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2014年9月13日土曜日

BABYMETAL WORLD TOUR 2014 in JAPAN:Day1

BABYMETALが日本にやって来る。デス!デス!デス!

千葉に向かう道すがら、目的地が成田空港じゃない。飛行機じゃなくて電車でライブ会場に辿り着ける喜びを噛み締める。そうか、ここは日本なんだ。道に迷っても日本語で尋ねられる。トイレがたくさんある。ご飯が美味しい。と、トイレが少なくてご飯がアレっていう若干のイギリス批判をしつつ、日本でBABYMETALのライブを観る事を当然のようには思えない。
フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、カナダ……
海外のヒア・ゼア・アンド・エヴリホエアで“メタル・レジスタンス”が行なわれる。世界中のどこの中学生と高校生が体験できない、BABYMETALの夏休み。その夏の終わり、日本にゲット・バックした彼女たち。ワールドツアーの日本公演が幕張メッセ・イベントホールで開催された。

イエスタデイ、全米ビルボード“World Albums”で首位を獲得したと報じられた。また、ヨーロッパ最大級の音楽アワード「2014 MTV EMA」の日本部門を決める“ワイルドカード”にノミネートされた。
スラッシュメタルと邂逅を果たし、レディー・ガガから自らラブコールを受けてアメリカツアーを敢行。話題が尽きないが、ライブにMCは無い。たとえMCがあったとしたら…
SU-METAL「私たちBABYMETALはこの夏、スレイヤーさん、アンスラックスさん、メガデスさんと共演し、去年のメタリカさん含めて“BIG4”全員と出会いました〜!」
YUI&MOAMETAL「イェ〜〜イ!」
…なんか違う。
こういう事を一切MCで言わない。そこが好き。歌とパフォーマンスで全てを物語る。そこがかっこゆい。かっこYUIMETAL。アンド・アイ・ラブ・ハー。オール・マイ・ラヴィングである。すみません。もういい加減、ビートルズで被せるのをやめます。

幕張メッセに着く。すぐ近くでゆずのライブが行なわれるせいか、客層が激しく入り乱れている。“ゆずっこ”と比べて、“モッシュッシュメイト”は自分たちがいかに赤くて黒いかを今日幕張で自覚する事になる。

今回、新しいグッズが発表された。ついにキャップが売り出され、そこに“BLACK BABYMETAL”、“I♥︎PAPA←×印でMONEY”と書かれている。『おねだり大作戦』がフライングしている。悪い気がしない。
今回、全体を見渡せるようにスタンド席を選んだ。昨年の幕張メッセワンマンではアリーナ席を選び、モッシュッシュに巻き込まれてステージが何も見えない瞬間が多々あった。今何が起きているか、この目でしっかり確認すべく二階席のEゾーンへ。これがなんと、めちゃくちゃ近い。客席も一望できる。BABYMETALのライブは壮大な光景を含めて、ステージを観たい。ライブまであと少し。心臓の鼓動が高まってきた。この瞬間がいつも愛おしく感じ、早く時間が来てほしいのに、来てほしくない。ドキドキする…

開演前からサークルモッシュが沸き立つ、熱気に溢れた会場。しばらく海外で“武者修行”をしていたからこそ、待ちわびていた日本のファンの切望感が血の気を多くさせている。場内アナウンス後、会場が暗転する。地鳴りのような歓声がわき上がる。

オープニングムービーは、海外で観たものと同様。先月のサマーソニックと同じく、日本語字幕がついている。
「A LONG TIME AGO IN A HEAVY METAL GALAXY FAR, FAR AWAY....」
『スターウォーズ』を模して、宇宙空間にテロップが流れていく。そこに武道館公演の最後に3人が入った棺が漂い、BABYMETALのメタル・レジスタンスの狼煙を上げる。

「時は戦国。メタルマスターは世界の混沌とした状況を悲しんだ。メタルマスターは言った。“全てのメタルは日本に通ず” メタルによって世界が再び一つになる事を願った。そして日出ずる国でメタル・レジスタンスは始まった」

会場のあちこちで叫び声が聞こえる。モッシュピットでは人が雪崩のように押し寄せ、荒波が立っている。ふと、ロンドンのワンマンライブを思い出す。遠く離れた地でも似たような光景を見た。まるで世界が一つになる。メタルマスターの願いが叶うのもそう遠くはないのかも知れない。

