神聖かまってちゃん、今年一発目のライブ。
渋谷AXにてHMVが主催のライブイベント『HMV THE 2MAN』という、異色の組み合わせのツーマン企画。今回は『みんな仲良くできるかな?編』として、ももいろクローバーという現在人気急上昇中のアイドルとの共演となる。
アイドル相手に、神聖かまってちゃんがどのようなライブを見せるのか。
前回の年末ライブがあまりにも"神ライブ"と称賛されたため、長いブランクが空いたライブはどうなるのか。映画『劇場版神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』の制作も行なわれている今、彼らの話題は尽きない。この日も場内アナウンスで「映画の撮影が行なわれます」とあった。
この日、僕に約2年前に神聖かまってちゃんを教えてくれた友人と一緒にAXへ向かった。
彼がいなければ、多くの時間をひとつのバンドに費やすことはなかった。そしてライブ映像をアップロードするという習慣も得られなかっただろうし、たくさんの人と知り合うこともなかった。いまだに「竹内さんの動画見てました」と言ってくださるファンの方がいるが、すべてはこの友人のおかげです。
彼と一緒に神聖かまってちゃんのライブを観るのは、東高円寺UFO CLUBの流血ライブ以来。
「いいライブか、わるいライブか、どちらかと思って観ていたら、こわいライブだった」
初めて観た神聖かまってちゃんのライブが流血であることに戸惑いを隠しきれなかったようだ。「今日もAXの大きさに合わせた流血だったら死んでしまうね」と冗談で言った。冗談に終わって本当に良かった。
ところが友人のこの日のメインは、実はももいろクローバー。話題になる前から呪文のように「ももくろももくろ」と電話で言っていた。常に新しくクるものを模索する彼の言葉を信じ、僕もこの日、ももいろクローバーを観るのが楽しみだった。
『劇場版神聖かまってちゃん』の撮影現場でお会いした女優の二階堂ふみさんと久々に会う。気さくに話しかけてくれてありがたい。自分がこの人のお兄ちゃん役だなんていまだに信じられない。マネージャーさんによると、何かのインタビューで「お兄ちゃんができて嬉しい」と言っていたらしい。僕も嬉しい。
ももいろクローバーのライブが始まる。ももクロファンと思われるお客さんが一斉に雄たけびを上げる。神聖かまってちゃんのライブではありえない光景だ。照明、音響、すべてがプロフェッショナル。神がかりなステージを作っている。メンバー6人が登場し、客席はかつて観たミッシェル・ガン・エレファントのライブ以上の熱気に。ブラフマンのライブかと思った。
真っ暗闇の中、どこからともなく聞こえてくる声。「ここにいるみんなが、歴史の生き証人になるー!」という可愛い声だが、勇ましい発言。震動するくらいの大きな歓声と、サイリウムによる光の拡散。心がざわつく。そしてステージにライトが当たり、そのすべての原因、その正体が現れる。
なめてました。
いや、なめてはないし、むしろなめたい。うわあごめんなさい嘘です。ダンスの激しさは想像の遥か上。曲の中でのメンバー同士の振り付けや仕草にドラマを感じ、演劇が混在しているかのようなパフォーマンス。
その始まりから何かが違う。戦隊モノのポージングのようなフォーメーションを作り出す6人の女の子たち。四葉のクローバーは更に二つ葉を生やし、会場を幸せの渦に巻き込んでいく。
ファンの熱い歓声。合いの手から、一人一人への声援まで完璧。お互いが練習を重ねてきたであろう完成度の高い関係性が、ステージと客席をガッチシ繋いでいた。
初見だし、全く予備知識がない。ほとんど調べずに観た。しつこくももいろクローバーを薦めてくる友人には「ライブですべてを初体験したい」と告げていた。正解だったかも知れない。
