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2010年12月22日水曜日

神聖かまってちゃん@恵比寿LIQUID ROOM

神聖かまってちゃん、恵比寿リキッドルームでワンマンライブ。

この日はアルバム『つまんね』、『みんな死ね』の発売日。遂にメジャーデビューを飾った神聖かまってちゃん。渋谷のタワーレコードに寄ると、1階のフロアに響き渡る『いかれたNEET』。ちゃんとコーナーも設けられていた。少し入り浸っていると、試聴する人が何人もいた。
今年何本か行なわれたワンマンライブは、バンドのひとつの区切りを表しているような存在だ。4月、9月、11月、そしてこの日。それぞれ、何かしら活動史に刻み込む特別なライブだったように思う。

ビデオカメラを持っていた。というのも、来年1月26日にSPACE SHOWER TVで放送される松江哲明監督によるテレビ番組『極私的神聖かまってちゃん』の撮影を監督から頼まれた。自主的な撮影を辞めたというのに、撮影を続けている。批難されるべきだ。だけど断る理由もない。でも「僕が撮ります」とは言い出せない。自分なんかがずっと撮ってていいのか、という臆病な気持ちが僕にビデオカメラを手放せた。だが、今月8日に初めての子さんの家におじゃまさせてもらい、そこで話した内容はズーンと自分の心に問いかける何かがあった。
神聖かまってちゃんは歴史に刻み込まれる存在だ。それを記録し、伝えなくては。と、少しばかり、考えが変わってきた。そのときに松江監督から頼まれたのは、何か意味がある。もっとプロのカメラマンにも頼めただろうに。松江監督は神聖かまってちゃんと僕との関係性を大事に思っているように思えた。

『極私的神聖かまってちゃん』は神聖かまってちゃんリスナーによる渋谷WWWでのライブまでの道程を、『マグノリア』ばりのオムニバス方式で描く。女優の臼田あさ美さん、写真家の梅佳代さん、タレント・漫画家の浜田ブリトニーさんもその一人として出演。そして番組の題字は園子温監督によるもの。松江監督から「壁紙にどうぞ」と写メが送られてきたのを見て驚いた。

開演前、恵比寿に向かう前に渋谷で観た映画『キック・アス』について、松江監督と楽屋で話した。1月1日元旦の深夜に放送されるテレビ朝日『お願いランキング』に松江監督が出演し、『キック・アス』を推すらしい。僕は学費が払えずに半年で中退したけど、松江監督は日本映画学校の先輩。『教育者・今村昌平』という本を頂いた。映画学校の創設者・イマヘイがいかなる思いで映画人を育てようと思っていたのかが分かる本だった。
「YOUTUBEで色んな人が撮影した色んなバンドのライブ映像見たけど、竹内君のが一番いい。俺が同じようなことをやろうと思っても出来ないよ」
松江監督にそう言われたのは本当に嬉しかった。激しいパン、音に合わせて動く、ズームを多用する。僕の撮影の方法は変だ。だからこそ活躍しているプロの映画の人から認めてもらえたのは、誇りに思う。がむしゃらに好きなものを追いかけてきただけなので、僕が最も憧れる"映画"というものを作っている人からの言葉は嬉しく、励みにしたい。
松江監督のブログでも僕が撮る神聖かまってちゃんの映像について触れてくれています。
http://d.hatena.ne.jp/matsue/20101224

監督から「撮影、続けなよ」とアドバイスを受ける。"自分なんかが撮っていいのか"という気持ちは少なくなってきた。色んな人が言ってくれるように、神聖かまってちゃんを2009年の春から知り、ライブ撮影を続けていたのは僕しかいない。
いつかまた、撮影の日々ができたらな。なんて思うだけ、思ったりしている最近です。

