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2010年10月30日土曜日

神聖かまってちゃん@恵比寿LIQUID ROOM

恵比寿リキッドルームの『平成東京』というイベント。出演は、LAGITAGIDA、HALCALI、鳥肌実、そして神聖かまってちゃん。

天候が悪く、季節外れの台風が来ていた。もはや音楽業界の台風の目となりつつある神聖かまってちゃんが原因だ。とは言い過ぎか。しかし、嵐を呼ぶバンドであることは間違いない。
学生時代の友人とリキッドルームへ向かう。友人は映画の現場で働いているため、ライブハウスには普段行かない。神聖かまってちゃんにまつわるエピソードを教えてくれた。
「車の中で神聖かまってちゃん流したら、高校生の女の子2人が『夕方のピアノ』聴いたら怖くて泣き出してしまった」
そんなに怖い曲なのか。ちなみに宅録音源バージョンのほうらしい。

イベントが始まる。まずはLAGITAGIDAの登場。ギターを持つ手がテロテロリンと鳴る音を形で表しているかのようにクネクネ動かす。すごいテクだ。テクテクバンドだ。
続いてHALCALI。知っている曲がいくつかある。可愛くておもしろい。「『堂本兄弟』に出ている人だ!」といったミーハー心も満たされ、真心ブラザーズの『愛』、『今夜はブギー・バック』のカバーがたまらない。
鳥肌実。2001年10月に神戸の三ノ宮HMVで観て以来、9年ぶりに観る。内容はここにはひとつも書けないようなものだ。地デジ化に向け、アナログ放送はすべて鳥肌実が占領すると大胆発言。そこで放送する番組の企画書の内容を言い放っていたが、田代まさしと加勢大周の『相棒』の企画が印象的だった。

そして、トリは神聖かまってちゃん。

12月に2枚同時発売されるアルバムのタイトルが『つまんね』『みんな死ね』に決まった彼ら。神聖かまってちゃんらしいタイトルだ。
登場SE『夢のENDはいつも目覚まし!』が流れ、大歓声の中、メンバー全員がステージに。

「レコーディング終わりで疲れちゃったよ…言い訳です。レコーディング終わりでずっと寝てて、起きたら、お前らに村八分にされてるからさ」
割烹着姿のの子がいきなり愚痴。「もうだいぶ伸びたんだよ!」とmonoが坊主ではなくなっているところをアピールする。レッドブルをガンガン飲んでいる状態のの子に「お前、もう4本か5本くらいは飲んでんじゃねーの?」と心配する。
「今日の、台風の中で来てくれてありがとうございます本当に。みんなの、盛り上が、盛り上がも、盛りりません」
の子、呂律が回っていない。これは不調だ。レッドブルの飲み過ぎなのか、頭がふわふわしている状態。誰もが不安に思った予想は的中。この日、久しぶりのグダグダライブに。

の子「mono君、1曲目何やんの?」
mono「天使じゃ地上じゃ」
の子「天丼?」
mono「天丼だよ、天丼。『天丼』って曲やります!」
の子「天丼じゃねーよバカヤロー」

客席から失笑。「レコーディングスタジオでゆーれい屋敷みたいなところで隔離されてよー、そして今があるんだよー」との子が言うとなぜか客席が「おーーっ!」と湧く。あとはマスタリング作業のみらしい。「早く曲やれよ」との子がメンバーに指示。「スタジオ配信みたいになってすいません」と謝り、1曲目は『天使じゃ地上じゃちっそく死』
調子は悪そうだが、「嫌だーーー!!」という声だけはやたら冴え渡っている。本当に嫌なんだろうか、と思えるほど。歌詞に説得力を生んでいた。「嫌だーーー、僕は本当に明日また学校に行くの辛いなーー」と珍しくこの曲で歌詞を付け加えていた。

の子「台風だかサイクロンだか、津波だかが最近きてさー、こんなもん津波だったら口の中に入ってくよなー」
ちばぎん「うん…」
みさこ「ちばぎん、無理に合わせようとしなくていいんだよ!」
の子「mono君、次の曲は何ですか?」

2曲連続、メンバーにセットリストを尋ねるの子。ずっと呂律が回っていない状態でボーカルエフェクターで「俺のー、俺のおーー」とずっと繰り返している中、みさこのシンバルが始まって『学校に行きたくない』。が、仕切り直し。みさこが「すいません、すいまへん」と謝る。「かわいいー」と客席から。「かわいいとか言うけど、ただ単に間違えてんだよ」との子が真実を告げる。
やり直し、演奏に入る。「学校に行きたくない」「計算ドリルを返してください」の二言を延々と連呼。monoが「おかーーーさーーん!!」と叫ぶのはもはや定着している。
途中、の子が劔マネージャーに偶然体当たりを食らわす一場面も。いつも以上にちばぎんだけが頼りに感じられるステージ。ハラハラしながら観てしまう。