冒頭からMC無しで7曲連続、ぶっ続け。だからといってこの6人は初対面の僕を置いてけぼりにはさせない。「私たちのことを知っている人ー!」と挙手を促したメンバーは、「今、手を挙げなかった人も、最後には挙げさせます!」と犯行声明。『怪盗少女』とはよく言ったものだ。怒濤のショーの連続技は、まさにノンストップアクション映画。ジェリー・ブラッカイマーもびっくりだ。
ステージと客席の関係は、殴っては野放しの繰り返し。彼女たちは完全に攻めだった。エビ反りジャンプに、ハイキック。曲のタイトル通り、『全力少女』で戦っていた。それにファンの人たちは抗い、立ち向かい、受け入れている。そしてリミッターが外れていく。
7曲終わり、ようやく自己紹介が開始される。そのときのメンバーカラー"赤"のリーダー・百田夏菜子の枕詞。
「えくぼは恋の落とし穴」
そこにズブズブと落ちていく人たちを目撃しながら、自分もそのまま落ちていくことを確認した。それもかなりの笑顔で。
「ももクロのことがわかった人ー!」
彼女たちの声明通り、最後には手を挙げる人が増えた気がする。わかるとかわからないという次元の話ではなく、とにかく感じる。ももいろクローバーのライブが凄まじかったということを。
そんなももクロ、本番前にはなんと神聖かまってちゃんの配信に登場したようだ。あんな危険なところに…と思ってしまうが、ももクロならやりかねないといった雰囲気がある。
の子が手に持つノートパソコンの前で、メンバーが順番に自己紹介していく。の子は「はい次ー」とやる気のなさそうな声で進行させ、なぜか玉井詩織ことしおりんだけに「な、何才ですか?」と尋ねる姿も。「スヌーピーみたいだな」という意味不明なの子に対し、高城れにが「スヌーピーじゃねえよ」と反論。の子が悔しがるというシーンも。
ももいろクローバーが渋谷AXを完全に沸騰させた後、神聖かまってちゃんの登場。
いつもの登場SE『夢のENDはいつも目覚まし!』とは違う曲が流れる。メンバー全員がのこのこと登場するが、この日は珍しくの子が一番乗りでステージに。
中央に立ち、観客を煽情する。
「神聖かまってちゃんが映画化されるらしいが、そんなものは観なくていい。なぜなら、俺自身がここで、俺自身が映画だからだ!」
隣で観ていた二階堂ふみさんが戸惑ってこちらを見た。主演の映画を「観なくていい」と言われる心境とは。
の子は黒澤明みたいなサングラスをかけて登場。昨年12月の『謎の日』でかけていたものと同じようだ。鮮やかな青い服が映える。配信中のノートパソコンを掲げ、凛々しく立っている。多くの人がイメージするであろう"神聖かまってちゃん"そのものだった。
monoが「アイアムア神聖かまってちゃんでーす」とゆるく挨拶。そしてちばぎんとみさこがデーーーーン!と音を鳴らす。この一連の流れ。先ほどのももクロのライブとは一変し、とにかくゆるい。しかし、このゆるさが逆に貫禄さえ感じさせてくれる。良いように言うと。
「ってことでももいろクローバーさんの後に僕らっていう、なぜかね。えっ、ここに(ノートパソコン)置いとくわけ?」
monoの声に、の子が無視。「えー、マイペースに気長にやっていきたいと思いまーす。"何言ってるかわからない"って人はもう…うるせえんだバカヤローーー!!!」
ゆるさが突然の狂気に。「うぉおおおーー」と客席が盛り上がり、みさこがキメゼリフでも言った後のようにパシャーン!とゆるくシンバルを鳴らして盛り上げる。
の子「人多いな!今日はももクロということで和気藹々としたライブができると思いきや、まあ、そうでもなさそうな人たちが…」
mono「そんなことないそんなことない!」
の子「いやでも、とさか立ててる奴ばっかりじゃねーかよ」
mono「そんなことないでしょ?カラーの、光る棒みたいなの持ってる人いるでしょ?」
の子「なんだそれはディズニーランドのやつかよそれ!」
mono「それでは一曲目いきますよー」
の子「待てこのやろー!チューニングしてんだよ!」