客席に誰もいないリキッドルーム内で、撮影する場所を決める。この感覚は久しぶりだ。
やがて開場時間になり、ステージと客席の間に位置をとる。隣にはNHKの巨大なビデオカメラが。僕のカメラは小さい。この日はTBSのカメラも入っているようだ。
照明が消え、登場SE『夢のENDはいつも目覚まし!』が流れ、歓声が上がる。メンバーが登場し、の子が威勢よくマイクを握り、喋る。
「おい、お前ら!僕は今病んでるんですが、今日は盛り上がりましょう!」

「今日はワンマンということで、ありがとうございます。配信とかできなくてすみませんね」と続ける。の子が登場してすぐにこんなに喋るのはちょっと珍しいかも知れない。
そもそも、登場してすぐにメンバーが長々と喋るとか。他のバンドではあるのだろうか。最近、いわゆる"普通"がますます分からなくなってきた。
「そんな感じで神聖かまってちゃんです!!」
ちばぎんが挨拶し、デーーーーーン!!とドラムとベースが鳴る。ギターとキーボードが鳴らされたことは、いまだかつて無いに等しい。

「最初だけだよ、B'zみたいに"ようこそ"みたいなのは。これからどんどん、冷めて、冷めていくからね。よし!みんな!僕が電波を飛ばすんで!!」
冷めていくと言うが、この日は本当に盛り上がっていた。
「やってない曲をやっていきます!できない曲があります!」
の子はテンションが高い。「雨が降っているということで、皆さんもそういう経験があるでしょう。俗に言う、リア充というものの不幸!」という曲紹介から、『ベイビーレイニーデイリー』へ。
「僕一番好きな曲なんだよなー」と呟いた。「だいたい6曲目くらいから疲れます!」と宣言し、みさこが「チャララチャララー!」と掛け声をし、神聖かまってちゃんのライブはスタートする。
終盤のmonoのキーボードのメロディが切ない。CDのほうが遥かに出来が良いと思う。ライブで演奏するたびに育った曲のように思える。最後、の子のソロのようになる部分がキマっていた。その後のの子のテンションを見る限り、今日は絶好調だ。

「俺のは大丈夫でーす!25日にはギブスが外れて何とかなるんで!」
骨折した手を見せるmono。ギターの音がおかしいの子は「いや!ギターなんかコードさえ弾ければいいですよね!」と。「ちばぎんはなんで俺の絵をステッカーに描いたわけ?」とmonoがちばぎんに尋ねる。
「何言ってんのかわかんないですけど…」
ちばぎんの返しに、客席から歓声が。ワンマンだけあって、メンバーの個性がよく分かっている会場。ある意味内輪ではあるが、神聖かまってちゃんにとって居心地のいい空間は観ていて気持ちいい。

2曲目は『あるてぃめっとレイザー!』。相変わらずこの曲の前半はmonoのやることがないため、ふらふらとキーボードの付近を動いている。後半から演奏に参加する瞬間は、『自分らしく』の後半にキーボードを弾き始めるときのかっこよさに似ている。

みさこが「早い曲苦手ですね…疲れた…」と弱音を吐くと、「疲れた?疲れたとかふざけんな!!お前プロだろ!プロ風俗嬢…じゃねえや!」との子が叱る。レッドブルをゴクッと飲むの子。「初めてライブを観に来た人いますかー」というの子の問いに、ちらほらと手を上げるお客さん。の子に話しかけるが、「しゃべんなよ…いや、しゃべんなよじゃねーや。どうしてそういうこと言ったんだろ…」と反省するの子に笑いが。
ギターをちょろっと弾いてコードを確認するの子に、ちばぎんが「それ意味あった?」と尋ねる。「意味あるだろ!なんで俺が意味のないことするんだよ!」と反論する。

テンションが高いまま、『美ちなる方へ』の演奏へ。
が、monoがミスをし、『夜空の虫とどこまでも』の最初の「ファー」という音が流れる。戸惑う会場内。「おいおいおい!どこまでゲンナリなんだよー!」との子。ちばぎんが「みんながこの瞬間を楽しみにしていたんだよ」などとmonoを責める。「一気にテンション下がってごめん!」と謝る。

