サマーソニック後、渋谷に直行。
渋谷に着いた時点で妙な疲労感。千葉からはやはり遠い。神聖かまってちゃんも豪雨を潜り抜け、この日のダブルブッキングの2発目の会場、渋谷LUSHへ。
劒マネージャー曰く、LUSHにはナタリー、SPACE SHOWER TV、CINRAという名高いメディアの方々がライブを観に来ているとのこと。
ステージでセッティング中のメンバーを見ていると、やはり本日2回目のライブというだけあって疲労感も伺えた。
しかし、ここでは夕方のサマーソニックをリベンジするかのように、過去最高のライブをみせてくれた。
イベントの司会者により、「次のバンドは、幕張メッセのサマーソニックから駆けつけてくれました神聖かまってちゃん。イェーー!」と紹介される。拍手する観客に対し、の子が「うるせえ、帰れ!」と突っぱねる。ちばぎんが「おい」と言うが、気分を切り替えさせるように「サマーソニック行ってきましたー!」と場の空気をなだめる。
「帰れなんて言ってすみません、元気なくてすみません。」
の子が謝ると、「何言ってんだよー」と客席から野次。元気よくそれに応え、演奏がスタート。
1曲目はいきなり『ちりとり』。
monoのキーボードから始まり、そのあとのちばぎんとみさこのバーン!と音を合わせる瞬間がばっちりキマる。渋谷屋根裏での異常なテンションとは全く違い、穏やかに演奏するの子。テンションが高くないせいか、しっかり歌う。疲れ気味なのがちょうどいいのだろうか。丁寧にギターを弾き、勢いに任せていなかった。初めて、彼らのちゃんと演奏している姿を観た気がする。
ちばぎんとみさこの安定したリズム隊。の子の「しかしだ!あなたは僕の心までちりとっちゃったのです!」という気持ちのいいシャウト。
今回は何かが違う。
「サマソニのことはもう忘れた!もう!どうでもいい!そんなこと!とりあえず、『23才の夏休み』ができなかったので、ここでやろうと思ってます!」
の子はやっぱりサマーソニックを挽回したがっていた。
「てか、こんな遅くによく来たね」との子がお客さんに話しかけると、「サマソニ見れなかったんだ」と返される。「へー、あ、そー」とニコニコするの子は「僕もエイフェックス・ツイン観ようと思ってたけど、ここ来ちゃってさ。ショック受けたんだ」と、自分のライブ以外でも悔しいことが満載だったようだ。たしかに、サマソニ後もライブあるなんて全然ゆっくりできない。
ドカドカドッドッタン!というみさこのドラムから『23才の夏休み』へ。
後にニコニコ動画でライブ動画をアップすると、誰かが「サマソニリベンジ」のタグをつけた。まさにサマソニでの憂鬱を吹っ飛ばすかのような演奏。夏にちょうどいい曲が披露され、これを幕張でもやってほしかったとも思うけど、場所は関係ないのかも知れない。あとでネット上に動画が転がれば、サマソニとは比べ物にならないほど多くの人の目につく可能性がある。
彼がネットの動画を大切に思っている理由はここにあるだろう。
そんなことはとりあえず置いといて、とにかく今はの子のヘッドマイクがいちいちズレ続けて落ちそうなスリルが。歌いながら元の位置に戻すの子。またズレる。不安定だ。の子、ちょっとマイクにキレ気味で歌う。それが表情に出て、鬱屈とした夏休みを自然に表現できている。
そして遂にズレズレに怒りが頂点に達し、頭を振ってヘッドマイクを吹っ飛ばす。更にはなぜかマイクスタンドまで蹴り飛ばす。マイクスタンドの気持ちとしては「ええっ!」と驚きの展開だろう。
「足が痛い…」と弱音を吐くの子。「今日は来てくれてありがとうございます!」とmonoがマイクを通さずに言うと、客から「オフマイクじゃねーかよ!」という野次。「オフマイクって何だよ!」とmonoが悔しがり、「じゃあここまで来て喋ればいいじゃないですかー!」との子に促され、monoがステージ前方まで来て「こんばんわー!」と挨拶。の子「邪魔だよ!!」。会場は笑いに包まれる。
「LUSHに来てくれた皆さんに曲を聴かせたいって気持ちでがんばります」とmonoが真剣に喋るが、ちばぎんに「マイクあっても何言ってんのかわかんねえよ」と厳しくつっこまれる。monoは「オフマイクって何だよ!」と逃げる。
