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2016年9月19日月曜日

BABYMETAL WORLD TOUR 2016 TOUR FINAL "LEGEND - METAL RESISTANCE -RED NIGHT-"「やがてその虚構が現実に覆い尽くされる。」



いよいよこの日がやって来た。

「この日まで絶対に生きよう」そう思うものなんて他にない。この日を逃すわけにはいかない。昨年12月、横浜アリーナで見た"TOUR FINAL at TOKYO DOME"の文字。まるで現実感がなかった。遠い未来の話のように思えた。それでもその日はやって来る。9ヶ月の時を経て、大きな音を立てて、街を食いつぶすように、BABYMETALがついに東京に舞い戻ってきた。

それは完全に非日常だった。巨大な円柱のステージを取り囲むように客席が広がり、5万5千人が皆フォックスサインを掲げる。入場時に配られたクリスタルのコルセットが『THE ONE』で一斉に光が与えられる。その光に照らされ、回転するステージで3人が思い思いの表情を見せる。
ある者は笑い、ある者は泣き、またある者はその光景を目に焼き付けようとする。三者三様であると同時に三位一体でもある。
生身の少女たちが完全体のフィクションを作り上げる、東京ドーム2Daysの第一夜 - RED NIGHT。新衣装はついに赤を無くした。黒と金で覆い尽くされた。赤に別れを告げるように、立派なお墓を建てるように、円柱ステージが荘厳な佇まいで人々を圧倒していた。
ここに来ても現実感がなかった。それでも全身に浴びる音、熱、光すべてが生々しく、いまだに足のつま先から頭のてっぺんまで焼き付いている。これが現実世界であることを示すかのように。

BABYMETALは長い長いワールドツアーから帰ってきた。世界各国の様子をリアルタイムでネットウォッチし、深夜から朝方まで時差を超えた熱狂を眺めていた。
アメリカツアーで全会場がソールドアウト、SU-METALの変顔、雨の中のダウンロードフェス・イギリスの大成功、MOAMETALの変顔、「AP Awards」にてロブ・ハルフォード(ジューダス・プリースト)との奇跡の共演、YUIMETALの変顔……
話題が尽きなかった。ライブ中、メンバーが向き合うたびに変顔を繰り出すという余裕と、遊び心と、無邪気さに力強いものを感じていた。日本人未踏の"道なき道"を突き進む、その過酷さを一切感じさせない。いつだって最高の結果だけを残す。「顔で笑って 心で泣いて」と『メギツネ』の歌詞にあるように、どんな時でも優雅に魅せ続けるチームBABYMETALの心意気をそれぞれの面白い顔から感じ取っていた。

そして、 この場所は言い過ぎではなく"約束の地"だった。




2015年1月のさいたまスーパーアリーナ『新春キツネ祭り』、6月の幕張メッセ『巨大天下一メタル武道会』、12月の横浜アリーナ『THE FINAL CHAPTER OF TRILOGY』の三点が結びつく三角形の中心が、BABYMETALのシンボル"THE ONE"の目の位置が、まさか東京ドームだったなんて。
しかもSaitama=S、Makuhari=M、Yokohama=Yとメンバーそれぞれの頭文字を表している。「すべてはキツネ様のシナリオ通り」。そんなエヴァの逆三角形の組織のセリフが聞こえてくる。

9月19日、東京ドーム。台風が日本列島に接近している。雨の中、傘と傘がぶつかり合い、スタッフが大声で呼びかけている。自分の入場する11ゲートはJR水道橋駅から遠く、傘をさしてもずぶ濡れになるような降水確率のもと、1時間近く長い長い行列に立った。
それにしても、人、人、人。赤と黒で埋め尽くされたドームシティは異様な空気感が漂い、観光客を脅かす。海の向こうから来たファンの姿をたくさん見かける。海外の掲示板によると、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、チリ、中国、チェコ、フィンランド、フランス、イギリス、ドイツ、インドネシア、アイルランド、イタリア、メキシコ、マレーシア、オランダ、スウェーデン、アメリカなどから来ているらしく、一番遠くてブエノスアイレス。その距離はなんと20,438km。そこまでして観に来る理由がBABYMETALにはあるのだろう。





