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2016年9月20日火曜日

BABYMETAL WORLD TOUR 2016 TOUR FINAL "LEGEND - METAL RESISTANCE -BLACK NIGHT-"「ある少女の憑依、豹変、そして覚醒へ。」



余韻が身体から抜け切らない。

十字架に磔になった3人。高さ20mのステージから響く歌声。一斉に灯される赤い光。噴き上がる火柱の中の全力疾走。
そして達成感に満ちた「We are ! BABYMETAL !」。身を寄せ合って360度客席を見渡す3人の姿はこれ以上ないくらいに煌めいていた。
この2日間を通して、喜怒哀楽様々な感情を湧き立たせられた。貫き通すコンセプト。徹底したクオリティ。圧倒的なリスペクト。この3つが、それを作る3人が、それぞれ三位一体となって重なり合う。やがて鋭いトライアングルになって心臓を突き刺す。赤く染まる。黒く焦げる。燃え尽きた。
あの時の残響が、残像が、いまだ身体中に染み付いている。シャワーを浴びても洗い落とせず、一夜明けても醒めない。いっそこのままお風呂に入らず、眠らずに過ごしたくなるほど、宝物のような時間がBABYMETALの東京ドーム2Daysの第二夜 - BLACK NIGHTにあった。

SU-METALが覚醒していた。あれは間違いなくモンスターだった。彼女たちは史上最高をまたも更新した。観たかったものをすべて魅せる、非の打ち所がないツアーファイナルだった。




昨日(9月19日)のライブレポート - RED NIGHT

昨日に引き続いて水道橋は大雨に見舞われている。台風が関東地方に接近する中、突き進む嵐と同じ方向を目掛けて東京ドームへ。
そこは平日とは思えない盛り上がりで、まるでお祭り会場。コスプレ、コープスペイントを施して記念写真を撮る人たちはみんな笑顔で、ここが悪天候とは到底思えない。25番ゲートは混雑することなく、昨日よりすんなり施設内へ入ることができた。
またしてもコルセットが配られる。一見昨日と何の変わりのないものに見えるが、ここから発される光がまた新しい光景を作り出すことになるだろう。と同時に、辺り一面がコルセットを首に巻く人々で埋め尽くされ、史上最大の整骨院となるのだろう。
昨夜のRED NIGHTと同じく円柱ステージが立ちはだかる。オープニングムービーの宣言が正しければ、今日は昨日とは全く違うセットリスト。すでに披露する曲が決まっているライブは初めてかも知れない。『THE ONE』無くして余韻を残すことができるのだろうか。と、その不安はこのライブレポートの冒頭にある通り、あっけなく杞憂に終わった。
開演前、座席はすべて埋まりつつある。平日でしかも台風が迫り来る中、このようなことがあるのだろうか。前日の余韻がまだ抜け切っていない最中、新たな余韻が上書きされる時が迫る。

きた!
円柱ステージの360度電光板が光り、観客が一斉に起立する。昨日と同じくオープニングムービーでプロデューサー・KOBAMETAL氏(全身骨タイツ)の「キツネだお〜」と低音ボイスでの挨拶が始まる。
「二日間で一つの物語を構成する。BABYMETALの二大教典『BABYMETAL』『METAL RESISTANCE』から全ての調べを奏でる。一度奏でた調べは二度奏でられることはない。」
つまり、『ギミチョコ!!』『KARATE』『Road of Resistance』という必殺曲が今日は鳴らない。それでも、確実に演奏することが約束されたあの曲やこの曲を想像しながら胸の高まりが抑えられないでいる。
「トリロジーの三点が重なり合い、我々を頂点に導く奇跡の物語……」
1stアルバム『BABYMETAL』のオープニングを飾る儀式の始まりを告げるような音楽に乗せて、2015年の埼玉・幕張・横浜の三部作ライブ、2016年の聖地・ウェンブリーアリーナの映像とナレーションが。それはBABYMETALの歴史を辿る時間であると同時に、それを観てきた者の記憶の断片を呼び覚ます時間でもある。
「国を超え、世代を超え、世界中から集まりし11万人のメタルの魂"THE ONE"の集合体は、白い屋根を突き破るほどの強大な光を放ち、天空を紅に染めるだろう。」
あの日、あの時、あの場所でBABYMETALが作り出した"伝説"、すなわち己自身の限界を超えることで新たな物語が生まれるという。彼女たちのバイオグラフィーを感慨深く振り返る隙もなく、「諸君、首の準備はできているか?」ーその答えとして地鳴りのような呼応が東京ドーム中に響き渡り、いよいよBLACK NIGHTが幕を開ける。