「キツネ様によって3人の少女達が選ばれ、聖なるメタルネームが与えられた。新しいメタルの誕生を意味する“BABYMETAL”と名付けた。再びメタルで世界を一つにする使命をBABYMETALに与えたのだ」

BABYMETALの3人のシルエットが映ると、歓声は再び地鳴りになる。すでにテンションは最高潮。その最高を今後何度も超えていく。何か大変な事が始まりそうな予感しかしない。BABYMETALのライブはいつもこれだ。

「今こそメタル・レジスタンスに参加する時が来た。メタルの守護神“BABYMETAL”としてメタルの小宇宙を渡るのだ」

やがて映像の中の3人の棺が眩い光を赤く放ち、爆撃のように音が鳴る。『BABYMETAL DEATH』の始まりだ。そのリズムは鼓動を打ち破り、心拍数を上げる。ギターの神、ベースの神、ドラムの神の生演奏に合わせて、BABYMETALの3人がステージ底からゆっくりと姿を現す。
観客のテンションは今にも破裂しそうだが、3人は極めて静かな動きを見せる。ステージは整然としながらも、会場は獰猛としている。この様式美と呼ぶべきか、ある一定のルールに従ってそこで爆発するパフォーマンスにいつも心を奪われている。
ステージ後方の巨大画面に現れるカウントが終わり、爆竹とともにライブが開始。同時に、3人の姿が3分割画面で映し出される。なんという事か。いまだかつて観た事がない至福の3分割。無駄なものが一切ない。ブライアン・デ・パルマの分割画面を凌駕する。なぜなら、そこにはかわいいものしか映っていない。メンバーに倣って、観客は一斉にフォックスサインを掲げる。このスケール感、 待ってました。

それぞれが「SU-METAL DEATH!」「YUIMETAL DEATH!」「MOAMETAL DEATH!」と自己紹介をするたびに、映像は正確にスイッチングする。MOAMETALの挑発的な笑顔は見逃せない。いまや世界中で1500万回の再生回数を誇る『ギミチョコ!!』MVの序盤でも見せた、「来いや」と言わんばかりの煽り顔。試されてる。ならばこちらも、とそんな気分にさせられる。
SU-METALが咆哮を繰り出すと、YUIMETALとMOAMETALが手をバタつかれせて暴れるように客席にもサークルモッシュが発生。今までに見た事のない、大きなサークルが客席中央に生まれていた。
それにしても、大きく映し出されるメンバー3人の表情、動きが洗練されている。今までは幼さがある種の武器にも思えたし、若干そこにも意識を奪われていたのが正直な話。でも、成長期がそうはさせない。すっかり大人びた表情の3人。特にYUIMETALが貫禄を見せている。とはいえ、やっぱりBABYMETALのBABYの部分を大きく担い、赤ん坊のようなポーカーフェイスとスマイルのメリハリが心を暴れさせてくる。
終盤、「YUIMETAL DEATH!」の時にスイッチングがミスしてMOAMETALが映ってしまっていたのはもう忘れよう。

『いいね!』が始まると、目を刺すようにレーザービームが辺り一面に照らし出される。客席には荒波が立ち、次々とモッシュとサーフが発生していく。「お前のものは俺のものーーー!」がとても恐ろしく聞こえるくらい、観客のテンションが加熱している。
「セイホーーーオッ!」「セイホーーーオッ!」「幕張っ!」「幕張っ!」
中盤のコール&レスポンスは、MCが一切ないBABYMETALのライブで10代の女の子らしさが見える数少ないチャンス。女優のように表情を崩さないSU-METALが頬を完全に緩ませて、どこにでもいる高校生の女の子らしいあどけない顔を見せる愛おしさ。途端にヘドバン開始。儀式のように会場全体が一斉にヘドバンする一体感、そしてSU-METALのシャウト後のYUIMETALとMOAMETALの慌てる動きがひたすらかわいく、そこからムクムク身体を起き上がらせていく過程、やがてイントロの振りに戻る流れがひたすらかっこいい。
「オイ!オイ!」とコールする客席。ステージが暗くなり、YUIMETALとMOAMETALが向かい合って目で合図し、『ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト』へ。「キンキラリーン!」の2人のジャンプをこんなに間近で観れるなんて。
3人がステージを一旦去ると、今度は神バンドの出番。それぞれ超絶ソロプレイを披露し、本来BABYMETAL3人の休憩時間のはずがもはや休憩なんかじゃない。会場は休む暇なくテンションが持続し、BABYMETALが3人だけでなく神バンド含めた“バンド”って錯覚さえ生まれる。

