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2015年9月17日木曜日

おおいに、おおきな、おおきに。 - BABYMETAL WORLD TOUR in JAPAN@Zepp Namba

 (BABYMETAL 公式Twitterより)


「そんなもんか大阪っ!?」「こんなもんちゃうわ大阪っ!!」

関西弁での煽りと、海外公演で培ったパフォーマンス。自信と余裕が垣間見えた約75分間、まるでジェットコースターのように「あーーーっ!!!」と叫んでいるうちに終わる。

BABYMETAL WORLD TOUR in JAPAN 2日目。16日から大阪・Zepp Nambaから始まった初のジャパンツアーは全会場、チケットの一般発売が1分でソールドアウトする盛況っぷり。
今までヨーロッパ諸国では何カ所もワンマンライブを行なっていたのに、国内のワンマンツアーは今回が実質初めて。日本でのライブはいつも東京で、「東京だけズルい!」なんて地方に住んでいた10代の頃に何度思ったことか。その地元・関西まで逆・遠征し、今日ばかりは『いいね!』が『ええねん!』に変わり、『イジメ、ダメ、ゼッタイ』が『イジメ、アカン、ホンマニ』に変わる街に降り立つ。

8月末、BABYMETALは新たな伝説を刻んだ。
日本のSUMMER SONICがお手本にしたと言われる、歴史ある世界最大級のロックフェス・READING&LEEDS FES. のメインステージに出演した。
当初そのニュースを聞いた時は飛び上がったが、前日になるとビクビクと怯えた。なぜなら、BABYMETALが出演する前日のオープニングアクトの客席の写真。ビックリした。人が全然いない。恐怖に震えた。平日の代々木公園かと思うくらい閑散としたフィールドに現実を知り、恐らく「俺たちようやくREADINGのステージに立ったぜ!」と親戚から古い友人まで連絡し、意気揚々とこの日を迎えたであろうそのバンドの胸中を想うと悲しい。

ところが、それは昨年SONISPHERE FES.のペットボトル投げつけを恐れていたのと同じように杞憂に終わった。
BABYMETALはオープニングアクトで前代未聞の集客数を叩き出したのだ。


(Photo by Dana(distortion)Yavin)


数万人の前で堂々とパフォーマンスを魅せる3人と神バンドの4人。ネットでリアルタイムで配信する人、画像・動画をアップする人によって遠くの地で行われている“メタルレジスタンス”が瞬時に伝えられる。
冷笑から熱狂に変わる景色は昨年のSONISPHERE FES.で目撃したが、ジャンルを越えたロックフェスでそれが行われる過程にたとえネット越しでも胸を打ち、想いを馳せた。
「これ以上はなくない?」と何度も思い、その「これ以上」を何度も簡単に飛び越えていく。その先の景色をもっと知りたい。それを目撃していきたい。BABYMETALに対する欲求は深まるばかりだ。

また、このフェスでは共演のBring Me The Horizonのボーカル・Oliver Sykesがトリ前のステージでなぜかBABYMETALのタンクトップ姿で現れた姿が話題になった。



どうして“モッシュッシュ・メイト”がREADING FES.のメインステージにいるの?


「ありえない」ことなんてもはや日常茶飯事。BABYMETALは次々とシュールな景色を見せてくれる。イギリスで大人気のバンドの宣伝効果は計り知れない。注目度は格段と上がり、来年4月のロンドン・ウェンブリーアリーナの熱狂がすでに薄っすら思い浮かべられる。

約一ヶ月ぶりのBABYMETALにそわそわしながら会場へ向かう。たとえ方向音痴でも、赤と黒を基調にしたTシャツの人々が歩く方角に向かうと無事に目的地にたどり着く。
東京のライブでは『コルセット祭り』など過去のTシャツから『戦国ウォール・オブ・デス』など最新のTシャツまで、新旧織り交ぜたファッションが目に入る。が、大阪の今日は新しめのTシャツが多いように見えた。これは新しい“モッシュッシュ・メイト”が生まれている証拠だろうか。女の子の姿も目立ち、新規ファンが増えているように思った。

入場引換券からリストバンドに交換してもらう。18時半になると開場が始まり、整理番号が1番の人が呼び出されるとなぜか拍手喝采が。「おめでとう!」って意味だろうか。最初からピースフルな雰囲気が漂う。Zepp Nambaは比較的新しいライブハウスだけあって綺麗で、客席は圧縮を避けるため幾つかバーで区切られている。ここでウォール・オブ・デスが起きるのか?ちゃんと盛り上がるのか?その不安はライブが始まると一気に解消される。