雷が打ち鳴らされるようなリフ。それに合わせる怒号のような歓声。『BABYMETAL DEATH』が始まる。これが鳴ると否応無く全身の血が滾る。BABYMETALのライブが始まった!そんな気持ちにさせてくれる。
円柱ステージから三方向に広がる棺桶型のステージ上に一斉に視線が集まる。なんと、3つの棺桶の上でそれぞれ3人が十字架に磔にされている。かつて2年前の幕張メッセ・イベントホール『LEGEND 1997』ではSU-METALが磔にされたが、今回はYUIMETALとMOAMETALも。その十字架はやがて移動するステージによって中央に集まり、3人の身体が解き放たれる。そして東京ドームを静観するようにフォックスサインを掲げ、5万5千人に召喚されたかのように"メタルレジスタンス"の狼煙を上げる。

その表情は三者三様だ。SU-METALはキリッと鋭い目付き、YUIMETALは勇ましくも可愛らしく口を尖らし、MOAMETALはニヤリと小悪魔的に微笑む。名前しか言わないという前代未聞の歌詞でも、その情報量は3人の表情に豊富に詰め込まれている。
衣装は昨日と違い、今日は赤が残っている。というか、赤が激しく主張している。SU-METALに至っては肩のフサフサとした部分がメタル・クイーン感を醸し出し、カリスマをよりカリスマに仕立て上げている。 昨日は2ndアルバム、今日は1stアルバムを表しているのかも知れない。

一旦儀式が終わると、ここからメタル・アミューズメントパークへ。回転ステージを縦横無尽に遊び尽くす『あわだまフィーバー』は終始笑顔が堪えきれず、メンバーに倣って「あわ〜あわ〜♪」と両腕で丸を作って踊るのが楽しい。サビでSU-METALが「もっと!」「歌って!」と煽って、「Ah Yeah!」と一斉にジャンプする。
そのテンションは『ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト』でも変わらず。「アタシん家」のYUIMETALの目を細めた笑顔にヤラれて、その後の「You and Me〜!」と叫び逃す。あの瞬間、もしパソコンだったら確実にスクショの音が鳴り止まない。それを言ってもしまったらこの二日間、パシャパシャと記者会見のようにシャッター音が鳴り響いてしまう。

待ちに待った『META! メタ太郎』の時間がやって来る。ウルトラマンが空を飛ぶようなポーズでちょこちょこ歩く振り付けの可愛さは、東京ドームの広いステージでより一層映える。ワールドツアーではYUIMETALが"飛ぶ"方向を間違え、それを間違いに思わせないためにMOAMETALが即座に軌道修正するコンビ愛が見られた。
長い旅から培ったパフォーマンスを讃えるように、オブリガート部分のメロディをシンガロングするシーンが用意されている。「Wow Wow〜♪」男性客の多さから地面が揺れるような低音が響き渡る。この時点でRED NIGHTと全く引けを取らないセットリスト。演奏する曲目がすでに分かっていても、音が鳴る時点で思わず声で出てしまう。

ムービーが始まる。"怒り"を主題にした英語のナレーションで、神話のような絵が赤い炎に包まれていく。
「神は人間の心の奥底に怒りを封じ込めた。やがてA-KIBAの魔力によってその封印は解かれ、再び怒りの炎が燃え上がり、この世を焼き尽くすのだ。」
相変わらずスケールの大きな語り方に畏怖の念を抱く。やがてナレーションが語気を強めて、「燃やせよ!燃やせよ!胸の中に秘めた怒りを!」「戦え!戦え!お前らの怒りを叫べよ!」と訴えかける。もうすでに答えが出ている。「I watched as the lamb opened the first of the seven seals...」と新約聖書のヨハネの黙示録の一節が読み上げられると、ステージに一斉に光が集まる。こうして凶悪な世直しソング『Sis.Anger』が無数の火柱に迎え入れられる。
「ざっけんじゃねーぞ!おい!おら!」
YUIMETALとMOAMETALが時折髪の毛で顔が隠れるくらい顔を振り乱す。"怒り"をテーマにしたこの曲でBABYMETALの表現の幅がグッと広がったように思う。ネガティブな感情を歌っていても、力強く背中を押してくれるような応援ソングでもある。それぞれが棺桶型の移動ステージに分かれて、アリーナの客席に近づいてくる。2人が離れた場所で激しいダンスを繰り広げることで、いつもの2人横に並んでいる距離感ではない分双子感は薄れ、その反面それぞれの存在感が際立つ。