一曲目からまさかのチューニング。サイリウムを持っている人たちは、この人たちを観てどう思うのだろう。monoが「俺もチューニングしようかな!」と間を埋めようとし、この日特製のももクロ×かまってちゃんのタオルを取り出して「帰ったらヤフオクで売ってください!」ととんでもないことを言う。「早くやれーー!」という野次が。
「俺が早くするんじゃなくて、ずっといればいいんじゃない?消灯するまで。帰りは野宿。じゃ、いきまーす」
一曲目から『あるてぃめっとレイザー!』。の子のギターを掻きむしる音から始まり、先ほどのももクロほどではないが、客席前方が激しく揺れ始める。monoが何もすることがなくてウロウロし始める。ギターソロが始まる前、照明がチカチカと激しく点滅する。
曲が終わった後は、先ほどよりもテンションが急激に上がった様子のの子。一曲目の調子が良いと、の子は分かりやすいくらいに楽しそうにちょこまかと動き回る。そのちょこまかを見ると、「今日のライブは最高のものになるかも」と予感できるのだ。登場時では分からない。一曲目が肝心なのだろう。
続いて『肉魔法』。客席からのオイ!オイ!コールも響く中、この攻めまくりのセットリストに快感を覚える。ももクロも完全に攻めだったが、神聖かまってちゃんも負けじと今回は異質な選曲なのが嬉しい。そして二曲連続、monoがやることがなくウロウロと動き回っているのだ。激しい曲調の中、うんこ座りでノートパソコンを見ているmonoの姿が見事だった。
曲の最後、の子がドラムセット付近まで来てちょこんとジャンプ。その行為に、の子もみさこも笑顔。ももクロに負けない可愛さには戸惑いを隠しきれない。
の子「いやでも僕は疲れてしまいましたね。でもそれがハードルってことで、次また次でいくってことさ。今日は節分…節分じゃねえ。今日はAXってことで、二階の席が落ちたら、みんなそこで死んじゃうよ」
みさこ「落ちないでー」
「みーさこぉー↑」と客席からコール。ももクロの「かーなこぉー↑」コールの発音に倣ったものが鳴り響き、このイベントらしさがみなぎっていた。ちばぎんが「新しすぎるだろ…」と動揺する。そのままみさこが「さっき人生で初めてラブレターをもらって…」と、あまりコールとは関係ない話を始める。そんな中、いつも通りの子が話をぶった切るように喋る。
「言っても映画とか関係ねーんだよ。俺自身が映画だからな」
二回目言っちゃった。そしてmonoが「じゃ、俺らも武道館いきましょう」と演奏を促し、ちばぎんが「両国国技館な」と鋭いつっこみを入れる。
そしてまた客席から「のーー子ぉーー↑」というコール。みんなアイドルになっていく。
「みんな!やーーねー!やーーねー!武道館のチケットを買いましょう!」
存在しないはずの日本武道館チケットの販売促進を叫ぶの子の合図により、『レッツゴー武道館っ!☆』の演奏がスタート。この日初披露。スタジオ練習配信でもやっていた、お客さんからの「やーねー!」コールが決まっており、サビの疾走感がたまらなく気持ちいい。
演奏後、の子が楽しそうに叫ぶ。
「みなさんの"やーねー"が気持ちよかったんで、もう気分が舞い上がっちゃいました!これでグラストンベリーに行くんだよーー!!お誘いがないっ!!」
の子「わかんないけどねー。僕はリハでがんばっちゃうんだよ。だから、リハ観に来たほうがいいよ!」
mono「リハ観れないだろー?リハは観れないんですよお客さんはね」
の子「…何言ってんのか分かるけども」
mono「俺MC意味あんのかなー、ちばぎん」
みさこ「大丈夫、私のほうが意味ないから。いっきまーす」
の子「では『さわやかな朝』いきます!僕は歌詞わかんないんで、みなさんで歌ってください!」
の子がそのまま喋り続けていたら、みさこのドラムが始まって強制的に『さわやかな朝』の演奏へ。出遅れてギターを弾き始めるの子。
「なんてことは、あるわけねーんだよバカヤロー!」
