神聖かまってちゃんが昨年の6月以来、渋谷屋根裏に帰ってきた。
相変わらず、地下なのに"屋根裏"という矛盾した名前。ここで昨年、の子さんは『アラレちゃん音頭』を踊り、monoくんとラップ対決をし、monoくんがビートたけしのモノマネをした。反応は薄かった。お客さんは10数人。
それから半年後、恵比寿リキッドルームでライブ。そしてNHK、フジテレビの番組に出演。全国流通のCDも発売。状況がまるで変わった。
撮影スタッフとして屋根裏に着くと、ちばぎんに遭遇する。
「竹内さん、マジで撮影やめるんですか?」
Twitterに屋根裏2デイズで神聖かまってちゃんの自主的な撮影を辞めると宣言したことの反応。みさこさんも横から「本当にやめるんですか?」と尋ねてくる。首を縦に振る。「えーっ」とちばぎん。なんとなく薄っすら感じていたことだけど、撮影した翌日にアップロードされることが当たり前になっていいのか分からなかった。自分のやりことを考えたいし、見つけたい。神聖かまってちゃんはもちろん好きだし、撮影したいけど。やめることで、何かを見つけたいと思った。
決定的だったのは、先日のフジテレビ『FACTORY』の公開収録だ。
当然、撮影は禁じられていたため、客席で普通に観ていた。いや、普通というのは嘘だ。身体を動かし、モッシュの中にいた。カメラを置いて観る神聖かまってちゃんは、こんなにも楽しいのか。彼らは大きなカメラに何台も囲まれていた。僕の小さなカメラは、いつかお役に立てない日が来る。そんな光景を目の当たりにし、撮影をやめようと思った。
ちばぎん側から撮るとカメラマイクでは音が完全に割れてしまうため、客席後方にICレコーダーを置くことに。Daredevilのスエタカさんに録音ボタンを押してもらう。「これ、ちゃんと録れてるかな?」という声が入っていました。バッチリ録れています、その声が。
"リリースパーティー"と題されているだけあり、今回のイベントにはゲストも出演。撃鉄とtoddleとの共演に。
まずは撃鉄。体育のようなライブだ。昨年のクリスマス・イブのライブで配信でもの子さんと絡んだボーカル・天野ジョージが、とにかく華麗なほど動きまくる。客席前方に側転をキメるなど、体育だ。上半身裸の汗がライトに照らされ、妙にキラキラしていた。直線的なベースとドラム、都会的なサウンドのギターが印象的だ。
続いてtoddle。ベース・江崎典利さんが「神聖かまってちゃんとかけましてー、人気陶芸家ととくー」と言い、ギターボーカル・田渕ひさ子さんが「その心は?」と振る。
「ろくろ(ロックンロール)が鳴り止まないっ…のでございますー」
そして、ロックンロールが鳴り止まないっバンドが登場。
セッティングに向かうの子はジャケットを羽織り、落ちついた様子でステージをうろつく。よく分からないけど、なんだかいつもと違う感じがした。彼自身、気合いが入っているのだろうか。田渕ひさ子さんとの共演は特別に思っているはずだ。
神聖かまってちゃんと知り合った頃、僕が以前YOUTUBEにナンバーガールの『TATTOOあり』の田渕ひさ子さんによるギターソロ部分だけを集めた動画をアップしたことについて、「あれ竹内さんだったんですか?」と言われたくらいだから、昔から田渕ひさ子さんを見ていたはず。
monoくんが近づいてくる。
「ほんとに撮影やめるんですか…?」
なんとなく話題を逸らそうと、「酔ってる?」と尋ねると、元気よく「酔ってます!」と返答される。
いつも登場SE『夢のENDはいつも目覚まし!』が流れる。みさこが小走りでステージに入ってくる。それを冷静な目で見つめる劔マネージャー。そして全員、ステージに揃う。
の子「どうもこんばんわー!今日は人いっぱいいるなー」
mono「今日は人がいっぱいいるからね!」
の子「あ?」
mono「あ?」
さっそくいつものディスコミュニケーションからスタート。の子は笑顔になり、「前回、渋谷屋根裏でライブしたときは全然人がいなかったんですよ。だからすごい新鮮…」と純粋に驚いている様子。
monoは「そうだよねー、前回は前のほうに3人しかいなかったから」と言う。ちばぎんが「そんなことねーな」とビシッとつっこむ。
monoのトークがうまいことは無視されたまま、「どうもこんばんわ!神聖かまってちゃんです、よろしくお願いしまーす!」とちばぎんの掛け声でベースとドラムがデーーーン!と鳴り、神聖かまってちゃんのライブが始まる。