壮大なオペラのような音楽が鳴り響き、真っ赤な光が辺り一面を照らす。神バンドのソロが始まり、三つの棺桶型ステージをLeda氏、大村氏、BOH氏が渡り歩き、超絶プレイを披露する。
繰り返される「オイ!」コールと、それに応える神バンドの演奏。青山氏の壮絶なドラムソロで一旦幕を降ろし、センチメンタルなピアノとストリングスがあの曲を予感させる。「幾千もの〜♪」の歌い出しから白い光が眩しく照らすのは、マントを羽織ったSU-METAL。イントロ部分を歌い上げると、火柱に取り囲まれながら「アカツキだーーーっ!」と叫んでマントを翻す。
東京ドームの大きな舞台で神バンドの爆音に掻き消されず、透き通った歌声がダイレクトに届く『紅月-アカツキ-』。とてつもないエネルギーを感じる。声が荒がるわけでも、叫んでいるわけでもない。客席がモッシュやサーフで狂うわけでもない。ただ、この会場の中で根底に流れている激情を確かに掴み取り、それを肌で感じる時間になる。歌声に様々な表情を身に付けている。間奏前はゆっくりマイクを降ろしながら客席を見渡す。その眼光が鋭くて目に焼き付いて離れない。かっこよすぎて鳥肌が止まらなくなる。

復活した『おねだり大作戦』 が嬉しくて、まるでステージ上の少女たちのように「買って!買って!買って!買って!」と何度も飛び跳ねてしまう。骨パーカー姿のMOAMETALのフードがどうしても頭から外れるのが可愛らしい。物販でおねだりされるのもいいけど、やっぱりステージでおねだりされるほうが助かります。
ムービーが豪雨の中で水に浸かったギターやベースを映し出す。台風接近中の現在、ここまでふさわしい楽曲があるだろうか。「だが、止まない雨はない。」まるで誰かの希望のように、一つの願いのように、『NO RAIN, NO RAINBOW』が静かに始まる。
いつ以来の披露になるのか。過ぎ去る一秒一秒が恋しく思えた。SU-METALはAブロックに近い棺桶型ステージの前方に姿を現し、そこからゆっくり歩きながら歌う。やがて中央ステージに到達し、間奏が終わるといつの間にか天空ステージに。地上にいる我々はその姿を讃えるように空高く拳を上げる。「絶望さえも光になる」ーその歌詞がこの後の展開を暗示しているかのようだ。

シリアスな雰囲気から一転し、『ド・キ・ド・キ☆モーニング』が天空ステージで繰り広げられる。アリーナ席からは見上げる形になるが、スタンド席の後方からはちょうど見渡せる。どのような角度からも高さからも平等に、ありとあらゆる場所から分け隔てなく鑑賞が許されるステージ構成になっている。
特にブレイク部分の3人が倒れるシーンはスタンド席からしか見えない。映像のスイッチングも3人の表情に寄らないので、この日のそれぞれの寝起き姿を観たのはアリーナ席にはいないだろう。

