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2011年12月8日木曜日

『謎の日』は謎だった

ライブ当日間近まで出演者すら発表されないという、謎に包まれた『謎の日』の当日がやってきました。

3日前の12月5日、神聖かまってちゃんのスタッフ・成田くん司会のパーフェクトミュージックのUstreamで情報を小出しにしていた。大方予想通りのバンドじゃないもん!の出演と、アンアミンの出演だけが明言されたが、他の出演者はみさこ、かっちゃん(バンドじゃないもん!)、アンアミンといった女性陣によってイラストでヒントを出された。
そこに描かれたのは、金。
金?ゴールド?いや、まさか。いやいや、まさかそんなことは。フッと湧き出た想像を誰もが疑ったに違いない。まさかゴールドだなんて。ピックしてアップするゴールドが出るわけがない。
しかし現実は、時折、想像を凌ぐことがある。
そのまさかだった。

会場のWWWに着くと、神聖かまってちゃんのメンバー3人はいつもと違う緊張感を漂わせていた。の子さんの姿はない。昨年に新宿LOFTで行なわれた『謎の日』とは違い、彼はこの日は完全欠席のようだ。
楽屋に入ると、ちばぎんがスーツを着ていた。成人式の帰りだろうか。そして向かいには同じくスーツ姿のギタリスト。いやいや、まさか。まだ信じられなかった。これは成人式の帰りなんだろう。イスに座ったちばぎんがギブソン・SGのギターをシャンシャン鳴らしていても、俄かに信じられない。
風邪なのかマスク姿だった。何かが起ころうとするこの日、伝説の予感を覚えながら、ちばぎんに話しかけた。
「今日の意気込みを…」
「うっさいわ!」
ロックだ。ビックリした。すっごいロックだ。これはもはや成人式の帰りではない。すでに大人だ。まさにステージに立つロックミュージシャン。インタビュアーの質問も一蹴するアグレッシブなアティテュードを目の当たりにした。
「ステージに立ったら風邪を吹き飛ばす感じですか?」
「…風邪は吹き飛ばないっす」
かわいそうだ。

やがてイベントが始まる。柵にもたれかかって観ているのは、神聖かまってちゃんのライブでよく見かける方々。かまってちゃんメンバーのいつもと違う姿を観るのは、この日しか無い。
場内BGMが消え、薄暗くなったステージに現れたのは成田くんと、白いフードをかぶった男。「誰?」とざわつく会場。
monoだ。
近くにいたお子さんが「白いのがmonoくん?」とお母さんに尋ねていた。その通り、白いのがmonoなのだ。中に『NEU』と書かれたTシャツを着ており、近未来系のサングラスみたいなものをかけている。ポリシックスのつもりだろうか。
二人ともMac bookを操作し、音楽が鳴っている。恐らくは再生ボタンを押しただけで、あとはやることがない。手持ち無沙汰のmonoはいつも通りウィスキーを飲み、自ら作曲した音楽を流しながらフラフラしている。
「えーと、やることがないんでmonoくんがマジックやりまーす」
成田くんの案内のもと、monoが無言で客席に指をさし、「いいか?見てろよ?」と言わんばかりの態度で耳に手を置き、耳が突然大きくなる。マギー審司のつもりか。微妙なズレたタイミングの笑い声と拍手が起き、それは正しい反応にも思えた。その後も青い光を華麗に出したりとマジックを展開する。戸惑いまじりの笑い声に包まれるが、真っ暗なステージで小さな光が細々と動くその光景が、音楽と相俟って、若干神秘的に見えたのが悔しい。
「もう限界です…」
monoが成田くんに助けを求め、もう一度耳を大きくするマジックを。「こっち(耳)は420円だったんだけど、こっち(光)は1200円もしたんだからね!ほんとに」と事情を観客に訴えかけ、「なんなんだよって感じだよ。これでどうせまた2ちゃんで叩かれるわ」と嘆く。