「1曲目、『ゆーれいみマン』です。聴いてくださーい」
の子の曲紹介で、ダダッダッダッダダ!というドラムが。「う~っ、ゆれい!」がキマっていた。
「いやー、久々の屋根裏に戻ってきました。今は僕、テンションが鬱期なんで全然アガってないですけども、ハハハハ!!」
の子が鬱期とは思えない笑顔を見せる。テンションは明らかに高いし、この日は落ちついている。表情もキリッとしている。何度も撮影しているとやっぱり次第に分かってくるけど、彼のテンションは表情がすべて物語っている。
monoが「なかなか、こんなにたくさんのお客さん相手にしたことないからね!」と言うと、ちばぎん「ね、すごいね」が素直に返す。
渋谷屋根裏は当然ソールドアウト。開演前、アナウンスで「前のほうにもう一歩お進みください」と告げられるほど、超満員だった。神聖かまってちゃんにとって、これほど詰め詰めの空間は初めてになるのかも。
「次は『死にたい季節』です」
珍しくの子が丁寧に曲紹介をし、失敗することもなく順調に2曲目もスタート。いつもはグダるはずなのに、神妙な雰囲気で2曲連続演奏されるのが、逆に気持ち悪い。他のバンドでは当然のことなのに。
monoが「今日はありがとうございます。今何時か分かんないですけど、皆さん終電に間に合うように帰ってください」と律儀に挨拶。の子が「だいたい何時か分かるでしょ?お前の腹の減りの具合で…次は『ロックンロールは鳴り止まないっ』をやります」と。
「オケイ?」とmonoが聞き、みさことの子が「オケイ」と返事し、monoのピアノが始まる。
演奏途中、ドラムスティックを落とすみさこで。素早く拾う。問題なく、演奏が続く。今まででも類を見ないくらい、完璧な演奏に思う。純粋に歌詞が耳に入ってくる。ゾクゾクする。どうして聴き飽きないんだろう。
しかし、この日は演奏がやけにスムーズだ。の子がかつて見たことないほど、真面目なミュージシャンの姿になっている。
の子「ありがとうございます。次は『自分らしく』って曲やります」
ちばぎん「…今日はMC少ないっすね」
mono「は?いちいちそんなこと言わなくていいんだよバカヤロー!」
の子「そうだよバカヤロー!」
異変に気付いたちばぎんがなぜか責め立てられる。無理もない。この流れは神聖かまってちゃんにとって壮絶に貴重だ。これほどMCを書くことがないライブレポも珍しい。というか、僕の神聖かまってちゃんのライブレポの大半がMCで出来ている分、今現在、書いていてなぜか不安になっている。
monoの軽快なスティックさばきにより『自分らしく』がスタート。
スムーズに曲が進んでいくこの流れは神聖かまってちゃんらしくないけど、後半のmonoのキーボードが始まる瞬間があまりにもバッチリで、こんな神聖かまってちゃんも観たかったのかも知れない。
撮影中は一切の油断が許されない。一度でもライブ映像を撮影した人なら気持ちが分かるだろう。カメラを置いて休むこともできないし、身体を動かしてノることができない。今、ノりたい。monoのリズムに合わせて踊りたい。
演奏後、monoがなぜか「バカヤロー!!」と叫ぶ。
みさこ「どうしたんですか?」
ちばぎん「どうしたんすか?」
mono「嬉しくてバカヤローって言いたかったんだよ…」
の子「お前のほうがバカだけどな」
mono「仕方ねーじゃねえか、酒飲んでんだから」
そしてグビッと飲む。
の子「平然と飲むなよ」
mono「俺のステージドリンクはこれだから(キリッ)」
キリッとしたのも束の間、次の『ちりとり』の出だしでmonoがミスする。「おいおーーい」と観客からの煽り。遂に、このスムーズな流れが打ち砕かれた。一人の酔っ払いによって。
みさこ「どうしましたか?」
ちばぎん「どうしたんすか?」
の子「おいおい、どうした?」
mono「なんでもないよ?…いつものことじゃねーか」
の子「いつものことじゃねーよ!いつものことで済むのか…」
mono「…やけに今日、お前真面目だよね。どうした?」
の子「真面目って…別に真面目じゃないよ」
仕切り直しで再び『ちりとり』のイントロ。いつも通り、バーーン!と始まるリズム隊の動きがたまらなくかっこいい。いやしかし、monoが言う通り、この日のの子は何か違う。絶対違う。真面目と言うべきなのか、神妙な雰囲気というか、ここまでバッチリとギターも歌もキメる彼の姿は貴重なのかも知れない。毎回好きなシーンがある。最後のmonoのキーボードとの子のギターだけになる場面。「僕はもっと、あなたのことをちりとってやりたいのです、」と最後に呟き、たくさんの人の心をちりとっていく。