開場が始まる。なぜか拍手が巻き起こる。顔認証を終えると、クリスタル(透明)のコルセットが配られる。そのアナウンスが始まると、「おぉ〜」と歓声が。
コルセット中央に東京ドームを模した固形物が封入され、そのバックプリントはこの日のイベントが記されている。これは一体何なんだろう。「?」という感情を抱えたまま、東京ドームの中へ。
「でっ、でっけぇ……」
東京ドームに来たのは初めて。33年間生きてきて、ドームコンサートを経験したことがない。いつもライブハウス〜アリーナレベルで、ロックフェス以外ではこのような大規模なライブは初めてだ。
それにしても、でっけぇ。中央の暗がりに円柱のステージが立ちはだかり、そこから三方向に長いステージが枝分かれしている。Aブロックの前方の座席から、あと一時間後に広がる光景を想像する。心拍数が上がっていく。低気圧でヤられた精神が徐々に回復していく。整骨院でもないのに首にコルセットを巻き始める。やがて、会場内でスタッフが拡声器でアナウンスする声が聞こえる。
「携帯電話やサイリウムなどの使用は禁止されています。光り物は入場時にお配りしたコルセットのみになります。」
「えっ、光るの?」
『シン・ゴジラ』の内閣府特命担当大臣が放つ「えっ、動くの?」同様、気の抜けたリアクションをしてしまう。後にBABYMETALの公式ツイッターでも画像付きでコルセットを巻く方向をアナウンスされる。


BABYMETAL公式Twitterより)


剃り残しが気になる。首の準備ができていない。

全身骨タイツのスタッフ・通称:骨さんが数人でフラッグを持ち歩き、各ブロックごとにヘドバンを促して熱を上げていく。開演の18時前になると、5万5千人がほとんど着席している。さあ、BABYMETALを迎え入れる準備はできている。

いよいよ!
会場が暗転する。円柱ステージ上部の360度電光板がプロデューサー・KOBAMETAL(全身骨タイツ)の姿を映し出す。「諸君、首の準備はできているか?」恒例の挨拶が始まる。もちろん、でも公式Twitterの画像の人は(清潔感の意味で)首の準備ができていなかった。首に巻くコルセットの案内や、この2日間で全ての調べを演奏することが告げられる。これまでにリリースした2枚のアルバムから、一度鳴らした調べは二度鳴らされることがないという。つまり、今日披露する曲は明日鳴らない。BABYMETALの集大成を東京ドーム2Daysに凝縮しようとしている。
オープニングムービーは「METAL RESISTANCE : EPISODE 4」の文字が浮かび上がり、『インデペンデンス・デイ』の巨大宇宙船を模したTHE ONEのシンボルマークが東京の街を覆い尽くす。『シン・ゴジラ』のパロディも盛り込まれる。さすが赤と黒同士、無視するわけがないと思っていた。毎度のことながら、有名映画のモチーフと時事ネタの扱いは健在だ。

赤い照明がサーチライトのように、四方八方を"RED NIGHT"の文字通りに赤く染める。この音は、この静けさは。これはまさか。と、光が一斉に円柱ステージに集まると、ついに本日の主役が姿を現わす。
『Road of Resistance』の始まりとともにBABYMETALがそれぞれフラッグを背負い、円柱ステージの頂に立ちはだかる。月面に降り立つかのように、フラッグを東京ドームに刺す。ゆっくりとその文字を広げる。"BABYMETAL" それは5万5千人が今求めているもの。その答えを示すように、自信に漲ったSU-METALの眼差しに鳥肌が立つ。
SU-METALが客席を割くように両手を広げるが、今日は残念ながら全席指定。ウォール・オブ・デスもサークルモッシュも発生しない。が、そんなことよりも心が今SU-に裂かれ、掻き乱されている。身体の中で暴れている。コルセットが矯正器具に思えてくる。エネルギーが体内に蓄積されていくのだ。
神バンドが一階で音を鳴らし、3人が最上階でパフォーマンスする。いきなりクライマックスだった。シンガロング付近になると、3人は一階に降りてくる。さすが5万5千人の歓声は地鳴りように響き渡り、その声のせいかMOAMETALの感極まった表情が大画面に映る。涙を拭う姿にもらい泣きし、この日が特別なものになることを予感させる。すでにライブ終盤かと錯覚してしまうほど、バトルフィールドと化した円形ステージと、壮大な声と声の掛け合いに、興奮度は臨界点を突破している。