「これから皆さん期待しているバンドも出ると思うんで、僕らでちょっとあったまってもらおうかなと思います。改めまして、ユニット名、"PKトモダチ"です!」

ゲーム『MOTHER』の必殺技から取ったであろうネーミング。PKトモダチのライブが幕を開けた。名前を告げた直後に音楽がちょうど終盤を迎え、「いいところで終わりましたね」と成田くん。
近くで観ていたお子さんが「がんばってー」と言っていた。

「皆さん、手品見て"たいしたことねーなコイツ"って思ってんだろうけど。タネもバレバレだからね…酔っ払ってるのにパソコンってきついっすね」
monoが「いきますよー」と言うと、再び音楽が鳴り、2曲目へ。するとステージに正体不明の人物が現れる。手に『スターウォーズ』のライトセーバーを持ち、そして顔にはやはり『スターウォーズ』のダースベイダーのマスクを。明らかにパーティーグッズだが、その音楽が単なるお遊びではないことを証明していた。マスクを少し上げて口元だけが見えたまま、正体不明の人物が歌い始める。女性だ。耳にすんなりと入るロリータボイスと、気取らない歌い方。そこに切ないとも怖いとも受け取れるメロディが乗っかり、緑や橙の照明に包まれたステージは宇宙的だった。
演奏(ほとんど再生しただけだろうけど)が終わると、場内は拍手に包まれる。

「monoくん、のっけからダウナーな曲ばかりなんだけど…」
「いやいや、ここからはアゲアゲでしょ?"このバンド暗っ!"と思わせといて…」
二人が会話し、中央にいる人物がいまだ謎のままだ。「これ、誰ですか?」と成田くんが振ると、「ゆり?」という声が客席からチラホラ。
「俺のフィアンセだよ!」
まさかの恋人出演。昨年から付き合っているmonoの恋人、通称・ゆりちゃんがダースベイダーだったのだ。
「フゥーーー!!」という歓声が巻き起こる。
「歌い手がいなかったから呼んだ…ってことにしといて」
monoが照れながら応える。
「monoくん、最近なんか謎なことはなかったですか?」
「謎といえばね、この日のために練習することが謎だったよ!大変…いやいや、大変じゃなかった。楽しかった。お客さんの前で僕が作った曲とか、成田さんが作った曲とかを披露してるってのは嬉しいことですよ。これ(サングラス)あるから全然見えない…」

次の曲へ。ドンッドンッと打ち込みのリズムが心地良く、アップテンポだけど揺らぎなく、落ち着きを保ち続けるボーカルのテンション。直立不動ではあるけど、どこか躍動感のある声質。ピコピコと鳴る電子の音のメロディがポップ。PKトモダチは全編打ち込みの電子音楽だけど、どこか温かみのあるメロディ。これがかなり癒されるのだ。
成田くんはパソコンを操作するフリをして、携帯をいじっていた。終盤では通称・ゆりちゃんが光るライトセーバーを大きく回し、まるで交通整備のようだった。

成田「monoくん酔っ払ってるでしょ?」
mono「酔っ払ってます!酔っ払ってないと、こんなステージに立てません!」
成田「すごい練習したのにね」
mono「え、良くなかったですか?」
成田「お客さんに聞いてみたらどうでしょう?」
大きな拍手が鳴る。
mono「これは同情ですよ…」
お客さん「もう終わっちゃうの…?」
mono「うるせーんだよバカヤロー!」

