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2010年3月11日木曜日

神聖かまってちゃん@渋谷O-east

神聖かまってちゃん、遂にここまで来た。初の渋谷O-east。

大きな会場でのライブになるたびに「遂に」と書いてしまうが、受付を通り過ぎてドアを開けたときに広がる景色には感動せずにはいられない。普段、O-nestのほうにはよく行くけど、eastには滅多に行かない。以前ここに来たのは、劔マネージャーがベーシストのバンド・あらかじめ決められた恋人たちへのライブのときだ。あのときの劔さんはアグレッシブな演奏をし、ステージから客席にベースを投げた。というのは嘘で、ベースを渡した。投げずに丁寧に渡すところが劔さんらしい。あのときの劔さんは、お世辞でもなく本当にかっこよかった。
神聖かまってちゃんはどうか。誰がが楽器を投げるのか。渡すのか。かっこいいのか。投げるのはやりそうだ。
楽屋に行くとmonoくんが「今日は俺、酔っ払ってないんで…」と言っていたが、見事なまでに酒臭かった。

神聖かまってちゃんの出番はオープニングアクトの後、第1発目ということで冒頭から緊張が高まる。出演者でもない僕が緊張してどうする、とか思われるかも知れないけど、撮影の前は本当に緊張する。もちろんYOUTUBEやニコ動にアップすることを前提として撮っているので、下手な撮影はできないと思っている。せっかくバンドが良いというのに映像が迫力のないものだと、意味がない。しかもこの大きな晴れ舞台。MySpace主催のイベントだなんて、多くのインディーズバンドが羨望の眼差しで見つめるような場所だ。
ステージ前の柵の中でスタンバイ。ステージは広く、ズームしてもまだ遠い。でも、いつかズームをしてもうまく映らなくなるくらい、広い場所でやってほしい。

セッティングを終え、神聖かまってちゃんが登場する。SEは前回はなぜか『ぼのぼの』だったが、今回はちゃんと『クレヨンしんちゃん』だった。
の子とmonoが全速力でステージを駆け走る。追いかけっこのようなトコトコと可愛らしい走り方をしている。出来損ないのアイドルのような登場シーンに、大いに湧く会場。まるで小学生のような走りをする二人の姿。まるで緊張感が伝わってこないオープニングだ。広い会場に感慨深くなって損したかも知れない。

「疲れちゃったよばかやろー」
の子の第一声がこれ。ライブの始まりとは思えない。「ちょっと一回休ませて」と弱音を吐くの子に、「早くやれよ!」とお客さんの声に「早くやれよじゃねえよバカヤロー。ずっと家に昨日もいたんだから、こんなに走ったら疲れるだろ」と答える。「がんばれー」という女の子のお客さんの声も。

「なんなんだよナタリーのインタビュー記事。ふざけんじゃねえよ、言ってもないこと書きやがってよー。(monoに対し)お前の記事見たよナタリーのやつ。2ちゃんのスレ見たら"アゴかっこいい"とか書かれててさ。ふざけんじゃねえよ!"の子には無理強いさせたくない"ばかやろー!無理強いさせてんじゃねえかこの時点でよー!お前が今の(走り?)やればよかったんだよ!」

の子の責めに、monoが「こんなにお客さんがいるところで…」と答えようとすると絶妙なタイミングでちばぎんが「ということでどうもこんばんわ!神聖かまってちゃんでーす!!」と挨拶。みさこがシンバルを勢い良く叩き、デーーーン!とベースが鳴る。

1曲目は『怒鳴るゆめ』。PVが作られているわけでもなく、CDにも収録されていないけど、人気のある曲。この日は1st ALBUM『友だちを殺してまで。』発売日の1日後だった。リリースに全く関係なく、だいぶ古くからある曲をこの大会場の1曲目に持ってくるところに、勝手にグッときてしまう。
曲が始まると、ステージと客席の間の通路にはたくさんのカメラマンが。プロのカメラマンさんなんだろうか。物凄い勢いで位置をころころ変えて、何度も接触しそうになる。映像がブレるのだけは避けたいと思い、いつも以上に緊張感を持って撮影する。

それでも、珍しく間髪入れず『ロックンロールは鳴り止まないっ』なんかを演奏し始めるもんだから、緊張感は興奮に擦りかえられてしまう。撮影は基本的にはライブを楽しめないと思うが、楽しい気持ちにはなってしまう。などと思っていたら、ちょうどそのときカメラマンさんと接触。映像が大きくブレる。
狙っているわけないが、みさこのセクシーショットが撮影できた。

「なんでこんなに人が…僕は人がたくさんいるところが大好きだ!今まで観に来ている人には分かると思うけど、ぼ、ぼえ、ぶえ」と、まったく呂律が回ってないの子。ちばぎんが「落ち着け」と言うが、の子は相変わらず「ぼえ、ぶえ、シルブプレェー」とフランス語らしき言葉まで。

