たけうちんぐ最新情報


⬛︎ たけうちんぐ/竹内道宏と申します。ライターと映像作家をやっております。 プロフィールはこちらをご覧ください。
⬛︎ 文章・撮影などのご依頼・ご相談はこちらのメールアドレスまでお気軽にお問合せください。takeuching0912@gmail.com
⬛︎ YouTubeチャンネルはこちら→たけうちんぐチャンネル/Twitterアカウントはこちら→

2015年5月27日水曜日

夏だ!花火だ!鋼鉄の大運動会だ! - BABYMETAL in METROCK2015



踊る。暴れる。飛び跳ねる。ここに「走る」が加えられる“アミューズ”メント・パーク、BABYMETAL。

滑り台、登り棒、ジャングルジムなど会場内の遊具はすべて大人の使用が禁じられていたけど、かけっこ、かくれんぼ、おしくらまんじゅうは許されていた鋼鉄の公園がそこにあった。

まさに、大人の“大運動会”。そこはウォール・オブ・デスとモッシュ(ッシュ)で溢れている。

ステージの熱気に呼応するように砂塵が巻き上がる。人々が大きな円を描く。そこを童心に返るように全速力で走る。

ただ、子どもの運動会と唯一違うことがある。それは、筋肉痛が2日後にくるということだ。
「大丈夫ですか… …?」足を引きずっていると心配される。「何があったんですか?」と尋ねられても、「いやぁ……」と言葉を濁し、理由が伝えにくい。が、その困惑の最中で満面の笑みを浮かべている自分がいる。

それは何も日本だけの話ではない。SONISPHERE(イギリス)、HEAVY MONTREAL(カナダ)、Rock On The Range(アメリカ)など海外の大型フェスでもその一端は見受けられ、ヒゲモジャでタトゥーでイカツイ大人たちを筋肉痛に巻き込んでいく“大運動会”がこの日、ようやく日本に帰ってきた。

海外と日本の違いは人々の体格だけじゃない。日本は、客席に光がないのだ。
アイドル現場でよく見られるサイリウムの代わりに、海外公演の客席では携帯カメラが光る。そこからYouTubeやInstagramに動画がアップロードされ、TwitterやFacebookでシェアされていく。運動会だけあって、その映像はまさに“父兄カメラ”。まるで我が子の勇姿を形に残すように、年の離れた父兄たちが携帯を手にかざす。日本ではそれがすべてフォックスサインに代わり、数万人が一斉にコンコンする姿は壮観でしかない。

5月24日、東京・新木場若洲公園で行われる2年ぶりのMETROCKの出演するステージは、以前のNEW BEAT SQUAREとは違って今回はWINDMILL FIELD。現在ワールドツアー真っ只中の3人に大きなステージが用意されていた。

ステージ隣のフードコードの時点で視界からBABYMETALTシャツが逃れることがないくらい、“モッシュッシュメイト”で溢れ返っている。『THE ONE』会員限定ライブを除けば1月1 0日の『キツネ祭り』@さいたまスーパーアリーナ以来、約4ヶ月ぶりの日本公演。もとい、公園。「大人の方の遊具使用禁止」と紙が貼られた遊具を横目に、大人たちが子どものように一目散にステージに向かう。
16時になるとメイトが客席前方を埋め、すでに熱気、というよりか殺気が充満する。サウンドチェックで白装束・顔面白塗りの神バンドの神々が順番に現れ、ドラムの神がバスドラを叩くごとに「オイ!」のコールが響く。これにスタッフが半笑い。4ヶ月のブランクは渇望感を生む。3人のブログやTwitterなど個人発信の場がないことが探究心を煽り、一回一回が奇跡に感じる。その一秒一秒を噛みしめるように、ベースの神、ギターの神の登場から大歓声が起きる。
青空の下の神々の姿は、驚きの白さ。

