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2010年12月3日金曜日

神聖かまってちゃん@代官山UNIT

代官山UNITの『モテキナイト』に神聖かまってちゃんが。森山未來主演のテレビ東京系のドラマ『モテキ』のイベント。

出演は神聖かまってちゃん、難波章浩(Hi-STANDARD)、向井秀徳アコースティック&エレクトリック、TOKYO No.1 SOUL SET、Half-Life。DJに、エレキコミックのやついいちろう、ドラマ出演者の野波麻帆、浜野謙太(SAKEROCK、在日ファンク)。


この日、楽屋配信には向井秀徳さんが登場。の子さんと一緒にNUMBER GIRL時代の『omoide in my head』を弾き語りしたり、『INUZINI』を披露したり。みさこさんに「あなた、変に色っぽいですね」と絡んだり。向井秀徳節を炸裂しており、の子さんはいつものハチャメチャな調子を抑え、本当に尊敬している相手であることが伺える反応をしていた。それでも配信のコメントに気を取られて会話ができておらず、リスナーからは「向井さん、すいません」と向井さんを気遣うコメントが多数寄せられていた。
一緒に歌うときも、歌詞を微妙に覚えていて歌っていたの子さんが印象的だった。いつもだとめちゃくちゃやるのに。本当にNUMBER GIRLが好きな人だったんだなとよく分かる。

神聖かまってちゃんの前は向井秀徳のライブ。NUMBER GIRL時代の『TATTOOあり』の演奏には驚いた。田渕ひさ子のギターソロの部分を口で歌っていたことにも。耳を突き刺すような鋭いギターの音や物語を綴るような歌詞は、NUMBER GIRLから10年経っても変わらない。
MCでは、今年の夏のライジングサンロックフェスティバルで宮藤官九郎に『モテキ』の存在を教えてもらい、知らない間にNUMBER GIRLの楽曲が使われていたことを。「知らないっすよー」って言っていたら隣に偶然、ドラマのディレクターの大根仁がいたという。「すみません」と謝られ、自分も「すみません」と謝ったという話で会場を笑わせていた。

イベントは代官山にふさわしく、VJとDJが鳴り響く。神聖かまってちゃんのライブが始まるとは思えない代官山!な雰囲気に圧倒された。
メンバーがステージにセッティングに入ると、妙な安心感がある。申し訳ない。セッティングが終わり、しばしの沈黙の後、登場SE『夢のENDはいつも目覚まし!』が流れる。こうして代官山をただの山か何かにしてくれた。

神聖かまってちゃんは生配信しながらのライブ。これまでもそうだったが、最近ではより一層配信ライブが当たり前になってきている。
『夢のENDはいつも目覚まし!』の音楽に合わせてみさこがドラムを叩いている。
mono「どうもみなさん、こんばんわー」
の子「あ、あ、マイクロ、チェックを。マイクロチェックを。僕は難聴なんで、もっと返しをくれたらありがたいですー」
ちばぎん「というわけで神聖かまってちゃんですー!」
いつも通り、デーーーーン!!とベースとドラムが鳴り響き、歓声が上がる。

この日、monoは手にギブスをはめていた。先日の渋谷WWWで終演後、激昂して楽屋の壁を殴って骨折。ナタリーのニュース記事にもなった。キーボードを弾けるのだろうかとファンを不安な気持ちにさせてしまったmonoのキーボードの傍には、いつものウィスキーの瓶が置かれていない。

mono「おーし今日も張り切っていきましょうか。今日僕、酒飲んでませーん。俺の様子見て、わかるでしょ?呂律が、いつもよりは回ってない」
ちばぎん「なんだよ、いつもより回ってない、って」
mono「あれ?いつもよりは回ってない、る?…なんで無反応なんだよ」
結局、酒を飲んでなくても滑舌は同じなのだ。
mono「この前のWWWと全然反応違うぞお前ら!もっともっと煽ってこいよ!」
お客さん「何言ってんのかわかんねーよ!」
mono「はいすいませんでしたー」

