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2009年12月11日金曜日

神聖かまってちゃん@恵比寿LIQUID ROOM

神聖かまってちゃん、初リキッドルーム。遂にやってきました、大舞台が。

何百人も余裕で入るデカい会場がスカスカにならないかどうか少し心配した。杞憂だった。後で聞くと、400人以上のお客さんが入っていたらしい。
客席とステージの間へ。さすがにステージが高い。ドラムが遠い。表情を捉えるにはカメラが少しブレてしまう距離だけど、有名になるにつれてこういうことになっていくのだろうと納得。なんなら、もっともっと映りにくいほどの大きい会場でやってほしい。武道館とか。
ステージ後方にはVJによるかっこいい映像が流れている。この日は、今をときめくMASS OF THE FERMENTING DREGS(通称・マスドレ)がトリを務める"public-image.org"というイベント。客席にはマスドレのTシャツを着た人ばかり。アウェイだ。でも、こういう状態のほうがの子さんが躍起になり、上へ登ろうとする気持ちが高まる気がする。11月の"クソガキチェルシー"と"トリケラトプス"を思い出す。
神聖かまってちゃんはオープニングアクト。セッティングはすでに開場前に出来ている。

前回に引き続き、登場SEは『クレヨンしんちゃん』の二代目オープニング曲『夢のENDはいつも目覚まし!』だ。メンバーがぞろぞろと登場する。
一番最後に現れたの子はアルコールを片手にしている。その腕は血まみれ。無数の数から出血していた。アルコールとアームカットという、浮かれてるのか沈んでるのかよく分からないビジュアル。今年9月の流血ライブを思い出す血だ。

「オープニングを務める千葉県からやってきました神聖かまってちゃんです!えーと、マスドレだかドラクエだか何だか知らないけど、僕らはもういわばスライムです、4人とも。けど、レベルが違うんです。もっと経験値を積んできたスライムなのです僕らは。メタルスライムくらいの経験値はあると思うので、メタルスライムくらいの経験値をみなさんが得たら、僕はいいと思ってます。貴様らの脳天にな!貴様らの脳天にな!別に観に来た奴なんてそんないねーだろ。さっき1人いたけど」

マスドレをドラクエ呼ばわり。さっそく臨戦状態だ。一人のお客さんが「の子ー!」と叫ぶ。すると「うっせえ!もっと、呼べっ!」「の子ーー!」「よしっ!もっと、呼べっ!」「の子ーーー!!」「そして、もっと、呼べっ!!」「の子ーーーーー!!!」というやり取りが。次第に大きくなっていく歓声。そこに「みさこー」「ちばぎんー」という声も。monoは?
「誕生日おめでとうー」という声援も。この日はちばぎんの24才の誕生日。両手を上げて「ありがとうー!」と返事する。
誕生日にふさわしい、記念すべきライブになったのは言うまでもない。後に語り継がれる、伝説のライブになった。

と言いつつも1曲目の『ぺんてる』から、いつもの神聖かまってちゃんの光景が。イントロが始まったにも関わらず、の子のピックが無い様子。monoにピックを借り、そして更にmonoはちばぎんにピックを借りる。そして無事にジャカジャーン!と音が鳴らされて、ライブがスタートする。このギリギリのスリル。いつも通りの彼らの姿だった。
だけど、この日は何かがいつもと違っていた。
会場の大きさがそうさせているのか、派手なライティングが関係しているのかも知らないけど、何かが起こる予感はあった。大きい会場が似合うバンドなのだろう。そして考えてみれば、の子が普通にライブを終わらせて帰るはずがないのだ。
「僕は大人になりました」のくだり、照明がステージを橙色に染め、の子がシルエットになる。感動的な光景だった。下北沢屋根裏でこつこつとノルマを払いながらライブをやっていた頃、こんな姿は想像できただろうか。
同じ神聖かまってちゃんを撮るにしても、ビデオカメラも彼らの状況の変化に驚いているはずだ。の子からパンする。monoがなぜか首にタオルを巻いている。パンする。ちばぎんが「ぺんてるに!」とコーラスする。パンする。みさこ、残念ながらシンバルで顔が隠れている。そしてまたパンする。の子が叫んでいる。
このバンド、かっこいいな。純粋にそう思えるステージだ。