「monoくん、大丈夫ですか?ラップやんなくて」と成田くんが促すと、「ラップ、俺はできないよ!」と拒むが、お客さんから「やれー!」と声援が。「うるせーバカヤロー!」と応えつつも、ちゃんと披露してくれた。客席が手拍子をする。
「俺らPKトモダチー!トモダチいないけど一人立ち!だけど俺にはこの仲間がいる!今すぐにこの仲間とデビュー!」
拍手と声援に包まれ、monoも満足気味の表情。そんな彼の姿をジッと見つめているダースベイダーがまた印象的だった。
「これからツワモノのバンドが出るんで。俺らはポケモンでいうとコラッタくらいなんで。ひっかきとたいあたりくらいしかできないんです!」
monoが嘆きつつも、最後は成田くんがベースを鳴らし、まるで『MOTHER』の必殺技のような音から始まる最後の曲へ。

monoがリズムに合わせて踊り、時折ノートパソコンをいじる仕草をする。成田くんがひたすらベースに専念し、黙々と低音を鳴らし続ける。中央ではキュンとさせるような声で歌うボーカル。ダースベイダーが机の上に置いたライトセーバーが点滅し続けており、妙な視覚効果をもたらしている。
終盤の打ち込みの高い音が宮崎駿アニメの音楽を彷彿とさせ、なぜか幼少の頃の記憶を呼び覚ます感覚さえ与えていた。この日、WWWでどのバンドよりも久石に近づいていた。他のバンドにはその要素がないだけだろうが。
曲が終わる頃、ダースベイダーが机の上のMac bookを閉じ、それを抱えてお辞儀。そのままステージから去っていく。続いて成田とmonoが笑顔で挨拶し、PKトモダチの出番が終了。

ライブが終わった後のmonoくんは開放感に満ち溢れていた。
ビデオカメラを向けると、頼んでもいないのに先ほど披露したラップをぶちかましてくれた。「いやー、終わってホッとした!」と、本番前よりも元気になっていた。

続いては宇宙人のライブ。
神聖かまってちゃんと同じパーフェクトミュージック所属のバンド。宇宙人という名前で高知出身というのがシュールだ。音源で聴くよりも生で観るとドラムが力強く聴こえ、ふんわりとした印象だったのがビシッと固まった。捉えどころのない歌詞と、MCを一切入れないストイックなライブ。パフォーマンスに頼らず、音楽一本で勝負しようとする堂々とした態度が見えた。
最後はドラマーがそそくさとステージを去り、テレビ番組でのやしきたかじんのように誰よりも先に帰っていく姿が印象的だった。

そして、ついにやって来た。
伝説のバンドの一夜限りの復活ライブが始まる。

そのボーカリストは、ステージ近くの階段でギターをしゃんしゃん鳴らしていた。緊張感が漂う。先ほどは「うっさいわ!」と言われたのもあり、もう一度意気込みを尋ねてみた。
「…やり切ることですね」
ハードルがだいぶ低い。
ステージが薄暗くなり、場内BGMが止む。するとなぜか大黒摩季の曲が流れ始め、一瞬鳴り止み、そしてまた再開する。
神聖かまってちゃんのスタッフでお馴染みのまきおくんが最初にステージに登場し、中央のマイクスタンドを掴む。そしてライトを浴びながら、こう告げる。

「待たせたな!俺たちが、ピックアップゴールドだ!!」

「まきおー!」という歓声。戸惑い気味のメンバー。嬉しそうな劒マネージャー。ちばぎんも照れ笑いしながら「どうしたんですか、まきおさん」と尋ねる。
「こんばんわ、ピックアップゴールドです」
こうして、伝説のロックバンド・ピックアップゴールドのライブが始まる。
ちばぎんが神聖かまってちゃん以前に活動していたバンド。一般的にはそれほど知られていないが、コアな神聖かまってちゃんファンの中では知らない人はいない存在だった。彼らが過去に音楽配信サイトに掲載したページを2ちゃんねるで誰かが発掘し、ページを開くと容赦なく『グレートエスケーパー』という楽曲が再生され、「吐き捨てーて!」というちばぎんのボーカルを何度聴いただろうか。
待ち望んでいたファンも多いことだろう。それがこの日、遂に再結成したのだ。
「といっても、オリジナルメンバーはギターしか来なくて。ベースは劒さんで、ドラムはまきおさんで…」
メンバーの半分がいつものスタッフという結果。これはもう、ライブ前の意気込み通り、やり切るしかない。
「もっと喋ることない?」「逸話的なものを」
劒さんとまきおくんが促し、ちばぎんがピックアップゴールドの解説をする。「僕、神聖かまってちゃんというバンドのベースを弾いているちばぎんという者なんですけど、事務所のムチャ振りによって、急遽出演することになりました。緊張しますね、どセンターで…」と、照れ笑いをしながら話すちばぎん。その通り、この日はいつもと違ってセンター。しかもボーカル。そしてギター。神聖かまってちゃんのライブとはあらゆる意味で状況が違う。