歌詞以上に「イラッとするな、ほんと」な気分をぶちまけるように歌っている。最後は「空気を吸って、吐いて、今日もコンビニに行く。あーー!って叫んだー」と即興で思いついた言葉を吐き出していく。今年初ライブだけあって、どこか慣れていない雰囲気もあったけど、見事その空気を打ち破っているかのような演奏だった。
みさこ「すごいテンパってイントロ間違えた。ごめんな、みんな。緊張してた」
mono「何言ってんだ…?」
みさこ「あの、すごい緊張してるんですよ。ももクロちゃんがすごいステージを見せた後なので、人生でもトップクラスに入るくらい緊張してるんです。すごいテンパってるんで、すごいフォローしてね。ごめんね、私だめだ本当。緊張する」
ちばぎん「あ、なに?」
みさこ「え、緊張する」
ちばぎん「あ、そう」
みさこの暴走に、男メンバー3人の冷たい反応。客席からはみさこに「かわいいー!」という声援。
の子がキーボードの前に立つと、何が行なわれるかはだいたい想像がつく。『夜空の虫とどこまでも』へ。
「おう、いぇー。悪い奴はみんな友だち。あー、いぇー。でも悪い奴らはみんなバイクで死んだ。悪い奴らはみんなバイクで死んだ。あー、そう。墓参りはバイクで行くぜー」
まさかのバイク事故。ヘッドマイクをつけて歌う。歌詞の内容はいまだに分からないけど、歌声が楽器となる。演奏するたびに進化している。後半、ちばぎんのコーラスが入っているのは初めてだ。ドラムがバシャバシャと鳴りまくり、盛り上がっていくクライマックスがいつもたまらない。とにかくバイクは全然関係ない。
演奏後、ヘッドマイクをステージに投げつけるの子。「壊れちゃうから」とちばぎん。「これまた買うの大変よ」とmono。冷静な2人の反応に、の子が笑顔。
客席から女の子の声。monoが応える。
「なんだ?さっきからお前。あれか。俺のこと好きだろ?」
静まりかえる客席。
「バカヤロー!俺には大事な人がいるんだよ!」
「フゥーーー!」とmonoを冷やかす声援。ちばぎんが「聞き飽きたよ!」とmonoに叫ぶ。
やがて『ぺんてる』の演奏へ。
イントロ中、の子がピックを持った片手を頭上に掲げる。照明によって後光が差し、かっこいい絵に。なのに、冒頭から歌詞をダイナミックに間違える。それでもちばぎんが表情を変えずに「どーでもいいー」とコーラス。本当にどうでもいいんじゃないだろうかと思うほどだ。
中盤も歌詞がどこに行き着くかわからない瞬間が多々あるけど、やはり「僕は大人になりました」以後は胸を熱くさせる。「人生のクズの中」という表現があった。この曲の語りかけるような終盤は、毎度ゾクゾクとさせてくれる。
「ここまで珍しくセットリスト通りにいったんで…『レイプ・ミー』?」というの子の言葉に、monoが歩み寄って無言で「ダメ、ダメ」アピール。相変わらずmonoの単独公演の日は遠い。「アゴー!」という客席からの声に「はいがんばります!」と即答。
次は『制服b少年』。「みなさんタテノリでここのAXを潰してくださーい。潰してしまえばいいと思います」との子が言う。「ギョロッと!」の部分だけmonoがコーラスしているのがチャームポイントだ。この日はセットリストがレア。あまり普段ライブでやらないような楽曲を、新年一発目、しかも渋谷AXという大会場でやるという。しかも相手がももいろクローバー。ある意味挑発的だ。それこそが神聖かまってちゃんなのかも知れない。
「次はスタジオでしかやったことのない…」
なんと、『バグったのーみそ』を初披露。PVがアップロードされてから、ライブでは演奏されたことがない。もう観れることはないと思っていたというのに。
「次で最後らしいんですけど…」とちばぎんが。「でもだ!『バグったのーみそ』がものすごく『We Are the Champions』よりもすごい曲かも知れないよ」との子が強行突破する。全然違うだろう。「とりあえずやってみよう」と。最後の曲を「とりあえず」という姿勢に客席から「えーーっ!」という悲鳴が。