ここからクライマックスに突入する。今までにBABYMETALのライブで感じたことのない、ある表情を目の当たりにする時間へ。
『メギツネ』の盛り上がりは尋常ではない。やはり1stの楽曲は浸透力が強いせいか、一体感が並大抵のものにならない。「それっ!それっ!」と飛び跳ねるメンバーと観客。自分も飛び跳ねているので分からないが、ここまで一斉に着地するなら床が揺れているに違いない。
SU-METALがキツネ面を手にした後、ここからしばらくは全ての時間がSU-METALタイムと化した。
「Are you ready?」と煽りながら片方の顔をお面で隠し、もう片方から覗く表情の迫力は今後長く語られるだろう。突き刺す、切り裂くような、獲物を捕えて離さない目つき。「女は女優よ」と歌詞にあるが、女優どころか憑依した、もしくは豹変した、何かが乗り移ったような姿に釘付けになる。
YUIMETALとMOAMETALが「そいや、そいや、そいや、そいや♪」と手拍子を促して満面の笑みを浮かべる一方で、SU-METALはニヤリと企み顔で攻めてくる。会場が盛り上がる中、ただ唯一この状況を静観しているのだ。その表情に狂気を感じた。BABYMETALでこのような表現を見るのは初めてだ。
「ジャンプ!」と何度も煽りながらジャンプを続けた後も息を切らすことなく「いにしえの〜♪」と美しく歌い続けるのだから、そのエネルギーはただものじゃない。そんなことは以前から分かっていても、このモンスター級の表現力に感服せざるをえない。それは決してポケットに収まらない。むしろ収められるのは我々のほうだ。

『ロッキング・オン・ジャパン』の付録『BABYMETAL完全読本』で本人が語っていたことを思い出す。
「心の中にモンスターがいる感じっていうか。そのモンスターを解放してあげたらどうなるんだろう?っていうちょっとした疑問があって。だからピョッって手放してみたら自由に飛び立っていったんです。
 そこからライヴの中でしかその子は出てこないけど、その中で自然に暴れ回ってたらどんどん大きくなっていって。」

そのモンスターは『ヘドバンギャー!!』でますます進化する。マイクスタンドを華麗に扱い、肩のヒラヒラを靡かせながら歌う彼女の姿は、まさにクイーンだ。でも、正体は得体の知れないモンスター。「ヘドバンギャーーー!!!」と叫んだ後は間奏部分でYUIMETALとMOAMETALがヘドバンを促し、広いステージを行き来する。SU-METALはその中央でまたしても静観する。その表情はやはり狂気に満ちている。心地よい恐怖を感じる瞬間を目の当たりにする。
観客のヘドバンが映像で大写しになり、"重音部"のタオルを掲げながらヘドバンするお客さんの姿が印象に残る。古くから見続けてきた人にとって今日は感慨深い一日に違いない。イスの前で土下座ヘドバンを繰り返す様から切実な思いが伝わり、そのアグレッシブな姿は少し笑えながらもなぜか泣けてくる。

そして、BLACK NIGHTは最終章へ突入する。『イジメ、ダメ、ゼッタイ』のいつもの英語ナレーションに新たに言葉が加わる。
「キツネ様が教えてくれた。私たちの存在一つ一つは小さいけど、それでもみんなが力を合わせれば大きな光になる。それは不可能を可能にする。何も恐れることはない。勇気を出して、一歩を踏み出して。」
会場を見渡すと無数の赤い光が瞬いている。コルセットが赤く光り出している。その存在一つ一つを示し、文字通り大きな光となって会場全体を赤く染めている。『ヘドバンギャー!!』〜『イジメ、ダメ、ゼッタイ』の流れから、2年前の日本武道館を思い出す。あの日、あの時、あの場所で揺さぶられた感情が蘇る。YUIMETALの転落と、MOAMETALの転倒。最後、3人の笑顔が見れたことがどれほど嬉しかったか。あの出来事をここでリベンジしようとしているのか。その想いに胸が締め付けられる。"不可能を可能にする"ー今、たくさんの光を集めながらその時がやって来たのだ。「絶望さえも光になる」ーまさに、あの歌詞の通りに。

ざわめきの中でSU-METALが静かに歌い出す。その表情はやはり何かが降りている。歌い終わるとキッとした表情で空気を割くようにフォックスサインをクロスし、自分の分身を呼び起こすようにYUIMETALとMOAMETALに合図する。
SU-METALの咆哮とともにYUIMETALとMOAMETALが棺桶ステージから全力疾走し、無数の火柱が取り囲む円柱ステージへ到達する。
『イジメ、ダメ、ゼッタイ』は無数の赤い光に見守られている。髪の毛を振り乱す。ダメジャンプする。フォックスサインを掲げる。これまでに何度体験したことだろう。なのに、まるで初めてライブを観た時の興奮が蘇った。
「痛み、感じて、ずっと、ひとり、こころ、気づかないふり、もう、逃げない、イジメ、ダメ、ゼッタイ」
3人がサムズアップで向かい合う時、SU-METALの表情を見逃さなかった。あれは間違いなく覚醒していた。
ゾクッとした。今までに見たことがない。長い長いワールドツアーのゴールを目前に控えたランナーズ・ハイ故か。そのテンションの表現方法に笑顔を選ばなかった。才能も情熱も努力もすべて狂気を宿らせた。紛れもなく、その覚醒はSU-METALという世界を切り開いている大きな存在を明確に示していた。

