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2014年1月12日日曜日

偶像を打ち壊す。


笑い事じゃ済まされなくなってきた。

2014年、最重要事項を書く。

今まで約30年間、あらゆる映画、音楽、ライブに触れてきた。どれも衣食住に関係しない。無くても生きていられる。それでも毎日TSUTAYAに通っていたのはどうしてか。日常では体験できない刺激があるからか。退屈を打破したいのか。好奇心か。
「見た事のないものが見られる」
映画、音楽、ライブにはそんな希望を抱いていた。
この三点は自分にとって好奇心の剣、盾、鎧。満たされないと不安で、なぜか我慢できなかった。
人生で見られる景色は限られていると思う。未知なる世界を覗く窓口がないと、波乱の内戦地域を、南極大陸の地下の秘密を、宇宙の先の先の先を、このちっぽけな人生ですべて見られるはずがない。
しかし、昨年また新たに剣、盾、鎧を手に入れた。目の前に勇者と戦士と魔法使いがいた。ラスボスへ立ち向かっていた。その三つは最強だった。
手当たり次第、心の底で"偶像"を追い求めていた。生まれてこれまで、チャップリン、スタンリー・キューブリック、ナンバーガール、中川翔子、神聖かまってちゃん、能年玲奈といった熱量を注ぎ込む対象に出会い、日常を打ち破る快感を得てきた。
そして今新たに、日常を打ち破り、これまでの"偶像"を破壊するものを知った。熱を帯びた指でタイピングする時が来てしまったのです。

昨年から、このように話しかけられる事がある。
「ベイビーメタルにハマりすぎだけど大丈夫?(笑)」
三点指摘したい。
・ベイビーメタルじゃなくてベビーメタルである
・大丈夫である
・(笑)って笑い事じゃ済まされないのである

とは言え、「あははそうだよねぇ」と照れ隠しのために笑ってしまう。悔しい思いをする。しかし、その悔しさが今タイピングさせている。
本気でいる事がなぜか笑われる。この感覚には久々に出会った。笑われる存在なのか、大丈夫か確認されるほど異常なのか。入り込んだ者と、知らない人との間の温度差は確実にある。
 
昨年の2013年8月、SUMMER SONIC。あの日体験したものは日常にはなかった。人と人とが全速力で身体をぶつけ合うウォール・オブ・デスも、次の韓国バンドを待つ最前列付近のおばちゃんたちがサークルモッシュに巻き込まれ、悲鳴を上げながら弾かれていったのも。
その日のライブは、タワーレコードのサマソニベストアクトランキングでMUSE、Metallica等強豪をおさえて一位に輝いた。ライブ当日、Metallicaチームが自ら話しかけに来てフォトセッションを行ったという。更には彼らのライブをステージ脇から観る事を許可されたらしい。
その逆に、彼らがステージ脇で真剣な眼差しで見ている目撃写真が広まった。


隅から隅(ステージの)まで事件性があった。

そして12月21日。
幕張メッセイベントホールで目撃した光景に立っていたのは、ベイビーメタルではなくベビーメタルだった。笑い事で済まされなかった。僕の気分は大丈夫だった。それだけの話なのに前置きを長くした。リード文とは温度差を縮めるための段階。その対象のファンの方のみならず、多くの人に読んでもらいたい。その一心で、今年最重要項目の対象について記します。
見た事のないものが見られる。
壮大な世界観と徹底したコンセプト。異常なクオリティの中でも遊び心を忘れない。かっこいい×かわいい×おもしろいの最強三点セット。
彼女たちの出で立ちについて、ライブで流れるオープニングムービーから言葉を抜き取ります。

「昨今、世界は巨大勢力"アイドル"の圧倒的な魔力によって支配され、メディア、政治、経済を含む全てがアイドルによって牛耳られていた。アイドルソング以外の音楽は全て有害とされ、"メタル"もその例外ではなかった。
魂を奪われたメタラー達は、メタルの復権を祈った。やがてその祈りはメタルを司る神"キツネ様"へと届くことになる。
キツネ様は、SU-METAL、YUIMETAL、MOAMETALの三人を"新しいメタルの誕生"を意味す る"BABYMETAL"と名付け、アイドル界のダークヒロインとしてこの世に降臨させた。」

