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2010年10月15日金曜日

神聖かまってちゃん@下北沢GARDEN

下北沢で神聖かまってちゃんのライブを観るのは、4月の初ワンマン以来。

初めて彼らを観たのもここ下北沢。開演時間ぎりぎりに下北沢GARDENに向かうと、感慨深い光景を目の当たりにした。
この日、の子さんは約1年半ぶりに下北沢での路上配信を決行。以前は「俺はサブカルチャー!」などと叫ぶと避けられ、「ポイフルいるかい?」と女の子たちに尋ねると逃げられていた。
しかし、今回は人だかりができていた。
むしろポイフルを自分から欲する女の子たちがいてもおかしくはない。そんな光景だった。そうなると気持ち悪いか。

GARDENに向かう道すがら、カメラマン佐藤さんに遭遇。「の子くんがこれから配信やるみたいよ」と佐藤さんが指差す方向に歩いていくと、ファーストキッチン前でちばぎんが座ってノートパソコンをいじっている。そこでなぜか佐藤さんが「ほら、並んで」と指示。そしてなぜかちばぎんとの記念写真を撮られることになる。
そこにの子さんがパーフェクトミュージックのスタッフと共にやってくる。目が合うと「おおっ!」と反応され、「いやー、これから路上配信するんですよ」と教えてくれた。「懐かしいですね」と返した。
ちばぎんが配信の設定をしてくれている間、ファンらしき男女がの子さんに歩み寄ってくる。この時点で昨年5月とはえらい違いだ。
「この人のほうが凄いですよ。この人は僕らの活動を支えてくれた人ですから」
の子さんはなぜか僕を紹介し、強引に僕に話を振る。ファンの方々は僕に一切興味を示さず、ずっとの子さんを見つめていた。正しい反応だ。

配信の準備が出来て、ちばぎんがの子さんにノートパソコンを預ける。遅れてmonoくんもやって来て、路上ライブ配信のスタンバイはOK。そして歩いていくご一行。向かうのは、南口駅前。かつてポイフルを配ろうとした神聖かまってちゃんのいわば"聖地"だ。
の子さんは配信中のノートパソコンを手に持ちながら、大声で叫び始める。
注目する周囲の人々。「の子?」「わ、の子だ!といったの声。人だかりが出来始める。
「俺はサブカルチャー!!」
かつての名曲を歌い出す。なるべくこっそり見ていたつもりだけど、の子さんに見つかってしまい「あれ、竹内さんがいるぞ!」と反応され、見えないところへ逃げる。
隣でmonoくんがアコースティックギターを弾き、『夕方のピアノ』を演奏しようとするも、歌い出すのはなぜか『いかれたNeet』。ずっこけたお客さんは多かった。遠くでちばぎんが恥ずかしそうに隠れていたので、尋ねると「心が折れそう!逃げたい!」とのこと。彼はこの場で最も冷静な視線をの子さんとmonoくんに送っていた。
『あるてぃめっとレイザー!』を歌うが、ドラムの部分を「ドダッ!!」と口で叫んでいた。「ドラムいないとこんなんなんだよ!」と解説すると笑いが。後に、曲を女性客に捧げたり、九十九里浜から来たというおばちゃんに写メを撮られたり、さすがの神聖かまってちゃん。路上に繰り出せば、何かしらイベントが起きる。彼らは注目の的になっていた。そういえばみさこさんは何をしてるんだろう。

路上ライブが終わり、そそくさとGARDENに走っていくの子さん。走って追いかけるファンたち。なんだか凄い光景だ。ノートパソコンはちばぎんが預かり、こちらはゆっくりとGARDENに向かっていく。癒される時間だった。

共演の戸川純さんの出番が終わり、2番目は神聖かまってちゃんの出番。メンバーもお客さんも、なんとか出番に間に合った。

いつもの登場SE『夢のENDはいつも目覚まし!』が流れる中、メンバーが登場。
monoが「こんばんわー!」と言いながらステージに現れる。「今日は配信やってるんでー」と上機嫌で観客に語りかけ、の子さんの登場に「の子ーーー!!」という大きな歓声。