巨大なモンスターを目の前に、ただ打ちひしがれるしかない。1時間半があっという間に過ぎて、BABYMETALの"史上最大の決戦"が壮絶に終わる。

2年前の日本武道館を塗り替えて、ここ東京ドームでまた新たな「最高」を叩きつけた。憑依、豹変、覚醒を経たSU-METALの表情がライブが終わると突如として無邪気になり、またさらにこの後に起きる出来事がとんでもない無邪気さを醸し出してくる。
天に願いを込めるような振り付けを解くと、3人は安堵の表情を浮かべて走り出す。「We are !」「BABYMETAL !」ー恒例の掛け声を促しに、三方向の棺桶ステージに向かっていく。

その最中でどよめきが走った。なんと、SU-METALが階段を降りる際にずっこけたのだ。

メンバーに「いや、ここにこれがあって……」とまるで言い訳じみたように床に指を差す。先ほどまでのモンスターはどこかへ飛んでいった。ほんの数分前のカリスマ性が嘘のように、"SU-METAL"と"中元すず香"の振り幅を見た。
YUIMETALが恐る恐るステージを歩く姿が微笑ましい。『イジメ、ダメ、ゼッタイ』の全力疾走で転ばなくて本当によかった。日本武道館で転落したYUIMETAL、転倒したMOAMETALに歩幅を合わせるように、その2年後にSU-METALがずっこけた。3人が身を寄せ合って、お互いの身体を支え合いながら歩いていく。こうして世界中の舞台を歩いてきたのだろう。その姿が涙腺を激しく刺激する。

SU-METALがYUIMETALにマイクフォローし、「We are !」と呼びかけさせる。その後にちょんちょんと肩を叩いてMOAMETALにマイクフォローすると思いきや、SU-METALは自分で「We are !」と言い出す。「えっ、もぅ〜」の表情のMOAMETALと、「えへへ〜、ひっかかった!」といじわるな笑顔を見せるSU-METAL。長い長いワールドツアー最後の3人の表情はやり切った達成感に満ちて、BABYMETALという鋼鉄の鎧を脱ぎかけた姿が垣間見れて嬉しかった。
それは神バンドにも見受けられた。Leda氏と大村氏が抱き合う姿が美しく、またLeda氏がSU-METAL同様豪快にずっこける姿が微笑ましかった。

最後は天空ステージに登る。いつの間にしか出現した巨大な銅鑼を前に、SU-METALがはしゃいでいる。それは昨日と今日のかっこよさをすべて吹き飛ばしていた。やっぱり少女なんだなぁ、と思うと同時に、こんなに無邪気な少女たちにこれほどまで凄まじい表現を魅せられていたのか。と、改めて心を打たれる。

「3、2、1……」とカウントして、銅鑼を叩く。盛大に特効が鳴り、美しい火花を散らしてBABYMETALの東京ドーム2Days、そしてメタルレジスタンス第4章が華麗に幕を閉じる。

その後、恒例の重大発表はアナウンスされず、「戦士たちに休息はない。」というナレーションが示すように、今後もBABYMETALの挑戦がまだまだ続くことが約束された。Red Hot Chili PeppersとのUKツアー然り、いつか来る新たな発表はまた多くの人を驚かせることだろう。
『From Dusk Till Dawn』は昨日同様にやっぱり退場BGMでしかなかったが、もうすでにお腹がいっぱい。それも全然許せるくらいの満足感で倒れそうになっていた。

初めてBABYMETALのライブを観た時、その完成度に驚いた。でも、今思うとそれは全く完成ではなかった。あのクオリティでさらに自己を高めて、上へ上へと登りつめていく。ライバルはいない。なぜなら、自分自身しか戦う相手がいないから。その精神にいつも心を突き動かされる。
そして、東京ドーム公演にも関わらず全編が実質1時間半もなく、ストイックに貫き通す姿勢に痺れる。MCもなければアンコールもなく、休むことなく音が鳴り続ける。無駄が一切なく、あらゆる角度から人々を楽しませようとする心意気にひれ伏してしまう。

