やっぱり二人とも雰囲気似てる」と入江監督も二階堂さんも言っていたけど、それはもう誰もが首を大きく横に振るだろう。ありえないし申し訳ないので土下座したい。でも、根本的な性質は確かにシンパシーがあるのかも。文化部的な。二階堂さんが「竹内さんは新聞部だったんですよ」とマネージャーさんに説明していた。
撮影、打ち上げ、取材でなにげに会うのは4度目になるけど、相変わらず造詣の深い高校生。ページが黄ばんだ古本を買って読んでいた。恐るべき計画も考えていた。これからとんでもない女優になっていくんだろうな。素敵な妹を持って、お兄ちゃんは嬉しいです。(言ってみたかった)
すっぱいレモンのガムをもらい、たぶんすっぱいのが当たった気がするが、よく分からなかった。口内炎に沁みた。切なかった。
スピンオフ短編の上映の時間になる。
撮影は夏真っ只中の暑い日に行なわれ、冬の設定なので長袖着用が苦しかった。音が入るため、冷房は当然切っている。汗ダラダラで全然冬の感じがしないのではと思っていたけど、ひきこもりのムワッとした空気が伝わるものになっていた。僕もひきこもりというか機能停止の時期がいくつもあったので、あの雰囲気に嘘はないと思う。というか、僕の風貌は説得力があるだろう。
ひょっとするとお兄ちゃんの汗は、妹が本編終盤の将棋の対局で流す汗にリンクしていたのかも知れない。と、強引にこじつけをしてみる。
ラストシーンは倒れたときに痣ができた。何度も撮り直しがあったので筋肉痛になった。今年ベスト3に入るくらいに「頑張った!」と思える日になった。
上映後、ワーナーミュージックの野村さんが「男の理想だね」と言っていた。確かに、お兄ちゃんが最後にとった行動は男なら誰もが望むシチュエーション。妹のように兄も何かに勝ったのだろう。『ドラえもん』のドラえもんが未来に帰ってしまうエピソードを思い出す。ジャイアンにケンカを挑んだときのシーン。全然違うか。
画像は、部屋の中に映りこんでいたダルマ。元々部屋に置いてあったもので、強烈な存在感を放っていた。
イベント終了後、製作委員会の方々と打ち上げへ。突然電気が消され、ケーキが登場する。ちょうどDVDの発売日、翌日が入江監督の誕生日。サプライズケーキでみんなで拍手し、温かい雰囲気に包まれていた。
そういえば、短編の撮影は入江監督の実家で行なわれた。撮影中もお父さんが興味津々に絡んできてくれたり、家族の方に親切にしていただいた。シャワーも借りたし。なんだか実家に帰った気持ちに。一軒家に住んだ経験がないから嬉しかった。
『サイタマノラッパー』のMIGHTY役の奥野瑛太さんもいらしていて、『3』の宣伝企画のお話も聞けた。この日、イベントで本邦初公開の特報が流れた。全貌は掴めないけど、なんだかとてつもない作品になってそう。長回しのフェスシーンがとにかく気になります。
帰宅後、DVD特典のの子さんによるビデオレター『40才の自分へ』を。本名叫んでる。カバンをどうして持ったのかとか降ろしたのかとか、細かいことはどうでもいい。本人は一切意図していないことでも、笑ったりちょっとグッときたりする。この人は何をやってもそうなる。「鬱に負けるな!」って笑いにもなるし、切実にも感じる。
入江監督、monoくん、ちばぎん、みさこさんによるオーディオコメンタリーでは、僕の話になるとメンバー3人にものすごい言われ様だった。みさこさん、「大西ライオン」って二回も言ってる。ちくしょう。了解です。
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