の子「うるせーーーー!!!とりあえず今日は声が枯れてるんで。ちばぎん先生、(配信の)電波大丈夫?とりあえず今日は来てくれてありがとうございます!!」
ピックを探している様子のの子。
mono「ピックがない?」
の子「…あった!」
ちばぎん「そんな感じで神聖かまってちゃんです!今日はよろしくお願いします!」
デーーーーン!!!とベースとドラムが鳴り、ライブがスタートする。
の子「さあ、帰るか」
mono「帰るじゃねーよ!曲やってから帰るんだよ。1曲目、分かるか?」
の子「mono君が言ってくれればいいんだよ」
mono「えっと、『ねこらじ』だよ」
レア曲の演奏に、客席から歓声が上がる。
の子「配信で練習して、最近は色々とセットリストがマンネリ化してるからね」
mono「おう、グダグダいこうぜ」

みさこがの子から「誕生日だったんでしょ?」と言われ、歓声を受ける。珍しく優しい振りだ。「じゃいきますー。『ねこらじ』という曲からいきますー。…大丈夫かな。やってみなきゃわかんねーだろ!インターネットは現実とは違うんだよ!」との子の意気込みをぶつける。
そこに客席から小さな子どもの「はい!わかんねえんだよきゃっきゃ」という声が。
「うるせえんだよこのやろ!!」と反応するの子。「ダメだよそんなこと言っちゃ!!」とちばぎんが止めに入る。

こうして「ひー、ふー、みー、よー」との子のカウントから、ようやく『ねこらじ』の演奏が始まる。
前回渋谷LUSHで初めて聴いたときと比べると遥かにかっこいい。ボーカルのキレがたまらない。後半の盛り上がりもmonoのキーボードによってドラマチックになっている。「上へ、上へ、上へ」の高揚感がたまらない。
演奏が終わると、の子が「ありがとうございますー!!ちばぎん先生大丈夫ですかー!?」と尋ねる。ちばぎんが「大丈夫です!なんで僕に!?」と戸惑う。

「今日は下北沢GARDENということで、久々のライブハウスということで、こんなに"ガッシャーーン"って感じ、なんだろうこれ」
の子がライブハウスの内観を擬音で表すと、また客席から小さな子どもが「ガッチャーーーンわきゃわきゃ」と声を出し、「ガッシャーーーン、うるせえんだよこのやろーー!!」との子が怒鳴り、ちばぎんが「ダメだよそんなこと言っちゃ!!」とまた止めに入る。この2人、テンドンを分かっていらっしゃる。もちろん子どもも。
「おめーさっき俺にカンチョーした奴だろ!」と、の子は先ほどの路上配信で子どもに股間を触られたらしく、その恨みを忘れていなかったようだ。そこにmonoが「僕のアゴ見て癒されてねー」とアゴを利用して子どもを和ませようとする。いつからアゴにそんな用途ができたのだろうか。「僕のアゴ見たらおもしろいよ」と繰り返し、客席は戸惑いと笑いが止まらない。

の子「これまた初披露の曲を…」
観客「おおおーーーーっ!!!!!」
の子「なんだこの反応は!初披露じゃないんですけどね」
ずっこけるように戸惑う客席。
ちばぎん「ライブでは初披露かな。配信では、ね」
の子「いかに生で聴いて、それでクソかどうかが分かるから!勢いでいいんだよ!勢いでぴょんぴょん跳ねて!」

そして『制服b少年』が初披露される。公式サイトにmp3で落とされているわけでもなく、当然CD化もされていない楽曲。ニコニコ動画で聴くことができ、ファンの間ではレア曲として認知されている。
P-MODELの曲ようなシンセの高音がビリビリと鳴り、視線恐怖症と劣等感と被害妄想がすべて歌われている。「ギョロッと!!」の声が気持ちいい。たしかに曲の勢いでピョンピョン跳ねたい。残念ながら跳ねている人は1人もいないが。
の子が「ギョギョギョギョギョロッとぉおおお!!」と叫んで曲が終わる。

「やってよかった?」とお客さんに尋ねるの子。「やろうかどうか迷ってたんだけどね」と本音を漏らすと、ちばぎんが「まあこれ、スタジオ練習も合わせると演奏するの3回目くらいなんですけどね」と真実を伝える。