「では、1曲目やります。『グレートエスケーパー』
それはちばぎんのギターから始まった。
その瞬間、彼は神聖かまってちゃんのちばぎんではなく、ピックアップゴールドの"大作"になっていた。いや、大作どころかスペクタクル超大作だ。スーツ姿でギターを掻き鳴らし、「すべて壊せばいい 爆音とともに」だなんて、やっぱり超大作映画なのだ。
「吐き捨てーて!」
一緒に叫びたいくらいだった。彼は本当に吐き捨てていた。さらけ出していた。その姿が気持ちよく、劒さんの痙攣のような演奏スタイルもまた気持ちよかった。

「疲れ切りましたね…どんどんいきましょう」とちばぎんがため息まじりに呟きつつ、次の曲へ。英語の歌詞だ。神聖かまってちゃんでは考えられないことだろう。サビでちばぎんが高い声で入り、このライブが改めてピックアップゴールドのライブであることを痛感する。切ないメロディだ。夜景でも見ているかのようにウットリする女性客も多いことだろう。ちばぎんが成人式というよりも新米ホストにも見えてくる。

「まさかね、ピックアップゴールドとして舞台に立つことがあるとはね…」
ちばぎんがまたもやため息まじりに呟き、「ギターのひろっすぃーです」と唯一のオリジナルメンバーを紹介。イケメンだ。礼儀正しくお辞儀するひろっすぃー。「あれ?楽屋ではもっとなんか"おちんちんビローンとかやるわー!"とか言ってなかったっけ?」とちばぎんが話しかけると、「えろぎーん!」という野次が。「俺じゃねえよ!」とちばぎん。
「どうしたんですか?二人」と劒さんとまきおくんに振るも、「いや、なんか喋り慣れてるなあ、と」と劒さんは完全にお客さん視点だ。「この感じをみんなで乗り切ろうって話してたのに!」とちばぎんが訴えかける。
「こんな感じで柏ALIVEでやっていたそうなんですよ」
劒さんが解説する。「ドラムとベースの人はどうしたんですか?」と尋ねると、「"お前らとはバンドやりたくない"って断られました」と。ベーシストは郵便局員をやっているそうで、ドラマーは消息不明だそうだ。
「バンドってこういうことあるんですよ、皆さん」
劒さんが再び解説する。「まきおさんは何年ぶりに叩くんですか?」と尋ねると、10年ぶりとのこと。この日は上半身裸になるようで、パラパラと拍手が起こっていた。あらかじめみんなでスーツでキメようとしたところ、劒さんとまきおくんがいつもの格好だったことが話題に。「僕らはスーツ持ってないんですよ。着ない仕事なんでね」と。

そして『さよならドラえもん~Good Bye Blue~』へ。この曲も2ちゃんねるなどで話題になっていた。タイトルがやはり印象的だからだ。
途中のギターソロが切ない。サビの「グッバーーーイ」というちばぎんのボーカルが物悲しい。Blueだけあって青く照らされたステージ。ちばぎんもこのときばかりはのび太の気持ちになり、去りゆく友人に別れを告げていただろうか。(オリジナルメンバーのベーシストとドラマーに)