「時間は、22時になったら消灯しちゃうみたいだけど。まあ、気楽に。お客さんは立ってるからね。まあ、こうキチガイっぽいふりをするけど、お客さんを気遣う。そんな、の子。ヨロシク」

の子、キチガイとキヅカイの意思表示。大歓声。かっこよくキマったのにも関わらず、まだ話し続けようとしたときにみさこがドラムを始め、「おいっ!」と戸惑うの子。
『美ちなる方へ』は完璧の演奏だった。今までにライブで聴いたこの曲の中で、一番だった。

の子「皆さんはお酒飲んでたりするんですか?今のナウいピープルは?」
お客さん「ワンドリンクオーダーだから!」
の子「ワンドリンクオーラ?ポケモン?」
お客さん「ゆきやー!飲んでるー?」
mono「飲んでるよー!そのせいでさっきミスった!ごめんなさい!」
の子「あんまり酒がきかなくなったんだよな!だからうちのバンドは、monoゴーレムがさ」
mono「なに言ってんだお前!」

その後も「monoゴーレム」を連続するの子。「最近配信がよくなった」という話をしたようだが、monoはそれを勝手に「褒めてくれた」と解釈。「ちばぎーん、俺を褒めてくれよ」とmonoが言うが、ちばぎんは「死ね」で一蹴。

次は『最悪な少女の将来』
「これさー!PV作りたかったんだけどさー!色々、大人の事情とかなんだかんだで、そんなことどうでもいいんだけど!アルバム出た日ってのがいいのかも知れないな。これは精神病の曲であって…」
突然、大声を張り上げるの子。 
「お前らーーーー!!精神病かーーーー!??」
観客は「おおおーーーーっ!!!」と呼応する。そこでの子が「うるせえ!!!俺は精神病だ今ーー!!だまれーーーーっ!!!!」と反撃。意味が分からない掛け合いから演奏が始まる。と思いきや、せっかくこの勢いなのにチューニングを始めるの子。
「ここで始まったらかっこいいのにな」と言いながら。「これは前回の大阪に引き続き、2回目です」と。
初めてライブで聴く『最悪な少女の将来』。「最悪みんな死んでしまえ!」と歌った後、「俺は今、そんな気分なんだよ!!」と叫んでいた。

「アルバム聴いたよーー!!」
客席からの声。「そう、今日アルバムの発売日なんだよな。緊張して何喋っていいかわかんないんだよ」との子。みさこが「ね、超緊張するね」と。「おめでとーーーー!」と客席から。
の子「次は?」
mono「次はね、『学校に行きたくない』」
の子「"次は?"とか言ってたらお客さんに飽きられちゃうんだよな!イスとか用意してあげればいいのに!筋肉少女帯みたいに。10曲目くらいになったら疲れてきて、"なんだこんなバンドか"って思われる。でも、目に叩きつけております!損はさせます!!」
mono「ギターは大丈夫か?」
の子「おかしいんだよ!」
mono「何がおかしいんだ?」
の子「劔が」
ちばぎん「劔はおかしい」
mono「うん、劔は顔がおかしい。俺が言えたことじゃないけど」

劒マネージャーが話題になったところで、の子が「『さわやかな朝』とか、どう?」と次にやる曲を提案。客席から「(CDが)すごい良かったよ!!」という声。なぜか「うるせえ!!」と悪態をつくの子。「あ、うるせえとかごめんなさい…」とちゃんとあとで謝り、「けど、今ハードル上げんなよ!ハードルはむしろ下げろ!!」と、そういうことか。

の子「でもmono君、酒飲んであれだから、別の酒飲んでみたら?」
mono「酒飲まねーと、お前とケンカしたくないんだよ前みたいに!!」
お客さん「ひゅーーー!!」
の子「…ケンカしないよ」