「ためしてガッテン。失敗しても、失敗は創造なんでいつも。それがムービー。それがヒストリー。それが映画」
の子がかっこよくキメセリフを言うと、「フォーーー!」と観客の声が。「でもさ、失敗だよ?」とちばぎんがごもっともな意見を。突然の「ちばぎん太った?」というお客さんの声。monoが「ちばぎん太った?」と尋ねると、「拾わなくていいよ!曲が始まろうとしてただろ!」とちばぎん。触れてほしくなかった話題のようだ。「はいー、ちばぎんが太りました」とmono。
ということで最後はまさかの『バグったのーみそ』。「僕は~」という声から始まるが、その声が発される前、沈黙している間に客席から「がんばってー!」という声が。
カオスな演奏だ。電子音がピーピー鳴っていた。パチンコ屋にいるみたいな喧騒が鳴り響き、不快と快感のギリギリラインを行く。の子は途中からギターを降ろし、両手でマイクを掴んで絶叫。声を高い声や低い音に変えながら叫び続け、演奏はフェードアウトしていく。
「ありがとうございました、神聖かまってちゃんでした…」
これでいいのかな…と思ってそうな声のトーンでちばぎんが締める。
「しかしだ!僕はここから君たちをころころ転がすぜ。だからいくらでも僕を呼んでくれ」との子がアンコールを自ら促す。そして鳴り響く「の子ぉおおーー↑」という歓声。メンバー3人がステージから出ていくが、の子だけがステージに居座る。居座るというか、本当にイスに座っている。
「ヒマだな…だってヒマでしょ。みんなヒマなんだ」
ペットボトルの水をゆっくり飲んでいたら、劒マネージャーに促されてステージ脇に連れ出されるの子。ここからが正しいアンコール前の拍手と暗闇。
正しいアンコールが始まり、みさこがタオルを頭に巻いて難民みたいな格好になっている。歓声には「あごぉーーおお↑」というものもあった。もはや何でもアリだ。
「はい、皆さんの予想通り出てきましたー」
monoの無愛想な挨拶。「あとはの子だけだ」と、まだの子はいない。「の子ぉおーー↑」なんて声が響いていると、本人が登場。
の子「しかしなぜ一曲しかやっていけないのかわからない、僕は!」
ちばぎん「あの、裏で"一曲でお願いします"って言われちゃいまして…」
客「ええーーーっ!!」
の子「ね!俺はまだまだいけるぜ?」
ちばぎん「うん、もしかすると心の広い主催者さんが許してくれるかも知れないから、早めにやろう!」
アンコールは『ベイビーレイニーデイリー』から。
の子「最初のちゃららちゃららー♪は一回も成功したことないから、二階席にいる、なんかガンツみたいな」
mono「ガンツじゃない。お前最近ハマったからって…」
の子「まあ時間なんか、いいんだよ。だって人生、長いんだよ(笑)」
なぜかかなり笑っているの子。「だって、怒られる人がいっぱいいるから」と言いながらステージ脇をちらり。「お客さんは別に怒られないから大丈夫」と。
みさこ「じゃあ、"ちゃららちゃららー♪"って歌うんで、そのあとに皆さんも"ちゃららちゃららー♪"って歌ってください」
mono「バンドじゃないもん!」
神聖かまってちゃんの数少ないラブソング。客席からサイリウムを振る手がちらほらと見え、アイドルのコンサートのようになっていた。
最後は鈍い音をギュギュギュギューンと轟かせるの子ギター。弾きながらそのまま後ろに倒れ、背中が丸出し。頭をステージにつけながら、ピッピッ、ピッピッーと高い単音を奏でていた。
ライブが終わる間際になってテンションに火がつき始めたのか、興奮していめ目つきで前を向いているの子。
「声を出すことが一番いいのである!クイーンのフレディ・マーキュリーを見習え!クイーンのフレディ・マーキュリーを見習え!」
先ほどの『We Are the Champions』といい、最近はクイーンにハマっているのだろうか。の子は叫んで観客を煽情しながら、ギターを床に降ろす。