「次はmonoくんというこの変な顔した奴がラップを始めるのでー」
ムチャ振りをするの子。終始ビールを飲んでて大物感が抜群だ。「俺が売れたら勝手に1人でやるから!」とmonoが場を逃れる。「俺が売れたら」ってどういうことなのか。
「ちょっと話してて。ラップしてて」との子がメンバーに指示。みさこがドラムを叩き、ちばぎんがベースを弾き始め、セッションへ。の子がリズムに乗っかって歌いだす。
「お前は転職何もできないアゴ頭!アゴだけで売ってる人間!何もできない、いざというときにいざというときに!いざというときにいざというときに、何もできない! アゴ、、イヤッハーーイ!!」
いきなりひどい。6月の渋谷屋根裏でのラップバトルを彷彿とさせる。

その後はの子が「ちょっと待って」と言い、ゲップを1発してから、monoの弾く美しいメロディが鳴る。『ロックンロールは鳴り止まないっ』へ。
の子の表情が勢いでみなぎっており、400人どころか何千人を相手にしているような歌い方。その目線は完全にお客さんと向き合っている。「鳴り止まないっ」と言った後、の子がステージにふにゃふにゃと倒れ込む。そしてステージ最前に歩み寄り、客席の目の前でギターを弾く。真っ直ぐと何かを見つめ、微動だにしないお客さんとの子の構図が印象的だ。
「あの帰り道に聴いた、ロックンロールの僕の記憶の中までに蘇ってくるMDを聴いたあの瞬間が蘇る、このステージに、僕はそれをここに、ロックというものを、叩きつけるだけです」
の子の呟きがキマリ、今までに聴いた『ロックンロールは鳴り止まないっ』で一番の演奏になった。

の子「今日は客が多くて、まあ僕らの客じゃないですけどね、全員敵なんですけどね」
mono「お前いっつも悲観的だな。あれだよ、俺らオープニングアクトっだけでこんなだけいるってことは、俺らを観に来てくれている可能性も」
みさこ「無きにしもあらず」
の子「そんなのドラクエ観に来てるに決まってるじゃねえか!」
ちばぎん「なんだよドラクエって…」

次は『学校に行きたくない』
「学校に行きたくないって想いをただ単にぶつけた、そんだけ」との子が曲紹介し、ドラムが激しく打ち鳴らされて演奏がスタート。「学校に行きたくない」「計算ドリルを返してください」の二言を延々と叫ぶ。なぜかmonoがキーボードを放棄し、タンバリンを叩きながらステージをふらふらと歩いている。もっと前に来ればいいのに、恥ずかしいのかいい具合にちょっと中途半端な位置に。だが、そこがいい。それでこそmonoなのだ。
ステージ後方にはVJの映像がチカチカと光を瞬かせ、ライブを演出していた。映像と組み合わされた神聖かまってちゃんは新鮮。息をつぐ間もないサブリミナルな映像は、誰かの危険な精神状態を表しているかのようで切迫感がある。
中盤、ちばぎんのベースがデーーン、デーンデンデンデーーーンと鳴り始めたら、の子暴走の合図。少し助走をつけながら客席にダイブ。その後は客席で飛び跳ねながら歌い、お客さんが笑顔での子を取り囲む。「おかーーーさーーーん!!」と客席の中で何度も絶叫。ステージに戻る途中で「うぁあああーーー!!えええええぇ!!」とステージと客席の間で絶叫。かなりカオスなムードを客席に届け、ステージに戻ってくる。
演奏が終わると、すぐさまMCへ。

「俺の親父が来ているらしい。初めて。だから、俺を憎むなら、親父を殺せ!」

ダイブしたことへの反省であるだろうけど、なぜかお父さんが犠牲に。笑いが起きる。

「次は静かな曲、アンビエントミュージックを」との子が言い、『夜空の虫とどこまでも』
「もっとお前らアピールをしたら」とメンバーに促し、の子はステージ最前でビールを持って体育座り。ちばぎんがベースを弾き始め、の子が「曲紹介、曲紹介、よう、へいよう、アイム悪ガキヒップホッパー、東京生まれ、悪いやつは友だち」とラップのように呟き、みさこが笑い、演奏へ。
キーボードを弾くの子。その手元をカメラでズームアップするたびに、大量の腕の切り傷が目につく。かなりグロテスクだが、その傷からなぜかの子のこの日の気合いが伺える。溜め込んだものを解放しようとする気持ち。なぜか、そんなものを感じた。
「らーらーらーらー」とボーカルエフェクトかかりまくりの高い声で歌うの子。キーボードにしがみつくように弾き、その横でmonoが緩やかにキーボードを弾き続け、ちばぎんとみさこが正確なビートを刻んでいる。本当に夜空の虫がどこまでも飛んでいきそうなステージで、独特な浮遊感を覚えた。