の子「疲労が…」
mono「おかーーーさーーんって叫んでたら吐きそうになった」
みさこ「お客さんにゲロシャワーを浴びせることに…」
の子「レッドブル飲もうかな」
相変わらずのディスコミュニケーションが繰り広げられる。
の子「monoくん、レコーディングスタジオでさあ」
ちばぎん「さっきからレコーディングの話しかしてないんだけど…」

の子が最近のことを話し始め、雑誌『MUSICA』の話題へ。
「あとは僕らは終わるんじゃないですかね。バンドが。インタビューとかでも気持ち悪い…"の子さんの半生を語ってください"。でもそんときはカウンセリングみたいな感じだったんですけど、なんか僕も懐かしいなぁと思って。なんなんだろうね、あれ。皆さんも経験あると思うんですけど。感極まって泣いちゃいました」
笑いを誘うの子。「ピックどっかいっちゃった」と嘆き、劔マネージャーに助けてもらっている。

mono「台風いっちゃったね」
の子「でも今日こんなに来てくれるとは思わなかったです」
客席から歓声が上がる。
の子「2曲目でこんなんだったら、もうあと2曲演奏して帰ったらいいんじゃないかな。25分バンドでいいんですよ神聖かまってちゃんは。俺が疲れてくるから」

こうして『ベイビーレイニーデイリー』へ。
みさこが「チャララチャララーって私が言ったら、皆さんもチャララチャララーって言ってください」と言うと、monoが「アイドル気取ってんじゃねーよ」と突っ込む。
「あえて言わないだけです」と繰り返した後に「言えないことも僕にもある、言えないことがみんなもある、言えないことがみんなある、僕はそんなことを言いませんね」と続けていたのが印象的だった。色々あるんだろうな。物凄く漠然と、の子の抱えていることを想像できる。
曲が意外と唐突に終わり、の子が「いやmonoくん、ここは僕が1人だけで弾くかっこいいところがあるというのに」と指摘すると、monoが「じゃあお前がやればよかったんだよ!なんでやらないの!」と反論。
ラブソングの演奏終了後、すぐにケンカするバンドなんて、あまり聞きません。

の子「これからかまってちゃんはヘビメタバンドになっていくんで、ベースとドラムが」
ちばぎん「えっ?」
みさこ「さっきLAGITAGIDAの演奏見ましたか?あれでどんどん私の存在が薄くなっていくんですけど…さっきハルカリさんの楽屋から可愛い声が聞こえてきて、キャピキャピしてるんですよ」
の子「てめーそんなこと言ってよー、社交辞令かよ!」
みさこ「いや、ここでこう、コネを使って、(メンバーに)入れてくれるかな…って」
客席からは温かい声援が。みんな優しい。「かわいいよー」と女の子の客からの声。
みさこ「愛してる…!」
mono「何なんだよそれ"愛してる"ってよ!」
ちばぎん「まあ、みさこさんもお前には言われたくないと思うよ」
の子「なんか色んなところ行ったら、やった曲とか分かんなくなるんだよな。やってない曲って何なんだろうな。『ぺんてる』とか2年くらいやってないんですけどね」
ちばぎん「こないだ大阪でやりましたけどね」
の子「さっきリハーサルで『ぺんてる』やったらクソだったけどね」

そんなわけで『ぺんてる』へ。
いきなり2番の歌詞を歌い始めて不安感もあったが、この日一番の演奏だったように思う。ただ、最後は「ぺんてるに!ぺんてるに!ぺんてるに!行けねえだろう、どうせ」と吐き捨てるように呟き、後味の悪い余韻に。ちばぎんがそれを若干笑いながら「フフッ、ありがとうございます」とお客さんにお辞儀。

相変わらずのグダグダMCに、客席から「しっかりしよー」という声。こんなの、ロックバンドのライブで聞いたことがない。
次は『あるてぃめっとレイザー!』

の子「この曲疲れるんだよ。そんなテンションじゃないですけど」
お客さん「がんばれー!!」
の子「うるっせえ。お前らがんばって歌ってくれたら、俺の声みたいに聴こえるんじゃないの?ごまかせ!!俺はプロだけど、ごまかせ!!」

プロとは思えない発言に笑う客席。「できんのか…?」と不安がるの子。みさこ、シンバルを叩き始めるが、止まる。「もういいや。もう、死ねばいいのに」との子が溜め息をつき、ちばぎんが何かを言いかけるが、の子がギターを弾き始める。そして曲へ。この、久々の息の合ってなさ。

「結果的にいいでしょ」と、演奏に満足の様子のの子。
「あの、さっきの曲で最後だったらしいんですけど…」
ちばぎんが先ほど言いかけたことを言う。「えーーーっ!!」と観客。「最後だったらしい…」と改めてちばぎん。の子が「えっ、まだ俺は休み時間くらいだと思ってたんですけど。図書室行こうか」と言い、反応に困る観客。
「何やる?こっからは別にフリータイムでしょ?」というの子の発言に、客席から拍手が。

mono「どうも、神聖かまってちゃんです」
の子「はじめにやりたいと思っていた曲を、やっていきたいと思いますわ。ちゃんとやっていきます」
ちばぎん「もう1曲やれるみたいですよ」
の子「3曲、4曲やろうぜ」

