神聖かまってちゃんにとって、今までで一番大きな会場でのライブ。渋谷duo music exchangeがこの日の舞台。
『ROCK'N' ROLL SUNDAY』というイベント。出演者はTHE COLLECTORS、dry as dust、OKAMOTO'S、黒猫チェルシー、トライセラトップスと過去最大級に豪華。会場を前にすると「かまってちゃんが遂にここまで!」と妙に感慨深くなりつつ、の子さんから撮影を頼まれていることもあり、カメラマンとしてスタッフの受付に。リストに名前がない。劒さん!
入れなくて困っていると、ちばぎんとmonoくんが目の前に登場。心優しき2人は受付の女性に丁寧に説明してくれ、無事入場。"撮影禁止"という貼り紙があるので、カメラ持っていると恐い兄ちゃんに担いでポーイと投げられそうな不安を覚えていたので、ちばぎんとmonoくんに感謝。monoくんはトライセラトップスの一番有名な曲を歌っていた。
会場に入ると、かなりの数のお客さんが。なんとなく、THE COLLECTORSやトライセラトップスのファンが多いように思った。
OKAMOTO'Sの前に着たので、イベントが始まってしばらく経っている状態。撮影するにも最前に行けなくて焦っていたら、心優しき神聖かまってちゃんライブ常連の高見さんやななごうさんらが「ここいいですよー」と場所を譲ってくれた。神聖かまってちゃんは「死ね」とか歌うけど、ファンの方は「死ね」とか言わずに実に優しい人ばかりなのです。生きる!
OKAMOTO'Sは前回観たときに引き続き、ベーシストのいくみさんに見とれる。
そして、神聖かまってちゃんの登場。
セッティング中になにやら叫んでいるの子。本番ではないが、急いでビデオカメラの録画ボタンを押す。神聖かまってちゃんはライブの本番だけでなく、撮るべきタイミングの予想がつかないのが刺激的だ。
会場に流れているBGMの外国人ラップ曲に無理矢理合わせながら、の子が即興ラップを披露。
「お前らにこの声が!この言葉が!聞こえるか!?ネオニー(の子の愛猫)なんかいらねえ!リズムだけがあれば!いい!貴様らの!脳天に直撃させ!俺はそれでいい!」
大きな歓声が上がる。神聖かまってちゃんのファンは意外にいるのかも。
の子ラップは「そしてマイクケーブルが、ない!」とちょっと萎える瞬間も。それでもマイク無しでラップを披露し続ける。
「黒猫チェルシーが、なんだ?10なんぼか知らねえが、俺も若い!俺は12才だ!俺はもっと若い!あんなクソガキチェルシーなんかに負けるかこのやろー!!また、何だ!えーと……トライセラ、トップス。あんなもん絶滅しろトリケラトプスなんか!絶滅したバンドなんかどうでもいいんだ!あー!そんな渋谷の奴なんか知ったこっちゃない!お前らどうせライブ終わった後ラブホテル行くんだろ?とりあえず帰れ!」
セッティング中にお客さんにマイクを投げるの子。しっかりキャッチしたら笑顔で「おー!」と小さな拍手する姿がなんか可愛らしい。お客さんがマイクを投げ返したが、キャッチできずにステージ床に落とす。「ちくしょー!」と拾ったマイクを床に叩き付ける。
なんだかもう始まった感はあるけど、実はまだ本番前。セッティング中での話だ。
ようやく本編がスタートする。
「どうも神聖かまってちゃんですー。優しい歌を世界に広めるために活動しているバンドですー。よろしくお願いしますー。ライブが終わった後、優しい気持ちになると思いますー。まあ、ライブ後ラブホテルとか行くやつは…死…いや、の子の子軍団が待ち構えてるからな、出口で」
の子、黒い笑顔を見せる。とりあえず"の子の子軍団"という響きが可愛らしいのはなぜだ。
「これ、全部僕らの客?僕らの客は、えーと、"ぬおーっ!"って言ってください。僕らの客の人ー!!」
お客さんが「いぇー!」と声を上げる。一人でした。残念です。
本編が始まり、ようやく照明を浴びるメンバー。