SU-METALの覚醒を目撃した。あの表情からBABYMETALは新たなストーリーを歩んでいくことになるのだろう。かわいい、かっこいい、その先の道なき道が薄っすらと浮かび上がる瞬間だった。
「すっげぇもん観た。」としか言えない。
終演後は誰かに話そうとも「いや〜……」としか声が出ないくらい余韻にヤラれてしまった。心が震えているのを実感する。

SU-METALの覚醒によってあまり取り上げられなかったシーンは、『メギツネ』でYUIMETALが手拍子を促しながら「タン、タン、タン、タン」と呟く口の動き。この緩さがSU-METALが醸し出す緊張感とのギャップが凄まじく、MOAMETALの満開の笑顔はもちろん、このグループは相変わらず両極端の魅力がいつだって共存している。
とはいえ、これが完成ではない。きっと、この先今日を振り返った時にそれが分かるのだろう。

今日までBABYMETALが好きでよかった。もちろんずっと、これからも。


 (BABYMETAL 公式Twitterより)


BABYMETAL WORLD TOUR 2016
TOUR FINAL AT TOKYO DOME
LEGEND - METAL RESISTANCE -BLACK NIGHT-
2016年9月20日(火)


01:BABYMETAL DEATH
02:あわだまフィーバー
03:ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
04:META! メタ太郎

05:Sis. Anger
06:紅月-アカツキ-
07:おねだり大作戦
08:NO RAIN, NO RAINBOW
09:ド・キ・ド・キ☆モーニング
10:メギツネ

11:ヘドバンギャー!!
12:イジメ、ダメ、ゼッタイ


過去のライブレポートはこちらをご覧ください。

8 件のコメント:

  1. 書いてくださり、有難うございます!!!読めて、とても嬉しいです!!!

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    1. Y Aiueewan様

      いえいえ、こちらこそ読んでくださりありがとうございます!

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  2. 素晴らしい文章でした。
    先日の余韻を感じつつ思わず涙がこぼれました。
    じつは、初めてのライブでして、それが素晴らしすぎて放心状態で具体的に覚えてなかったのですが
    貴殿の文章のおかげで記憶が鮮明によみがえり感無量でした。
    この年でこんなに感動することがあったんですね。
    ありがとうBABYMETAL たけうちんぐ様。

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    1. そのように仰っていただき恐縮でございます。こちらこそ読んでくださり、ありがとうございます!
      この日が初めてのライブだったんですね。自分も初めての時は衝撃で、放心状態になりました。
      少しでも記憶を辿る糸口になってくださっていたら本望です。自分も忘れないうちに、記憶を記録にとどめたいと思いまして、ブログを書きましたので。
      これからもご覧いただけると幸いです。

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  3. いつもすばらしいレポートありがとうございます。
    私も2Days参戦しました。レポートを読んで記憶と感動が鮮明によみがえり、涙が止まりません。
    IDZからのWe are... C&Rで3人が肩を抱き合いながらの最高の笑顔が忘れられません。3人が幸せそうな最高のライブでした。

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    1. こちらこそ、読んでくださりありがとうございます!
      IDZからのWe are BABYMETALは、3人がやり切った表情で開放感に溢れていたのが印象的でした。あんなにくっ付きながら歩いて、ほんと仲が良いんだなぁ、こうして頑張ってきたんだなぁ、って思うと涙が出そうでした。
      ブログが少しでも記憶に役立てていただけたら光栄でございます。

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  4. 私も何とか両日参戦出来ましたが、あれから、もう1週間過ぎたのに、未だに余韻が頭の片隅から離れていきません。

    色々なメイト達が、挙ってレポートをアップしていますが、貴殿のライブレポートが一番臨場感に溢れているので、読み応えがあります。

    有難うございました。そして、ご苦労様でした。

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    1. DAN-G-METAL様

      同じく、自分もいまだに余韻が全く離れていません…LVもチケットを無事取れましたが、その後さらに余韻が長引きそうで少し恐いくらいです。
      ライブレポートをそのようにおっしゃっていただき恐縮でございます…長い文章ですが、読んでくださりこちらこそありがとうございました!
      少しでもあの時に感じたことを書き留めたいと思いましたので、それを共有できていたら幸いです。

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