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2001年8月8日水曜日

NUMBER GIRL@心斎橋クラブクアトロ

先月7月の『騒やかな群像』ツアー・神戸編から早一ヶ月。あっという間に大阪編の日がやって来た。
関西のNUMBER GIRLフリークが一堂に会する場所は心斎橋クラブクアトロ。ここでまたもや騒がしい演奏と騒がしい群集がワーギャー叫ぶ。それ、すなわち騒やかな群像。

ライブハウスが暗転し、真っ暗闇になるとTELEVISIONの『マーキームーン』が流れる。青い照明に照らされたメンバーが続々とステージに登場。

向井秀徳は先月と同じアロハシャツを着ており、胸ポケットからライターを取り出す。煙草に火をつける。煙を吹かす。ライターをアンプの上に置く。この人、何歳なんだ。まだ一応20代だろう。50代のような貫禄を感じ、とてもじゃないけど「向井ー!」と呼び捨てしづらい。「向井先輩ー!」と叫んでしまう。
田渕ひさ子は髪が伸びていた。中尾憲太郎は髪が相変わらず長い。アヒト・イナザワは髪がさらさら。と、髪の毛のことばかりだけど、最初の一音の振動で髪が揺れるほどの重低音。中尾憲太郎の仕業。さすがです。

1曲目から『日常に生きる少女』。あらゆる邪念が轟音でかき消される冒頭、そして勢いよく鳴らされる向井のテレキャスターで客席はオイオイコール。なぜか最前列の中央に位置してしまったたけうちんぐは一気に後ろからの重圧を感じ、明らかに日常ではない。
後半の落ち着いた演奏に切り替わるとき、向井は「アヒト・イナザワ」の部分を「飛田新地で」と言っていた。関西在住なら誰もが知ってる、日本でも有数の色町・飛田新地。日常に生きる少女は飛田新地で働いているのだろうか。

そして飛田で働く女の子が脱いだときに『TATTOOあり』な状態だったのだろうか、この曲へ。終盤の田渕ひさ子のギターソロが、先日フジロック'01のインターネット中継で観たライブよりも3倍くらい長くなっている気がした。狂気の音を轟かせ、ダイバーの足が自分の首に引っかかる。クアトロの最前列で人の重圧を制御するはずの柵には、その圧を吸収するためにクッションのようなものが撒かれてる。だが、自分の腹の部分だけはなぜか無く、鉄だ。痛い。生死を彷徨うのにはちょうどいい、地獄で燃え滾る灼熱の炎を想像させる音だった。
そのまま『DESTRUCTION BABY』のダブバージョンへ。オリジナルバージョンも当然好きだが、このバージョンは向井が自ら"人力エコー"と称し、「BABY」の部分を「べいっべいっべぃっべぃっ…」と繰り返すのが気持ちいい。アヒト・イナザワのドラムも気持ちよくスコーンと響き渡るのだ。

そして『ZAZENBEATS KEMONOSTYLE』。「漫画を読んで30cm開いた雨戸から聞き取れます。都市のざわざわっと」以降、後半の歌詞は全く聞き取れないほどの轟音。30cmどころか30kmくらい開いた雨戸からは大音量のざわざわが聴こえてくる。

このタイミングで「福岡市、博多区から参りましたナンバーガールです」と自己紹介。まさかの『BRUTAL NUMBER GIRL』へ。初めて聴いたナンバーガールの楽曲。客席は再びモッシュの嵐となり、それが『鉄風 鋭くなって』でも続く。
『SAPPUKEI』。まさかの演奏。「殺す風景!!」「生かす風景!!」の絶叫に鳥肌が立つ。この気合いと、打ち鳴らされる音の数々。風景が変わってしまう。『裸足の季節』、そしてずっと聴きたかった『DRUNK AFTERNOON』を演奏。ほとんどの歌詞が絶叫で歌われているのに、切なくて感慨深くなる曲の世界。午後、何もしないで過ごしてしまった日に訪れる夕暮れの空しさ。これは映画でもドラマでも味わったことのない感傷です。


「あの子はお父さんとお母さんのセックスを小学1年生のときに目撃して以来、付き合う男は決まって年上でした。そして付き合っていく営みの中で、彼女が必ずひとつだけ彼氏に注文したことがあります…」

突然語り出した向井秀徳。戸惑う観客は、「注文したことがあります…」の後に続く言葉が出てこない向井に対して野次を飛ばす。まだまだ沈黙を続け、ステージでは向井の場所だけ時間が静止している状態。