清々しい会話から『さわやかな朝』へ。
「歌詞、あんま覚えてないけど」と更にハードルを下げたの子、「イラッとすんなホント」と呟いてからギターをジャンジャン鳴らす。たしかに2番の歌詞は怪しいけど、「僕は何をすればいいかわかんない。僕はそんなんだ、いつまで経ってもわからないー!!」と即興で歌詞を作っていた。

MCではみさこが空気を読めないということが話題に。客席から「みさこーー!」という声。
の子「まあ半分半分でしょう。ここ最前列の女の子とかの半分くらいは"こいつ地獄に落ちればいいのに"とか思ってると思います」
みさこ「天国いきましょう天国!」
の子「いや、でも何があるんでしょうね!やってない曲は」
突然、話題は次の曲へ。
の子「こうやって、間があると怖いんです。アルバイトでも、深夜バイトでも、休憩中に変な警備員と2人きりになって…なんかその沈黙が怖いんです!」
お客さん「わかる!」
の子「わかるでしょ?でもワンマンなんで、そんな感じなんです!」

次が『通学LOW』だというのに、またmonoが間違えて『笛吹き花ちゃん』の最初の部分が流れる。「『笛吹き花ちゃん』はまだ全然できないから、次回に」との子。
そして『通学LOW』へ。の子がボーカルエフェクターによってキンキンに高くなった声で「みんな、ヘドバンをやれ!」と指示する。リキッドルームの照明は色とりどりのカラーでステージ上を染め、の子の顔が緑から赤、様々な色へ変化していく。そして子どもの声から悪魔のような声まで、色んな声に変わっていくボーカル。
「真っ黒な!顔をして!笑って!いるんだ!」
何人かが叫んでいるかのように、人格が様々に移り変わるようで、怖く、そしてかっこいい。胸ぐらを掴んでくるかのような迫力だ。

「『あるてぃめっとレイザー!』は?」
今までに演奏した曲を完全に忘れているの子。「季節を変えるような曲を…」と言うと、客席から「待ってた!聴きたかったんだよ俺!」という一人のお客さんの声が映えまくっていた。
mono、次の曲の準備にとりかかろうとするが、他のメンバーにはそれが一体何の曲なのか分からない。
ちばぎんが「あの、リーダー、次の曲が何なのか教えてもらっていいすか…自分だけ把握されても…」と困り果て、monoが「多分、『死にたい季節』!」と無責任に答える。
多分が確定となり、『死にたい季節』が始まる。いつ聴いてもゾクゾクする。死にたい様子を一切見せず、元気いっぱいに演奏を終える。

の子「家では元気じゃないけどな…」
mono「家では元気じゃないのか…」
の子「家で元気とか、おかしくね?だってパソコンこうやって、こたつ入って、カタカタカタカタ!ってやって」
mono「そろそろお前、ギター降ろしたら?」
の子「じゃあ次はポジションチェンジするんで」

キーボードの前にやってきたの子。「でも怖いよ!僕、ずっと『黒いたまご』とか逃げてきたんで」と言いつつ、ばっちりとかっこいい演奏を見せてくれたこの曲。

お客さん「の子ガンバー!」
ちばぎん「あのね、かまってちゃんのお客さんね、"がんばれ!"って応援してくれるんだよね。他のバンドでは見たことない…」
の子「でもね、曲が好きで、配信見てる人なんかは、"がんばれ!"って思うかも知れないですよね」
お客さん「ちばぎんもがんばって!エロゲ!」
ちばぎん「は?何言ってんの?」
お客さん「ごめん!ごめん!」
ちばぎん「…許す」

突然のエロゲ発言に戸惑うちばぎん。エロゲをやっていることを某雑誌のインタビューで答えていたせいか。
こうしてようやく始まった『黒いたまご』は音源にはない新しい音が入っており、よりディープな世界観に。ヘッドマイクを装着し、自由に動き回って歌うの子。彼がキーボードを弾く姿はいつもなぜか特別のように感じる。