会場内BGMが急に鳴り止むと、カルミナ・ブラーナ(オジー・オズボーンの登場SE)が流れてオズフェスを連想させる。やがてスクリーンに骸骨タイツ姿のプロデューサー・KOBAMETAL氏が映し出される。
『コルセット祭り』や『巨大コルセット祭り』同様、ストーリー仕立てではなく直接観客に呼びかけるムービー。「WORLD TOUR」は「修行の旅」とルビをふられ、「MCもなければアンコールもない」と宣言され、今回新しく参加する“モッシュッシュ・メイト”のために儀式が執り行われる。
それは「Welcomeヘドバン」。会場内に戸惑い混じりの笑いが起き、『ヘドバンギャー!!』に合わせてヘドバンを始める。スクリーンにはペラペラの紙質の骨の人たちが可愛く描かれ、クネクネとヘドバンしている。これで歓迎できるのか分からないが、KOBAMETALは続けて「ハッピー・モッシュッシュ・ピット」のゾーンを体力に自信のない人向けに紹介する。「無理しちゃ、ダメ、ゼッタイ」と丁寧に説明し、初めてライブを観る人の不安感に寄り添ってくれる演出に優しさを感じる。ただ、モッシュピットからサーフで抜け出す方法を「おくりびと」と表現していて笑った。字幕のテロップは後ろの人も見やすいように上に配置され、あらゆる面で配慮がなされている。写真・動画撮影禁止の事項を告げる時に突然『ヘドバンギャー!!』が鳴り出し、「邪魔をするヤツは即座に〜」「キエロ!」の掛け合いに笑った。
オープニングムービーはいつもは熱い気持ちにさせてくれるが、今回は温かい気持ちにさせられる。

「首の準備はできているか?」「イェーーー!」「もう一度聞く。首の準備はできているか?」「イェーーー!!!」「…いいね!いいね!」

映像が終わると、ここから宣言通りMCもなければアンコールもない、ストイックでノンストップの“レジスタンス”が幕を開ける。
『いいね!』の始まりとともに3人のシルエットがスクリーンに浮かび上がり、やがて姿を表すと大きな歓声とともに会場内は温かさから熱さへと変わる。『BABYMETAL DEATH』ではない始まりで意表をつかれ、まるで心の準備ができていないのにその心と身体を一気に持っていかれる。真ん中より少し前の方の客席でも揉みくちゃになり、多くのフォックスサインが視界を遮るように突き上げられる。
アジテーションタイムでは、SU-METALが「オーサカッ!」と煽る。この2回目の言い方がいつもクールにキメる姿とのギャップにより、我、破顔一笑。続く『メギツネ』で会場は完全にお祭り状態。MOAMETALの変顔タイムが終わるとSU-METALの投げるキツネのお面が近距離に飛び、この規模の会場で観られることが貴重に思う。どこから眺めても表情が分かるくらい近く、その距離にドキドキさせられる。その胸の鼓動は『ド・キ・ド・キ☆モーニング』でさらに加速し、『あわだまフィーバー』ですでにクライマックスかと錯覚するほど高まってしまう。
「Ah Yeah!」の掛け声とジャンプの一体感。ここが地方であることをすっかり忘却の彼方に飛ばし、もはや場所なんて関係ない熱気にクラクラする。

『Catch me if you can』は定番の神バンドのソロで存分に温まった後、「ハイッ!ハイッ!」という掛け声とともに3人がステージに舞い戻る。
この曲の構成のかっこよさにいまだ慣れない。頭の中で何かが弾け飛ぶくらい発狂レベルに達するのに、ステージでは微笑ましいかくれんぼが繰り広げられるから困惑する。YUIMETALがいつも以上に表情豊かに感じ、その笑顔からこの空間が《とっておきの場所》でしかない。

『ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト』の冒頭のYUIとMOAの両腕でトライアングルが毎度のことながら見事で、その「アタシん家」に誰もがおじゃましたくなるだろう。
SU-METALのソロ『悪夢の輪舞曲』の表情は『メギツネ』の歌詞「女は女優」が伏線に思えるくらい、役に完全に入り込んだもの。そこに中元すず香の姿はなく、BABYMETALという物語の登場人物としてステージに立っている。見惚れる。思わず地蔵と化す。何もモッシュしたり拳を突き上げるだけが興奮ではない。時間を止めるような瞬間がある。心を射抜かれるとはつまりこういうことなのかも知れない。

