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2011年8月1日月曜日

メイキング・オブ・おんがくのじかん


笹口騒音ハーモニカこと、笹口聡吾氏から突然メールが来た。新作アルバム『おんがくのじかん』のその表題曲であるPVを作ってほしいというメールが。

太平洋不知火楽団のライブは頻繁に撮影しているけど、そのボーカルによるソロ・笹口騒音ハーモニカはCDは聴いていてもライブを観る機会がなかった。そして普段はベース・大内君とやり取りしているだけあり、笹口氏とは直接連絡取ることがなかった。だからこそ、急な連絡に驚いた。
ライブを一度も観ずにPVを撮るのはいけない気がする。
そう思いながら彼のホームページを覗くと、今日ライブあるのか。下北沢THREE。ああ、なんとかしていけるぞ。雨だけど。思いつきでライブに足を運び、撮影した。その日、一曲目に歌ったのが『おんがくのじかん』。

「音楽 オンガク おんがく~♪」

ノックアウトされた。なんて曲なんだ。「そんな楽しいなら もうやめちまえ」と、言葉が尖っている。死にたいことも悲しいことも歌っているわりには、みんな楽しそうにやっている。完全に自分の言葉・視点で歌われている。そして終盤はお客さんに合唱を促していた。その内容というものが、

「切ない 悲しい 死にたい 消えたい 孤独 絶望 希望 キボウ 愛だ 恋だ あーだ こーだ なんだそりゃ Hello How Low」

なんだそりゃ。と言ってしまいたいところだけど、そのメロディは一度聴くと忘れられない。言葉とメロディが絶妙な相性で、あらゆる感情を流れるように一気に歌い、しかもこんな重たい言葉たちで合唱を促すという笹口騒音ハーモニカのセンス。
こいつぁ、タダモノではない。
と同時に、気付くのが遅かった自分を恥じる。と同時に、この日観れてよかった。この体験がなければ、PV作りたいという気持ちが芽生えなかったかも知れない。
それでも太平洋不知火楽団のライブで彼から頂いた音源『Normal Songs』『H』はよく聴いていた。『東京駅』の静かな狂気と攻撃性に痺れ、太平洋とはまた違う世界観を強烈に放っていた。そんな彼の新作の表題曲の舞台、太平洋でも東京駅でもなく、おんがくそのもの。ひらがなで表記することで、「音を楽しむ」はずの音楽をシニカルに捉え、だけどそこで表現するしか方法はない切迫した気持ちも感じ取れた。


前置きが大変長くなりましたが、その3日後にPVの撮影が行なわれました。
場所は、笹口氏の住む東京・三鷹。
PV制作の依頼を受けたその翌日あたりに、笹口氏とたけうちんぐでエキストラの募集をツイッターで行ない、「歌って踊るシーンを入れたい」という彼の発案のもと、撮影当日はなんと20数名の方がいらっしゃってくれました。
笹口氏の人徳というか、才能があるからこそ、急な募集にも対応してくれたんだと思う。その時点で、「ああ、今日撮影できてよかったなあ」と思った。

朝、三鷹に着く。関東に住んで4年になるけど、実は三鷹に降り立ったのは初めて。
まずは笹口氏一人のシーンの撮影。その後、「女の子が踊っているシーンが欲しい」という彼の要望のもと、Temple bookの皆さんに笹口特製のお面をつけてもらい、そしてボーカルギターのnekiさんに踊ってもらった。屋上では不穏な天気が続き、エキストラの方々参加のシーンで雨が降らなければいいなあと思いながら。
若干、時間に翻弄されつつも無事笹口氏・nekiさんパートの撮影が終了。曲の部分ごとに「こういうことがしたい」という笹口氏の希望を取り入れ、それを撮影するだけなので、物凄く作業しやすい。編集も順を追って組み立てていくことになるので簡単だろう。そしてお面のクオリティの高さ。不気味にも可愛くもおかしくも感じられる、彼のアートワークが十分に発揮されたお面です。
そしてnekiさんは映える。女の子が歌って踊るだけでも、かなり変わる。しかもこの重たくも悲しく、楽しくも儚い楽曲で「踊る」のは、バランス感覚でしかない。ただ単純にブルースとして、笹口騒音ハーモニカが一人孤独に歌うPVを想像することもできるだろう。だけど、どこか気を抜かし、酔拳のように相手を油断させて攻撃する彼の音楽性にも似ている映像になっていると思った。