「『夕方のピアノ』って曲聴いてください。ヘイ、チェキラッチョ、ワン、ツー、ワン、ツー、スリー、フォー」
ボーカルエフェクターでキンキンに高くなった声での子が合図し、そのまま曲へ入る。
「死ねよ佐藤!!」と叫び終わった後、ちばぎんが激しい動きを。過去にメガネを振り落としたり、リズムを無視するかのようにエモーショナルに掻き鳴らすという、よく言われている"安定感のちばぎん"らしかぬアクションがあったが、今回はメガネもかかったまま、リズムも失わないまま。
「佐藤ー!!佐藤ーーー!!」というの子の叫び声が虚しく残り、ギターの音が響く。衝撃的というよりも、攻撃的というよりも、根底には虚しさがある。だから夕方なのだ。
「ようやくテンションが戻ってきましたー!」
の子が嬉しそうに言い出す。大きな歓声が鳴り、monoの「ようやく酔いが回ってきたか!」が見事に無視される。
の子「でも僕も久しぶりにここに舞い戻ってきて、嬉しい限りです」
みさこ「ね、舞い戻ってきたね」
の子「お前別に違うじゃねーか!」
mono「お前一回しかここに出てねーじゃねーか!」
ちばぎん「ちなみに1年くらい前は持ち時間30分のところを50分くらいやって、4曲しか演奏しませんでした。半分くらい、の子が『アラレちゃん音頭』を踊ってました」
これが実話なんだから恐ろしい。
の子「…それはないでしょ?」
mono「お前ぶら下がってなかったっけ?」
の子「は?」
mono「あ?」
いつも通りのディスコミュニケーション。
の子「なんか今日、お前とコミュニケーションとれないなあ!」
mono「うるせー!俺はとろうとしてるじゃねーか!お前が噛み付いてるんだろうが!」
の子「別に噛み付いてねーよ…お前酒飲んでるだけじゃねえか…」
この日はの子のほうが明らかに冷静のように思う。
そして『いかれたNeet』へ。
「いかれたニィィィイーーートォーーーーォオオ!!」の叫び声も清々しい。
終盤のちばぎんのコーラスが入る「トォオオ、オオオオ!」の瞬間がたまらない。このとき、観ている側としてはどんなテンションが正しいのだろう。もしタテノリで観ているなら、どんな動きになってしまうのだろう。
mono「何曲やったのか俺覚えていない」
ちばぎん「俺も覚えてない。MCなしで真面目に曲やると、長いね」
mono「いつも俺との子が喋ってくれると大間違いだよ?」
ちばぎん「なんでそんなエラソーなの…」
リズム隊の2人がこの日ステージで着ていたのはtoddleのTシャツ。
「オシャレですね、って言ったらくれたんで」とちばぎん。「田渕ひさ子さんがくれたんです。あ、お2人のぶんもあります」とみさこが先ほどから白い目で見ているmonoを気遣って教える。「ひさ子ひさ子ーって言ってた時代が懐かしいっすわ」と笑うの子。「お前じゃないよ!」との子がみさこに言う。monoが「みさこみさこー」とふざける。みさこ、「むかつく!!」と笑いながら叫ぶ。
「いくぞみんなーぁああ!」という掛け声から『怒鳴るゆめ』へ。
少しリズムが早い。みさこのドラムが早いのか、どうなのか。先ほどの「むかつく!!」が怒鳴っていたからなのか、怒鳴るみさこによってスピード感のある"ゆめ"になっていた。
「もう終わり?…あれ、終わりじゃないの?あ、僕だけタイムテーブルが頭の中に入ってなかったっていうね」というmonoに、「おーい!」と客席から野次。「俺がいなかったら誰がキーボード弾くんだよ」とかっこいい発言をしつつも、次の曲はキーボードを弾かない曲という事実。
「ちゃんとキーボードのインタビューでも言ってるよ。ほとんど僕弾いてません、って」
monoが言うと、の子が「『キーボードマガジン』?ほとんどの子が弾いている、っていう」と添える。「でも人間一人入れるだけでも違うでしょー!!」とmonoが訴える。人間一人って良い言い方。
そしてキーボードを弾かない『学校に行きたくない』へ。
人間一人入れるだけでも違うということで、monoが酔っ払いの動きを十分発揮しながらステージをふらついている。片手にウィスキー、もう一方の手にはドラムスティック。シンバルを思いっきり叩く。これは楽器担当でいうと、何になるのだ。