「1曲目、『ベイビーレイニーデイリー』」と曲紹介するmonoだが、の子は「お前が言ったからといって俺がやるとでも」と言いかけた。「だって俺、昆虫採集してるんだよ」と意味不意なことを言い続けつつも、「『ベイビーレイニーデイリー』やりまーす。なんでこの曲やるのかと言うと、単純に、好きだから!メロディが!」と昆虫採集をやめて、無事演奏へ。
「メロディいいよなぁ、なんだろうなぁこれ…自己満足?うるせえ!!」
みさこの「チャララチャララー」の掛け声から、『ベイビーレイニーデイリー』が始まる。monoはギブスをはめていても、ちゃんと演奏できている。むしろ酒を飲んでいないせいか、いつも以上に丁寧に弾けていた。

mono「はい、続いては、『モテキ』といえば『ロックンロール』~」
みさこ「いつかちゃんが歌ってくれたね」
『モテキ』の第6話『ロックンロールは鳴り止まないっ』で、女優の満島ひかり演じる"いつか"がこの曲をカラオケで熱唱するシーンがある。
mono「いつもより舌が回んないよーほんとに」
ちばぎん「別にいつもだろ…」
mono「(の子に)お前何してんの?」
の子「『さわやかな朝』のためにカポを探してる」

次は『さわやかな朝』ではなく、いつかちゃんも歌った『ロックンロールは鳴り止まないっ』。monoの最後のキーボードが美しく終わる。

ちばぎん「mono君、弾けるじゃん!」
mono「なんとかね…」
の子「まあでも、案外弾けてないよな!」
mono「カポ見つかった?」
の子「はあ?うるっせえ!…あ、うるせえじゃねえや。(劔マネージャーに)カポは見つかりましたかー?」

劔マネージャーにカポ探しをお願いしていたの子。「神聖かまってちゃんのライブなんかマンネリなんだよ!明日の『謎の日』にはまあ、やってない曲をやると思いますけどね」と2曲目が終わった時点で、翌日のライブのことを告げる。

の子「そのときにはアンケートをやろうかと。"何がクソだったか"とかね」
mono「アンケート?牛丼屋のあれか?」
の子「…うん、牛丼屋のあれ。頭いいね」
monoの意味不明な返しにきちんと反応してあげるの子。前回のケンカもあってか、この日は仲が良い。ケンカするだけ仲が良いという、まさにその光景だ。そしてカポが見つかったということなので、『さわやかな朝』へ。
ライブでは初披露となる。
「ホーー」とキレイな音がmonoの弾くキーボードから鳴り、穏やかな曲調にも関わらず「イラッとするなぁほんと!!」というの子の絶叫から始まる。2番、の子が歌詞を飛ばして忘れてしまい、歌わずにしばらくインスト状態が続く。逆にそれが味になっていた。
「僕はイラッとするんです。電車に乗っても、僕はどうしようもないんです。僕はもうどうすればいいのか分からないこの日常の中をいく。そう、僕は今…」
即興で歌っていた。そこから持ち直し、また2番の歌詞を挑戦するも、1番の歌詞を繰り返してしまっていた。
「どうしようもないんだ僕はほんと!!」
即興の歌詞から、本当にどうしようもない気持ちが伝わる。この曲の持つ爽やかさと鬱屈した感情のバランスが際だっていた。最後は「うああーー!!!」と絶叫しながらギターを一人弾き続け、弾き語りのような状態に。スポットライトはの子だけに当たり、なぜか感動的な終わり方に。めちゃくちゃな歌詞だったけど、着地点は見事。

歌い終えた瞬間にどこからともなく、低くて渋い声が。
「彼は私の中で、ゆっくり動いて…」
ちばぎんが「えっ、今の何…?」と戸惑う。会場の空気も「えっ…?」というものに様変わり。どうやらこれは、神聖かまってちゃんの出番の後にイベント側が流すSE(豊川悦司の雑誌『an・an』付録の朗読CD。猥雑な内容)だったそうだけど、このタイミングで流れてしまったらしい。

みさこ「ほんとに今の何…?」
の子「これは、僕のアドリブが、呼び出した…」
ちばぎん「呼び出したんですか!」
の子も若干戸惑っている様子で、「うそです。偶然です」と返す。あまりにも絶妙なタイミングでお茶を濁したトヨエツ。声が良すぎる。
mono「続いては『美ちなる方へ』」
の子「monoくん、酒飲んでないせいか、ちょこちょこ、八百屋の前に立っている感じ」
おそらく、声がいいという意味かと思われる。
の子「そういうmonoくんが、俺は好きなんだよ」
「フゥー!!」という観客の声。渋谷WWWとは正反対の二人だ。
mono「…へいいらっしゃい」
"八百屋の前に立っている人"を再現するmono。優しさに満ち溢れている。