「昔、ライブのときにこのタイトルを言うとかなりの確率で笑いが起きてたんですけど…」
『さよならドラえもん~Good Bye Blue~』の解説を始める。反応が薄かったせいか、「あの、『さよならドラえもん』って映画があったんですよ」とちばぎんが劒さんに話しかけると、「知ってます知ってます!」と。「どんな映画?」とまきおくんが尋ね、「あの、ドラえもんが未来に帰らなきゃいけないって話で」とちばぎん。「ぉーん…」とまきおくんの普通の返事に笑いが起きる。

「昔ピックアップゴールドのライブは、今の20分の1くらいのお客さんだったんだよね。こんなね、こんな状況ないですよ。すごいしみじみ思った、今。でも右の奴も左の奴も愛想笑いしかないんだけど、どうすればいいのこの感じ!」
ちばぎんが訴えかけるも、劒さんは「僕は愛想笑いじゃないですよ」と、ひろっすぃーも「俺は本気で笑ってる」と答え、その間、なぜかまきおくんがドラムから立ってウロウロしている。「なんで立ってるんですか?」「脱ぐんですか?」ということで、歓声が上がり、脱ぐ。だが、「あーぁ…」というお客さんの反応。
「まきおさん、昔B'zの稲葉さんに憧れてイレズミを入れたんですよね」
ちばぎんの案内のもと、イレズミを入れたまきおくんの腹部に注目が集まる。「なんか、病気になった人みたいですね」「微生物が拡大したみたいですね」と劒さんが容赦なく斬り込む。「もう、着ていいですか…」と犯された人のようにか細い声で訴えるまきおくん。お客さんの反対の声と、「えっ!そのままやるんじゃないの!?」とちばぎん。「でも、そういうバンドじゃないよね…」と劒さんのごもっともな意見が。
ちばぎんがギターを置く。「えっ!脱ぐの?」とまきおくんが言い、客席から「おーっ!」と歓声が。「上着だけな!」とちばぎんはシャツ姿になり、腕を捲る。
「神聖かまってちゃんみたいにMC長くなくて、全体的に疾走感のあるライブにしたかったけど、結局こんな感じになってる…」
安定のMCの長さだった。

「次の曲は、僕が短大1年生の頃に『BABY PINK』っていうアダルトサイトを見て、"すげーサイト見つけたー!"って思って5分くらいで作った曲です」
ちばぎんの紹介により、「えろぎーん!」という歓声もありつつ次の曲へ。疾走感溢れる楽曲だ。アダルトサイトを見つけたときのちばぎんの心情を表しているのだろうか。「ベイビーピンクベイビーピンクベイビーピンク」と何度も繰り返すサビ。どんだけそのサイトを見てたんだ。このときばかりはやはり、ちばぎんぎんになっていたのだろうか。
ぎんぎんのテンションのまま演奏は終わり、間髪入れずにそのまま次の曲へ。ちばぎんが手元をくねくねと忙しなく動かしてギターを弾き、これまた疾走感あふれる楽曲。10年ぶりにドラムをやったとは思えない落ち着いたまきおくんのドラムプレイが見ものだ。

「なんか、バテちゃってる人が…」
まきおくんが疲れ果ててドラムセットの横でしゃがんでいる。「映さないで!」と言っていたが、アンプの奥に隠れて誰のカメラにも映らない。「ちょっと続け過ぎましたね…」とドラムに戻るが、「そんなに続けてないですけどね」とちばぎん。
ちばぎん「これ、時間ってもうそろそろ30分くらい経つんですかね?」
まきお「いつもそういうの気にしてますもんね」
ちばぎん「はい!」
劒「僕も気にしています…」

最後の曲はなんと新曲。「お客さんにとっては新曲でも何でも分からないと思うんですけど、最近作った曲っていうことをお伝えできればなと」とちばぎん。「盛り上がっていきましょう!」と威勢よく告げるまきおくんだが、「そういう曲じゃないです」とちばぎん。