の子「やっぱ、人が多いと燃える」
mono「人が多いと燃える、ってお前あれだよ。ほんと………(滑舌が悪くてまったく聞き取れない)だからね」
の子「は?」
mono「お前ひとの話聞けよ!」
の子「の子に無理強いはさせんなよ!!」

みさこがここで「ナタリーさんのインタビューの記事がネットにあるので、ご覧ください」とここで解説。するとキィーーンとハウリングらしき異音が。「わっ、今の音なんだろ…」というみさこの素朴な反応に客席から笑いが。ちばぎんが「わっ、今の音なんだろ」と言い、みさこを素朴さを再現する。

monoがパーカッションを叩き始め、『自分らしく』へ。の子が「ひだまーりーの夢ーみーてーキィーーーン」とハウリングらしきものを出してしまい、仕切り直し。が、またギターを鳴らすところでミスり、「もう一回、ワンモアッ、おーれーが間違えたっ」とリズムに合わせながら言いつつ、2度目の仕切り直し。
演奏が終わると、「サンキュッ!!元気モリモリだぜ俺は」との子もテンションが高い。

mono「それは良いことだ!ファンのみんなも喜ぶよ元気モリモリだと」
ちばぎん「なんだよファンのみんなも喜ぶって…」
の子「あ、そうだ、アゴヴァーナやりなよ」
mono「アゴヴァーナはお前が欠場したときに取っておくんだよ!」
の子「はぁ!?なんだよそれ!!」

みさこが前回の渋谷eggmanでのライブでちばぎんが憧れのミュージシャン(元ラクリマクリスティと元ホワイトベリー)と対バンしたのにも関わらず、機材の搬出をしていたために会えなかったことを暴露し、monoがなぜか頼まれてもいないのに自分のmixiネームを晒す。「俺、"足の裏"だよー」と言い、みさこが「顔が足の裏に似てるから」と解説する。そのとき、僕のすぐ後ろにいた女性客が小声で「似てる…」と呟いた。

みさこ「時々ナン(食べ物)に似てるって言われる」
mono「バイトの後輩に言われるんだよ。"先輩ってナンみたいですよね!"」
みさこ「ほんとナンみたいなんですよねー」
mono「誰か僕を食べてください」

食べる人はいるのだろうか。「うるせえ!早く次の曲弾けよバカ!」とちばぎんの厳しい進行により、この雰囲気と似つかわしくない『ちりとり』へ。
「今日は花粉症なんで、全然元気がないです!」との子。僕のすぐ後ろにいた女性客が「"元気モリモリ"はどこ行った…」と苦笑。その通りです。
「ちょっと待って!」とシンバルを直すみさこに、女の子のお客さんから「かわいいー!」の声。「ありがと~!!」と浮かれ気味に礼を言うみさこに、「早く直せよぉ!!」とまたもやちばぎんの厳しい進行。だが、正しい反応。みさこに対して「いつもこんなんだよ、ホント」との子が呆れ顔。そして、またも「みさこかわいいよー!」と客席から女の子の声が。
「ありがとうございます!最近髪切って…」となぜか世間話を始めようとするみさこに、の子が「こうやっているとき、前の3人は何突っ立ってんだよ。(monoに対し)ゴーレムじゃねえんだからよ!」

みさこ「の子さんにも"かわいい"って言ってあげて!」
女の子のお客さん「の子かわいいよー!」
の子「えっ?んなこと分かってんだよばかやろー!アホか!てめーに言われる筋合いはねーよ!」

つっこみどころがありすぎて困る返答だ。この状況下でラブソングの『ちりとり』にいくのだから。だが、の子がミスをして仕切り直し。の子がかっこいい声で「では、ちりとりという曲をやります」とごまかすように告げる。
しかし、この演奏はグッとくるものがあった。
今までに聴いたことのある『ちりとり』よりも遥かに群を抜いて伝わるものがあった。みさこの全身で叩くドラム、monoの酔っ払いつつもきちんと弾くきれいなキーボードのメロディ、ちばぎんの曲全体を支えるベース、そしての子の感情を吐き散らすような「しかしだ!あなたは!僕の心までちりとっちゃったのです!僕は、あなたのことを!あなたのことをーーー!!」という叫び声。
神聖かまってちゃん唯一のラブソング『ちりとり』は、小学生時代、好きな女の子と掃除当番が一緒になった記憶を、体験したことのない人、したことある人にも植え付けてくる。優しくしようとして「先、帰っていいよ」なんて言ってしまって自己嫌悪。僕のバカヤローめが。去年も1階から3階へ夏の声をジャンプさせても、季節を通り越しても届かない気持ち。
結局、あの子がちりとったのはゴミではなく、ゴミみたいな自分だった。
自分にはそんな記憶はない。小学生の頃、好きなあの子がちりとりを持ち、僕がホウキを持って、「先に帰っていいよ。僕が掃除終わらせておくから」なんて言ったことはない。だが、まるで体験したかのように迫りくる感情。あの頃に好きだった女の子への気持ちが蘇る感動。そういった気持ちが、いまだに全く変わっていないことに絶望も感じる。だけど、それを単なる哀愁には留まらせないのが『ちりとり』という曲が持つ力だろう。
この曲の主人公は、街の灯をなぞって帰ってしまったあの子を追いかけたのだ。
いつかのライブで、の子はこの曲の最後にこう叫んだ。
「あなたがもしここにいたら、伝えたい。好きです、と」
僕はそのとき、神聖かまってちゃんに心をちりとられてしまった。奥まで。性を覚える前の、純粋な恋心。恋であるかも定かではない感情だからこそ、忘れていたストレートな気持ちを思い出してしまう。