リハーサルで『おねだり大作戦』を何度も演奏。ボーカルがない代わりに、客席から野太い声で叫ばれる「買って!買って!買って!買って!」「頂戴!頂戴!頂戴!頂戴!」に震える。恐喝でしかない。このように殺気立った客席から若干距離を取っていた。貧弱な自分がここに投げ込まれたら、彼女らの掲げる「DEATH」が割とシャレにならない。『4の歌』の4を体感する。そう判断し、余裕のあるスペースで悠々とショーを楽しもうとした。
それなのに、どうして……?
ライブが進むにつれて全身の血が滾る。地面から足が離れる。 両手が天を衝く。やがて巨大フラッグを掲げる3人の姿に居ても立ってもいられず、気がつけば芝生の上を全速力で走っていた。

リハーサルが終わると、上手側の巨大ビジョンにCMが流れる。BABYMETALが一瞬映り込むことで知られる「Android」のCMが流れるが、残念ながらここに彼女たちは映らず。しかし、まったく問題ない。今から目の前に本物が現れるのだ。

16時半になり、ライブが幕を開ける。ワールドツアーで上映されているオープニング映像が流れる。「METAL RESISTANCE EPISODE3」のタイトルが現れ、そこには先日ついに邂逅を果たしたジューダス・プリースト(メタル・ゴッド)や、SUMMER SONICでフォトセッションを行なったメタリカ(メタル・マスター)など今までに会ってきたメタル界の重鎮たちが『スター・ウォーズ』シリーズのポスターを模して描かれている。
「国境を越え、言語の壁を壊し、世代を越える」それは決して誇張ではなく、実際にこの目で見てきたこと。イギリスのSONISPHERE、THE FORUMで肌で感じてきたこと。あの時の大歓声と熱気がそれを証明し、「メタルで世界を一つにする」という大きな目的がナレーションで綴られる。
ここで、オジー・オズボーンのライブのオープニング曲で知られるカルミナ・ブラーナのオペラ調の音楽をバックにしていることに意味を感じる。オジーとの邂逅はまだ果たせていない。だからこそ、「残すはお前だ」とメタルの帝王に指を差しているように挑戦的で気概に溢れていた。

映像が終わると、「キ〜ツ〜ネ〜♪ キ〜ツ〜ネ〜♪」の声が。いよいよBABYMETALの3人の登場だ。

ステージ脇からマントタオルを羽織り、神バンドの演奏に合わせて一歩一歩ゆっくりと儀式に参列するように姿を現わす。昨年3月の日本武道館、今年1月のさいたまスーパーアリーナの冒頭を思わせる厳かな登場に観客は一斉に両手を掲げ、その手はキツネで埋め尽くされる。タオルを華麗に剥がし、広げられた指で顔を覆う。
その瞬間、ドラムが激しく撃たれる。SU-METALを軸に、開花するようにYUIMETALとMOAMETALが両サイドで身体を傾ける。『メギツネ』の始まりだ。「それっ!」「それっ!」と飛び跳ね、フォックスサインが一斉に広がる光景が美しい。

SU-METALの“役に入り込んだ”表情はまさに歌詞の通り、「女は女優よ」。昨日まで雨の予報だったのにも関わらず、曇りがちだった空から光が差し込む。自然光で照らされるYUIMETALとMOAMETALの笑顔が煌めく。そうなるとベースの神・BOHさんがもはやてるてる坊主にしか見えない。6弦だけでなく、天気まで自由自在に操るその姿はまさに神そのものだ。

この展開にどこか見覚えがあると思ったら、BABYMETALの母体・さくら学院の3月のららぽーと豊洲での奇跡だった。
その前の年は雪でライブ自体が中止になり、この日も第一部が雨で中止。第二部の開催が危ぶまれたが、“世を忍ぶ仮の姿”の水野由結と菊地最愛のてるてる坊主が効いたのか、野外のシーサイドデッキに太陽が元気に顔を覗かせた。