ここから「MCもなければアンコールもない」お決まりのオープニングムービーの宣告通り、ノンストップのメタルレジスタンスが繰り広げられる。
『ヤバッ!』でステージが回転し、360度どの方向も差別なく観客と向き合い、それぞれの視線を共有していく。サビの「ヤバッ!」で静止する振り付けは大胆で、一番盛り上がる場面で緩急を余す所なく表現する発想に改めて心を打たれる。その後、/(`ω´)\みたいな表情で手をバタバタさせる仕草に心を奪われる。つまり、心が弄ばれている。ヤバッ!はこっちのセリフだ。

『いいね!』は恒例のレーザービームが東京ドームの至る所に放射し、突如としてダンスフロアと化す。コールアンドレスポンスは、やっぱり「東京ドーム!」。この人数のヘドバンは壮観で、整然と並ぶ客席から繰り出す両腕が美しく、健康的な宗教の儀式としか思えない。
聴き覚えのあるリフが何度も繰り返される。ヒントのような一節に「おお……」と言葉にならない感嘆が漏れ、その答えが光とともに姿を現わす。『シンコペーション』の全貌をとくとご覧あれ、とも読み取れるような、答えがいつだって一つであるかのような。そんなSU-METAL、YUIMETAL、MOAMETALの表情が噛み付いてくる。「回れ 回れ この世界から」で身体を軸に片腕を回す。そのあまりのかっこよさに、モッシュピットでもないのにすでに身動きが取れないでいる。

切ないピアノのメロディが鳴る。"RED NIGHT"を裏切るように青い光が覆い尽くす。『Amore -蒼星-』は映像の中でSU-METALの姿に大きな翼が重なり、まさしく翼を授かったように彼女の歌声が羽ばたいていく。ステージの頂点に佇むその姿は肉眼では確認できず、360度電光板の画面でしか見ることができない。こんなに近くにいるのに、遠く感じる。それは、同じ日本人であるはずのBABYMETALの世界的活躍にずっと感じてきたことでもある。
これが世界規模だ。世界レベルだ。その説得性に富んだ歌声でしかなかった。風が吹くように透き通るようで、炎が舞い上がるように熱くもある。大気中、人に必要な酸素全てを掴み取るような歌声に酔いしれる時間になる。
『GJ!』はお決まりの三三七拍子が鳴ると、5万5千人が一斉にその調子に合わせる。YUIMETALとMOAMETALの美しいシンメトリーが、鏡を合わせたかのような双子感が、乱雑する東京の街で失われつつある美的センスをくすぐる。それと相反する形で「もっともっとホラ」と煽りに応えるように、全席指定の客席が少しずつ乱れていく。

二重に回転するステージで、SU-METALと神バンドが逆方向に動くことで何度も交差する。ブレイクするシーンは映像がモノクロになり、全身を硬直させる。そんな『悪魔の輪舞曲』が終わると、シリアスな雰囲気を一転させる『4の歌』へ。
神々しい回転ステージが一挙にメリーゴーラウンドと化す。MOAMETALのえくぼたっぷりに、YUIMETALが目を細めて笑い、こちらも笑顔が止まらない。各ブロックがテロップによってそれぞれ勝手にチーム分けされて、自分のいるAブロックがなぜか「幸せの4」チームと名付けられる。うん、その名の通りだ。だって、YUIMETALが「みんな幸せ〜?」と尋ねながら枝分かれしたステージを歩いて近づいてくるんだもの。はい、答えは一つしかありません。
彼女たちが目の前から去っていく時に一抹の寂しさを覚えるが、心臓が止まりそうになった瞬間を目の当たりにした。MOAMETALが「次はこっちだよ〜!」と煽ると、一緒に歩いているYUIMETALが「うわ〜〜い!」みたいなテンションでぴょんぴょん飛び跳ねるのだ。あれは何なんだ。なす術がなくて姿勢を正した。楽しそうな笑顔で"幸せの4"になり果ててしまった。