の子もマイクスタンドを担ぎ上げた後、客席前方に突っ込む。そして興奮のあまりパーカッションに使う機材を持ち上げだし、今にも投げそうな雰囲気。機材破壊の危険フラグが立つ。
そしてここで"人間一人入れるだけでも違う"の意味が発揮されるかのように、monoが危険を察知したのか、の子から機材を取り上げる。このとき、monoは完全に酔いが覚めた表情をしていた。さすが人間一人。好プレーでした。
機材を置いていた台の上に立ち、「計算ドリルを返してください!」と連呼するの子。観客が手を上げ、その中心にの子がいる。そして天井にぶら下がった後、客席に落下。ステージに戻ってきて「おかあさーーーん!!」と絶叫。そしてまた客席に突っ込み、ダイブ。
1曲で計3回のダイブ。客席が大荒れとなり、盛り上がっている。
「ありがとうございました、神聖かまってちゃんでした」と挨拶しながら後ろに直立不動で倒れ込むの子。「ありがとうございました!またのお越しをお待ちしております!」と、なぜか両手をお腹の前で組んで律儀に挨拶するmono。身体が微妙に傾いていて、ちょっと小憎たらしい表情だ。
「ありが、とう、ござい、ました、来て、くれ、て、一回、一回きりのライブを、叩き、つけていく、だけです」
息を切らしながら喋るの子は、最後、マイクを床に叩きつけてステージを去っていく。メンバーも全員、ステージを去っていく。
鳴り止まないアンコールの拍手。戻ってくるメンバー。しかし、monoの姿だけがない。
ちばぎん「ごめんなさいね、待たせて。あの、monoくんがトイレに行きました」
ささーっと帰ってくるmono。
の子「ふざけんなお前!」
みさこ「monoくんmonoくん…」
呼びかけられたmonoがみさこのほうに顔を向けると、なぜかみさこの手から消しゴムが投げ飛ばされる。
見事にmonoの身体をかすめ、客席のほうに飛んでいく消しゴム。
みさこ「えっ!あ、お客さんに当たった?」
の子「おめー何してんだよ!」
みさこ「ごめんなさい…後で、後で、えーと…何しよう」
mono「お前、後であれだ。一夜共にしろ」
の子「えっ?何て?…お前ほんと今日何言ってんだか分かんねーんだよ!腹から声出せよ!」
mono「ア゛ーーー!!」
の子「ア゛ーーー!!」
なんだこの会話。みさこがなぜ消しゴムを投げたのか。後で聞くと、"MONO消しゴム"を投げたそうだ。なるほど。て、納得していいものかどうか。いいmonoかどうか。
mono「バガヤ゛ロ゛ーーーー!!!…あのね、ウィスキーが出てきそうだからダメだよ」
吐いたら吐いたで面白いけど。
mono「酔っ払いのキャラでいくんだよ俺は!!」
の子「キャラってお前、キャラが成り立ってねーからいけねえんだろ!!」
なぜか客席から「フゥーーー!」という歓声を頂くmono。
このテンションのまま『23才の夏休み』へ。
ヘッドマイクをつけたの子は威勢よく叫ぶ。最後はギターを頭上から下へ振りかざし、テンションは最高潮。頭にギターのボディをつけたまま、笑顔で挨拶。「どうもありがとうございます!!」と前方でお辞儀をし、monoに「お前、このマイク使わなかったら俺が使うぞ」とマイクを横取りする。
「またこの渋谷屋根裏に帰って来れたらいいと思っています!こんな時間まで残っていただいてありがとうございます!…(monoに)お前一回ダイブしてみろ!」
急にダイブを促されるmono。自分に指をさして「俺?」と戸惑いの表情。「いっちゃえいっちゃえー!」との子に煽られ、「オイ!オイ!オイ!」と客席からも煽られ、ドラムとベースが始まり、monoがダイブ。しかし失敗。仕切り直しでもう1度、客席に飛び込む。成功する。
空中に打ち上がったmonoと、その後ろにあるライト。その2つの関係性が、月と太陽のように美しかった。アゴの輪郭で、月にしか見えない。太陽と交わり、皆既月食のようにも見える。なんとまあ神々しい光景なのか。
の子とmonoの2人で最前列にいる客全員の手をタッチしていく。「うおーーーい!はいっ!たたたっ!」と三本締めしようとするが、なぜかふらついて倒れるの子。「えーーー…」という観客のため息まじりの声。
「お前のせいだぞー」とまるで子ども同士のケンカのように向かい合うの子とmono。向こう側にはちばぎんとみさこがステージ脇にいながら笑顔で見守り、その4人の構図が微笑ましい。