さくら学院 職員室 3月8日のTwitterより)

お分かりいただけただろうか……。



BABYMETALは、2014年度卒業生の由結と最愛の残り少ないさくら学院としての活動を優先させるためか、今年2月と3月はライブの予定を入れずにほぼ沈黙を守ってきた。

しかしその間、何もジッとしたわけではない。ちゃんと進化していた。パフォーマンスは勿論のこと、SU-METALが海外向けのメッセージ動画などで放つ英語力は素人目から見ても上達していた。新たな“伝説”に向けて着実に準備していたことが伺え、それは表情からも感じる。ますますクールで大人びた顔つきになっていて、ライブ中は弱冠17才であることをすっかり忘れてしまう。

が、次の『いいね!』の「行こう ズッキューンと 現実逃避行」で3人が顔を見合わせる瞬間、彼女は目を細くして笑う。まるで子どものような表情を見せ、その後のヒップホップ調のコール&レスポンスで「メトロックーッ!」で無邪気に煽る姿から少女であることを思い出させてくれる。

正直、BABYMETALに青空は似合わない。黒と赤を基調にした世界観は暗闇でこそ映えるだろうし、明るい場所だとステージの赤い照明も効果がないように思える。しかし、この開放感に嘘はつけない。彼女たちが目当てではない人たちが目撃できる環境含めて、空の下で行われるヘドバンは最高に気持ちいい。

神バンドのソロが始まるとなれば、あの曲の前兆。ギターの神が時折サウンドをギラつかせながら観客を煽り、巨大ビジョンに映るベースの神がアングル含めて“神”がかり。ドラムの神の心臓を揺らすバスドラが響いた後、BABYMETALが片腕を勢いよく突きながら「はいっ!はいっ!」と煽りながらステージ中央に集まり、カウントを終えたら客席はたちまち渦の中に。
『Catch me if you can』でサークルモッシュが各地で発生し、“大運動会”がいよいよ本格的に始まる。

「とっておきの場所を発見!」SU-METALの足元から顔を覗かせるMOAMETALの表情がたまらない。喜怒哀楽以上の感情のバリエーションを何十、何百にも持ち合わせた“顔芸”とも呼べる表情は、MCが一切ないストイックな環境下への抵抗=レジスタンスにも見える瞬間がある。アイドルに憧れアイドルを愛する彼女特有の表現力が巨大ビジョンに映り、ステージから遠く離れた標的を次々と“爆レス”し、人々を撃ち堕としていくのは目に見えている。
一方、YUIMETALは思わず顔がほころぶ瞬間が何度もあった。尋常ではない大きさのサークルへの反応なのだろうか。たしかに、すぐ傍で人々が楽しそうに走っている姿は笑顔を呼ぶ。そのかくれんぼは見つかりまくっているが、 BABYMETALには決して容易くタッチできない。その存在の遠さは客席とステージの距離ではなく、その大きさはステージの規格のせいではない。年齢的にまだまだ伸びしろがあるにしても、すでに異様なカリスマ性を放ちまくっていた。

とはいえ、いまだ身体を動かせずにいた。モッシュに参加できなかった。せっかくの4ヶ月ぶりのBABYMETALを十二分に堪能したいがために、「観る」に徹した。
『ヘドバンギャー!!』はヘドバンをすると伏し目がちになり、ステージへの視線を犠牲にする。相当な上目使いで眺めるという抵抗=レジスタンスを図り、エゴに溢れていた。
しかし、後の展開で何かが弾けてしまった。

巨大ビジョンに『キツネ祭り』でも上映された「戦国ウォール・オブ・デス」のムービーが流れ、戦国武将に混じってメタリカ、 スレイヤー、アンスラックス、メガデス、ジューダス・プリースト、スリップノットが二頭身に描かれた紙芝居が始まると、客席は一変する。
人々が脇に押し寄せてくる。モーセの十戒のごとく中央がパックリ割れる。ステージでは巨大フラッグを掲げた3人が勇ましく歩いてくる。客席ではその間も着々と“準備”が行われて、フラッグを置いたSU-METALが両手を平泳ぎのような動きで広げる頃にはすでに巨大な空洞が出来上がっていた。