神バンドのソロが始まる。枝分かれした長細いステージにそれぞれ大村氏、藤岡氏、BOH氏が煽るように観客に近づき、その名に相応しい"神"テクニックで盛り上げてくる。BABYMETALの3人とともに歩んできたワールドツアーの最終地、東京ドーム。決してバックバンドではなく、必然的なその存在感から3人がいなくても会場全体がヒートアップする。
「はいっ!はいっ!」という掛け声とともに再び姿を現した3人が、「ワン、ツー、ワンツースリーフォー」と合図する瞬間がBABYMETALのライブで最も心拍数が上がる瞬間だ。ここからかくれんぼが始まる。『Catch me if you can』は5万5千人に随時見つかっている。広いステージを堪能するかのように、いつもはその場で走る振り付けが、今日は本当に走っている。それぞれ三方向に散らばり、「とっておきの場所を発見♪」も「やだドキドキとまんなーい♪」も距離が離れた所で繰り出される。それでも"離れていても心はひとつ"なのか、サビになると3人が集まって"ぐるぐるかくれんぼ"を開始する。

「ギブミー...」と何度も呟かれ、映像の中でそのテロップが振動する。「チョコレート」と続きが呟かれると、爆発するように『ギミチョコ!!』へ。
現在(9月20日)YouTubeの再生回数が6,000万回に近づき、アメリカの人気番組「The Late Show」で披露され、世界進出の大きな名刺となったこの曲はリリースから2年半経っても色褪せない。間奏で3人が一度散らばり、再び中央に集まるシーンでステージが広いせいかSU-METALが焦った表情で駆け付けていた。ぶっちゃけると間に合ってなかった。頰をぷくっとさせて照れ笑いし、若干センターから外れた状態で踊り始める姿から、あんなにかっこいいのに自転車に乗れない。靴ひもが結べない。部屋でネギを栽培する。そんな"中元すず香"の側面が垣間見える瞬間が微笑ましい。

そんな可愛さから一転し、『KARATE』は勇ましい表情が目に飛び込んでくる。3人はヒロインそのものだ。いつだって少年にさせてくれる。年下の女の子というより、年上の女性として見える瞬間がたくさんある。
間奏でSU-METALが英語で観客に呼びかける。5万5千人の掛け声にまたしてもMOAMETALが感極まる。彼女の表情はいつだって観客の呼応に結びついているように思う。パフォーマンス中に客席の至る所に視線を配る、いわゆる"爆レス"をするのも、与えるべき人がちゃんと見えている所以だろう。首を差し出す相手に深々とお辞儀し、正々堂々と己の道を突き進む。決して他人と比べない。それはさくら学院のブログ『学院日誌』で菊地最愛として最後に書いた一文にも込められている。そのかわいさは信念に基づき、確固たる芯がある。だから、ここまで胸が締め付けられるのだろう。

ついに物語はクライマックスへ。ムービーが始まると、コルセットを付けることで時の方舟に乗り、"El Dorado"に辿り着けるというナレーション。"Tales"と、"Destinies"と、"THE ONE"。予感せざるをえない単語が散りばめられる。そしてメタルオペラというべきか、ある一つのリフで二つの曲が結びつき、あらゆる感情を掻き混ぜながらエンディングに向かっていく。

初披露となる『Tales of The Destinies』。息が詰まりそうになる。その凄まじさに微動だにできず、地蔵になってしまった。

間違いなく今日のハイライト。あの演奏を再現する神バンドの技量と、数秒ごとにカワイイとカッコイイの両極端を行き来する3人に表現力に度肝を抜かされる。喜怒哀楽を、音楽性の振り幅を、少女と女を。ありとあらゆるアンビバレンツが共存し、BABYMETALでしか出来ない表現が盛り込まれている。
何と言っても最大の目玉は、YUI&MOAがオモチャの人形のようにピアノを弾くような振り付け……周囲から悲鳴のような雄叫びが聞こえた。分かる。分かるよ。殺しにかかっているよね。「デカい」「スゴい」「ヤバい」と語彙を無くす。「かわいい」に至ってはあまりの強度に「かっ…」とため息になる。いくら大人ぶっていても、ここでは素直になってしまう。

会場が暗くなると、コルセットが白く光り出す。どよめきが走る中、何度も点灯・消灯を繰り返し、会場全体が淡く照らされる。
過去に巨大女神像崩壊(幕張メッセ・イベントホール)、回転するステージ(日本武道館)、赤い太鼓橋(さいたまスーパーアリーナ)、浮かび上がるステージ(幕張メッセ・展示ホール1〜3)、空中ゴンドラ(横浜アリーナ)とあらゆる演出が施されてきたが、BABYMETALがついに観客自身を演出に取り込んだ。
観客一人一人が演出の一つになり、今まであの曲で何度も囁かれていた"光"の意味がここで明かされる。
さあ、3人を迎え入れる準備はできた。最後の曲は『THE ONE』。それは奇跡のような光景だった。