の子「じゃあこっからmono君ラップいってくれ!」
mono「歌うんじゃありまてーん!!」
みさこ「最後時間が余ったらいくかも」
の子「最近エミネム聴かないの?」
mono「最近聴いてないよ。最近はクラフトワークにハマってるよ」
の子「それは俺の影響だろ」
みさこ「仲良しだね」
次に演奏する曲が分からず、戸惑うmono。
の子「彼女がいるなら臨機応変に見ておかなきゃ」
mono「なんでそこを振るわけ?余計なこと言わなくていいんだよお前!ほんとに。嫉妬かー?」
の子「うっせこの野郎…」
みさこ「バイトもできてるし、mono君が一番リア充だよ」
の子「まあまあ、すぐ終わるから」

この流れで『芋虫さん』。「だいたい歌詞覚えてないんだけどな!」とハードルを下げて歌い出すが、歌詞はほとんど間違えていない。むしろ妙なほどに正確に歌い上げていた。

「久々のセットリストで、初心に戻った感じです。2年前とか」
の子が言い、『天使じゃ地上じゃちっそく死』へ。「これからまったり、CDとか話があるんだけど、かったりーよな!ジャケット考えるのとか。あ、あとイラスト募集したんですけどそれが600枚くらい来て」と、12月に発売されるCDについて言及する。僕のピンク色のギター、終わってきてんな」とギターを鳴らしながら首を傾げるの子。たしかに音が変だ。

みさこ「ツーカウントでいきますよ、の子さん」
の子「うん、お前もう10回くらい間違えてるよな。"チン、チン"で」
みさこ「はい、"チン、チン"。きわどかった気がします…」

チン、チン!ではなくドン、ドン!と重たい音でドラムを叩き、『天使じゃ地上じゃちっそく死』の演奏へ。演奏するたびにパワーアップしている曲だ。特にみさこのドラムがますますかっこよくなっている。
「まだまだ!発散しきれてねえ!!まだ時間がある!前回の25分と違って!まだまだやってない曲とかやっていきます!!!…皆さんはあれ、最近は電車でどっか行ったりしますか」
の子、演奏後に勢い余って叫ぶが、なぜかそのまま沈静し、いきなり穏やかな口調で話し始める。笑いに包まれる客席。そこにまたまた「知らないよわきゃわきゃ」と小さな子どもの声が。「知らないよ…」との子が戸惑う。

の子「では『ゆーれいみマン』をやります。皆さん、最初の"う~、ゆれい"ってところだけでも一緒に…」
子ども「ゆれいっ。わきゃわきゃ」
の子「うるせえお前…!お前も飛び跳ねろこの野郎…」
mono「こんにちわー!僕のアゴおもしろいでしょー?」
の子「そのまま天国いっちゃまえ!!」
mono「僕のアゴおもしろいでしょー?」

困ったときのアゴ。そんな感じで『ゆーれいみマン』。子どもはまだゆーれいになるのは早すぎる。とにかく今はアゴをおもしろがってほしいところだ。
「の子ー!」「の子ーーー!!」
この日はやたらとの子コールが多い。「の子の子ーって何だよ!」と嬉しいくせに嫌がるの子。そこにまた「の子ーー!」と小さな子どもの声。「うるせえんだよこのやろー!!」とやっぱり本当は嬉しいくせに嫌がる。客席から女の子たちの「かわいいー!」という声がわき上がり、の子の「うるせえ!死ね!!」という過激すぎるほどの照れ隠しに、会場に笑いが。
monoによるメジャーデビューアルバム発売の告知により、大きな拍手。「買ったら俺に金が入るから!」との子。「予約したよー!」という客の声に、「けど、いいのと、悪いのがあるよ。YOUTUBEに上がるから!」と笑いながら答える。

mono「俺らには金入らないからね、バイト始めないと」
の子「僕だってバイト始めなきゃだよ」
mono「なんでお前がバイトするんだよ。いくら入ってんだか知らないけど」
ちばぎん「ケンカすんなよ!!金のことでケンカするなよ!!」
みさこ「…さすが銀行」