『Road of Resistance』の始まりだ。
気がつけばクラウチングスタートの姿勢を取っている自分がいた。両手をフォックスサインでクロスし、ステージにいる3人を何度もチラ見しながら高揚感に漲った向こう岸の人々を笑顔で睨みつける。
そして「ワンツースリーフォー!」のカウントを終えると、人々が空洞を目がけて両手を叩くように全速力で走り出す!
まさに、3人の振り付けのごとく鞭を打たれるように。

「ウァーーー!」「ウォーーー!」叫び声が前から後ろへ、右から左へ次々と流れていく。そんな狂乱のどさくさに紛れて、一気に客席前方へ走り込む。
“新木場ヶ原の戦い”と呼ぶべきか、戦国時代の合戦が現代に舞い降りてきた。が、時代の違いを感じさせるのは「全員が笑顔であること」。そこに敵対意識など存在せず、倒れかかった人を助けるという心温まる光景が幾つも見られた。「みんな仲良くおしくらまんじゅう」メタルのライブの通過儀礼とも受け取れる“狂気”のウォール・オブ・デスがこんなにも“正気”なのは、紛れもなくBABYMETALの3人のおかげだろう。

この曲は「Wow Wow〜♪」とシンガロングする場面以降が、とにかく泣かせる。「命が続く限り 決して背を向けたりはしない」から何かが宿り、狂乱の渦に巻き込まれているはずがふと現在位置を確認し、今自分がBABYMETALの表現を全身で受け入れられていることに改めて感謝する。
その途端、SU-METALが「かかってこいよーーーっ!!! 」と叫んで鳥肌が立つ。最後、ガッツポーズで勝ち取ったような笑顔を見せるYUIMETALとMOAMETALに大人たちが少年、少女に戻る。海外公演で次々と成功を収めていくその姿は、ヒーローにもヒロインにもなる。「かっこいい。」この一言だけを伝えるために言葉で修飾してしまう。歌詞の通り、「道なき道」を突き進んで、「今日が明日を作る」ことに説得力を帯びている3人の勇姿に西日が差し込み、夕刻迫る中で今日がすばらしい日になる予感を全身で受け止める。

もはやクライマックスの雰囲気であるが、それはまだ続いていた。この絶頂からさらに高みに昇るのか、『ギミチョコ!!』で再びサークルモッシュが発生し、クラウドサーフが所々に見える。
先日のRock On The Rangeではスパイダーマンが客席の上に浮かび、さらには車椅子の人までサーフするという衝撃的な映像がファンによってアップロードされていた。
「スクリーーーム!」「全然聞こえないよ〜!」「もっともっと〜!」
お決まりのセリフで3人に促され、METROCKの会場は一つになってチョコレートをおねだり大作戦。野太い声でギブミーと叫ばれると恐喝にしか思えないが、この会場ではすべてがかわいい。メキシコ、カナダ、シカゴ、コロンバスを熱狂の渦に巻き込んできた3人の表情に貫禄が伺え、客席がどれだけ盛り上がっても全く物怖じせず、堂々と立ち向かっていく。

17時過ぎ。西日が眩しくなってきた頃、「Why do people hurt each other?」の英語のナレーションの映像が流れると客席が再びパックリ割れ、客席に生まれた大きな空洞が次第に広がっていく。
『イジメ、ダメ、ゼッタイ』の始まりに、ウォール・オブ・デスを仕切る人たちが「もっといける」「まだいける」とその空洞を押し広げていき、いまだかつて見たことのない大きさに。短期間で二度目のモーセの十戒に、「かかってこいよーーーっ!!!」が脳内でリフレイン。意気揚々と再び“準備”を始めていると、熱狂の渦の中でふと遠い向こう岸に知人の顔を見つけてしまい、「あ、今日来てたんすね」と互いに気まずそうに笑い合った途端に、走り合ってドッカーーーン!