『美ちなる方へ』が始まる。が、演奏が途中で止まる。の子がギターを弾いてないためだと思うが、ちばぎんが「monoくん、やっぱり酒飲んでんじゃないですか!」とごまかす。の子は「いや、大丈夫」と再開させるように指示。
後半に入る前、の子がギターをジャッ!ジャジャッ!とかき鳴らす瞬間がたまらないしかし、後半はリズムがおかしいのか、何がおかしいのか、演奏がグダグダに。楽器が次第に演奏をやめていき、フェードアウトするかのように終了。

の子「…どうしちゃったんだい」
mono「知らないよ?どうしたんだろ。どっちがズレてたの?」
の子「俺はみさこさんがズレてたんだと思う」
みさこ「えっ?」
の子「お客さんは、みさこさんがズレてたと思った?」
ちばぎん「う~ん…次の曲いきましょっか!」

ちばぎんの「monoさん、次何の曲ですか?」という問いに、「次は…ちまったよぉ」と聞き取れない口調で何かを話す。それに対して「酒飲んでる?」「何言ってんのかわかんねーよ!」というお客さんの野次。「てめーら何なんだよマジで」と半分キレかけるmono。
「こんなね、途中で曲やめて笑ってくれるお客さん、いないよ?」
ちばぎんのごもっともな意見に、笑う客席。「いい曲が台無しだ!」という愛情のあるお客さんの声に、「ほんとだ!」との子。「すいません、僕が謝ります!」とmono。「さすがリーダー!」「さすがアゴ!」と優しい観客の声。だが、「拍手されるために言ったわけじゃねーんだ!」とまた怒るmono。なんなんだ。

mono「次は『いかれたNeet』をやります」
の子「次は『夕方のピアノ』を」
mono「なんだよ!結局俺の言ったこと意味ねーじゃねえか!」

と言いつつもの子は「次何だっけ…」という様子。monoがすかさず「『夕方のピアノ』だろ!?」と指摘。「この曲が最後です」とちばぎんが告げると、客席から「えーーーっ!!」という声。「じゃあワンマン来いよ!」とちばぎんが半分キレ気味に返す。
こうして『夕方のピアノ』が演奏される。後半のの子のギターのチューニングが怪しいが、そのぶんギターを強引に掻きむしり、この曲がより一層エモーショナルなことに。もともと、正確に弾かれてもなんだか違うような曲にも思えるからこそ、それでいいのだろう。でも、そう言ってしまうと何でもアリになってしまう。
演奏後、ローテンションのの子とmonoの会話が見事だった。

の子「1曲目何やったっけ…?」
mono「1曲目は『ベイビーレイニーデイリー』」
の子「だよね。次は?」
mono「2曲目は『ロックンロール』やった」
の子「それで?」
mono「『さわやかな朝』やった。で、4曲目は『美ちなる方』はやった…か言えないかも知れないけど。で、5曲目、『夕方のピアノ』。5曲!」

ライブの最後のMCとは思えない、たった5曲の振り返りをのんびりと。最後の曲が終わったのにも関わらず、「じゃあ、バンドじゃやってない曲をやろう」との子が言う。
「えーと、じゃあ神聖かまってちゃんでした。ありがとうございました…」とちばぎんが小声で言い、みさことちばぎんのドラムとベースが鳴る。

ちばぎん「の子がそう言うかも知れないけど、俺はね、の子の向こう側でスタッフの人がこれ(両腕で×マーク)しているのが見えるんでね」
の子「いや、知りません」
mono「バイバーーイ」
観客「えーーーーっ!!」

神聖かまってちゃんだけを観に来た人は、たった5曲という印象になる。いや、『美ちなる方へ』を抜かすと4曲か。観客は物足りなさを態度で表していた。メンバーが退場する中、の子だけがギターを持ち、ステージに立っていた。
「ただ、私のもうひとつの入口に、彼の堅いペニスが…」
先ほど『さわやかな朝』演奏後に間違えて流されたトヨエツ朗読CDが今度はフルで流され、神聖かまってちゃんの出番の終わりを告げた。トヨエツの卑猥なセリフに笑う客席。そんな中、ステージにただ一人残ったの子がギターを弾き始める。
観客はの子の演奏に合わせて手拍子をする。その一方でトヨエツが「君のアナルはいい締まりだ」「やらしいピンク色だ」と言っている。
トヨエツの"アナル"発言連発の卑猥なホモ朗読に爆笑する客席。の子は気に留めず、笑うこともなく、ずっと自分の世界に入り込み、叫んでいる。
切ないメロディだった。聴いたことのない曲だった。新曲なのだろうか。「僕はー、今ー、今ー」という歌詞だった。トヨエツの卑猥な言葉に惑わされることもなく、ただ真っ直ぐに何かを歌い続けていた。
彼のソロ演奏は珍しかった。一人、スポットライトを浴びて、みんなが笑っていることに一切反応せず、真剣に歌っている姿がなんだか印象的だった。
学校のようにも思えた。クラスで一人、みんなが笑っていることに無反応で、ノートにひたすら絵を描いている休み時間。みんながグラウンドに遊びに行ったけど、一人で教室に残って絵を描いている。そんな孤独ゆえの創作のように見えた。
お客さんに物足りない思いをさせたからこその行為なのか、不完全燃焼だったことの償いなのか、単に歌いたかっただけなのか。トヨエツ VS の子。笑いと切なさの対決は、圧倒的に切なさのほうが勝っていた。
またもやグダグダであり、どうしようもなかったライブが、最後は妙な感動を与えていた。