ちばぎんという名前の本来の意味を感じさせたちばぎん。みさこの一言はたまにかなりの破壊力がある。ちばぎんが「もう2曲いけるみたいです」と言い、観客から拍手が。

「じゃ『ちりとり』いこうか。だいたいこういうときは『自分らしく』で誤摩化すけど。『いかれたNeet』もね、歌ってると気持ちいいんだよ」
の子が語り始め、『ちりとり』のmonoのイントロがスタート。
デーーン!!とちばぎんのベースとみさこのドラムが一斉に鳴るとき、その2人のアグレッシブな動きがいつも気持ちいい。
「優しくしようとして先帰っていいよなんて言っちゃいました、このバカヤローが!何がしたいんだよお前は!!」
そして毎回歌詞にアドリブがあるのがニクい。終盤、「あなたが階段をのぼるたびに、あなたの後ろ姿を見るたびに、僕は一体何を言えばいいのか分からなくなるのです」と、の子が優しい口調で語っていた。

ちばぎん「次の曲で最後でーす」
の子「早いね、45分。前回なんて25分が16秒くらいに感じたね!次はエレクトリック・イール…(忘れたようだ)で電気ビリビリしちゃってください。さっきも配信出て…反応しろよこのやろーー!!」
ちばぎん「皆さん配信見てないから…」
の子「えーっとですね、最後は久々の曲で」

最後は『夕方のピアノ』。が、の子が「あー、ちょっとちょっと待った!ジョニー、ジョニー、コード進行間違えてるよ」とmonoに対して言い始める。ジョニーって誰だ。ひょっとして昨年末に対バンした水中、それは苦しいのジョニー大蔵大臣のことか。また「死ね」って言うのか。
一旦仕切り直し。そのまま演奏を再開。無事、ジョニー大蔵大臣が「死ね」と叫ばれることもなく、佐藤が「死ね」と叫ばれて、終了。
「ありがとうございました、神聖かまってちゃんでした!」といつものちばぎんの挨拶で締め。

「一回ここで休憩して、雑談配信やって、それで終わりにしますかー」と配信に向かって喋り続けるの子。「今日は、次の出演者がいるんで。次はエレクトリック…はい」と、またもやバンド名を言えてないまま、ステージをあとにする。

この日はまさかの『制服b少年』の演奏。今回は『学校に行きたくない』『ロックンロールは鳴り止まないっ』などのいつものセットリストとは少し違い、ダイブすることもなく、平然と終わる。だけど、いつもより演奏がキマっていて、MCでは子どもとの掛け合いが見事だった。

終演後、ロビーに出るとmonoくんが背中を押してきて、「の子が呼んでます」と楽屋に連れていかれる。
ゆっくり話すのは7月の坂戸市でのお祭り以来になる。機会がなかった。お互い、いつの間にか失恋していた。「恋愛なんか知らなきゃよかった」と呟いていた。いい言葉だと思った。結構真剣に話していたので、スタッフの人に「何の話してるの…」と困惑される。みさこさんが「きっと彼女さんは竹内さんに引き止めてほしかったんですよ」とフォローしてくれるが、の子さんが「ね、こんなこと言われるとムカつきますよね!」と同意を求める。
新しいアルバムのタイトル候補を教えてもらう。グッときた。パッと聞いただけで胸ぐらを掴まれる響き。彼らしく、神聖かまってちゃんらしい、見事なタイトルだ。「…それ最高」と言ってしまった。
ファーストキッチン前でのちばぎん同様、なぜかここでもの子さんとの記念写真を佐藤さんに撮られる。僕がもうじき死ぬとでも思っているのだろうか。

その後、雑誌『GiGS』の編集の野口さんと知り合う。僕がしょこたんのブログに載ったことや、某宗教団体で取材していたことを話すと、興味を持っていただく。「一緒に何かやれたら!」と淡い約束をする。神聖かまってちゃんの機材の撤収を少し手伝い、裏口まで荷物を運ぶ。初めてスタッフぽいことやったという満足感を得て、帰路につく。
帰り道、ライブ前にの子さんが叫んでいた下北沢駅南口は閑散としていた。彼がまたここで叫ぶと、人だかりができるんだろうか。昨年との比較にはちょうど良い場所でした。

2010年10月15日 下北沢GARDEN
〈セットリスト〉
1、ねこらじ
2、制服b少年
3、芋虫さん
4、天使じゃ地上じゃちっそく死
5、ゆーれいみマン
6、ちりとり
7、夕方のピアノ

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