思えば、アイドルファンでもメタルファンでも無い自分がこんなにBABYMETALにハマってのは、紛れもなく“バンド感”に酔いしれたからだろう。
10代からロックバンドが好きでライブハウスに通っていた身としては、30代になってこれほど熱くなれるステージと出会えた事がありがたい。かつて抱いていた熱量が長い眠りから覚めて、BABYMETALのライブで解き放たれる。そうさせてくれたのは3人だけじゃなくて、彼ら神バンドの演奏あっての事だ。ベースの神、BOH氏の大股開きのスタイルがとにかくかっこいい。BABYMETALを知らない人に知ってほしい、重要な要素でしかない。

『悪夢の輪舞曲』が始まると、SU-METALが一人でステージ底からゆっくりと現れる。彼女の周りを20数本の火柱が取り囲み、 モノクロの映像が巨大画面に映し出される。古い映画のようで、全く新しい。時代を超越する何かがSU-METALのボーカルには存在する。かわいいなんて言ってられない。ただただ、かっこいい。一寸の狂いもなく視線は客席に向けられて、曲の世界を表現しながらしっかり歌を目の前の人々に届けている。才能も人格も全て表情に込められていて、目が離せない。この人、やっぱり凄い。
と、震えながらも「この後はBLACK BABYMETALか」という予感を隠せないのが常連の心理。かっこいいの後はかわいいの世界が始まるのです。

紙芝居ムービーが流れ出す。何かの建物の上に「4のつく日」と書かれたアドバルーンが映し出され、先ほどまで作り上げた徹底した世界観をいい意味でぶち壊してくる。ゆっくり引いていくと、「A-ON MALL」という建物である事が分かる。イオンモールやん。

「ここ幕張にオープンした日本最大級のお買い物センター、A-ONモール。キツネ様から、“無駄遣いしちゃダメ、ゼッタイ”と言われていたYUIMETALとMOAMETALだが、 A-ONの魔力によってモールに引き込まれるのであった……」

やんちゃに描かれるYUIMETALとMOAMETALがモールの中で出会ったのは、“憧れのポーカーフェイスのカリスマ店員”レディー・ガガ。アメリカツアーの際にインスタグラムにアップされた画像の格好で、ガガが2人に「YOUたちも一緒にお仕事しない?」と誘う。世界一のポップスターがイオンでバイトしている事になってる衝撃。しかも「君たちカワウィ〜〜ネ」とかチャラすぎるキャラクター設定に。
2人は“カリスマ店員”に誘われるがまま、BLACK BABYMETALに変身。今回のライブで販売が始まった新しいグッズをあざとく身に付けて、「“リアルな”おねだり大作戦が今始まる」というナレーションから『おねだり大作戦』がスタート。

YUIMETALとMOAMETALが2分割画面で映し出されて、ここぞという時に2人が同じフレームに収まった絵を持ってくるのがズルい。骨パーカーのフードを被り、タオルをぶんぶん振り回す。ただそれだけなのに、どうしてこんなにかわいくなるのでしょう。「パパ大好き〜」でMOAMETALがYUIMETALの肩に手を回すところがね、本当に大好きなんですよ。「結婚するならやっぱりパパー \(^O^)/」←この表情も。会場が完全にイオンモール化しているんですよ。
「買って、買って、買って、買って!」「ちょうだい、ちょうだい、ちょうだい、ちょうだい!」
財布は開かれっぱなし。さらに最後、2人が再びフードを被る際にYUIMETALだけ上手く被れずにそのままキメポーズしているところで、財布は完全に奪われてしまった。ふう、とんでもなく恐ろしいイオンだったぜ。