終演後、Daredevilのコマツさんに連れられて代官山UNITのスタッフ専用エレーベーターへ。
扉が開くと、カメラマン佐藤さん、andymoriのボーカル・小山田壮平さんが。ちばぎんが機材置き場で一人、ひたすら機材を撤収している。他のメンバーはどうしたんだろうか。ちばぎん一人に任せているのかな、と少し不安に。これこそ、教室で一人で絵を描いている人だ。それでもちばぎんは、無言のまま「モンハン買っちゃったー」という表情でPSPを取り出してきた。単なる自慢だ。

しばらくすると、の子さんが裏口から出てくる。開かれたノートパソコンを片手にしていたが、配信はしていない様子。冬場なのに半袖で寒そうだ。
小山田さんと無言で見つめ合う。の子さんは疲れなのか、精神的なものなのか、かなりテンションが低い。特に会話をする様子もなく、佐藤さんに写真を撮られる2人。の子さんは小山田さんに気を遣っていたように思えた。自分の今の気分がそうではないからこそ、ただ見つめることで会話しようとしていた気がする。分からないが。

その後、なぜかの子さんと二人きりになった僕は、非常階段で長々と話す。最近のこと、12月末に発売されるアルバムのこと、『GiGS』の取材で彼の家に向かうこと…
「竹内さん、俺ん家来るんですよね?」
二人きりで話すのは久しぶりだった。昨年は何度かあったけど、彼を取り巻く環境は今とは明らかに違う。大物になり、雑誌やテレビなどで大きく取り上げられることになった。それでも、の子さんの根本的な部分は変わらないのか。出会った頃と同じような接し方をしてくれていた。
僕は彼には敬語を使ってしまう。いまだに"さん"づけだ。それだけ尊敬している。単にタメ口と"くん"づけにするタイミングを失っただけでもあるが、やはり彼に馴れ馴れしくするのは違う気がする。
話していると突然、裏口のドアが開く。共演の向井秀徳さんが「やっほ」という顔で、の子さんと僕を見てきた。

の子「今度、『GiGS』に載るんですよ」
向井「『GiGS』ってあの化粧系の?」
の子「今度俺ん家来てくださいよ」
向井「おう、いくいく。でも千葉やろ?千葉はなー…遠いわ」

向井秀徳さんの「化粧系の?」というボケに気付かず、華麗にスルーしてしまっていた。それほど、疲れていたんだろうか。
二人はガッチリ握手した。9年前、ナンバーガールに熱狂していた自分にとって、この光景は奇跡だ。向井さんはわざわざの子さんに挨拶し、丁寧に別れの挨拶をした。認めているということだろう。
そして向井さんが締めたドアが、こちら側からは開かないことが判明した。「向井さんに閉じ込められた!」と焦った二人は非常階段を上り、「外に出られなくなったらどうしよう…」と困っていた。なんだか小学校の階段のような、可愛らしいことなっていた。
無事、なんだか分からないどこかのカフェに辿りついた。
「すいません、外ってどうやったら出られます?」
突然、半袖でしかもノートパソコンを片手にしている人に話しかけられ、戸惑っている様子の女性店員さん。笑顔でしっかりと教えていただいた。申し訳ありませんでした。

それにしても今日のライブの最後の弾き語りの曲にはグッときた。歌詞を完成させて、音源化してほしいと思った。
しかしそれに対抗していたトヨエツの朗読CD、あれは一体何だったんだろう。

2010年12月3日 代官山UNIT
〈セットリスト〉
1、ベイビーレイニーデイリー
2、ロックンロールは鳴り止まないっ
3、さわやかな朝
4、美ちなる方へ
5、夕方のピアノ
6、の子即興曲

ライブ配信動画

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