その後は別の意味で射抜かれる。『おねだり大作戦』はラメ入り骨パーカーのフードを完全に被りきれないYUIMETALが、前半はずっと顔の横半分が隠れた状態でパフォーマンスする。「頑張っているけど失敗しちゃう」感じがどうしても愛らしく、おねだりされる以前からもうすでに完敗です。MOAMETALは相変わらず、客席ガン見の爆レス小悪魔。この2人の互いに在って無いバランス感覚がたまらない。
BABYMETALは三者三様の互いに被らない魅力があって、上手から下手まで広範囲に渡って打ちのめされる。『ヘドバンギャー!!』の1番のYUI&MOAの大の字ジャンプはなく、その代わり2人がお立ち台に登って片腕を突き上げる。攻めている。こちらは守ることなく攻められる。
「あれも違う これも違う♪」と歌う新曲が前回のSTUDIO COAST同様にまたも披露され、どんどん板についてくる。サビが始まるとYUI&MOAが同じポーズで静止し、悩んでいる様子の振り付けで動き出す瞬間がとてつもなく可愛らしい。

紙芝居ムービーが始まる。「なぜ人は傷つけ合うの?」これが始まるといつもなら人の波が押し寄せ、ウォール・オブ・デスの準備が進められる。が、今日は区切りのバーが多くて十分なスペースが確保できない。それでも、目の前で小規模ではあるが空洞が生まれ、最近ではあまり見かけない少人数のウォール・オブ・デスの準備が整う。飲み会でいうと、二次会くらいの人数。「二次会行く人〜!」「は〜い!」という生温かい雰囲気でゆるくぶつかり合い、《みんなで仲良くおしくらまんじゅう》を体現する。
『イジメ、ダメ、ゼッタイ』はステージ両脇から全力疾走でYUI&MOAが駆け抜ける。毎回、その2人を見るかウォール・オブ・デスに参加するか二択に絞られる。が、今日はセンターでフォックスサインをゆっくり下ろしていくSU-の姿に注目した。
READING FES.が開催される直前、公式YouTubeチャンネルにアップされたSONISPHERE FES. のライブ映像。そこに映る彼女の表情が今までに見たことのない凛々しさで、これが1年前だから現在はより凛々しい。ここでもやはり地蔵と化し、時が止まったかのように静止してしまう自分がいた。


(YouTube「BABYMETAL - Ijime,Dame,Zettai - Live at Sonisphere 2014,UK (Official Video) 」より)

YUIMETALとMOAMETALの掛け声は一体感を生み、会場全体を一つにさせる。SU-METALの歌声は客と一対一の関係を作り、まるで一人にさせてくれる。「一つ」と「一人」、すなわち「THE ONE」。キツネ様、そういうことですか。

『ギミチョコ!!』で完全に打ちのめされる。仕切りバーもあって比較的大人しめの客席でもサーフが発生する。コール&レスポンスでは最近定番の3人が1つのマイクに顔を寄せ合って「シンギン!」って煽るのに加えて、その後になんとお礼の「おおきに〜」って。
殺す気か。前日のライブで話題になっていたが、今日も無事に聞けた。YUI&MOAがそれを発することから、一時的にミニパティの復活を祝いたい。言われた瞬間、ここにいる何人が天に召されたのだろう。「おいでいっぷく召された」ってやつか。地上に戻ってくるのに少し時間を要した。彼女たちにかかれば大阪なんて551が441になるし、サンテレビがヨンテレビになる。関西人として失神モノである。ここはJAPAN TOURで地方ごとにアレンジされていくのか、今後のおおきに事情から目が離せないだろう。

『戦国ウォール・オブ・デス』のムービーから、『Road of Resistance』へ。「これ以上はなくない?」ってパフォーマンスを何度目撃してきたことだろう。今日も「これ以上」は更新され、常に自己ベストを越えていく3人の姿に胸が熱くなる。
「道なき道」を歩くのは険しい。すでに先人が切り開いてきた道なんてない。何かと争うことなくオンリーワンを目指し、自分自身と戦う彼女たちにこの曲はふさわしい。間奏のダンスでまたも地蔵と化し、今日はやたらと身体を止めてしまう。身体を動かすのも楽しいけど、たまにはこういう日もあっていい。真剣な表情とニッコリとした笑顔の切り替えが美しい。日常生活でもこんなくらいかっこよくON-OFFを分けられたらいいのに、
と彼女たちに学ぶことは多い。
「僕らのレジスタンス」でガッツポーツを掲げる。その小さな拳で今後、何をどれほど勝ち取っていくのだろう。READING FES.を終え、ウェンブリーアリーナが待ち構える中、期待がますます膨らんでいく。