2人が一旦ステージ脇に引っ込み、再び神バンドのソロ演奏が始まる。『Catch me if you can』はドラムソロが終わると同時に3人が「はいっ!はいっ!」と煽りながらステージに戻ってきて、「ワン、ツー、ワンツースリーフォー!」で始まる。
史上最高のかくれんぼが行なわれる。「まーだだよ」と隠れるが、残念ながらすでに世界中に見つかっている。ただ、我々はタッチできない。握手会など接触の場面がない、という以前に瞬く間に海外で人気者になった彼女たちに誰も触れられないし、追いつけない。
「とっておきの場所を発見!」
MOAMETALがSU-METALの足下からひょっこり顔を出すシーン、何回でもリピートしたい。巨大画面のおかげで表情が細部まで分かる。BABYMETALのライブを初めて観た時、最も心を鷲掴みにされた曲。いまだにずっと掴まれている。だいたい、幕張メッセの大きいステージでかくれんぼなんて最高の遊び心じゃないか。忘れかけていた童心を呼び覚ます。モッシュをおしくらまんじゅうにして、サークルを追いかけっこにする。おっかない行為すべてをかわいくさせる。魔法にも似た空間がそこにある。
『君とアニメが見たい』 。そのフォーメーションはまさか、と思った途端に「みんな〜!はーじまーるよぉ〜」って声。客席ではサーフが次々と起こり、無事に着地した者たちが嬉しそうに両手を上げながら走っていく様が次々と目撃されていく。

『紅月』は憂いたっぷりのピアノのメロディから始まり、SU-METALの周りを再び20数本の火柱が取り囲む。「アカツキだーーーっ!」と某-JAPANのボーカリストのように叫び、先ほどまで静かに聞き入れていた客席を一気にかき混ぜる。終始、華麗に歌い上げるSU-METALに見とれていた。この人あってのBABYMETAL。こんなに入れ込むのは歌唱力のおかげ。やがてSU-METALが世界のカリスマになるまで、しっかりと見届けたい。いや、もうなりつつあるのか。
しかし、SU-METALのソロの時に「この後はBLACK BABYMETALか」って一瞬思う癖をいい加減やめたい。でも仕方ない。「よんよんっ!」って声が聞こえてきたら、それは先ほどまでのかっこいいをかわいいで塗り替える。SU-METAL→BLACK BABYMETALの流れはいつもこんな感じ。かっこいいとかわいいの連続技なのです。
『4の歌』を作詞・作曲したのはYUIMETALとMOAMETAL。ツアーで移動中のバス車内で2人が遊びで作った歌をプロデューサー・KOBAMETALが気に入り、それを本格的にメタルアレンジして出来上がったという。 子どもにしか作れない、大人の発想力では届かない遊び心。この歌が収録されたアルバムが全米ビルボードにランクインしたのは、日本でもっと騒がれてもいいと思う。
メタル調、レゲエ調を繰り返す。まるで子どもに振る舞わされるように、タテノリからヨコノリに変える大人たち。こんな光景、世界中のどこを探しても見当たらないでしょう。

「きーつーねー、きーつーねー、」という声がどこからともなく聞こえたら、『メギツネ』。レディー・ガガのオープニングアクトではこの曲が1曲目で歌われる事があり、初めてライブで観た時とは比べ物にならない、洗練されたダンスと歌が繰り出される。
中盤、SU-METALがキツネお面を顔に添えてゆっくり歩き、両サイドで日本舞踊のように華麗に舞うYUIMETALとMOAMETALの構図。そしてそこから再び盛り上がりを見せて、大サビに持っていく流れ。
「なめたら、いかんぜよ!」
この時、海外で「NAMETARA, IKANZEYO!」って叫び声を聞いている。日本で本場の「いかんぜよ」が聞ける喜び。逆輸入感が半端ない。日本のアーティストなのに、もはや海外のアーティストが日本公演しているような感覚に近い。BABYMETALの場合、“来日”って錯覚してしまう。それくらい世界水準なのだろうか。外国人の観客の姿もちらほら見かけて、日本まで遠征してきた人も少なくはないんだとか。

『ド・キ・ド・キ☆モーニング』は始まる時、巨大画面に大きく『BABYMETAL』の文字が映し出される。古くからのファン泣かせの演出である事に違いない。これがBABYMETALのすべての始まりなんだ、と言わんばかりの文字が昨年からファンになったばかりの自分にまで響くのだから、3年前から追いかけている人からしたら鳥肌ものだろう。
3人がお立ち台の上で寝転がり、目覚めて元の位置に戻ってサビへ。この展開は何度観ても笑顔になる。気が付けばさっきからずっと笑ってる。常に脇腹を突かれているように、もう悲しい顔ができない。切なさを忘れた。憂いなんて知らない。BABYMETALのライブはいつもこうなってしまうのです。

