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2011年12月12日月曜日

うみのて@高円寺UFO CLUB

2011年度の最大の収穫。それはうみのてというバンドです。

あらゆるところで「うみのてヤバイ」と呪文のように唱えている。誰を回復させるわけでもなく、攻撃するわけでもない呪文だ。だけど意味があると思っている。
この日のライブを観に来ていたコウノさん(元カワサキ・ティーンズ・プロジェクト)が「こういうバンドがいて、ホッとした。希望的観測を語らないっていうのが」とおっしゃっていた。たしかに、笹口聡吾の歌詞は極めてシリアスで、リアルだ。輝かしい未来がまったく掴めないこのご時勢、はっきりと物事を言うバンドがいてくれることは頼もしい。クソみたいなものをクソだと言ってほしいのだ。
簡単に言えば"暗い"とも受け取れる世界観であるにも関わらず、ギターの高音がとにかく美しく、繊細なメロディを奏でる。鉄琴と鍵盤ハーモニカの音が可愛くも不気味に聴こえてくる。
アクションにもホラーにもサスペンスにもラブストーリーにもなる、変幻自在な映画のようにうみのてが物語を綴っていく。なんなら、この現実世界の腐れきったストーリーも書き換えてほしいものだ。

東高円寺UFO CLUBで観るうみのては初めて。この日はトリ。
開演を告げるカーテンが開く前から早瀬のベースが鳴り、笹口のエコーがかかりまくった掛け声、高野のギュワーーンと鳴るギターが野蛮に聴こえてくる。新曲の『New war(in the new world)』だ。「新しい戦争を始めよう それは現代の戦争」と繰り返される。
現代の戦争は殺し合いなんて時代遅れ。パソコンの前で血を流すことなく、誰かの心をぶっ殺していく。匿名で書き込まれる時代は終わったのかも知れない。いまやすべての人がアカウントを持つ時代。現実に生きるよりもリアルなものが上から下へスクロールされていく。
笹口騒音ハーモニカのソロ音源からアレンジされたこの楽曲には、更に終末感が付け加えられているように感じた。ぜひ、世界が終わる頃に流れていてほしいものだ。
「いいか?俺の大事な人に指一本触れてみろ。お前の脳髄引っぱりだして神経一本一本ピンセット的な物でむしむしむしむしむしってやる。いいか?俺の大切な家族に指一本触れてみろ。お前の頭かち割って、脳みそアイスピックで、アイスピックのようなもので、めためためためためった刺しにしてやる」
大切な家族が殺される事件なんて幾らでもある。いつだって死ぬ可能性はゼロではない。幸せはいつも幸せなだけ不幸に脅えている。フッと誰かが吹けば一瞬で崩れてしまう平和と、ボタン一つで簡単に始まっている戦争が歌われている。

次に演奏される『RAINBOW TOKYO』の鍵盤ハーモニカの切なさといったら。東京を"焼け野原"と言ってくれるのは、この曲だけだ。ここで歌われる東京のように、どこだっていつでもグラウンド・ゼロなのだ。何かが終わって何かが始まるのを繰り返している。『東京駅』は最初のドラムからドキドキさせてくれる。中盤では「高円寺にいる女の子は昔いじめられてたから僕にも優しいー!」と、高野P介の曲を引用。高円寺ではこれを歌っていくつもりなのだろう。キクイのドラムソロはとにかくやばすぎる。あーーってなる。相変わらず見所がありすぎる曲だ。『もはや平和ではない』は笹口のギターの音が鳴らず、仕切りなおし。いつも以上にブチ切れた表情で絶叫する笹口。「だがのぐーーーん!!」と叫んで始まる高野ギターソロの高揚感といったら、何にも代えがたい。

笹口「あの、僕ツイッターで"右翼っぽい"って言われたんですが、どちらかというと東向きです」
高野「左と右分かるの?」
笹口「いや、東向きです」
間取りかいな。もはや会話になってない。
そのまま『四角い部屋』に入ろうとする。イントロに導入されるのは秋葉原GOODMANでみせた『カントリーロード』ではなく、この日は『君をのせて』だった。先日『天空の城ラピュタ』が放送されたからだろう。時事ネタを持ってきた。笹口と高野が熱唱する。ジブリはある種、日本人の共通言語だ。きっと四角い部屋に住む女の子も、幼い頃は『ラピュタ』を観たことがあるだろう。
「私の中を通り過ぎる 知らない誰かが通り過ぎる」
好きでもない男と関係を持つことを、このように表現するセンスが見事。風俗嬢の女の子が主人公。『東京駅』にも登場する四角い部屋に住む女の子だ。最大限の悪意をこめて、最大級のキッスをこめて、窓から眺める街の人々を見下ろす描写が切ない。自分のことばかりではなく、街の描写があるところに、どこかしら空虚な現代すら描かれているように思う。「すべてが四角で区切られて すべてが四角でできている」だなんて、恐ろしい閉塞感だ。でも、残念ながらこれが都会の暮らしなのだ。

間髪入れず、『正常異常』。高野ギターソロ→笹口ギターソロは毎回圧巻。ほんま、あかん、圧巻だ。鈍く轟く笹口ギター。鋭く切り裂く高野ギター。あなたはどちらが好みかしら。大暴れする二人と、それを低位置で取り囲む三人。この構図がいつもクールなのだ。
演奏後、すぐに「アンコールありがとうございます」とサクサクと進める笹口。アンコールは久しぶりに『FUNADE』。壮大なバラード。うみのてだけあって、海にちなんだ楽曲があるのはいいことだ。他には『スーサイダルシーサイド』くらいしか思い浮かばないが。5人しかいないのにオーケストラのように聴こえるのは、歪んだギターの音のせいか。はたまた、自分の心がそうさせているのか。こういったマジックは、うみのてでしか体験できない。

1曲1曲が終わるごとに3分間くらい余韻が欲しいくらい、殺傷力のある楽曲ばかり。うみのてはガチだ。間違いない。今のうちに言っておこう。この日もUFO CLUBの赤い内装に負けじと轟々と燃え滾っていた。早いところ、リキッドルームやAXでやってほしい。広いところで鳴る高野くんのギターが聴きたいのです。
うみのての魅力は、来年以降も語り継がれていくことでしょう。

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