当初は「観る」に徹していたはずなのに、自ら走ったせいでYUIMETALとMOAMETALがステージの端から端へ駆け走る姿を完全に見逃す。
仕方ない。毎回、葛藤を余儀なくされる。ウォール・オブ・デスをするか、見るか。打ち上げ花火、下から見るか、横から見るか。むしろ我々はその花火の中にいる。BABYMETALがそれを打ち上げてしまう。煙がたちこめるように砂塵が舞い、その蜃気楼の中で3人がダメ・ジャンプをする。「イジメ!」「ダメ!」「キツネ!」「飛べ!」彼女たちを知った頃、「なんだこのふざけた歌は……」なんて思っていたのに、今はその渦中で飛んでいる。

青空の下のバトルシーンはYUIMETALの飛び蹴りが華麗に舞い、その瞬間はモッシュもフォックスサインも何もかも忘却の彼方に飛んでしまう。開演前、公式Twitterにアップされた写真でもその身長が著しく伸びている様子が伺えるが、相変わらず幼顔は変わらない。そんな彼女がキレッキレのダンスをキメて、勇ましく客席を見渡すギャップにこの2年間ずっとヤラれてしまっている。

靴は片方脱げかかり、誰かの足が頭上を飛び交い、汗でびしょびしょになる。“大運動会”は「We Are!」「BABYMETAL!」の掛け声で幕を閉じ、その主人公たちが「See You!」と一言だけ残して去っていく。

完全燃焼とはまさにこのこと。終演後、周囲にいた初見と思われる人たちが「いやぁ」「やべぇ」「すげぇ」と語彙を無くしていた。いまだかつて見たことのないサイズのウォール・オブ・デスはその後Twitterなどで数多くアップされ、なかには1000リツイートにまで拡散されてその光景がMETROCKの会場外にまで広まった。
ライブが終わっても、いまだ混沌の渦中から抜け出せないでいる。足の骨の様子がどうもおかしい。超絶インドア系の自分をここまで壊して、さらに海外まで飛ばせてくれるのは BABYMETALしかいない。自分にとって、SONISPHERE FES以来の野外ライブはモッシュピット・オンリーだった。眩しい太陽に、ライブ中のムービーで日本を表すために用いられる言葉「日出ずる国」を感じた。

その後、ユニコーンのステージでSU-METALの故郷・広島の奥田民生大先輩がフォックスサインを掲げ、BABYMETALを「35才ほど離れてますけど」と言い表した。「すばらしい日々」がマジックアワーに鳴り響いて、まさにすばらしい日になった。

4ヶ月ぶりのBABYMETALは感情が堰を切るように自分の中で何かが弾けて飛び、ウォール・オブ・デスに二度参加するに至った。

METROCKはアイドルがたくさん出るわけでもなく、海外のフェスのようにメタルバンドが出るわけではない。そこで初めて観た人が何を感じるのだろう。自分はまさに元々その客層に含まれていた。アイドルもメタルも通っていないのに今、BABYMETALに熱狂している。