やがて昼になり、 エキストラの方々の集合時間が差し迫る。
皆さん、きちんと時間通りに集まってくださり、改札を右に出て少しスペースのある場所で、このPVの説明。そして演技指導という名の踊りのレクチャーを、路上で実践。休日の三鷹の一角で、「切ない 悲しい~♪」などと不気味に踊る集団。これはもう、これだけで十分シュールだ。参加してくださった方々は皆さん真剣に聞いてくださり、覚えるのも早く、心強かったです。

そしてその本番が行なわれるのが、三鷹のお祭りのど真ん中。

歩行者天国の路上で露店や催し事がある中、アコースティックギターで弾き語るメガネの人の周りをお面をかぶった集団が一斉に踊り始める。
その異質な出来事に視線は集中するだろう。
ゲリラだ。だからこそ、周囲の警備員の方の目を気にしつつ、「えーいもうやっちゃえー」という気合いで撮影を敢行。
CDウォークマンにスピーカーを取り付けて、踊りの部分だけを流し、それに合わせて皆さんが踊る。スピーカーだけだとお祭りの音に負けてしまうので、たけうちんぐ自身も撮影しながら声を出して「切ない!悲しい!死にたい!消えたい!」と合図のために歌う。
撮影は撮り直しを3回し、無事終了。
その安堵感はハンパなかった。
何事もなく、周囲の視線が集まる中、撮影ができてよかったです。



その後は三鷹のライブハウス・おんがくのじかんで、『おんがくのじかん』の最後はおんがくのじかんで、ということでラストシーンの撮影。
路上で群集からぽつんと一人になり、そのままおんがくのじかんでライブするという流れ。クラッカーを使うけど、紙があまり飛ばず。何度も手で投げたりと試みるけど、紙だけに正確に飛ばない。結局、最初のテイクがいいのではないかということで、撮影は終了。
エキストラに参加してくださった方々、笹口くん、nekiさん、Temple bookの皆さん、お疲れさまでした。そしておんがくのじかんのスタッフの方々、ありがとうございました。

撮影終了後は、エキストラ参加の方々(笹口騒音ファン)、笹口くんやTemple bookのみんなで花火。予想以上に煙が盛り上がって若干冷や冷やしつつも、何事もなく過ぎ去った青春を取り戻すかのように夏の一ページを作った。色んな花火を試したり、ブランコに乗ったり。みんな余裕で20歳を過ぎているけど、十代の気分だった。一日中の撮影だったのでお酒がおいしかった。
せっかくなので、使うか分からないけど花火のシーンも撮ろうよ。となり、笹口くんが両手に花火を持った絵を撮影。両隣では誰かがカメラのフレームぎりぎりのところで花火で飾ってくれた。しかしこの後、「あっちい!」と花火が肌に触れて痛がる笹口くん。ここにきて一番危険な撮影を。『ジャッカス』的な。


そんなこんなで、『おんがくのじかん』PVの撮影は終わりました。
その後、家に帰って素材を猛スピードで組み立てる。歌詞の順番通りに撮影したようなものなので、作業は捗った。そしてテンションが高い。撮ったばかりの素材は自分でも早く見たいため、その欲求も満たされてちょうどよかった。
翌日、笹口くんがたけうちんぐの家に遊びに来てくれた。thai kick marphのライブで上映するためのビデオレターを昨日撮影してもらうのを忘れた。とのことで、百合ヶ丘の近所の線路沿いで撮影。思いつきでありながら、意外に良い光景が撮れたと思う。またしてもお面をつける笹口騒音ハーモニカ。人通りのない路上だからこそ、通りがかった人にとってかなりのインパクトだったに違いない。

その翌日にPVの編集を終わらせて、アップロード。

楽しさと悲しさは表裏一体であり、手作り感満載のPVになったと思う。「あっちぃ!」な花火のシーンは、結局冒頭に持ってきた。掴みとして。

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