「改めて、光が当たった神聖かまってちゃんでーす。初めて観る人も、毎回どっかで観る人もよろしくお願いしまーす。盛り上がっていこーぜー。潰していこーぜー。これから出る大物バンドを。えーと、何からやるんだっけ…」
の子が言っている間、みさこがドラムを叩き始める。「はえーよ!」との子が叱責し、やり直し。
の子による曲紹介で1曲目は『天使じゃ地上じゃちっそく死』。
いつもはちばぎん側から撮影しているが、この日は珍しくの子側から。「死にたいなー」の直前の部分でジャキジャキとギターを掻き鳴らす音が気持ちいい。
リボンが付いた可愛らしいニット帽を被ったの子は「もう嫌だ」「死にたいな」の二言を延々連呼。こんな人は今のところ世界で一人しかいないんだろう。気がつけばこの日、ちばぎんはメガネをかけていないままライブをしていた。
その後、間髪入れずに『ゆーれい未満』。
間髪入れずに始まったのが悪かったのか、monoがまだキーボードの準備が出来ていない。ちばぎんがその光景を見て微笑する。それでも容赦なく演奏を続けるの子とみさこ。たぶん気付いていないのだろう。慌てたままヘッドマイクを手で持ち、「そんざーい」とコーラスしているmonoが不憫で仕方なかった。
それでも中盤の「うーっゆれーい!」の後のキーボードがかっこよくキマる。「ですよね」の部分で、僕の後ろにいた女の子がなんとも可愛らしい声で一緒に「ですよねー」と言った。グッときた。の子と一緒に声を出すお客さんを初めて見た。
「そうだ。今朝、うちの親父がニュー速(2ちゃんねる)書き込めないって怒ってたぞ。なんかよく規制されるんだ。俺のせいじゃないよ!」
次は『学校に行きたくない』。
monoがしくじってしまい、仕切り直し。monoが「ごめんごめん、緊張してんだよ!まじめに緊張してんだよー!」と弁解。"まじめに緊張"とは、なんというmono語。みさこのシャンシャンシャンシャン(シンバル)、ダダッダッダッダダ(ドラム)で、再び『学校に行きたくない』へ。
の子は広いステージを自由に歩き回り、「学校に行きたくない」「計算ドリルを返してください」という二言を延々と叫ぶ。
「お前らさあ…お前らさああああ!!」
客席とステージの間の柵に足を乗っけて、客席を威嚇するの子。その後はダイブ。落下地点は妙に閑散としており、危険だ。威嚇された観客だが、の子が客席からステージに戻る頃には周囲のお客さんはみんな笑顔。ステージ上で手をぶんぶん振り回し、踊るように暴れまくるの子。寝転がったり、叫んだり。の子とは違い、黙々と演奏に徹するmono、ちばぎん、みさこ。
「計算ドリルを…佐藤ーー!!」と叫んで終了。『夕方のピアノ』がここで繋がるとは。
「の子いいぞー!」と客席から歓声。
「楽勝じゃ」と2ちゃんねるネタを言ったり、鼻水を服で拭くの子に「ちょっと!」とちばぎんが焦る。の子はそのまま「みんな風邪に気をつけてください。最前の方すいませんでした。あとで僕のことぶん殴っていいんで!」と笑顔で喋る。
mono「テンパってんだ俺!結構予定通りじゃない。だいぶ予定通りじゃない」
ちばぎん「うん知ってる。」
2人が会話している間、の子が上半身裸になって服を着替えている。
mono「ここで生着替え…どんだけだよ」
突然の生着替えのBGMとしてみさこがドラムを叩き、ちばぎんがファンキーなベースを弾き始め、の子もそのビートに乗っかって途中から歌い始める。
「みんなーどこ行った?みんなーどこ行った?僕はここで独りで、みんなはどこ行ったの?みんなどこ行った?僕は独りだよ。みんなどこ行ったの?目が見えないよー。目が見えないよー。みんなどこ行ったの?目が見えないよーハハハ。みんなどこ行ったの?みんなが見えないよーハハハハ!!」
の子が笑顔で楽しそう。へんてこりんな即興に、ちばぎんが「なにこれー!」と叫ぶ。
「次は優しい曲をやりますー」との子が言った後、僕の隣にいた女性客が「えぇ…」と戸惑っていた。
の子は「優しい曲とか言うんじゃなかった」と後悔しつつ、優しい曲『ちりとり』が始まる。