「の子すげえ!」「天才!」
客席から大きな歓声が。照れながらの子が「僕はすごくない…って言ったってさ、どうしようもないよね。こういうときはさ、monoくんが"俺がスゴイんだよ!"とか言ってmonoラップを始めたらいいのに!」と言う。そこで"スゴイんだよ"の事例として、monoが楽屋の壁を殴って骨折したニュースが、音楽ニュースサイト・ナタリーで1位になったことを自慢げに伝える。

ちばぎん「えっ、1位になったんですか!」
の子「これはお客さん、どう思いますか!?自分で言うのは、どう思いますか!?」
お客さん「かわいいーー!!」
ちばぎん「"かわいい"って…」
の子「"かわいい"って!笑っちゃうわ!!」

の子はそのままキーボードの前に立ったまま、次は『夜空の虫とどこまでも』へ。そして客席に尋ねる。
「アルバム買った人はー、えーっと、"ぱぁーー"(手を上げる動き)っとやってくださーい」
「はーーーい」と大勢が手を上げる。
「うわっ!うわーーーっとぉ!!マジか!!こんなに!!売れてんなぁあ!!」
戸惑いながら、ものすごく嬉しそうなの子。ちばぎんが「の子さん、デイリー8位らしいです」と告げると、大歓声が。
の子、テンションがめちゃくちゃ高い。喜んでmonoの肩に手をやり、微笑ましい光景に。「アゴで木琴叩けよ」などと反応に困るようなことを言いながら、『夜空の虫とどこまでも』の演奏へ。
『黒いたまご』『夜空の虫とどこまでも』は二曲続けて演奏されるべきなのかも知れない。それはの子がキーボードの位置からわざわざ動かなくて済むという意味もあるけど、今月の新宿LOFTで続けて演奏している姿を観て、何か得体の知れない興奮を味わったからだ。
この曲を聴いたことは何度もあるけど、この曲ほど音源と違う何かがあるのは珍しい。神聖かまってちゃんの曲で最もライブ映えする曲だと思う。

「ライブバージョンすげえいい!!」
お客さんの声に、の子が「それはお前がここにいるから!!」と答える。絶妙な会話だ。

ちばぎん「今日はみなさん、ほんと来てくれてありがとうございます。えーと、これで晴れて、メジャーバンドですか」
みさこ「いぇい!ふぅふぅー!メジャーふぅふぅー!!」
お客さん「印税!!」
ちばぎん「印税?…入るわけねーだろそんなん…」
みさこ「ほんとね、貧困層だよね」
mono「『いかれたNEET』やりましょうか」
の子「『あるてぃめっとレイザー!』はやったのか?」
mono・ちばぎん・みさこ「やった!!」
の子「えー、みんな覚えてる?やったのー?しかし、この不況な世の中で、僕は…さあ、こんなことを言うと、みんな僕を見てくる。"さて、こいつは名言を言うんではないか"…でも、言わない!何もない!最近あることは、クリスマスシーズンということで、ポップコーンを買ったんだよな。千葉ニューのイオンで」
みさこ「ポップコーン全然クリスマス関係ない…」
の子「うるせえんだよ!!あったんだよ!!」
みさこ「そうな…」
mono「うるせーバカヤローって言うと、みさこさん縮こまっちゃうんだよな」
の子「お前が一番言ってんじゃねーか!!」

『いかれたNEET』の演奏へ。最後、monoのキーボードとちばぎんのベースだけになる部分で、の子がギターをぶんぶん振り回し、今にも床に叩きつけそうな雰囲気。結果、壊すこともなく、ギターを肩に乗せ、客席に丁寧にお辞儀するの子。

mono「ギター壊すなよ。最後の一本なんだから」
の子「みんな、お年玉もらえますか?」
お客さん「もらえない!」「あげるほう!」
の子「うそ、画鋲でも入れておけば」
ちばぎん「今、『バトルロワイアル』って声が聞こえたんだけど…あ、mono君、次の曲教えてください」
mono「秘密にしといたほうがいいだろ!」
ギターを持ち出すmono。
の子「では『怒鳴るゆめ』やりまーす」