Aブロックの目の前の長いステージにSU-METALが突然姿を表す。三方向にそれぞれ3人が登場し、ゆっくりと中央の円形ステージに歩み寄る。やがて5万5千人の光がBABYMETALを照らす。光の海に浸かるようにそれぞれの表情が煌めいていた。
東京ドーム中を見渡し、無数の光を前にSU-METALはパカッと口を開けて笑って、YUIMETALはしみじみと泣きそうで、MOAMETALはその光景を目に焼き付けているようだった。
三者三様にその表情は別々でも、三位一体にその姿は重なり合う。金色が混じった黒装束に身を包んだ3人は指先一本に魂を込めるように、宝物に触れるように、人差し指をゆっくり上げる。それに倣って客席から指を差し出し、溢れ出す想いを指先一本に込める。
まるで宇宙空間だった。地球の外側から世界を旅していた。これがBABYMETALから見える景色なのだろうか。
YUIMETALの瞳が潤んでいることで、こちらの視界も滲んで大変だった。「首に巻いたコルセットが光る」という割とシュールな出来事なのに、ここまで劇的なシーンに見えるなんて。

『THE ONE』が鳴り止み、コルセットの光が消える。物語は爆竹音によって終わり、次章へと続く。明日の東京ドーム第二夜"BLACK NIGHT"の告知で赤い夜は明けていく。

"BLACK NIGHT"の告知が表示されている中、ライブで再現化を心待ちにしている『From Dusk Till Dawn』が退場BGMに使われていた。これは単なるBGMとして使われていたのか、それともこの曲が明日の鍵を握るのか。後者に期待したい……。

日常では決して体験できない。非日常でしかなかった。それでも体験したことは日常と地続きで、生身の少女たちが表現したものを確かに受け取っている。

圧倒的なフィクションを観た。BABYMETALは明らかに「作られた」ものである。
キツネ様という神様、"新しいメタルの誕生を意味する"BABYMETALという名、そしてメタルレジスタンスという壮大な物語。
YUIMETALがスレイヤーのケリー・キングに影響を受けて、「YUIMETALになり切ろうと思いました」と発言するように、彼女たちはそれぞれ中元すず香、水野由結、菊地最愛という"世を忍ぶ仮の姿"を捨て、BABYMETALというストーリーの登場人物になり切っている。
だから映画のようにスクリーンの幕を一つ隔てたような、『いいね!』の歌詞の通り「現実逃避行〜♪」が許される非日常の世界だ。

しかし、そこで繰り出す笑顔や、潤んだ瞳や、拭う涙は、あまりにもノンフィクションだ。

作られたもの、作られないもの。

『シン・ゴジラ』よろしく"虚構VS現実"のその二つを行き来することで、特別な感情をたくさん得ることになる。

巨大な円柱ステージ。次々と噴き上がる火柱。壮大なスケールの物語。そこで戦う少女たち。BABYMETALはいつも少年心をくすぐる。それはかつて映画館で出会ったヒーローのように、宇宙船のように、巨大不明生物のように、心を躍らせてくれる。それらと一線を画すのは、彼女たちは目の前にいる。実在している。スクリーンを突き破り、フィクションでしかない物語をノンフィクションに変えて、虚構と現実を掻き混ぜる。
そこから、いまだかつてない希望が見えてくる。日本人未踏の"道なき道"を進むのは決して容易くない。全てが迎え入れられているわけではないからこそ、BABYMETALにはいつも勇気をもらっている。新しいことをチャレンジすることにおいて、いつも力強く背中を押してくれるのだ。
やがて、その虚構が現実に覆い尽くされる時が来る。その巨大宇宙船は、巨大不明生物は、この先何十年経っても姿を消すことなく現実にその大きな存在を留めるだろう。

さあ、これから何が始まるのか。
"BLACK NIGHT"から、BABYMETALの新たな伝説の幕開けを目撃したい。




BABYMETAL WORLD TOUR 2016
TOUR FINAL AT TOKYO DOME
LEGEND - METAL RESISTANCE -RED NIGHT-
2016年9月19日(月・祝)