アイドルとメタルを融合した全く新しいタイプのアーティスト、『BABYMETAL』の事を書き記します。

「諸君、いよいよ"メタルレジスタンス"の幕開けだ!」




BABYMETAL ワンマンライブ『LEGEND"1997" SU-METAL聖誕祭』@幕張メッセイベントホールへ。

その日、幕張メッセ最寄りの海浜幕張駅に着くと、幕張メッセで開催されているジャンプフェスタのお客さんで沸いていた。その中でポツリポツリと黒と赤のTシャツが目立つ。黒と赤なんてBABYMETALかディスクユニオンくらい。彼らのバックプリントに書かれた『BABYMETAL DEATH』『コルセット祭り』『イジメ、ダメ、ゼッタイ』といった強烈な言葉を道筋にして、駅から意外と遠い幕張メッセイベントホールへ辿り着く。

会場に入ると、人、人、人。そして遥か遠くにそびえ立つ、ステージのセット。そこには今までに見た事のない物がステージと客席を見下ろしていた。




でっけぇ。

巨大な女神像が立ちはだかっていた。どうあがいても視界から逃れない。客席はざわざわしていた。兼ねてから語られてきたBABYMETALの世界観を象徴するようなセットが、開場から開演までの時間の話題を独占していた。
これは前回の『YUIMETAL&MOAMETAL聖誕祭』@NHKホールのラストシーン、SU-METALが吸い込まれていった女神像か。続編への期待が高まり、ステージが暗転してライブが始まる。
地鳴りのような歓声。あちこちで「スー!!」「ユイー!!」「モアー!!」と呼ぶ声が聞こえる。
心臓の鼓動が高まる。より興奮と衝撃をもたらす瞬間へ移動する頃、「モアー!!」がMore!!(もっと!!)に聞こえてくる。
女神像があまりにも神々しくて若干怖いので、メンバーそれぞれが描いたBABYMETALイラストを挟んでバランスを取りながらライブレポートを記します。


(MOAMETALが描いたBABYMETAL)


青い照明に女神像が照らされ、『Ave Maria』が流れる。ステージには聖者らしき者が女神像に向かって歩いていき、白い衣装に身を包んだYUIMETALとMOAMETALがゆっくりついていく。
辺り一面が真っ青に染まる中、いくつか炎が揺らいでいる。まるで儀式のような神秘的な光景でも、二人の手にはやはりコルセット。よし、BABYMETALだ。安心する。女神のど真ん前で祈りを捧げると、本日の主役・SU-METALが降り立つ。
「ヘドバンヘドバン!ヘドバンヘドバン!」
やがて鳴り響くYUI&MOAの無邪気な声。
こうしてBABYMETALのワンマンライブの幕が上がる。

『ヘドバンギャー!!-Night of 15 mix-』は、メタルを覚悟していた耳が拍子を抜かす。まさかのエレクトロダンスミュージックに惑わされ、ステージでもYUI&MOAのツインテールを模したダンサーが大量発生。まずこいつらを倒さないと戦えないRPGボス戦感満載のオープニングと、パワーアップしたダンスパフォーマンスに度肝抜かれる。
予想に反して神バンド(生演奏)ではなく、骨バンド(エアー演奏)で始まる。こちらとしてもダンスとステージ演出に集中できる。続いて『ド・キ・ド・キ☆モーニング』。ちょっぴりメタルと距離を置いたセットリストから始まるのか。アイドルソング然とした「ちょ待ってちょ待って〜」の振り付けと掛け声。割とこちらの心情に近い。この興奮、気持ちの準備ができていない。待ってくれないノンストップのステージに、さらに畳み掛けるかのように『いいね!』。レーザービームが頭上を刺す。いいねというか、よすぎる。客席は歌詞にちなんでモッシュ(+シュ)する。+シュだから二倍。だから激しい。
「ライブ後は記憶が無くなる」
BABYMETALの三人はこう口を揃えるが、それは三人だけではない。激しさゆえの完全燃焼に、脳の機能が身体の体験についていけない。今、白い壁を見つめて全神経を集中させて記憶の断片を繋ぎ合わせているのです。病んではいません。
「聖誕祭っ!」と煽るSU-。自分の誕生日を聖誕祭と名乗る気恥ずかしさから、照れ笑いが見えた。MCが一切ない事で知られるBABYMETALだが、いつもこの瞬間だけは素の表情、いわば世を忍ぶ仮の姿が垣間みれる。YUI&MOAの「せーたんさいっ!」と掛け声に合わせて、観客が一斉に叫ぶ。そして会場全体がキツネサイン。約8000人のヘドバンは二階席から見ると壮観に決まっている。