どうやらmonoの思っていた曲とは違っていたようで、恥ずかしそうにギターを降ろすmono。ちばぎんが「秘密にしといてよかったね…」と呟く。
バシッとキマった演奏が終わり、歓声が鳴る。
「いかんせん上手くいったんじゃね!お客さんの、なんかこう、相乗効果で。NASAの」
の子が嬉しそうにはしゃぎ、そのままのテンションで「次は『ねこらじ』やりまーす」と告げる。monoはまたまた次にやる曲の予想が外れ、ギターを降ろす。「予想が外れてる!!」とmono。

「よし!!mono君の骨の骨折をもっとボロボロにさせるように、みんなもこーーーい!!monoくんの骨折をもっとボロボロに!いくぞーーー!!ねこらじだーーーーーっ!!!」

の子の突然の絶叫により、monoの骨折を激しくするための『ねこらじ』がスタート。mono、苦笑い。上へ、上へ、上へ、骨折がひどくなっていくのだろうか。そんな感じです、なのか。

演奏が終わり、monoがまた『笛吹き花ちゃん』の最初の音を鳴らしてしまう。
「それ出来ないんだよ…あ、俺か」
どうやらの子が間違えて音を流してしまったらしい。「えーーーっ」と客席。そしてまだ流れ、先ほどのmonoの曲予想のハズレといい、しつこい天丼が繰り返される。

の子「もっともっと、mono君の骨折を粉砕していきましょう!」
mono「そんなこと言うなよ!これ、あと一歩でメスが入れられるところだったんだよ」
みさこ「手術することなりそうだったんだね」
mono「あと一歩で手術するとこだったんだよ」
ちばぎん「うん、ごめん。あんま興味ない」
の子「だってお客さんが興味ないんだもん!"こいつ何言ってんだー"って感じで見てる。半分聞き取れてない!」
mono「たぶんね、僕がもっと日本語勉強すればいい…」
の子「うん、こういうのはスタジオ配信でやればいいね」

『いくつになったら』の演奏へ。
「僕はいつか 東京のど真ん中で 何千人の前で 存在を見せてやる」が実現した今。グッとくるものがある。が、そのすぐ後に歌詞を間違えた。「僕はいまや ローソンのど真ん中で 何千人の前で」と歌ってしまい、どんなローソンなのかと思う。その後は「らーらーらららー」とごまかす。客席から笑い声が。
の子はまだ古い記憶の中で「あんな大人になりたくない」と言っているのだろうか。この会場にいる誰もがそれを疑ってしまうほど、今、割といい大人になっているの子。客席には憧れの目での子を見ている人ばかりだ。

「この曲をやったのは、あれだね。君がとん汁を食っていたときだよね。だから1年ぶりくらいかな!」
の子、monoが食っていたとん汁で過去を思い出す。mono、の子に「おもしろトークをしろ」と指示され、みさこが「mono君の、おもしろトーク!」とタイトルコールのように喋る。
ムチャ振りされたmonoだが、なぜかそれに応じる。
「隣の家に囲いができたんだってね。"へ~、かっこいい"」
このひねりが何ひとつないトークに、沈黙が。その後、「イェーーーー!!」と歓声が。優しい環境だ。
「monoくん、そんなことはどうでもいいんですけど、あと2曲らしいです」
ちばぎんが告げ、客席から先ほどの「イェーーーー!!」から「えーーーーっ!!」に様変わり。