次は『23才の夏休み』。この曲に必要不可欠なヘッドセットを、の子に優しく装着させるmonoの姿。
またもや女の子のお客さんから「の子かわいいー」の声。「んなこと分かってるよ!」と答える。「ギターがかわいい」と女の子。「なんだよギターがかわいいって!」と怒る。「今、23才の人いますー?」というの子の質問。お客さんが何人か手を上げるが「意外と少ない…」とみさこ。「え、マジで…?」との子、なぜか沈黙が流れ、場を繋げるように演奏を開始。
演奏が終わると同時に、勢いよく地面に倒れるの子。それを無視するかのように、ちばぎんが「どうもありがとうございました、神聖かまってちゃん最後の曲です。これから出るバンドみなさんかっこいいバンドばかりなので、どうぞ楽しんでいってください」と喋るが、「ちょ、待って!」との子が助けを訴える。
の子、どうやら足がつったらしい。「絶対嘘だ!」とちばぎん。助けに来たmonoに「こんな顔初めて見ただろ?」と信憑性を訴えるの子。
後ろで劔マネージャーが険しい視線を送っていたのが印象的だ。
monoが「最後の曲、何やる?」との子に呆れ気味に聞く。

の子「俺の心配をしろよ!の子に無理強いさせんなよ!!」
ちばぎん「大丈夫だろ」
の子「大丈夫じゃねえよ。無理だったんだよ」
ちばぎん「そうか…無理してくれ…」

進行をしなければならないちばぎんの心の叫びに聞こえた。

最後は『いかれたNeet』。「全然大丈夫だった」との子が先ほどまでの足がつった展開をきれいに払拭し、演奏へ。ところがmonoが曲の入りをミス。「はいはいはい、俺とおんなじことやったー」と喜ぶの子。
最後は、最近では毎度おなじみ、の子がパーカッションを置く台の上に乗っかる。見上げるmono。
「ありがとうございましたー!神聖かまってちゃんでしたー。また観に来てくださーい。なるべく元気なときに観に来たほうがいいぜいっ、てな話だぜいっ。次は毛皮のマリーズさんのライブを観よっとう!」
の子が元気よく喋り、ライブが終了。

ライブ後、同じゾーンで撮影していたカメラマンの佐藤哲郎さんに話しかけて頂く。『ROCK'IN ON JAPAN』に掲載されていたパソコンを破壊したときのの子さんの写真や、『友だちを殺してまで。』の歌詞カードの写真を撮られた方。「mixiの日記見てますよー」とおっしゃってくださり、嬉しかった。名刺を頂く。何度も見かけていたけど、ようやく接触できた。
ちばぎんはライブのとき、毎回行きも帰りも運転をしないといけないので、1滴もお酒を飲めない。「そういえばちばぎんが飲んでるとこ見たことないわ」と言うと、「飲んだじゃん!ちんぐの家で!」と怒られる。たしかに、僕の家で一緒に飲んだ。2ヶ月前の話なのに忘れてしまった。みさこさんは頭に付けているリボンの形をした髪留めを「性感帯です」と言ってきたので、思う存分触ってあげた。
劔マネージャーから神聖かまってちゃんの『友だちを殺してまで。』のポスターを頂く。帰り際、「ちょっと待って!」と呼び止められる。何かと思ったら「僕のデザインです!」と。自慢だった。

この日、の子さんは好調なライブをしていたと思う。登場も元気いっぱいに走っていた。だけど、後日知り合った某アーティストのマネージャーさんがこの日、渋谷Oグループの別のライブ会場で仕事をしていたとき、偶然、階段にぶっ倒れているの子さんを発見したという。
の子さんは精神薬とビールを持って倒れていたため、そのマネージャーさんが「しっかり立って!」と助け、無事にライブが行なわれたようだ。これが本番直前の出来事。の子さんとしてはパワーを溜め込んでいたのかも知れないけど、つくづく何か得体の知れないものを感じさせてくれる。


これがその方がなぜか撮影した写真。撮影って。しかしこの頽廃的な光景。よく分からないけど、まさにロックでしかないだろう。
「の子を無理強いさせたくない」
monoくんだけでなく、誰もがそう思ってしまう。

2010年3月11日 渋谷O-EAST
〈セットリスト〉
1、怒鳴るゆめ
2、ロックンロールは鳴り止まないっ
3、自分らしく
4、ちりとり
5、23才の夏休み
6、いかれたNeet

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