巨大液晶モニターが稼動し、BABYMETALのライブでおなじみの紙芝居ムービーが始まる。
まるで神話を綴るかのようなナレーションと絵で、BABYMETALの物語を運んでいく。
『LEGEND"1997"』の伝説。SU-METALの生まれた年が「セカンドインパクト」といった言葉で語られる。そうか、1997年とは『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』『Air/まごころを、君に』の公開年。こうしてまさかの『魂のルフラン(高橋洋子)のメタルアレンジのカバー。SU-METALのソロで歌われ、さすがの歌唱力に圧倒される。前回のYUI&MOA聖誕祭では彼女たちが生まれた1999年に発表されたプッチモニ『ちょこっとLOVE』とモーニング娘。『LOVEマシーン』が披露され、時の流れに気が遠くなった。今回、さらに1997年の記憶に気が遠くなってクラクラした。

BABYMETALのステージは妙に90年代を思い出させてくれる。耳に張り付いたX-JAPANの音楽、それのオマージュ。記憶に刻み込まれたエヴァンゲリオンの世界観、やはりそれのオマージュ。もはやLEGEND OF 90's。彼女らが知りもしない1997年と1999年に発表された音楽やアニメが客席のそれなりの年数を生きてきた人々の頭の中で蘇り、妙なセンチメンタリズムでしくしく心が泣く。と同時に、1999年の世界が滅亡するノストラダムスの説を思い出し、終末的世界観と彼女たちが生まれた時代が合致する。滅亡とともにこの世に生み落とされた三人には、『イジメ、ダメ、ゼッタイ』のMVで荒野に佇む姿がとても似合ってしまう。

『ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト』の「キンキラリーン!!」の時のYUI&MOAのジャンプは見逃せない。両サイド、シンメトリーで身軽さを発揮するパフォーマンス。いつも以上にキレキレのダンスで、いつも異常だ。
その後、聞いたことのない「Give me Chocolate……」という囁き。これは新曲か。「ズキュン!」「ドキュン!」「バキュン!」とYUI&MOAが身悶えするほど可愛らしい擬音を唱え、サビではSU-がメロディアスに歌い上げる。後ろでは息づきできないほど激しい音。この絶妙なアンバランス加減、BABYMETALの新曲としか思えない。チョコレートを題材にしている事からバレンタイン商戦が垣間みれる。2月の話題を独占しそうです。
そのままYUI&MOA→SU-と歌い手が変わる構成を維持したまま、『君とアニメが見たい〜Answer for Animation With You』。そして、SU-の「キ〜ツ〜ネ〜 キ〜ツ〜ネ〜 わ〜た〜し〜は〜メ〜ギツネ〜♪」の歌声が聞こえてくると、YUI&MOAがキツネさんポーズ。1997年、1999年を経て、2013年の記憶として深く刻み込まれた『メギツネ』が始まる。「それそれそれそれっ!」の掛け声とともに左に移動していくメンバー、それに合わせて鏡のように同じ方向へ移動していく客席。テンションが最高潮に達したと思ったら、『イジメ、ダメ、ゼッタイ』 でさらに白熱する。

美しく、切なく鳴り響くピアノとともに、「なぜ、人は傷つけ合うの?」というこの世の争いを憂うナレーション。その一方で、まさに傷つけ合う行為を実践するかのように準備する客席。大きな空洞が幕張メッセイベントホールの中央に生まれる。ナレーションが終わって音が鳴り、SU-の「アーーーーッ!!!」という絶叫とYUI&MOAのステージの端から端まで全速力で駆け抜けるタイミングで、その空洞を目がけて大勢の観客が走り出す。
これがウォール・オブ・デス。
ケガ人が出ない事が奇跡。大勢が身体をぶつけ合った後、先ほどまでぎゅうぎゅう詰めだった客席のフォーメーションが完全に崩れる。爆弾でも落としたかのように荒れ果てる。それがBABYMETALの世界観に似合っており、激しく髪の毛を振り乱すYUI&MOAが相応しい。
この曲は何段興奮させてくれるのだろう。
「君を守るから」と歌いながら、頼もしいグーサインを三人お互い見せ合う姿。そして後半に差し迫る頃の、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」と言った後のバトルシーン。見えない波動、光線で戦い合うYUIMETALとMOAMETALは共に助走をつけて攻撃し、床に尻餅をつく。静止し、二人の戦いを見届けるSU-METAL。このトライアングルの構図が見事で、しばらく動きのを止めて静止して見てしまう。見とれてしまう。見入ってしまう。だけど冷静にはならない。
イジメ、「ダメッ!!」/キツネ、「トベッ!!」
一連の動作が幕張メッセを埋めて、このタイミングで会場に入り込んでしまった人は異世界と遭遇した感覚になるだろう。神々しくも恐ろしく立ちはだかる女神像、何度も吹き上がる特効の火柱、そして三人の女の子たち。この組み合わせは非日常の中にある。人生で見られない光景の一つである。


(YUIMETALが描いたBABYMETAL)