ちばぎん「いやー、今日はほんとお客さんいっぱいですね」
mono「夢いっぱいだね。学校ではほんと、こういうことなかったからね」
みさこ「学校ではひとりぼっち」
mono「うるせーバカ!」
女性客「かわいいー」
の子「かわいいー」
みさこ「monoくん"かわいい"って言われてるよ」
ちばぎん「"かわいい"ってー!」
mono「えっ、俺…?」
の子「こんなもんどこがかわいいんだよ。眼科行けよマジで。頭おかしいんじゃねえの?」
mono「いや、俺も一度くらい"かわいい"って言われたいよ」
ちばぎん「気持ちわり」
の子「こいつ、生まれたときですら"かわいい"って言われたことないからね」

安定のmonoいじり。3方向からいじられるmonoは学校でもいじられていたのだろう。

「みなさん、今日は夜が長い。えーとまず、神聖かまってちゃんが出て、それから、神聖かまってちゃんが出て、そして神聖かまってちゃんを観て、みなさんは家帰ってみなさんは神聖かまってちゃんが気になるから、インターネットで検索する。その流れ。で、今日は終わり」

の子がこの日のお客さんの予定を告げつつ、monoの曲紹介で『天使じゃ地上じゃちっそく死』へ。
流れているVJ映像が、ズームアップとアウトを繰り返す猫の顔。なぜか曲にマッチしており、まるでの子の世界観に沿うような映像だった。激しく点滅する画面とリズムの息が合っていた。VJだからか。
終盤、の子は倒れ込んでギターを弾く。ゆっくり起き上がり、「天使が落ちる!天使が落ちる!」と繰り返し叫ぶ。

の子「いよいよ、次が最後っちゅー話。まだ俺は3分くらいにしか感じていないんだけど」
ちばぎん「それ長いの?短いの?」
お客さん「短い!!もっとやれ!!」
の子「ん?短いよね?もっとやれ?圧力をかけろ!」
お客さん「もっとやれー!」「もっとやってー!!」
の子「そう、圧力をかけて、俺は、スライムから進化するからな。スライムからスライムベスへ…」

またもやドラクエやらスライムに例えるの子。とにかくRPG、冒険、レベルアップという意識なのかも知れない。最終的にはバラモスを倒すために。『怒鳴るゆめ』だってまるで冒険モノの少年漫画を想像させる。の子は外見も少年のようで、説得力がある。
そして極めつけのMCを。

「えーと今日は、マスドレか。マスドレファンのみなさま、これからの熱いフィーバーした夜を楽しんでください。その、なんか火付け役 ダイナマイトの火付け役になれたら良かったと思います。うん、マスドレなんか爆発しちまえ」

マスドレファンばかりの会場であるにも関わらず、この発言。笑いと緊張感に包まれながら、『夕方のピアノ』のイントロが始まる。
真っ赤な夕焼けのような照明を浴び、monoのキーボードのメロディが映える。いつかの下校時、夕暮れ時間に音楽室からピアノが聞こえていたような記憶が蘇る。そのとき、何を思った。どういうことを考えていたか。「死ねよ佐藤」との子は思っていたのだろうか。腕の血、照明、夕暮れ。すべてが赤に照らされ、その中に埋もれながらの子が「死ねーーー!!」と何度も叫ぶ。
そしての子がギターを抱えたまま、勢いよく客席にダイブ。
の子は痛そうに頭を押さえながら柵にひょっこり顔を出す。どこかに激突してしまったようだ。かなり苦痛をしており、言うなればダイブ失敗。ステージに戻るも、ギターの音が出ない。ギターを降ろし、スタッフが急いで対応し、演奏は続く。ギターを再び持ったの子は「お願いだから僕のためにさぁああ!!」と絶叫。バシバシと激しく叩かれるドラム。鈍い音を轟かせるベース。一定の感情をそのまま続けるように淡々と切ないメロディを鳴らすキーボード。そして感情のままに掻き鳴らされるギター。
そのギターが次の瞬間、床に叩きつけられる。
ガッシャーーーーーン!!!!
アンプからは弦の音なのか破壊音なのか分からない音が鳴り、ギターが粉々に砕け散る。ピンク色の破片を客席にぶん投げる。ボディの部分が完全に大破したギターを、更に床に叩きつけるの子。
「の子!!」「の子ーー!!」
客席からは何度も歓声が上がる。ずっと使い続けていたギターが突然破壊されて驚く。だけど、確実に痛快だ。大舞台だからこそ、死に場所にふさわしいのだろうか。見事に粉々になったギターの破片は、誰がなんといおうと"ロック"な壊れ方だった。何かを打ち破るようなパフォーマンスだった。
最後は壊れたギターを槍のようにかまえ、みさこのドラムセットに走って突っ込んでいく。ガシャーーーンと漫画のような音が響き、神聖かまってちゃんのライブが終わる。

