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2001年7月2日月曜日

NUMBER GIRL@神戸チキンジョージ

NUMBER GIRL熱がまったく冷め切らない中、暑い季節がやってきた。前回彼らが関西に来て、ライブを観に行った頃は冬だった。夏真っ盛りの気温であの熱狂の渦。自分の体力は大丈夫なのかと危惧しながらのライブとなった。
ワンマンライブツアー・騒やかな群像、神戸編。


開演前、チキンジョージ前になにやら人だかりが。チキンジョージ向かいのジャズバーに、なんと向井秀徳が。ギターを抱えてメガネを光らせている。そしてアロハシャツ。チンピラかと。周囲の人たちは目を輝かせ、状況を冷静に飲み込もうとしている。たけうちんぐもその中の一人。向井が向かいにいて、間近。これはマジか。と、意味もなくダジャレばかりの状況下、エレキギターにアンプを繋いだ音がジャアアンと鳴る。なぜか下駄姿だった。
『たとえば僕が死んだら』を披露し、そして『嘘だらけの7days』は途中で演奏をストップ。
「ここからはお一人様、○万円で」
高いよ。でも、この状況だったら払ってしまう人もいただろうな。高校生の自分には到底払える額ではなかったけど。
途中、自転車で通行するおじいさんをみんなで道をあけて通らせるシーンも。騒音といい、場所といい、かなり迷惑であるはずの催しではあったけど、おじいさんが走る道が花道になっていたせいか、少し笑顔のおじいさんでした。
なぜかアヒト・イナザワの名前を連呼していた向井。だけどアヒトの姿はなかった。最終的には「10円くらい入れてくれ…」と嘆いていた。
画素数のひどい携帯でその光景を撮影したけど、完全に包囲されている人にしか見えない写真になった。


チキンジョージの中、冷房がガンガン効いている。とにかく涼しい。ライブが始まるとこれも意味がなくなるのだろうけど、先ほどまで直射日光の下にいたせいか、HPが一気に回復していく。
まだライブが始まっていないのに、「向井ー!」という歓声が。やっぱりすごい人気なんだな、と解釈していたけど、気付けば後方2階席をお客さんが見上げている。よく見るとそこには向井秀徳がいて、踊っている。
先ほどのストリート・ミュージシャンといい、どれだけサービス精神があるのか。それとも出たがりなのか。酔っ払っているのか。
一瞬、自分以外誰ひとりと向井の踊りに気付いていない瞬間があり、それは寂しいものだった。この日の主役みたいなものなのに。

19時。照明が途端に暗くなり、『マーキームーン』が流れる。客席は一気にヒートアップ。叫び声しか聞こえない。そしてまさかの『マーキームーン』中のダイバー続出。まさかTELEVISIONも音源だけでダイバーが出るとは思ってもみなかっただろう。

1曲目から、神戸のど真ん中で『TOKYO FREEZE』。そのタイトルに反し、全くフリーズしない熱さしかなかった。田渕ひさ子は笑顔で、中尾憲太郎はロン毛で、アヒト・イナザワはキョトンとした表情をしている。向井のメガネがグラサンのように怪しく光る瞬間があった。
そのまま『鉄風 鋭くなって』。鋭くなるのは風だけでなく、向井のギター、そして観客の気持ち。そのせいか、たけうちんぐが着用していたメガネが吹き飛んだ。風のせいにしようと思った。危険を察知し、後方へずるずると後ずさる。こんなに危ないことになるとは、今日の神戸は狂ってる。歌詞にある「Aという名のノラ猫」のように、3列目くらいでくたばったのだ。