「お前が三本締めやってみろ!」とmonoに促すも、自分がやり始めるの子。なぜか『笑っていいとも』のオープニング曲を歌い、三本締め。「はいっ、帰っていいとも!」と突然客を突き放し、「えーーー…」と再度観客のため息まじりの声が。
「お前のせいだぞ…」とまたもやケンカに。「お前ちょっと来いっ!」との子がmonoの腕を掴んでそのままステージ脇の楽屋に入っていく。会場は終始笑いに包まれる。
そして、まさかのダブルアンコール。
の子「だいぶ、ダイブしたな。だいぶ鼻水が出た。まだ帰りたくないのか」
ちばぎん「ありがとうございます。ダブルアンコールなんて初めてだね」
客「弦切れてるよ」
の子「弦切れてる?俺には弦が見える」
客「ヒューー!!」
の子「渋谷屋根裏には色々思い出があるので、その思い出の曲を躊躇…」
ちばぎん「躊躇?急遽、急遽」
の子「躊躇って!うん、躊躇やろうかなー」
mono「できるのか?しばらく俺踊っとくわ」
の子「とりあえずティッシュくれ」
この会話の流れでいきなり鼻をかみだすの子。
ちばぎん「楽しんで帰りたいね。次の曲、失敗しなきゃいいけど」
の子「ダブルアンコールなんて初めてだからな。ほんとありがとうございます!ほんと、久々にやります。『あるてぃめっとレイザー』って曲です。じゃあ鼻水…鼻水じゃねえや。もっと心のゴミとか意気込みとか、色々あるんだよ。それを1年ぶりに吐き出してみます」
の子のギターから始まる『あるてぃめっとレイザー!』。初披露となる。の子の宅録音源とは違って、ちばぎんのベースラインがバンドバージョンの個性を際立たせ、新鮮に感じられる。
途中、ギターストラップが外れ、の子は自分で直しながら「まだ足りねえ、まだ足りねえ!」と自分自身と客席を煽る。ストラップが直され、ギターの音が復活。この流れが鳥肌モノだ。先ほどまで踊ってばかりいたmonoがキーボードの席に座り、弾き始める。「あるてぃめっとレイザー!!」とばかり叫ぶの子。
「あるてぃめっとレイザーをもっと!あるてぃめっとレイザーをもっと!」と叫び、最後は「あるてぃめっとレイザーーーーーーーァアアア!!!」と絶叫して、終了。
再びの子の三本締めをし、ゴキゲンな空気でライブは終わっていく。
「ハッピーな夜になりました。皆さん、また来てください!」と爽やかな笑顔で言い残し、去っていくの子。
そして「消しゴム当たった人、ごめんなさい!」と爽やかな笑顔で謝り、去っていくみさこ。いいオチとなった。
まったく非のうちどころのない、大盛況のままライブは終了。みんなが笑顔になるライブでした。
自分が撮影してきた中で、史上最高の撮影ができたと思う。録音もばっちりだった。アングルも完璧な場所だったので、終わった後は感慨深かった。
撃鉄、toddleも撮影していたので、計4時間近くはビデオカメラを扱いっぱなし。さすがに腕は疲れ、放心状態になっていた。物販にはみさこさんとtoddleの小林愛さん。ボブヘアーとボブヘアーだったので、ばっちりビデオカメラに収めた。
の子さんに挨拶する。「竹内さん、またいつでも撮ってくださいよ」と言ってくれた。彼に頼まれたり、何かしら必要なときには撮りたいと思う。毎度毎度の撮影をやめるという意味では、いつかまた撮る日が来るのだろう。
この日のライブを観て、"撮りたい"って思わないことは間違っている。だからこそ。やめることを後悔させるようなライブだった。これは僕の意志が弱いのか、神聖かまってちゃんが魅力的なのか。どちらでもあるのだろう。ちょうど1年近く撮ってきて、こんなに真面目に演奏したの子さんを初めて観たかも知れない。
明日は神聖かまってちゃんはホームグラウンドである下北沢屋根裏で、彼らにとって初めてのワンマンライブ。もちろんソールドアウト。200人近くお客さんが入るという。一体、どうなるのだろうか。
2010年4月15日 渋谷屋根裏
〈セットリスト〉
1、ゆーれいみマン
2、死にたい季節
3、ロックンロールは鳴り止まないっ
4、自分らしく
5、ちりとり
6、夕方のピアノ
7、いかれたNeet
8、怒鳴るゆめ
9、学校に行きたくない
(アンコール)
23才の夏休み
(ダブルアンコール)
あるてぃめっとレイザー!
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