2回目のライブで、アイドルとの共演。秋葉原のディアステージで夜な夜な熱い声援で叩き上げられてきたでんぱ組.incを相手に、バンドじゃないもん!がどんなライブを見せるか。今回は劒樹人、ミナミトモヤがステージにいない。みさことかっちゃんの女子二人になり、正々堂々とアイドルに勝負をかけた。
t.A.T.uの曲を登場SEに、ステージに降ろされていたスクリーンが上がっていくとバンドじゃないもん!のライブが幕を開ける。
前回とは全く違うライブの雰囲気。さすがはアイドル出演のイベントだからか、客席の声援が熱い。「みーさこぉおお!」という声が響き渡る。対バン相手にも同じくらいのテンションで接するアイドルヲタの皆さんは尊敬に値する。ロックのライブでもこのようなことが起きればいいのに。
ドラムセットが2台立ちはたがるステージだが、2人の姿はない。
「あれ?」「いない!」「みさこ透明!」
観客が戸惑いの声を上げつつも手拍子で迎える中、VJの映像が後方スクリーンに映し出される。『バンドじゃないもん!』という大きな文字にカラフルな光が拡散して浮かび上がり、もはや大物バンド(じゃないもん)の雰囲気です。ようやく登場した2人に拍手喝采、雄たけび、声援が巻き起こる。もはやアイドルのような佇まいだ。
「みさこだよ!」「かっちゃんだよ!」
音声がどこからともなく聞こえ、飛び跳ねたり、手を振って挨拶するバンドじゃないもん!セーラー服のような衣装に、短いスカート。これは男子のハートを狙い撃ちするつもりなのか。少なくとも神聖かまってちゃんのライブとはかけ離れた雰囲気に、思わず笑みがこぼれてしまう。
1曲目は『バンもん!のテーマ』。「バンドじゃないもん!ポポポポーン!」と、トラックから『AC』的なみさこの声が響き渡ると始まりの合図。2人が一斉にドラムを叩き、演奏へ。客席では合いの手が完璧。あまりの盛り上がりに笑顔を浮かべるみさことかっちゃん。
曲の途中で2人が立ち上がり、マイクを持ちながら歌い始める。
「メーデー、メーデーこちらみさこ!ただ今第三惑星地球・日本・東京!原宿アストロホールの基地に潜入!」
あまり完璧ではない喋り方が逆に初々しくて面白いことに。「バンバンバン、と言ったら皆さんで"バンドじゃないもーん!"と叫んでください」とかっちゃんが促すと、会場全体に「バンドじゃないもーーん!!」という叫び声が響き渡る。大成功だ。
そして曲に戻り、ライブハウスの熱気はいきなり最高潮に。VJの映像もアニメーションからCG、コラージュから実写までバラエティに富んだもの。最高の環境でのライブだ。
「今日はまだ2回目なんですけど、緊張してる部分もあるんですが…」
みさこがいつも通りのゆるいMCを始めると、「俺もー!」「いいよいいよー!」と愛のある声援が。「初回のライブのときにいた二人はちょっと、天に召されてしまいまして…」ととんでもないことを言い出して笑いを誘うが、「全然大丈夫!」「いないほうがいい!」という女性客の叫び声に少し心が痛んだ。
「私たちはその天の声に導かれるように演奏するという形になりました!」
「天の声を聞きながら活動を…」
色々とんでもないことばかり言うけど、二人ののほほんとしたまったりパワーですべて許されてしまう。「天の声の一人は裏方で出てないんですけど、今日誕生日なので…」と劒樹人のバースデイを祝福。みさこが「3、2、1」とカウントし、「おめでとうー!」と観客が叫ぶ。
『ショコラ・ラブ』はライブ動画をすでに公開しているだけあってか、イントロが始まったときの曲が認知されてる感は大きかった。「オイ!オイ!」とコールが凄い。神聖かまってちゃんのライブでも聞いたことがない声援だ。いまだかつてない受け入れられ方をしているせいか、この日のみさこの表情はいつもと違う。キリッとし、何かの自覚を持ったような表情をしている。単に緊張しているだけだと思うが。
ダダダダダンッ、ダダダダダンッとみさことかっちゃんがそれぞれドラムを叩き合い、「ひゃうぃごーっ」と掛け声を出すと『愛の世界』へ。会場の盛り上がりは一切衰えをみせない。ヲタの皆さん、マジでさすがです。
「みっさこぉおおおお!!!」「かっちゃーーーん!!!」
アイドル然とした楽しい雰囲気の中、みさこが「もうすぐかっちゃんは、諸事情によりかっちゃんじゃなくなるんですけどね。あの、結婚とかじゃなく、親の…」と容赦なく言い出すと、「重いーーー!!」と客席から悲鳴が。それでもかっちゃんの呼び声をみんなで考えたりと、和気藹々なMC。
「次は天に召された人のテーマ曲ですね。題名が『32th』っていうんですけど、たぶん歌詞を聴いたら誰もが『32th』ってタイトル忘れると思うんですけどね。このテーマになった人が32才を目前に天に召されたんで、『32th』になったんだよね」
「そう…だねっ」
みさこのMCに優しく合わせるかっちゃん。とにかく劒樹人はここでは死んだことになっている。
『32th』は前半、ドラムスティック2本をツノのように頭に備えつけ、ひょこひょこと揺らすといういわゆる"萌え"なアクションでゆるーく攻めてくる。そして後半はドラム対決と言わんばかりの、硬派な展開に。さきほどまでニコニコとしていた二人が真剣な表情でドラムを叩き合い、宇宙空間をワープするようなVJの映像も相俟って、クールかつアートな光景に。バンドじゃないもん!はこういうところがあるから魅力的に思います。
3分間にも及ぶドラム対決に、歓声を上げていた客席もグッと緊張感に包まれて黙り込む。見つめ合うみさことかっちゃん。グゥオオオンというトラックの音がグルグル回り、不思議な快感を与えてくれる。
「なんでこんなに楽しいお客さんばかりなのかな?」とみさこ。ますます盛り上がる客席。次回のライブ告知をすると「ロリータ18号」「大槻ケンヂ」という対バンの名前に大歓声が。
最後は「最終回っぽい感じで」とみさこが言うと、「終わらないでー!」と声が。『歌うMUSIC』の演奏へ。今回のライブで初披露。
昔見たアニメのエンディングテーマのように懐かしく、誰からも愛されるようなキャッチーなメロディ。また来週か…と次回放送を思うと少なからず寂しい気持ちにもさせるような曲だ。終始笑顔で歌い続けるみさことかっちゃん。2人が楽しそうに叩いている姿に、観る人たちの顔もほころんでいく。
「どうもありがとうございましたー!バンドじゃないもんでしたーー!」
2人がドラムセットから立ち上がり、ステージ中央に肩を並べる。「からの~?」と期待を寄せる観客の声に、「ありがとうございましたーー!!」と並んでお辞儀する2人。
笑いと拍手に包まれ、ひょこひょことかわいげに歩いてステージを去っていくみさことかっちゃん。なんとなく、バンドじゃないもん!が始まった気がする。そんな予感のするライブでした。
バンドじゃないもん!【歌うMUSIC】2011/5/7 原宿アストロホール
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