しかし、本当に優しい曲だ。この日のライブは冒頭にの子が言った通り、「世界に優しさを届ける」つもりらしいから、monoの弾くキーボードのメロディは本当に優しいのだ。
この曲の歌詞は、どうしてこれほどまでキュンとさせるのか。
最後の歌詞が丁寧語だからなのだろうか。「掃除当番あなたとやれて良かったと思っています」って、小学生が同級生の女の子に言うなんて。言うわけがないし、言えるはずもないけど、大人になった今しか言えなかったりすることはある。小学生には語彙がない。表現する力がない。小学生の気持ちを大人の言葉で伝えるところにグッとくるのだ。
「ありがとうございましたー! まあ、早かれ次の曲で最後になるんですけどね。今日はこんなに人がね、憎き渋谷ピーポーが集まってね、またよかったらライブに来てください。来なくていいけど」
の子が無愛想に吐き捨てた後は『ロックンロールは鳴り止まないっ』のイントロが。
始まりはかっこよくキマったが、最初のあたりの歌詞を思いっきり間違えるの子。「do,da~」のちばぎんのコーラスが気持ちいい。顔を(>_<)←こんな感じにして叫ぶのがたまらない。
演奏後、「の子ーー!」という歓声が。
男性客の「の子ぉお!!」という野太い声に、「お前、怒り気味じゃねえかよ」と指摘するの子。「怒ってねえよ!」とお客さん。「怒ってねぇよ!おぇ!」とそのお客さんの真似をするの子。「おぇ!うぇ!次はぁ!『死にたい季節』って曲やりますぇ!」と真似しながら曲紹介。失礼すぎる。
の子の「…えっもう終わり?」という声に、客席から「もっとやってーー!!」という声援が。「なんだよ!これで終わりかよ!わざわざ北海道から来たってのによ!」との子が喋ってある間にみさこが叩き始め、「お前、だから空気読め!頭おかしいんじゃねえか!?」と激しく叱責。この日2回目のかみ合わない瞬間です。
「早くやれーー!」と客の野次により、再度『死にたい季節』を。
の子側で撮影しているからか、ギターの音がよく聴こえる。弾く単音のメロディがキンキン鳴り、気持ちいい。タイトルに似つかわしくない、美しくキャッチーなメロディ。いや、"死にたい季節"というものは意外にキレイなのかも知れないし、そんな季節には色んなものが眩しく見えるものなのかも知れない。少なくともの子の目にはそう映るのだろう。
途中、の子がマイクに角度にキレる瞬間がありつつも、爽やかな印象をステージに残した。THE COLLECTORSや黒猫チェルシーやトライセラトップスのファンは、どう思ったのだろう。
「機材の不備があってちょっとグダったけども、まあ機材のせいにしちゃいけないよな!とりあえず、みなさんありがとうございましたー!!これから黒猫ヤマトとトリケラトプスが出るんでー!はいがんばってがんばってー!」
最後まで黒猫チェルシーとトライセラトップスの名前をちゃんと言わず、終了。
ライブ後、ステージに黒猫チェルシーのメンバーがセッティングに現れる。の子、黒猫チェルシーのボーカルを目の前にして、「あっ!お前!お前あれだろ!!」と反応する。苦笑いするボーカルでした。
神聖かまってちゃんのライブが終わり、客席の後ろのほうにいると、OKAMOTO'Sのベーシスト・いくみさんが。メガネ大きい!ヒゲ怪しい!握手してもらった!嬉しかった!
この日は脚本家の宮藤官九郎さんや、EMIの加茂啓太郎さんも観に来ていたらしい。
注目されるようなイベントに次々と出演が決まっていく、神聖かまってちゃん。
初見の人たちにも魅力を感じさせていくのだろうか。この日、の子は女の子のお客さんにサインをしてあげていた。ところがそこには「みんな死ね」「ころしたい ころしたい」などと書いていたらしい。これは恐すぎる。
2009年11月3日 渋谷duo music exchange
〈セットリスト〉
1、天使じゃ地上じゃちっそく死
2、ゆーれい未満
3、学校に行きたくない
4、ちりとり
5、ロックンロールは鳴り止まないっ
6、死にたい季節
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