こんなライブ、いまだかつて観たことがあるだろうか。神聖かまってちゃんはこの日、その存在を多くの人の目に叩きつけた。ギターを床に叩きつけるように。
歓声は鳴り止まない。
メンバーがステージから去る。monoが粉々の破片を客席に渡すように投げる。の子がお客さん、スタッフにお辞儀をしながら、再びマイクスタンドの前へ。

「まだまだロックは終わらないのです」

キマった。
なにこれすごくかっこいい。
痺れた。ここまで気合いの入ったライブは観たことがない。神聖かまってちゃんを知らない人にはどう映ったのだろう。多くのマスドレファンを魅了したのではないだろうか。その証拠に、マスドレのボーカル・宮本菜津子もブログでこの日のかまってちゃんのライブを絶賛。ダイナマイトの火付け役は、今後もあらゆる方向に飛び火してしくに違いない。
間違いなく、今までに観た神聖かまってちゃんのライブでベスト。セットリストも演奏も、MCもパフォーマンスも、どれもが胸を張って「これが神聖かまってちゃんだ!」と言えるものだった。

終演後はロビーでメンバーや知り合いと談笑。誰もが唖然としながらライブの余韻に浸っていた。こんな感覚、いつぶりだろうか。
物販では神聖かまってちゃん特製バッジが売られていた。monoくんの顔が写った缶バッジ。付けろ、というのだろうか。CDはライブ後に物凄い勢いで売れていたらしい。ファンにサインを求められるメンバー。どんどん遠い存在になっていく。それはいいことなのだろう。
この日、ギターの破片が足元に落ちていたので記念品として頂いてしまった。の子さんのサイン列にさりげなく並び、自分の番になると「うわっああっ」とリアクションされる。身体のテンションが収まりきらないのか、の子さんの手はずっと震えていた。左利きの手でマジックを握り、「なんだよ、またサインかよ…俺はキムタクかよ」となぜか照れながらサインを書いてくれた。
他のファンの方が"ギターが壊れてロックが生まれる"という、思いつきとは思えないキメセリフを書いてもらっていたので、ワクワクしていた。だが、書いてもらったサインはこれだ。
"ギターが壊れてロックンクンクン"
なんだこれは。意味が分からない。
それでも、相当疲れた様子で応じてくれたの子さん。女の子のイラストも描いてくれて、ステージでもそれ以外でもサービス精神旺盛だった。

雨の恵比寿。帰り道、乗る電車の方向を間違えるほど、まだ興奮が収まり切っていなかった。
血と破壊のライブ。
"衝撃的"と形容するのは簡単だ。それだけで済ましたくはない。というのも、かっこいいライブといっても実はmonoが酔っ払い、の子がスライムだのドラクエだの言いまくっていたライブなんだもの。一概に"かっこよかった!"とはいえない、どこかマヌケで人間くさく、隙のあるステージだからこそ神聖かまってちゃんは面白い。
だけど、の子という人生そのものが表現である人の生き様を垣間見れた気がする、そんな凄まじいライブであることは間違いない。
ライブ映像をさっそくアップすると、かつてないほどのリアクションがあった。劒マネージャーも職場でみんなで一緒に観たらしい。それほど、誰もが心を奪われるライブだったのだろう。
ちばぎんにとって素晴らしい誕生日となりました。

2009年12月11日 恵比寿LIQUID ROOM
〈セットリスト〉
1、ぺんてる
2、ロックンロールは鳴り止まないっ
3、学校に行きたくない
4、夜空の虫とどこまでも
5、天使じゃ地上じゃちっそく死
6、夕方のピアノ

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