神聖かまってちゃんにとって、またもや大舞台。東京・夢の島陸上競技場での野外フェスティバル『WORLD HAPPINESS2011』に出演。
共演はYellow Magic Orchestra、高野寛、スチャダラパー、宮沢和史 as GANGA ZUMBA、サカナクション、コトリンゴ、THE BEATNIKS(高橋幸宏と鈴木慶一によるユニット)、Fennesz+Sakamoto、LITTLE CREATURES、TOWA TEI、YUKI、salyu×salyu、KIMONOS、星野源、OKAMOTO'Sと、とにかく豪華。
大きなセンターステージ、少し小さなレフトステージの二つがあり、イベントは二つのステージで交互にパフォーマンスされるという流れ。音が休むヒマもなく鳴り続け、神聖かまってちゃんはレフトステージの夕方に出演する。
イベントの途中、空に暗雲がたちこめ、雷が鳴った。「えーーっ」と動揺する客席。途端に雨が降り出し、一斉にレインコートを着だす人々。出演中のLITTLE CREATURESが「ごめん、嵐呼んじゃったよ…」と笑いを誘う。
神聖かまってちゃんの天気はどうなるんだろう。嵐を呼ぶといえば彼らだ。クレヨンしんちゃんの映画みたいな文句であるけど、いや実際、『夢のENDはいつも目覚まし!』をSEで使っているんだから、間違ってはいない。
どうやらこの日、いつも通り楽屋で配信をやっていると、なんと世界の坂本教授が配信に登場。坂本龍一との子の並び。このツーショット。なんとなく、歴史的大事件のような気がしてならない。配信でのやり取りをピックアップし、グッとくる部分だけを文字起こしした。
の子「僕の長年の友達を連れてきたので紹介します。吉本くんです」
坂本龍一「吉本です」
の子「そこらへんに歩いてた友達をまた連れてきました。草っぱらの中を歩いてたんでポケモンみたいになってたんで。モンスターボールで捕まえちゃった。僕らのライブはどうでしたでしょうか?」
坂本龍一「よかったよー。ケガしたりってのは聞いてたんだけど、ちゃんと音楽的に聴いたことはなかったから」
の子「あーマジすか。じゃあ参考にしてください」
坂本龍一「参考かよ!」
の子「“教授、かまってちゃんは音楽的には?”」
坂本龍一「いや結構テンションがあったりして、ハーモニーに。それはキミ(mono)がつけてるの?」
mono「僕じゃないすよ。全部コイツ(の子)ですよ」
坂本龍一「マジで?お前天才なんだな」
の子「何っ!天才えっ!?天才えっ!?じゃあ俺と坂本さんどっちが天才か、monoくん言ってみろよ」
mono「えー、坂本教授」
坂本龍一「えっへっへっへ」
の子「教授はマジメだよ!マジメに僕らのことを“テンションが高いだけのバンド”って言ってますよ!」
坂本龍一「違う違う違う。和音にテンションが結構ついていて、イタイだけのバンドじゃないなと。ちゃんと音楽性があるぞって言ったのに…テンション上げてるだけのバンドなんて言ってないじゃん!」
の子「教授、じゃあ"ジャンピング土下座"というものを…アホアホマンくらいならそういうの知ってるでしょ?」
坂本龍一「えっ知らないよ。見たことないよ」
の子「すいませんでしたー!調子に乗りましたー!教授はマスターボールでしか捕まえられません!モンスターボールで捕まえるとか言ってすいませんでしたー!教授はモンスターですけど音楽界の。音楽界のマスターでもあるんで、そこはマスターボールで捕まえるべきでした。なめてすいませんでした!」
坂本龍一、の子を熱く抱擁。
の子、そのまま坂本龍一を壁に押しつけて血を吸おうとする。
なんだこれは。
その後、ツイッターでは坂本龍一が「神聖かまってちゃんにかまわれ中」と写真付きでつぶやき、多くの人がリツイートしていた。
https://twitter.com/#!/skmt09/status/100098064320176128
教授の気さくな人柄と、二人のツーショットに感動を覚える。単なるコントのような光景だったが、いつか音楽でも二人に絡んでほしい。いや、アホアホマン的なものでも何でもいい。
配信には鈴木慶一も登場。神聖かまってちゃんの配信のゲストがどんどん豪華になっていく。一つの音楽番組として楽しめるのではないかと思うが、電波の悪さ、配信の始まりのグダグダさ、映像のカクカクさは相変わらず。バンドが有名になってきても、ずっとマイペースなのが彼ららしい。
THE BEATNIKSの演奏中、レフトステージでは神聖かまってちゃんのメンバーとスタッフがセッティングをしていた。の子さんはカメラマンの佐藤さんと一緒に笑っていたりと、ゴキゲンな様子だった。セッティングが終わり、メンバーが一旦去る。
夕方になる。そして「ネクスト・パフォーミング・アーティスト!シンセイ・カマッテチャン!」というFMラジオみたいな英語のイントネーションで名前を呼ばれた後、『夢のENDはいつも目覚まし!』が流れ、メンバーが再登場。の子はいきなりステージ前方を越えて客席前まで突っ込むという、元気に満ち溢れた動きをする。