劒「今日来てるお客さんの中でも、昔ピックアップゴールド観てた人いるかも知れませんね」
ちばぎん「絶対いないでしょ!じゃ一応聞いてみます。観てた方?」
静まる客席。
ちばぎん「いないじゃないですか」
劒「でも曲を聴いたことがある人はいるんじゃないですかね」
ちばぎん「一応ネットとかで1、2曲上がってますからね」
劒「うちの会社の人も聴いたことがあるらしいですよ」
ちばぎん「なんでそんな恥ずかしいことを!」
劒「でも、歌お上手ですよね」
ちばぎん「そういうの、終わってからでよくないですか…?」

最後の曲はしっとりとしたバラード。ズレつつあるメガネを何度もかけ直すちばぎんの仕草、この日何度見たことだろう。彼の最新の作詞・作曲というのはレア感満載だ。グレートにエスケープする曲もあれば、ドラえもんに別れを告げる曲、アダルトサイトの曲だってある。ピックアップゴールドの引き出しは豊富だ。
演奏が終わり、照れ笑いしながら「ありがとうございました」と言う。思えば、神聖かまってちゃんのライブでも演奏後は毎回のように「ありがとうございました」とちばぎんが言っている。
ステージから去っていくちばぎん。今までで最もかっこいい彼の姿を見てしまった気がする。成人式の帰りだったはずのスーツが、最終的にはステージ用のスーツに見えてしまった。それはまるで金を拾ってしまったのような、夢の中へグレートにエスケープしてしまったような感覚だった。

だが、一人のお客さんの一言ですべてが現実に引き戻される。

「ちばぎーん!クリーニングのタグついてるよー!」

そんなわけで伝説のバンド、ピックアップゴールドのライブが終了した。

その後、アンアミンのライブ。
クールビューティな台湾生まれのボーカル、アンアミンが直立不動で歌っている。そのメロディといい、日本語歌詞がとにかく愛くるしい。一発でキュンとなった。ライブハウスというよりも、AMラジオで不意に流れてきてハッとさせられるような楽曲ばかりだ。FMではなく、AM。気取らず、どこか1990年代の親しみやすい雰囲気があるのだ。雑音の中で流れる名曲だと思った。
台湾の言葉でMCをするが、当然何を喋っているのか分からなかった。「ミサコチャン」「チバギンクン」「モノクン」「ノコクン」という言葉だけが聞き取れ、神聖かまってちゃんのメンバーの名前がインターナショナルな響きになるのには思わず笑ってしまう。

最後はバンドじゃないもん!。
いまだ4回しかライブをしていないのにも関わらず、この日出た神聖かまってちゃんのメンバーの中では最も貫禄を感じさせるステージだった。
ドラムセットが二台置いてあるステージに、みさことかっちゃんが走りながら登場。t.A.T.uの登場SEが流れる中、『バンもん!のテーマ』からライブがスタート。「こちら第三惑星~」と歌いながらドラムから立ち、今回のライブはいつもと違って動作がとても多い。片方がドラムを叩いている間、もう片方が叩かずに自由な動きをする。その分、アイドルにより一層近づくパフォーマンスになっている。
曲の途中、ドラムから立ち上がってステージ前方に来て、踊れながらラップのようなものを披露する。そしてお決まりの「"バンバンバン!"と言ったら、"バンドじゃないもーん!"と言ってくださーい!」といったコールアンドレスポンスを要求。思わずニヤニヤしてしまう展開だが、最もニヤニヤしているのはみさこの後ろ、ステージ脇で見守る神聖かまってちゃんスタッフ・阿修羅くんだ。暗闇の中でニヤニヤしている彼の表情が常にカメラに映りこみ、みさこにカメラを向けるたびにずっと同じ笑顔でいるので何度噴出しそうになったことか。