『天使じゃ地上じゃちっそく死』の演奏へ。
「これはえーっと、もうこんなにいっぱいいる中、赤坂まで聞こえるくらいの"死にたいなあ"と歌いましょう。ワンマンなんだから勢いでいいんだよ!!」
の子が喋っている間、みさこがタイミングを誤り、曲を始める。「空気読めよ!!」と叱るの子であるが、はっきり言って誰もの子が喋り終わるタイミングを掴めるはずがない。の子に「お前の空気って何だよ!」とごもっともなmonoの意見。
そして演奏を再開。赤坂まで聞こえるだろうか、"死にたいなあ"が。

の子「えーっと、いきます。『通学LOW』」
ちばぎん「やった」
の子「やった?マジで?」
mono「やった!マジでやった」
ということで『学校に行きたくない』へ。最初、の子が即興で歌い出すところをちばぎんがベースを弾き始め、そのまま曲へ突入する瞬間がかっこいい。
「計算ドリルを!!」「返して返して!!」などとmonoがコーラス、という絶叫で声を添え、中盤は「おかーーーさーーーーん!!」と絶叫している。の子はダイブし、ステージに戻ってきて「おかーーーさーーーん!!」と何度も絶叫。身体の中にあるものをすべて吐き出すかのような声を出し、ずっと叫んでいる。積もり積もった感情をぶつける演奏だった。演奏後、ありとあらゆるものが荒れまくったステージの上。

「ありがとうございました!あれ、ちょっと休んでくる。今やると、ひどい曲になっちゃうから」
マイクを放り投げて、ステージを去るの子。もはやアンコールを完全に予期しているような言い方なので、客席からアンコールを呼ぶ拍手が鳴り止まない。
「アーゴ!アーゴ!アーゴ!」
まさかのアゴコールが炸裂し、その後は「ネオニー!ネオニー!ネオニー!」という出演者ではないの子の飼い猫の名前が響き渡る。恐らく、千葉ニュータウンの団地で寝ているだろう。その後は「アゴー!」という声が再び。monoは大人気だ。

こうしてステージにはネオニーではなく、アゴ、そしてちばぎんとみさこの姿が。
mono「アンコールありがとうございます!あー、息上がっちゃったよ。下北屋根裏以来だ。酸素ボンベが回ってきたの、思い出すなあ」
お客さん「なんつった!?」
mono「あ!?」
聞き取れないお客さんにキレるmono。そこにの子が濡れた状態でステージに戻ってくる。
の子「水もしたたる…」
mono「いい男!!」
の子「水もしたたるいい男になろうとしたら、こうなった」
水を頭からぶっかかっただけだ。
mono「いや、いい男だよお前!」
の子「うるせえ!!でも今日、病んでるほうがいいライブできるなこれ。今日、来てよかったんじゃね?」

「夏ではないですが…」
monoが曲紹介をし、『23才の夏休み』へ。mono、客席からの反応に感動したのか「こんな歓声をかけてもらったことが、人生で何度あったか…」と言う。
「みんなで歌えば、俺の歌詞の間違えはごまかせる!!」
『23才の夏休み』が、今、この冬真っ盛りの時期に演奏される。もう2度と来ない夏休みに、何度思いを馳せたことだろう。でも、いつかまた夏休みが来るかも知れない。いつも来てほしいと思ってるくせに、実際に来たら怖い。そんな葛藤を吹き飛ばす演奏がそこにあった。
何度、この曲をライブで聴いてきたことだろう。あらゆる試行錯誤を繰り返し、今の状態になった。音源のような疾走感を出すために、コーラスも色々と変貌を遂げてきた。その過程を思い出すのは、神聖かまってちゃんの約1年半のドラマを回想することに繋がる。