「We Are!」「BABYMETAL!」 「We Are!」「BABYMETAL!」 「We Are!」「BABYMETAL!」
コール&レスポンスを終え、ジャンプするとパシャーーーッ!と銀テープが舞う。我も我もと天に手を伸ばし、無事に一枚手に入れた。
メンバーは「See You!」と潔く去っていき、ジャパンツアー・大阪編が終わりを告げる。ここはさすがに「ほな!」ではなくて妙にホッとしてしまう。

BABYMETALはパワーアップしていた。READING FES.を経たせいか、ほんのわずか一ヶ月間で約5年分の経験が培われたかのように、「来日アーティスト」感が半端なかった。

SU-METALの歌唱力を堪能した。その歌声はあのけたたましい爆音に埋もれることなく響き、その鋭く尖った顔つきから幼さを一切感じずひたすらかっこいい。その上で「かかってこいよ!!」「こんなもんかっ大阪?!」って煽るもんだから、野心が上乗せされた実力にもうずっと圧倒される。
Twitterやブログなど自己発信の場がない分、さくら学院を卒業した3人は謎めいた存在になりつつある。彼女たちが今、何を想い、何を考えてステージに立つのか。短いインタビューでその全てを汲み取るのは厳しく、客席から想像するしかない。
SU-METALは見るたびに風格が増している。最近は海外のインタビューを英語で受け応えしたり、ライブで強めの煽りを入れてきたり、歌のあらゆる場面で視線を定めたり。気概に溢れる表情に憧れ、観る者を少年にも少女にもさせてくれる。
可愛いはかっこいいの上で成り立ち、かっこいいもまた可愛いの上で成り立つ。それはメタルとアイドルの振り幅にも似ている。早い話、ギャップに心を奪われてしまう。

ライブ後、東京で知り合ったメイトさんと一緒に難波の飲み屋で語り合う。ライブはもちろんだが、こういう時間がやっぱり楽しい。もちろんトマトを注文し、ビールで乾杯する。ライブ後はそれがとても美味い。なんだか10代の頃にバンドのライブに通いつめていたことを思い出す。
「もし10代の頃にBABYMETALを知ってたら、たまらなかったでしょうね」と言うと、メイトさんは「でも今だから楽しいって部分もありますよ」と。たしかに、大人だからこそこういう気分が味わえるって楽しさを再確認する。あの空間だけ一気に若返り、身体が軽くなる。そして翌日以降、筋肉痛という名のしっぺ返しに唸るのだ。
飲み屋は次第に赤と黒を基調にしたTシャツが増えてきて、メイトさんで埋め尽くされる。四方八方BABYMETALの話題に包まれるのが楽しい。久しぶりに気持ちよく酔っ払えた。大阪にまた一つ、いい思い出ができた。

BABYMETALはいつだって楽しさを提供してくれる。どうしてここまで気持ちを高ぶらせてくれるのか。いくら海外で賞を手に入れようが、英・ウェンブリーアリーナでワンマンしようが関係なく、自分にとって心から熱狂できるってだけでお腹がいっぱいになる。
ミニパティでいうところの「世界が認めるよりも“美味しい”が嬉しい」ってこういうことなのかも知れない。「おおきに」と言うがこちらこそおおいに、おおきな、おおきにの気持ちでいっぱいなのだ。

今後のジャパンツアー、BABYMETALが各地方の美味しいものを食べて、その旅行を楽しく過ごせることを心から願います。





2015年9月17日 WORLD TOUR in JAPAN@Zepp Namba
〈セットリスト〉
01、いいね!
02、メギツネ
03、ド・キ・ド・キ☆モーニング
04、あわだまフィーバー
05、Catch me if you can
06、ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
07、悪夢の輪舞曲
08、おねだり大作戦
09、ヘドバンギャー!!
10、新曲
11、イジメ、ダメ、ゼッタイ
12、ギミチョコ!!
13、Road of Resistance


2 件のコメント:

  1. 6月の幕張メッセに続き、Zepp Sapporoが二度目の BABYMETAL live です
    武道館の直前に知りました《同じ岩見沢市内の自宅から1キロメートルのところに来ていたなんて》(^_^;)

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  2. 同じ日に参戦しました。素晴らしいレポに感動が蘇ります。笑いの涙目で読ませて頂きました。
    あのオープニングの恰好良さったらないですね!
    ああ、それにしても蓬莱が441に改定されたら毎日買って~しまいそうです(笑)
    ライヴの最後を「ほな!」と〆られた日には、全関西ファンが鼻血で倒れますね。
    (想像しただけでドキドキ止まらない…)

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