『ギミチョコ!!』は3人に負けじとサーフ&モッシュの嵐。SU-METALが「カモーン幕張ーーー!スクリーーーム!」と煽り、MOAMETALが「聞こえないよーーー!」、YUIMETALが「もっともっとーーー!」って海外とは違ってすべて日本語。
日本ではコワモテマッチョメタラーが「チェケラチョコレートチョコレートチョッチョッチョ〜♪」って叫ぶ非常事態は無い。コール&レスポンスは自然に行なわれ、MCのないBABYMETALだからこそメンバーの言葉が貴重に聞こえて、その喜びもあって大きな歓声が上がるのかも知れない。
「We are!」「BABYMETAL!」 「We are!」「BABYMETAL!」 「We are!」「BABYMETAL!」
何度も繰り返し、コールを促す3人。これで本編は終了し、「See You!」で去っていく。まだ歌っていない重要な曲が2曲がある。いつもいつも、わざとらしいタイミングで本編を終えるのがニクい。

アンコールを呼ぶ声は、日本なのに「We want more!」。「ウィーウォンモア、ウィーォンモア、ィーォンモォ、ィーォンモォール…イオンモール!?」って聞こえるくらい、イオンモールのくだりが脳を浸食している。
ここは幕張メッセ。BABYMETALのワールドツアー日本公演。あの曲のあのイントロが鳴り出し、神バンドがステージに集ってくる。そして3人がステージ脇から歩いてくる。SU-METALはマイクスタンドを持っている。となると、『ヘドバンギャー!!』しかない。
YUIMETALとMOAMETALのハイジャンプに倣って、会場が一斉に飛び跳ねる。小さな地震が各地で起きている。下手も上手もドセンも関係なく、すべてが一体となってヘドバンする間奏部分が壮観。スタンド席から見渡す景色のスケールが半端なかった。

「なぜ、人は傷つけ合うの?」
あの曲のあのイントロが始まると、客席の様子がおかしくなる。ワールドツアー共通の映像が映し出される中、客席では幾つも空洞が生まれていく。そのうちの2つはなぜか繋がり、なぜか楕円形を作り出す。
「ウォール・オブ・デス。本当の勇気見せてくれたら、本当のメタル、教えてあげる」
ナレーションが流れる中、人々はウォール・オブ・デスの準備に勤しむ。合計4、5つは生まれていた。
やがて一人ライトに照らし出されるSU-METALに視線を奪われた後、ステージの端と端でクラウチングスタートの姿勢でスタンバイするYUIMETAL、MOAMETALを確認。その後、SU-METALの咆哮を合図に2人が端から端へ全力疾走。同じタイミングで客席では人々が走って身体をぶつけ合う。
『イジメ、ダメ、ゼッタイ』
ステージは再び20数本の火柱がBABYMETALを取り囲み、さらに加えて大きな炎が幾つも燃え上がる。その熱は離れていても伝わってくる。炎を見ると気持ちまで燃え上がるのは動物的本能か。SU-METALの後方から捉えたカメラがYUIMETAL&MOAMETALのバトルシーンを巨大画面に映し出し、あえて後ろ姿である事のかっこよさよ。背中が物語る軌跡よ。少女たちが勇ましく戦う姿に、薄ら涙が出てしまったようだ。
これ以上、かっこいいシーンがあればすぐさま教えてほしい。今はこれだけしか知らない。これが最もかっこいい。いや、かっこゆい。汗で前髪が張り付いた3人の顔が大きく映し出される。一切衰えを見せない。幼さに甘えていない。凝った演出もなく、MCもなく、正々堂々と歌とダンスで勝負するステージは鳥肌を立たせてくれる。
巨大な炎は止む事なく吹き続け、客席はもはや戦場。サーフ&モッシュが入り乱れて、少しでもBABYMETALの勢いに身を任せようと人々が荒波となり、雪崩となり、立ち向かっている。
BABYMETALのライブ、物凄い光景だ。

最後、再び「We are!」「BABYMETAL!」 「We are!」「BABYMETAL!」 「We are!」「BABYMETAL!」 とコールを促し、アリーナ席だけでなく、ステージの端から端へ走ってスタンド席まで挨拶に来る。
破顔一笑とはまさにこの事よ。3人の笑顔を見ると、すでに笑顔だったのが余計に笑顔になる。
しかし、ここで今日の大きなトピックが一つ生まれる。
YUIMETALがフラッグを掲げ忘れる。すぐにMOAMETALを見て気付く。さらにその後、フラッグが拡がらなくてもたついている。なんなんだこれは。前回のサマソニでも裏表逆に持ってしまい、海外のライブでも持つのを忘れてしまい、YUIMETALはフラッグにつくづく縁がない。ただ、一連の動作がかわいすぎて変な声が出た。こんなにかっこいいステージを見せてくれたのに、どこか幼さも仕方なく表れてしまっている。本人にとっては不本意かも知れないが、それも含めてもうなんていうか、かわゆい。かわYUIMETALだったのです。