この日、バンもん!はなんとそれぞれの挨拶を考えてきていた。みさこは「ホクロは恋のブラックホール!」と、かっちゃんは「ロングロンガーロンゲストヘアー!闇のパープルアイ!」と。なんだこれは。
「今日は色んなバンド出て楽しかったですね!PKアゴとか、アンアミンミンとか、地球人とかね。謎ばっかりが深まるわけですけども…」
みさこがいつもの調子のMC。そしてそのまま2曲連続披露。『ショコラ・ラブ』『愛の世界』へ。常に叩いてわけではなく、ちゃんと歌に専念している部分もあって、今までに観た中で最も余裕をもって歌っているように思えた。「メガネ萌え♪メガネ萌え♪」という歌詞が相変わらず印象的だ。思えばPKトモダチにもピックアップゴールドにもメガネがいた。そして阿修羅くんがニヤニヤしている。「受け止めーて♪」の部分では二人が立ち、ドラムスティックを前に掲げ、まるで想いを捧げるかのような動きを見せる。阿修羅くんはニヤニヤしていた。

MCではなぜか『家政婦のミタ』のミタが声だけで登場したり、言葉をカミまくりのみさこが「ねーこんなカミカミでーかわいいでしょー?」と言い始め、会場は不思議な笑いに包まれる。
『32th(パヒパヒ☆)』へ。
「パヒパヒ!」の部分では立ちながら叩くというアクションを。後半のドラム対決は相変わらず急にかっこよくなり、最後のまた「パヒパヒ!」に戻るところが気持ちいい。と思ったらドラムから立ち上がり、ステージ最前で思いっきり踊りまくる。なんなんだこれは。
最後はみさことかっちゃんが手を握り合い、ポーズを決めるがかっちゃんだけが去っていく。みさこが「えっ…かっちゃん、怒った?」と尋ねると、かっちゃんが「なーーんちゃって☆」と笑顔で指さし、走って戻り、「ありがとうございました!バンドじゃないもん!でしたー!」と挨拶して締める。
なんともいえない笑いが会場に。
そしてやっぱり阿修羅くんはずっとニヤニヤしていた。

「かわいいー」という声に包まれ、アンコールへ。
最後は『歌うMUSIC』へ。一度聴くと忘れられないメロディ。途中、ドラムを置いて手を叩く場面もあり、妙にあたたかい雰囲気のまま、イベントは終了する。
最終的に、阿修羅くんの表情がすべてを物語っていたように思う。

最後までの子さんは現れなかった。みさこさんは更に進化をしたバンドじゃないもん!でお客さんをブラックホールに投げ込み、monoくんはまさかのフィアンセボーカルのユニット、そしてピックアップゴールドはこの日、無事に一夜限りの復活を遂げた。
『謎の日』の謎はこうして解かれていったわけだけど、結果としてたしかに謎っぽいイベントのまま終了した。

終演後、撮影したライブ映像のアップロードができるかを尋ねると、ちばぎんはかなり渋っていた。「思い出用のDVDにしてほしい」と言っていた。だけどこれはたくさんの人が観たいだろう。僕も観たかった。観ると、誰もが「吐き捨てーて!」を口ずさむだろう。それも吐き捨てるように言うのではなく、愛をこめて。
そんな気持ちを抱きつつ、後日、ちばぎんの誕生日マジックにあやかった。
ちばぎんのGOサインが出て、無事、アップロードしました。


吐き捨てーて!!

3 件のコメント:

  1. たけうちんぐさん、PUGの動画のアップ本当にありがとうございました。永久保存版です。当日のライブの様子を全て見たいです。DVDあれば買います。

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  2. いえいえ、僕もとてもアップしたかったので、許可してくれたちばぎんに感謝です。僕もできれば全て見せたいのですが、自分だけの判断では出来ないので…
    どこかで機会があればPUGまた観たいですね!

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  3. さすが、たけうちんぐさんの記事!
    なんどみても面白いしライブに行きたく
    なってしまいます\(^o^)/!

    スペクタクル超大作 のツボから
    抜け出せません (笑)

    これからも素敵な記事を楽しみにしてます!

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