そして『SASU-YOU』。ナンバーガールの楽曲の中で最も攻撃的な歌詞に思える。刺すもんね。刺されたよ。という関係性がステージと客席の間にある。首がぶっ飛びそうなほど振り落とされる中尾憲太郎のアクション。音もそれに負けない激しさがある。お腹にくる。足元から脳天まで重低音が支配するのだ。
夏真っ盛りの季節にぴったりな『透明少女』から、まさかの『EIGHT BEATER』へ。この曲が本日のベストアクトではなかろうか。会話のようにつらつらと続ける歌詞、そのほとんどを絶叫している。すべてを理解できるような歌詞ではないのに、一緒に歌いたくなる。ひさ子は自分の身長以上の高さまでギターを持ち上げ、お客さんを煽情するかのように掲げる。その瞬間、生まれてこのかた味わったことのない興奮を得ましたのです。

「あーヤバイ」「ったらヤバイ」「あーヤバ」「どげんせーってなくらいヤバイ」「んんっとヤバイ」「つったらこれバリヤバイ」
ギターを奏でながら、1分間くらい独り言を続ける向井。
次の曲が容易に予想できる状態のもと、きました「ヤバイ」の正体『ZEGEN VS UNDERCOVER』が。メンバー全員が演奏に入る瞬間の動き、音と同期していてヤバイ。
『U-REI』は前回のライブで観たような、ひさ子の5分間くらいのイントロギターソロはなかった。スマートかつコンパクトになったように思えたけど、これが原曲だ。

『ミニグラマー』をライブで初めて聴けた。DVD『騒やかな演奏』発売記念ツアーというだけあって、DVDに収録されている楽曲を演奏してくれている。正直、アルバムではピンとこなかった曲も、ライブでは3倍くらいパワーアップしている。ダイバーがいた。その気持ち、わかりますよダイバーさん。
『DESTRUCTION BABY』はダブバージョン。緊張感があった。音数が少ない分、ベースの音がダイレクトに響いてくる。これがダブというものか。音源のグゥウワーンというひさ子の歪み滲んだようなギターも好きだけど、ジャッ、ジャッとリズミカルにカッティングされるこのバージョンも気持ちいい。

『TATTOOあり』は言うことなし。ありまくりだった。最後のひさ子のギターソロ、感涙ものだ。『ABSTRACT TRUTH』は抽象的な感動がどこにもない。はっきりとした、具体的な感動がステージで繰り広げられていた。先生が「あなた」から「お前」、そして「貴様」に変わっていくような曲の展開が狂気爛漫。
殺伐とした曲の流れに、一筋の爽やかな太陽の光を浴びせてくれるかのようにbloodthirsty butchersの『プールサイド』のカバーを。ブッチャーズの『未完成』を何度も聴いている自分としては、ナンバーガールバージョンは夢のような話だ。乱反射するようにキラキラとしたギターの音色。「自らを沈ませて 苦しさの反動で なんとなく押しかえす」という歌詞を向井が歌うと、また別の魅力が生まれる。

『ZAZENBEATS KEMONOSTYLE』。映画『けものがれ、俺らの猿と』のサントラで聴く印象とはまた違う。後半の混沌としたノイズが気持ちいい。ひさ子がずっと俯いてガガガガと高音のギターを轟かせ、アヒトがマシンガンのように休みなくドラムを撃ち鳴らす。中尾憲太郎は相変わらず首を振りまくる。その中央で、向井が高校時代の思い出話のような歌詞をマイペースに歌い、時に叫び、メガネを光らせている。

「福岡市、博多区から参りましたナンバーガールです。ドラムス、アヒト・イナザワ」

お決まりの文句を告げると、アヒトの「殺・伐!!」というカウント。『タッチ』がスタート。客席は大合唱。共感を呼ぶような一人称の存在が希薄な歌詞であるはずなのに、まるでその曲の世界に自分がいるような錯覚がある。あの子とあいつがいて、俺は何もせずにボーッしている。これこそ青春パンクだ。一気に拳を振り上げ、激しいタテノリが起きる。
そして『omoide in my head』。汗しかない。ステージ上のメンバーも汗が飛び散っている様子。よく見えないけど、向井のメガネも汗でびっしょりに違いない。
演奏後、「乾杯!」と言って去る向井。