3人がステージを去り、最後はBABYMETALの“第2章”の軌跡を辿る映像とナレーション。

「聖地巡礼」と大きく映し出される文字。
フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、カナダで人々を熱狂させた写真。まるで合成のように感じるが、すべて事実。SONISPHERE FES.で65,000人の前でパフォーマンスする3人の写真は現実で、彼女たちが辿ってきた道筋である。

「BABYMETALは四天王に誘われ、異国の地に旅立ったのである」

すべてがまるでジョークのようだ。
元々、BABYMETALは“ありえない”ストーリーの中で動いてきた。3人の風貌に似つかわしくない、終末的世界が舞台。そこで世界のメタル界のカリスマのオマージュを繰り返し、それは手の届かないはずの存在だった。
まさか、その“ありえない”が現実になるとは誰が予想していたか。

「海を超えた異国の地で鋼鉄の猛者たちと本気バトルを繰り広げ、彼女たちは臆する事なく勇敢に立ち向かい、その真っ直ぐで健気な姿は人々のメタルハートを揺さぶらないわけがなかった」

実際、ネブワースとロンドンで目撃したのは揺さぶられた人々の拳。
まさかとは思うが、スキンヘッドのいかついメタラーがファックスサインを掲げ、若い女の子たちが「ユイユイユイ〜!」と叫び、「DAME!」ってジャンプしていた。

「四天王は言った。“It's your turn” メタルの未来を授かったBABYMETALは、第3章へ立ち向かうのであった」

“第3章”、この言葉に今日一番の大きな歓声が上がる。
いつ終わるか分からないBABYMETALのストーリーにはまだまだ続きがあった。その安堵感含めた驚きが、歓声というべきか悲鳴にも似た絶叫で応えられた。
その先、一体何が待ち構えているのか。

「だが、聖地巡礼は終わらない。新たなる調べを手に入れるため、再び異国の地へ立ち向かうのである。そして、BABYMETALは時代の幕開けとともに、日出ずる国へ舞い戻るのであった…」

日本、まさか、日本に帰ってくるとは。

映し出されるのは、『2014年1月10日 さいたまスーパーアリーナ』。ついに、ついに日本に帰ってくる。
 タイトルは『新春キツネ祭り』。
なんだそりゃ。一気にひっくり返る。この遊び心にいつも狂わされている。最高です。

再び2度目のイギリス、アメリカのワンマンライブの告知、その後に何のアナウンスが繰り出されるのか気になっていた。
まさか第3章が告げられて、それが日本で行なわれるなんて。
でも、次の章が日本だけで行なわれるとは限らないだろう。BABYMETALの最終地点が日本であるのは、なんとなく想像できない。世界中に名を馳せたBABYMETALの目的地は、もっと想像を遥かに超えた場所に違いない。
スラッシュメタル四天王、レディー・ガガ、ビルボード“World Albums”首位。世界的エピソードを増やしていく3人が、今後しばらく落ち着く事はないだろう。
日に日に加速していくBABYMETALのスピード。もはや追いかけっこは遊びじゃない。かくれんぼしても隠れられない。鬼ごっこは完敗だ。誰も3人にタッチできない。こちらはいつだって鬼だ。ずっと追いかけている。それでいい。3人は鬼じゃなくて、正義。カワイイは正義、って事で落ち着く。

明日14日、再び幕張メッセへ。
ワールドツアー日本公演の2日目は、今日と同じ内容かどうか。メタルの炎はますます燃え盛っている。

(画像はBABYMETALの公式インスタグラムより)

2014年9月13日 WORLD TOUR 2014 in JAPAN@幕張メッセ・イベントホール
〈セットリスト〉
01、BABYMETAL DEATH
02、いいね!
03、ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
04、悪夢の輪舞曲
05、おねだり大作戦
06、Catch me if you can
07、君とアニメが見たい ~Answer for Animation With You
08、紅月-アカツキ-
09、4の歌
10、メギツネ
11、ド・キ・ド・キ☆モーニング
12、ギミチョコ
アンコール1、ヘドバンギャー!!
アンコール2、イジメ、ダメ、ゼッタイ

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