「…あの子の手紙はここで終わっていました。あの子はそのとき、17才でした」

手紙だったのかい。
ということで始まったのは『YOUNG GIRL 17 SEXUALLY KNOWING』。「営み」という意味でかなりエロいことを言いそうになったが、やめて、言葉が出てこなくなったと憶測。まったく、向井はヤラしい大人である。

向井がギターを弾き始め、何の曲か分からないまま即興で歌詞をつける。「大阪のみなさん~心斎橋クラブクアトロにお越しいただき~大変感謝しております~メンバー一同~ありがとう~♪」となんとなく柄にもないような歌詞で会場を笑わせる。その曲の正体は『ZEGEN VS UNDERCOVER』という、全く予想のつかないもの。「バリヤバイ!」という絶叫がステージからも、客席からも聞こえてくる。

女性ダイバーが頭上をかすめたのが印象的だった『透明少女』、最前列で感じるあまりの重圧にへこたれた『タッチ』、そして『我起立唯我一人』へ。デデデデといったベースで始まり、ツッタカタカタカとドラムが入る。後半の田渕ひさ子のギターソロは『TATTOOあり』でみせた狂気とは全く別物の、哀愁漂わせるメロディ。

向井が突然、「面接を…面接を…」と言い始める。どうやら、お目当ての女性を見つけるために目をキョロキョロさせているようだ。が、「いや、やめとこ」と諦める。「なんでー?」というお客さんの反応に、「またエロオヤジやと言われる!」と発言。大丈夫。みんな分かってます。

「最後、あと2曲やります」と言った後に打ち鳴らされたのは『omoide in my head』のドラムロール。いつ聴いても全く飽きることなく、気分が高揚するオープニング。その興奮はそのまま『はいから狂い』まで続いていく。音を鳴らしていないときも中尾憲太郎のアグレッシブなパフォーマンスは天井知らず。首がもげて飛んでいくのではないかと思うほど、何度も振り回していた。
最後、向井はメンバーの鳴らす音とタイミングを合わせるようにギターの弦を1本ずつ引きちぎっていく。その表情は(>-<)といったもので、漫画のようだった。


54-71がBGMで流れる中、アンコールを呼ぶ拍手が続く。最後の2曲で耳が思いっきり逝ってしまったのか、拍手の音もあまり聴こえない。そんな中、メンバーが再登場。
あれ?アヒト・イナザワがギターを抱えている。
「今日買いました~」
笑顔でゆるーく挨拶するアヒト。だが、ギターはそのまま置いてドラムセットに着席する。これは一体何なんだ。

アンコールは『TOKYO FREEZE』。先ほどまでの熱狂のステージとはまた違う、冷え切ったステージ。とはいえ、冷めているわけではない。凍りつくような落ち着き加減で、向井が腕を組みながらラップを披露しているのだ。イメージとしてラッパーは手を忙しく動かしているものであったが、ここでそのイメージは覆された。お経のように言葉を綴っていくラッパーは、ナンバーガールのライブでしか観れない。
メンバーが演奏中、向井だけがステージを去ろうとする。そのときのセリフがとても印象的だった。
「頑張りまーす」
なんだそりゃ。


神戸に引き続き、心斎橋でもナンバーガールはぶちかました。文字通り、騒やかな演奏であり、群像だった。MCもいちいち冴え渡り、観客との掛け合いは何度も笑いを誘っていた。ある女性客が「かっこいいー!」と歓声を上げると、向井が「誰ね?」と興味津々。わざわざ後ろを振り向いて反応する向井に、会場が盛り上がっていた。
「10月にまたベイサイドジェニーというところで、NYのバンド・SUPERCHUNKと共演します」とMCで告げていた。これも間違いなくマストなライブになるだろう。ナンバーガールのライブは、行けるだけ行かないと意味がない。これほど衝動を絵に描いたようなバンドはいないだろう。


< セットリスト >
01. 日常に生きる少女
02. TATTOOあり
03. DESTRUCTION BABY
04. ZAZENBEATS KEMONOSTYLE
05. BRUTAL NUMBER GIRL
06. 鉄風鋭くなって
07. SAPPUKEI
08. 裸足の季節
09. DRUNK AFTERNOON
10. YOUNG GIRL 17 SEXUALLY KNOWING
11. ZEGEN vs UNDERCOVER
12. 透明少女
13. タッチ
14. 我起立唯我一人
15. omoide in my head
16. はいから狂い
[ アンコール ]
TOKYO FREEZE

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