「ウィーアー!」「ベビーメターーール」「ウィーーアーー!」「ベビーメターーーール」
SU-のコールと、YUI&MOAのレスポンス。
そして「See You!」とあっさりと去っていく三人。ここまでで当然MCは無し。ようやく演奏以外で声が聞けたかと思ったら、もうステージにいない。その寂寥感に耐え凌ぐため、アンコールの拍手を始める観客。
すると、一つずつ楽器が鳴り響く。ヴォーーン、ズォーーン、ドカドコドカドコ、バシャーン、グーーーン。どうやら、クライマックスはまだまだ先にあるようだ。
すると紙芝居ムービーが始まり、『おねだり大作戦』
「ギターの神、ベースの神、ドラムの神を降臨させた」というナレーションで、生演奏の神バンドの到来を告げる。

季節は12月末。クリスマスを目前に控えた時期である事をすっかり忘れていたが、YUI&MOAの登場で思い出した。なんと、サンタ姿でパパにおねだりをするという為す術のない状況を作り出していたのだ。
「買って!買って!買って!買って!買って!買って!買って!買って!ちょうだい!ちょうだい!ちょうだい!ちょうだい!ちょうだい!ちょうだい!ちょうだい!ちょうだい!」
これが×2。14才サンタ少女二人×limpbizkitの攻撃と、生ドラムのスネアの音の快感。ライブが一旦終わり、また新しいライブが始まったかのような高揚感はこの後しばらく続く。

そのまま『Catch me if you can』。 幕張メッセイベントホールを使って盛大なかくれんぼ。見つかる見つかる。すぐに見つかります。「とっておきの場所を発見!」とSU-の股をくぐり抜け、笑顔のストップモーションを実行するMOA。分かってるよ。ここにいる全てがここをとっておきの場所だと思ってるよ。間奏の三人全員動きを一致させるダンスと、手拍子を促すアクション。「鬼さんこちら、手の鳴るほうへ」これ以上の煽り文句はあるだろうか。

本日二度目の『ヘドバンギャー!!』はまるで表情が違う。この三人の身体能力と体力に限界はあるのだろうか。この時点で一週間筋肉痛を引きずるレベルの動きを見せてきたのに、さらにハイジャンプを連続するYUI&MOA。時折MOAが見せる笑顔がまるで煽るかのように、余裕で、挑発的で、無敵だった。一方、キレキレのダンスをひたすらキメ続けるYUI。一瞬のブレもなく、プロフェッショナルなボーカルを聴かせるSU-。完璧の三人に、超絶の演奏。壮大なステージ演出。非が見当たらない。隅から隅までパーフェクトです。
CO2バズーカを噴射させるYUI&MOA。そして銅鑼を叩いて倒れ込むSU-。その流れもあってか、SU-METALが戦いの末に命を落とすという物語が紙芝居ムービーで語られ、その先の復活が描かれていく。

「この世界の理(ことわり)を超えた、新たな生命の誕生。代償として、いにしえの生命は滅びる。」

明らかに"サードインパクト"。こうして、まるで赤木リツコfromエヴァンゲリオンの解説タイムの後に『紅月-アカツキ-』が始まるが様子がいつもと違う。ピアノだけが鳴り、SU-のボーカルが轟く。最後まで楽器はピアノのみ。歌が大半を担う。SU-METALの歌声は各所で絶賛され、この人の歌がなければBABYMETALは一切成り立たない。それを再確認する時間だった。
別段、この曲の歌詞に共感や実感を求めていない。それなのに泣けるのはなぜだろう。歌声だけで心に沁み入るのか。踊るだけじゃない、暴れるだけじゃない、BABYMETALの魅力がグンと拡大された瞬間だった。そして彼女の後ろにそびえ立つ女神の表情が初めて優しく見えた。物語に沿って、SU-METALは女神に見守られるように1997年という世紀末に生み落とされた宿命を背負っていた。その歌声は、今まさにその頃より終末的な時代を生きる我々の心に響いていた。

そして、最後を飾るのは『BABYMETAL DEATH』。BABYMETALの文字がモニターに大きく映し出される。
「DEATH!」この掛け声は死と自己紹介を同時に行う。今更自己紹介かよ、とはならないのは、これが始まりに思えたから。次回の展開がくっきりと見える、またその自信があるようなセットリストに、延々と「DEATH!DEATH!DEATH!DEATH!DEATH!DEATH!」と叫ばれる会場。
ステージには無数の炎が上がり、息絶えたSU-METALが黒装束の者たちによって十字架に磔になる。
目を瞑ったままの彼女の顔がモニターに大写しにされると、「ギャーーーー!!!」と咆哮し、YUIMETALとMOAMETALが狂ったようにじたばたとステージを駆け回る。
そして爆発音とともに、女神像が真っ二つに割れて崩壊する。
まさかの展開に呆然。
突然の出来事に周囲がざわつく。
今、目の前で一体何が起こったのかしばらく判然としない。心が落ち着かないまま、ライブは終盤を迎える。YUI&MOAがSU-にコルセットを装着し、次回へ繋がるように終わっていく。
とんでもないものを見た。今までに見た事がない光景だった。