センターステージの左右にモニターに映し出された神聖かまってちゃんの面々。の子は前回同様、三つ編み。どアップで映されるため、インパクトが大きい。その姿に「かわいいー」という声もあれば、「うわっ…」という反応も。これこそが多くの初見の人たちにライブを見られるフェスの醍醐味だろう。
「さあ、やってまいりました!神聖かまってちゃんの時間です!」
の子が威勢よく挨拶すると、大歓声が。「えーっと、さっきまで配信でペラペラ喋ってて。いつも通り。疲れてないよ!」と笑う。
の子「じゃあちょっと時間は、僕らは60分くらいあるって聞いたんで」
ちばぎん「20分です」
の子「じゃあ、ゆったりとMCを20分やろうと思います。ふふっ!」
mono「やるかバカー!1曲目いきまーす」
メンバーの制止により、きちんと曲が始まる。1曲目は『ぺんてる』。1万人以上の来場者というWORLD HAPPINESSの会場に「ぺんてるに、いきました」が響き渡る。
中盤、「大人なりました」の後のジャーーン!がキマり、大勢の人が拳をあげるときの感動といったら。が、後半、ボーカルがリズムを見失ったのか、危うい場面も。みさこがその都度笑顔になり、大画面に大写しにされる。
「今ここは!どこだ!銀河だ!そう、俺の銀河だ!この瞬間に、みんなは俺のものだ!俺の手のひらでころころ転がってください!知らない人たちもピーポーも。ころころころころ…なげーよ俺!止めろよ!とりあえず皆さん、雨とか雷とか降ってますけど、全然そんなもん吹き飛ばしてワールドハッピーネスでいきましょう!」
の子のアジテーション後、monoのいつものイントロが。『ロックンロールは鳴り止まないっ』が始まると、ファンではなさそうな人たちも一斉にリズムをとり、歓声を上げる。やっぱり一番有名な曲。
その後、ちばぎんのベースが始まる中、「みなさん、この曲は聴いたことあるかーい?」とラッパーのような口調になる。まさかまさかの、そのまさか。野外では初演奏となる『夜空の虫とどこまでも』。
「そう俺は、モーツァルトの生まれ変わりだ。俺はモーツァルトの生まれ変わりだ。俺がモーツァルトに見えてきたろ?2011年の、モーツァルトを、なめんなよ!!」
突然のモーツァルト宣言。広々とした空に轟く、ボーカルエフェクトが効いたの子の声。それほど暑くもなく、涼しくもない気候の中にすんなりと音が広がっていく。後半、みさこのドラムがどんどん激しくなっていくところが気持ちいい。
「早いもので、次の曲でラストになったわけですが」とちばぎん。の子が「はやーよ!」とダダをこね、いつもの流れ。
「とりあえず、どんどんいきますわ。『あるてぃめっとレイザー!』やります。みなさん!鬱々とした天気の中で、なんか、ウィザーレポートが何を言おうと、僕らで切り裂いていけばいいのさ、空を。天空の扉は、開かれた」
RPGゲームみたいなの子のMCの後、最後の曲は『あるてぃめっとレイザー!』。大暴れするの子、とにかくステージ上に立っているものすべてをなぎ倒す勢いでギターを掻き鳴らす。monoはいつも通り踊りまくる。
ライブが終わったというのに、やっぱりステージに居座ろうとするの子。最近では恒例になっている。もはや"つっこみ待ち"な表情にも見える。当然のごとくスタッフに連れ去られるが、それでもステージに戻り、「一言、言わせてくれ。一言、言わせてくれ…またね」と言い残し、ステージを去って終了。
ステージが本当に名残惜しいのだろう。終わり際にエンジンがかかることが最近では多々あるが、この日は最初から終わり際のテンション。持ち時間が短いと分かっていたほうが、ライブパフォーマンスが凝縮されていいのかも知れない。
短いながらも、4曲も演奏するとは。ちょうど2年前に野外のロックフェスでライブをしたときは1曲しか演奏できなかったのと比べると、感動的な進歩である。そして『夜空の虫とどこまでも』は野外で聴くととてつもなく映える。いつかぜひ、夜空の下で聴いてみたい。
今回のライブ、坂本龍一や鈴木慶一らとの絡み、WORLD HAPPINESSは神聖かまってちゃんにとって大きな成功になったと思う。そしての子さんがどんどん女の子になっていってる。2年ぶりに神聖かまってちゃんを観た友人が「あの人どうしたの?」と心配していた。リアルな反応なのかも知れない。
そして、YUKIが本当に素晴らしくかわいかった。それに尽きる。
2011年8月7日 WORLD HAPPINESS 2011
〈セットリスト〉
1、ぺんてる
2、ロックンロールは鳴り止まないっ
3、夜空の虫とどこまでも
4、あるてぃめっとレイザー!
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