次は『ロックンロールは鳴り止まないっ』。
サマソニでもこのライブが観たかった。と思わせる演奏。「ロックンロールは、鳴り止まないっ」と言った後、の子が客席にダイブする。そのとき、の子の頭部がナタリーの社長・大山タクヤさんの足に激突したらしい。
まだ演奏は終わっておらず、ギターを肩に抱えてロックスターの漂わせながらステージに戻るの子。「いつまでも、いつまでも、ロックンロールは鳴り止まないと思ったら、そいつは…痛い」と言い残し、やっぱり足を痛がっている様子。タクヤさんも痛かっただろうに。
の子はステージの後ろで休憩。monoはそんなの子を見て「燃え尽きた」と小さな声で呟く。
なぜか服を脱ぎ、上半身裸で前方に戻るの子。サマソニ同様、またもやチューニングができない。ちばぎんに託し、これで3公演連続チューニング任せ。
チューニング中は劒マネージャーを含める男4人が前方でウロウロする。その間、みさこが静かにドラムを叩き始める。そのリズムに合わせてmonoが可愛らしく「サマ・ソニ・しっ・ぱい!サマ・ソニ・しっ・ぱい!」と歌う。やっぱり失敗だったんだと、この瞬間分かった。
monoが場を繋ぐ。monoのポロシャツ姿に「ポロシャツー!」の客席から声援が。「ポロシャツいいでしょ。ユニクロで買ったんだよ安いから。ユニクロばんざい!」と、どうでもいい情報を提供する。「配信見てる方っているんですか?」とmonoの問うと、何人か手を挙げる。「見たことない」という客の返事に、「俺を?」とmono。「生で見るほうがまだいいでしょ?」というmonoの不可解な自信に、お客さんは「まんま」と正直に返し、「ふざけんじゃねえよ全く!」とmonoが笑う。
チューニングがいつの間にか終わり、ライブでは初めて聴く『スピード』。
いちいちキレが最高。「ひとりぼっちが好きだったら、走れ走れスピードで」の少し静かになる部分でのmonoのキーボードのメロディが切ない。「言われるかも知れないけど」のとき、みさこのドラムだけになる部分がキマっていた。
「走れ!走れ!走れ!走れーー!」と疾走感バリバリで駆け抜けるラストがヤバイ。
「セットリストなんて何も考えてなかったから、最後は死ねよ佐藤…『夕方のピアノ』でもやって終わりたいと思います!」
の子が告げると、最後の曲は『夕方のピアノ』。
「死ねーーーー!!」
ボーカルエフェクターで少年のような声になったの子の、喉が張り裂けてしまうほどの絶叫が続く。
そうか、こういうライブが観たかったのだと思わせるほどの興奮。客席は静かだが、ライブハウスにはあらゆる感情が渦巻いているように思えた。「お前のことさぁー!」と絶叫するの子。ただ黙々と美しいメロディを弾き続けるmono。いつも以上にエモーショナルに動き、ベースを鳴らすちばぎん。風が吹き荒れるようにドラムをバシバシ叩くみさこ。
そうか、これが神聖かまってちゃんだったのか。かっこいいバンドですな。
「はいはいはいはい神聖かまってちゃんでしたー!またよかったらライブ来てくださいー!えーと、次のライブは…9月の…何日かにある!!」
ちばぎんが「4日です!」とすかさず対応し、渋谷LUSHでのライブは終了。
サマーソニックでの雪辱をその何時間後には果たすという、1日でちゃんとドラマチックになったダブルブッキングが終わります。落ち着いたテンションでライブするの子を初めて観た。最後の『夕方のピアノ』のような鬼気迫るライブがずっと観たかった。お客さんとの掛け合いも楽しく、メンバーそれぞれがMCでも十分役割を果たしているように思えた。
見事、サマソニリベンジをした。音楽メディアの方々は、どう思っただろうか。ここから、何かが始まるのかも知れないのです。
でも次のライブが9月4日って…1ヶ月くらい先じゃないか!
2009年8月7日 渋谷LUSH
〈セットリスト〉
1、ちりとり
2、23才の夏休み
3、ロックンロールは鳴り止まないっ
4、スピード
5、夕方のピアノ
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