BABYMETALは女神像のセットを壊す事で、偶像を打ち壊したのかも知れない。
アイドル=偶像はいまや至る所に存在する。そもそも、それがもはや"偶像"なのか分からなくなってきた。Twitter、ブログ、Google+で日常を見せて、アイドルが神格化されることない。"いつでも会える"という日常性と現実味を帯びてきた。身近な存在になった。いつでもリプライを飛ばし、いつでもコメントを残せる。ファンだけでなく、心ない人々の声を瞬時に受け取ってしまう。かけ離れた世界に生きているはずのスターがたった一言で傷つき、心がダウンする事もある。
アイドルがノンフィクションになってきている。
元々、"アイドル"は可愛い女の子にだけ差す言葉ではなく、偉大なアーティストに差す言葉でもある。それらは海の向こう、テレビの向こうの人たちで、決して生活圏に入る人々ではなかったはずだ。
今の時代、スターという存在はいなくなった。
国民の気持ちが一つに向かうことはない。人々の"神"は価値観の名のもとに細分化されていった。
BABYMETALはその"アイドル"の意味をもう一度考え、それを"神"の形で破壊した。
フィクションの力を借りたのだ。
この世の終わりを告げる壮大な世界観で、架空の物語として成立させた。ステージと観客の間にスクリーンを降ろすように、日常を隔てていた。徹底してMCが一切なく、そこには中元すず香も水野由結も菊地最愛もいない。SU-METAL、YUIMETAL、MOAMETALという登場人物に扮し、すぐそこに存在するフィクションの中に溶け込んだ。臨場感のある非日常を作り上げていたのだ。
それこそ、「ズッキューンと現実逃避行」しているのだろう。
本来の意味の"偶像"を取り戻すために。

すると、いにしえの偶像は滅びるのだろうか。 そしてその代償として、新たな偶像が生まれるのだろうか。
その答えは、最後のムービーにあった。
1st ALBUM発売の告知。
そうだった。BABYMETALはまだ一枚もアルバムを出していない。それで8000人キャパシティの会場を即完させてしまった。
続いて、日本武道館2Daysの告知。
『赤い夜』『黒い夜』の2夜連続の公演が発表され、歓喜の声が鳴り響く会場。次から次へと繰り出される新展開に、もはや言葉が出ない。
そして最後に、「BABYMETAL」の文字。
かっこよすぎて泣いてしまった。

神バンドの超絶テクニックと、グングン上がっていくSU-METALの歌唱力と、YUIMETALのダンスのクオリティと、MOAMETALのアイドル性。
ステージにはギターの神、ベースの神、ドラムの神だけでなく、歌の神、ダンスの神、アイドルの神がいた。
三人が時折見せる笑顔は、フィクションをいとも簡単に打ち破る威力を持つ。徹底したコンセプトから一瞬垣間みれる素の姿は希少価値を得て、ますます輝かしく見える。早い話、すっごい可愛いっす。

メタルとアイドルの融合は、フィクションの持つ力を十分に発揮し、日常を刺激する。
全く新しいタイプのエンターテイメントであり、総合芸術。映画であり、演劇であり、音楽であり、ライブ。
一度にすべて楽しめる対象との出会いに心が踊りまくる。

これが新たな"偶像"の形。

今年はBABYMETALの一年になるでしょう。

それは笑い事じゃない。大丈夫なくらい確かなこと。ベイビーメタルがベビーメタルとして認識されるはずです。


(SU-METALが描いたBABYMETAL)


01. ヘドバンギャー!! -Night of 15 mix-
02. ド・キ・ド・キ☆モーニング
03. いいね!
04. 魂のルフラン(高橋洋子カバー)

05. ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
06. 新曲
07. 君とアニメが見たい ~Answer for Animation With You
08. メギツネ
09. イジメ、ダメ、ゼッタイ
<アンコール>
10. おねだり大作戦
11. Catch me if you can
12. ヘドバンギャー!!
13. 紅月-アカツキ-
14. BABYMETAL DEATH



1 件のコメント:

  1. ラーズと握手してもらったことあります
    (自慢)

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