しかし、そのギターが床に落下した途端、ギターのボディがパッカーーン!と割れてしまう。
みさこ「すごい、真っ二つに…!」
の子「いいか?れーろ!」
お客さん「れーろ!」
ちばぎん「ちょちょちょ…!」
の子「れーろ!」
お客さん「れーろ!」
みさこ「どうやったらそんなキレイに…」
予期せぬ突然のギター破壊に戸惑うちばぎんとみさこ。それに全く気づいていないのか、観客とコール&レスポンスを楽しんでいるの子。ステージには無残にも真っ二つになったギターの残骸が散らばっている。
の子「れろれろれろれろー!」
お客さん「れろれろれろれろー!」
の子「マミさんをかえせ!」
お客さん「マミさんをかえせ!」
の子「マーミ!」
お客さん「マーミ!」
の子「マミさんをかえせコノヤロー!!」
なぜか『魔法少女まどか☆マギカ』のマミさんがコール&レスポンスに使用。これほどまで存在が希薄にされるギターはない。しかも国内ではもう販売されていないRKSのギター。以前は『夕方のピアノ』の最も盛り上がる部分で破壊されたが、今回はどうでもいいシーンで、しかも意図されずに破壊。なんだかかわいそうだ。
ちばぎんが「の子のギターが真っ二つに割れた」と言い、みさこも「すごいキレイに割れた。しかもね、地味にすごいキレイに割れた」と状況を解説。
「そんなことどうでもいいんだよ、ポップとかロックとか。ぶっ壊れることがいい。事実はひとつ。お前らのそういった意見をだますことが一番の快感ってわけ。それが『夕方のピアノ』。今の俺がやるからこそ」
の子がそう言い、始まった演奏のリズムに合わせながら「お前らみんな色々あるだろ!死にたい!死にたい!死にたい気持ちを、死ね!に還元して、生きることができれば!」と語りながら、スペアのギターを鳴らしながら『夕方のピアノ』がスタート。
喋りすぎたのか、ボーカルエフェクターの声の設定がまだ出来ていない様子。途中から変えて、「死ねーー!!」はお決まりの高音ボイスが。
「死ね!死ね!死ね!死ね!バイト先の奴、キクチ死ね!死ね!僕は、思い出されるんだ!僕は、殺したい奴がいるんだけども、それができない!だから、ここに、叩きつける!!」
「死ね」の部分では思いつきで言葉を並べていく。キクチって一体。最後はステージ中央の台に乗っかり、「死ねーよ佐藤!死ねーよ佐藤!」の連呼。客席前方には絶えず「死ね」コールが続き、これは本当に恐い空間だ。の子はノートパソコンを片手で持ち、もう片方の手に持っていたマイクをぶん投げる。ものすごい迫力だ。
そしてマイクを失ったの子は、monoのマイク、ちばぎんのマイクなど、ステージにあるマイクをすべて持つ。
「武道館もよろしくお願いします。そして!早く帰れ!!うるせえ!!」
最後はまたマイクを投げて終了。
神聖かまってちゃん、新年一発目のライブが終わった。
ももいろクローバーの迫力に度肝を抜かれた後のライブ。神聖かまってちゃんも独自の貫禄を見せており(monoが冒頭2曲からほとんど何もしていないという貫禄)、まさかのギター破壊もあり(ただの事故)、これはこれでものすごい迫力だったように思う。貴重なセットリストで攻め、『ロックンロールは鳴り止まないっ』も演奏しなかった。
ライブ終了後、二階堂ふみさんが「最初から『あるてぃめっとメイサー』でしたね」と言った。どんな黒木メイサなんだろう。
2011年2月25日 渋谷AX
〈セットリスト〉
1、あるてぃめっとレイザー
2、肉魔法
3、レッツゴー武道館っ!☆
4、さわやかな朝
5、夜空の虫とどこまでも
6、ぺんてる
7、制服b少年
8、バグったのーみそ
(アンコール)
1、ベイビーレイニーデイリー
2、夕方のピアノ
ライブ全編
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