01:Road of Resistance
02:ヤバッ!
03:いいね!
04:シンコペーション
05:Amore - 蒼星 -
06:GJ!
07:悪夢の輪舞曲
08:4の歌
09:Catch me if you can with Kami band intro
10:ギミチョコ!!
11:KARATE
12:Tales of The Destinies
13:THE ONE


過去のライブレポートはこちらをご覧ください。

10 件のコメント:

  1. 日本のTVはNYの場末のナイトクラブ(キャパ200人)で行われる渡辺直美(吉本興業)の
    方が興味あるらしい。なんでもマドンナがステージに立ったところ(キャパ200人)が
    セールスポイントらしい。電通、博報堂、お疲れさん。
    相変わらす国内ではBABYMETALの扱いは冷ややかだ。かもすれば「ロリコン」呼ばわりされる。
    ネットでもコメントしてるのはそんな見方の連中ばかり”あわだまフィーバー”を
    中途半端なんて的外れな意見すら散見される。
    BABYMETALに関して世界で1番遅れているのは日本かもしれない。
    そんな中で、この記事は光っている。5万5千人の熱量と海外から数十万円をかけて
    公演を見に来る海外の国々の熱量がぶつかりあった音に彼女たちに共鳴して
    普段は舞台上で決して見せない「哀」を見せたのでしょう。
    彼女たちからたくさんの『愛』をもらった各国のファンからの送りもの。
    「やはりここはホームなんだな」インタビューでそう答えていた。
    やはりマドンナと同じく「暖かな便座」が恋しいのだろうか
    それに日本国内のほうが彼女らは自由だ。どうか日本のメディアには
    手のひら返しせずこのままいてほしい。
    このレポートを見るとその場の雰囲気が伝わってくる。感動が伝染する。

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    1. tak yam様

      仰る通り、国内での反応はまだまだ薄いなぁと感じます。自分でも周りにいる人たちから冷ややかに見られることがありまして…「海外進出」でなんとか説明したり、「レディー・ガガ」や「レッチリ」って単語を出すことで説得するような感じがしんどく感じます。
      ライブを観れば一目瞭然なのに!と思いまして、恐らくそういう気持ちでライブレポートとして形に残しているのだと思います。
      ブログを読んでくださりありがとうございます。そう仰っていただき嬉しく思います。

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  2. この記事はすばらしい。参戦した者として、本当にありがたい。現場の、ひとつひとつの瞬間が蘇ります。MOAの日誌、読み返しました。その通りですね。いっぱい、あの娘は、その活動で恩返ししています。思いが伝わってきます。BABYMETALは日本の宝。おらが国のバンドdeath! 

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    1. コメントありがとうございます。瞬間が蘇るなんて嬉しいお言葉です…自分も早いうちに記憶に記録にとどめなきゃと思いまして、ライブレポートを書きました。
      MOAちゃんはずっと変わらず、信念を持って「かわいい」を作っていて、ほんと素敵だなぁとこの日思いました。

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  3. レジスタンス。戦ってる相手は色々だ。電通、博報堂、メタルエリート、アイドルを素人集団に仕立て上げた作詞家、BMをアーティストとは認めず、疑似恋愛の対象でしか見れないドルヲタとか(笑)ほんと色々だ。闘いはまだ始まったばかり。

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    1. 恋愛対象でしか見られなくなるのは悲しいですよね…「レジスタンス」は広い意味で僕も受け止めています。
      コメントありがとうございます。

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  4. コンサート行けなかったので、ブログ楽しみに待ってましたヽ(・∀・)ノ
    ありがとうございます、映像と音が聴こえました。

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    1. そうおっしゃっていただき、ありがとうございます!少しでも会場の空気がお伝えできていたら本望でございます〜。

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  5. 素晴らしいレビューありがとうございます。赤黒両日参加だったのですが実はあまりはっきりした記憶がありません。何かあまりの情報量の多さに私の処理能力が追い付かず動作不良を起こしたようです。何度か読み返してウルウルしながら記憶を再構築しています。本当に至福の時間でしたね。

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    1. 情報量の多さは半端ありませんでしたね…自分も捉えきれていない箇所が多々あると思いますが、記憶を振り絞ってなんとか書きました。読んでいただき、振り返ってもらえて嬉しいです。こちらこそコメントありがとうございます!

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