「ワンマン来てくれてありがとうございます!『ちりとり』やりまーーす!」
の子の合図で、最後の曲『ちりとり』へ。
最初のベース、ドラム、ギターが始まる瞬間。この曲のみさこのドラムの叩き方は、全身を使っている。感情的に思う。そして僕のすぐ後ろで観ていた松江監督がの子と一緒に「バカなんです」と呟いた。噴きそうになった。の子は歌詞を間違えていた。「先帰っていいよ、なんて言っちゃいました。このバカヤローが女々しいんだよ!!」と叫んでいた。
ギターのストラップが外れ、直しに来ないのに怒ったのか劔マネージャーに対し「仕事しろよ!!」と叫ぶ。それでも自分でストラップを直し、「なんなんですかこれはー!!」の後はギターの演奏を再開させる。
「僕はあなたのことを忘れたけども、奥までちりとりたいのです。いつか僕にも奥までちりとりたい人が現れる…」
最後の呟きが切なかった。monoのキーボードとの子のギターだけが残り、余韻をたっぷり残したまま、神聖かまってちゃんのライブは終了しようとする。
彼が望んでいなくとも、多くの人がちりとられただろう。

「もう一回!もう一回!」というダブルアンコールを呼ぶ歓声が。
「当たり前じゃねえか!予定調和じゃねえか!ワンマンだぜ!!」
の子が返事するが、ステージにはの子だけ。「…俺だけしかいねーじゃねーか!!」と叫ぶ。するとメンバーが戻ってくる。

みさこ「もう1曲やっていいってさ」
mono「お前の頑張りを見ててくれたんだよ」
ちばぎん「monoくん、いいから早くやろうぜ!」
mono「この曲頼り、っていうわけでもないけど…」
そんな言葉で、だいたい分かる。
みさこ「この曲に今年1年、お世話になったからね」
mono「神聖かまってちゃん、ワンマンライブ…(言いかけるが、遮られる)」
ちばぎん「楽しかったですか!?」
客席「おーーーー!!!」
ちばぎん「はー、よかった。大阪みたいになったらどうしようかと思ってた」

言いかけたmono、今度はしっかりと「どうもありがとうございました。神聖かまってちゃんで、『ロックンロールは鳴り止まないっ』です」と告げる。
大歓声が巻き起こる。
「また来てください、ってのもあんまり言いたくないけど…」
の子が恥ずかしながら言っていると、もう何百回聴いたことだろう、monoのキーボードのメロディが。
たくさんの人が拳を上げ、歌っている様子。
「次はももいろクローバーなんてどうでもいい。今、盛り上がれ!!」
の子が煽情する。来年2月にももいろクローバーとの渋谷AXでの対バンが発表されたばかり。今というか、今すぐ、今すぐ、叫んでいた。
「MDを聴いてた頃に、MDを聴いてた頃に、僕の中の原点に戻れる気がするから、鳴り止まないのですーーーー!!!」
最後、の子はドラムセットのシンバルを鳴らす。ライブが終了する。

全18曲。たっぷりと神聖かまってちゃんを堪能できる時間となった。4月のワンマンと比べても2曲増え、グダグダな時間もほんの少し減ったように思う。

撮影を終え、ロビーに。汗まみれの人ばかり。お客さんは神聖かまってちゃんと同じくらい燃え上がり、楽しんでいた。久々にビデオカメラで撮影した僕の腕はとにかく痛い。だけど、ばっちりとキマったライブを撮影できた喜びをかみ締めていた。
メンバーに挨拶をし、リキッドルームを去る。
次は、今年最後の神聖かまってちゃんのライブ。またもや、ワンマン。今日があまりにも素晴らしすぎたから、次はどうなるのか。
ここは、ぜひとも更新してほしいところです。

2010年12月22日 恵比寿リキッドルーム
〈セットリスト〉
1、ベイビーレイニーデイリー
2、あるてぃめっとレイザー!
3、美ちなる方へ
4、最悪な少女の将来
5、さわやかな朝
6、通学LOW
7、死にたい季節
8、黒いたまご
9、夜空の虫とどこまでも
10、いかれたNEET
11、怒鳴るゆめ
12、ねこらじ
13、いくつになったら
14、天使じゃ地上じゃちっそく死
15、学校に行きたくない
(アンコール)
1、23才の夏休み
2、ちりとり
(ダブルアンコール)
ロックンロールは鳴り止まないっ

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