アンコールの声援。このとき、「向井!」「アヒト!」「ひさ子!」「中尾!」と、全員が3文字で呼べる名前であることを改めて知る。 「メガネ!」とも叫ばれていた。
そしてメンバーが再登場。

向井「また神戸に来ます」
観客「おーーー行くーーーー」
向井「皆さんはまた観に来ていただけるのですか?」
観客「行くよーーーー」
向井「皆さんはクリスマスにナンバーガールのライブがあるとして、それでも観に来ていただけるのですか?」
観客「行くーーーー」
向井「それじゃあ皆さんは恋人がいないってことですね」
観客「!!?」

いじわるな向井MCの後は、この日最大の個性といっていい余興。アヒト・イナザワによる『嘘だらけの7days』が披露される。「いやいや、風邪ひいてるから歌えんよ」と軽く拒否しつつも、サービス精神を忘れていません。ストリート・ミュージシャン向井とは比べ物にならない(失礼)美声を響かせ、女子はメロメロになったに違いない。
その後は当然、DVDを観た人なら「ひさ子!ひさ子!」コールは約束されている。 ひさ子は恥ずかしそうに困り果て、向井が「田渕ひさ子に関しては、お一人様12000円でございます」と告げる。色町かと。ところが「安いー!」「払うー!」という男性の歓声。そうなると向井が大もうけすることになる。

「実は、さっきまで実家に帰りたいと思ってました」
向井が突然のカミングアウト。反応に困る観客に対し、続ける。「実家に帰りたいと思っていましたが、皆さまのあたたかい声援を聞きまして"ハッ、戻らなきゃ!"と思ってステージに立ちました」と感動秘話を真顔で暴露。「ちなみに実家は佐賀です」と、今それほど必要ない情報を告げてくれるセンスは相変わらず。

本編の最後同様、またもや「福岡市博多区から参りましたナンバーガールです。ドラムス、アヒト・イナザワ」と言い、『はいから狂い』へ。その名の通り、狂っていた。

「また会いましょう。グッバイ、サイチェン(再見)。かんぱーい」


白熱、いや、灼熱のナンバーガールのライブが終わった。冬に観たときとはまた違い、より一層、とにかく熱い。終盤の演奏、田渕ひさ子のアクションが神がかっていた。あれは一体何なんだ。かっこよくて鼻血が出る。あんな人、世界に誰一人としていないだろう。いたら教えてほしい。きっと愛するから。

この日、向井はMCで幾度となく「バーカウンターはあちらにございます」と丁寧に案内していた。また、ライブ前に神戸・元町の高架下を歩いたらしい。高架下はマニアックかつレア物を価値を知らないお年寄りが値段をつけて売ってくれているという、兵庫県のシュールスポット。「以前来たときよりも、"掘り出し物"が減っていた」と向井は嘆いていた。彼にとっての掘り出し物とは何だろうか。
客席からは「○○(恐らく色町・歓楽街)行った?」と質問が飛んできていたが、クールに無視する向井。どうやらこの日はNHK-BSのビデオカメラが撮影に来ていたようで、「公共の電波使ってそんなことは言えんよ」と言い逃れを。「皆さん、受信料は払いましょう」とも発言していた。

MCから演奏、そして余興、更にライブ前のストリートライブまで、すべてが完全なるエンターテイメント。
サービス精神と、独自の世界観に満ち溢れたナンバーガールのライブ。向井秀徳の魅力は語り尽くせない。


< セットリスト >
TOKYO FREEZE
鉄風 鋭くなって
SASU-YOU
透明少女
EIGHT BEATER
ZEGEN VS UNDERCOVER
U-REI
ミニグラマー
DESTRUCTION BABY
TATOOあり
ABSTRACT TRUTH
プールサイド
ZAZENBEATS KEMONOSTYLE
TRANPOLINE GIRL
タッチ
omoide in my head
[ アンコール ]
嘘だらけの7days
はいから狂い

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