海外のファンカム(ファンが撮影した映像)で、シカゴのライブでアメリカの少年が歌いながら撮影している映像がある。
彼は昨年、インターネットでBABYMETALの存在を知り、ロサンゼルスでライブを初体験。今回はお父さんと一緒にはるばる飛行機でシカゴまで飛んだらしい。普段はゲーム実況をしたり友だちとトランポリンで遊んだりして、それを映像で発信している。今の時代にごくありふれたYouTuberに憧れる普通の少年が今、BABYMETALにハマっている。明らかにメタルを聴いてきたわけでもなく、日本のアイドル文化に精通しているわけではない彼がライブを撮影しながら『Catch me if you can』で「アッチカナーコッチカナー!」と歌い、『おねだり大作戦』で「ワタシパパノオヨメサンニナルンダ!(言えてない)」とカタコトで叫ぶ。日本語を覚えていることから、その熱狂ぶりが伺える。
BABYMETALは頻繁に「メタルじゃない」「いや、メタルだ」の論争に巻き込まれる。しかし、もはやメタル以外の文脈で語られてもいい。イギリスのワンマンライブで見たのは、明らかにメタルファンじゃない女の子集団が感激のあまり泣き叫んでいた姿だ。すでにジャンルレスで、ボーダーレスになってきている。YouTubeの少年の存在が何よりもそれを証明しており、「国境を越え、言語の壁を壊し、世代を越える」を明確に表している。

「リンリンリン!」「ヘドバンヘドバンバンバンババン!」「あたたたたーたーたーたたたずっきゅん!」
数々の癖になる“響き”が、ある意味で日本語も外国語も関係なくさせているのだろうか。その理由は分からない。それとも、少年の部屋に飾ってある『キック・アス』のヒットガールのポスターにその理由が隠されているのだろうか。

BABYMETALのステージは極力、“ 素”を見せない。中元すず香はSU-METAL、水野由結はYUIMETAL、菊地最愛はMOAMETALという登場人物になりきり、役に入り込んでいるように見える。そのキャラクター性が徹底していることで、少年の目にはアメコミに出てくるキャラクターのごとく最強のヒロインに映っているのかも知れない。
『キック・アス』の物語はYouTubeがキッカケで「手作り」ヒーローの存在が知られていく。BABYMETALも同じような広がり方で、全世界にそのヒロインの存在が知られていった。

今回のワールドツアーからアーティスト写がバットマンのような風貌になり、公式サイトのトップには「THE DARK KNIGHTS BEGIN」の文字が。ますます、“ダークヒロイン”感が強調されてきている。

その一方で、純粋な好奇心として彼女たちの“素”に興味が注がれる。その行き先の大きな一つにさくら学院があり、海外の映像でさくら学院のピンク色のフラッグがたまに見かけられる。“メタルレジスタンス”は思わぬ方向へ導くことがある。BABYMETALはたくさんの要素を含んでいるからこそ、その中間地点となって様々な好奇心への間口を広げているように思う。

そして今後、もしオジー・オズボーンと邂逅を果たしたとしたらどこに向かうのだろうか。
映画『スター・ウォーズ』は今年12月にエピソード7が公開される。映画のようにフィクションではなく、ノンフィクションのBABYMETALの“メタルレジスタンス”は一体、幾つのエピソードで綴られるのだろうか。
多くのメタルバンドと明らかに違うことは、30、40才になってもBABYMETALが活動を続けるかどうかだ。少年はいつまで経っても少年でいることが許されても、少女はそう限らないだろう。
すべてのものに終焉がある。「いつか終わる」そう思えば、BABYMETALの一瞬一瞬がより一層ありがたく思える。
「メタルで世界を一つにする」日が来るのは、一体いつになるのか。
そしてその時、BABYMETALはどうなっているのか。

ところで、ウォール・オブ・デスの寸前に撮影したこの写真。



お分かりいただけただろうか……。


とっ、ととととっ、ととっ、トマトーーーーーッ!!!!!

ウォール・オブ・デスのどさくさに紛れて“トマトくん”を発見した。食欲がそそられたので、「頑張った後」にはトマトを食べました。



2015年5月24日 BABYMETAL@METROCK2015
〈セットリスト〉
01、メギツネ
02、いいね!
03、Catch me if you can
04、ヘドバンギャー!!
05、Road of Resistance
06、ギミチョコ!!
07、
イジメ、ダメ、ゼッタイ

0 件のコメント:

コメントを投稿