『いかれたNeet』のベースを弾き始めるちばぎん。「なんかさっき、総武線が止まったみたいですね。台風で。2ちゃんのスレで知ったけどさ。ほんとだから、みんな来ないと思っていたけど…」との子。
「とりあえず『ロックンロール』やろうと思ったんですけど。久々ですからね、ここに来たのが。色々前回のを蹴っ飛ばして…うん、デモのほうがいいな」
時間が限られている状況なのに喋り続けるの子。ちばぎんが進行をさせるように「とりあえずやろっか」と。「ちばぎーん!」「安心のちばぎーん!」という客席からの声。monoがそれを真似て「安心のちばぎーん」と言うが、ちばぎんが「早く弾けよお前はよーー!!」とキレ、会場に笑いが。
こうして、ちばぎんが怒りながらの『ロックンロールは鳴り止まないっ』。もはやイェーイェーイェーという気分ではないちばぎんだ。

の子「何曲やったんか覚えないですけど。けっこうキリキリマイマイですわ」
mono「帰るぞ!!」
みさこ「今日のライブはどんどん2ちゃんで叩いてください」

そしてなぜかちばぎんコールが絶えない会場。「帰るぞ!!」と再びmonoが言うが、アンコールを許された神聖かまってちゃん。アンコールを呼ぶ観客の拍手のリズムに合わせて、の子が即興ラップを始める。
「まだ帰りたくない、そんなー気持ちがあるならさ、全神経を全神経を、足に足にそれが来たら、ジャンプ!ジャンプ!俺は飛ぶのが好きだ、俺は飛ぶのが好きだ、ライト兄弟とか、そんなんじゃねえ」
ちばぎんとみさこが演奏に入り、セッションへ。
「はい、これが最後の曲です」
会場が爆笑の渦に。

MCの話題は、大阪のライブで全裸の高校生がステージに乱入してきたこと。「monoくん、今度たらむんでしょ?」との子。「たらむ?絡むってこと?」とmonoが聞き直すと、近くにいるお客さんが「裸で?」とあぶない発言を。そして客席からは「早くやれーー!!」とごもっともな声が。

最後は『いかれたNeet』を演奏。と思いきや、の子は「一番好きな曲です」と言いながらも最初のギターを弾かず、「足が捻挫した…」と言ってメンバーに演奏中断を指示。
「別に自分が上手く歌えなかった、とかではなく、足が捻挫した…」
どうして捻挫したのか、捻挫して演奏は止まるのか。観客の疑問は止まらない。「なんでもいいですけど、僕は時間が心配です」とちばぎん。の子は「いいや、オールナイトで」ととんでもないことを返す。
「がんばっていきます」と呟き、代わりに『ちりとり』へ。最後は「かあさーん!」「かおりさーん!」などと叫び、叩き壊そうとしたのか、ギターをぶんぶん振り回す。
その後は時間の都合で劔マネージャーに制止されるも、観客とコミュケーションしようとステージに居座るの子。

「今日は台風の中来てくれて、ありがとうございます!今日は総武線も止まったみたいで!僕は配信恐怖症で、今も配信してないんですけど!」
なぜかエルヴィス・プレスリーを歌いながら退場していくの子。

頭がグルグル回っている様子。いつも以上のグダグダ感。演奏のやり直し。の子さんの割烹着姿。その条件からか、今年1月の新代田FEVERを彷彿とさせていた。しかし、あの頃とは全く状況が違う。
この日、ちばぎんコールがたくさんあった。彼がいなければもっとグダついたライブになっていたことは確実だ。言うまでもないが、ちばぎんがいなければ成立しなかったライブは多い。ライブ中のステージをお客さん以上に冷静に見ているボジションであり、このバンドに客観性を持たせる重要な役割を担っている。

終演後、ロビーにいるちばぎんが今日のライブのことを語る。
「今日は久々にグダグタだったー…今日のライブのチケット代って、4000円とかそんなんでしょ?ええーっ…うわーっ」
やはり、誰よりもこの日のライブの出来を気にしていた。そんなちばぎんのありがたみを改めて感じることができた意味では、良いライブだったのかも。

2010年10月30日 恵比寿リキッドルーム
〈セットリスト〉
1、天使じゃ地上じゃちっそく死
2、学校に行きたくない
3、ベイビーレイニーデイリー
4、ぺんてる
5、あるてぃめっとレイザー!
6、ロックンロールは鳴り止まないっ
(アンコール)
ちりとり

2010年10月15日金曜日

神聖かまってちゃん@下北沢GARDEN

下北沢で神聖かまってちゃんのライブを観るのは、4月の初ワンマン以来。

初めて彼らを観たのもここ下北沢。開演時間ぎりぎりに下北沢GARDENに向かうと、感慨深い光景を目の当たりにした。
この日、の子さんは約1年半ぶりに下北沢での路上配信を決行。以前は「俺はサブカルチャー!」などと叫ぶと避けられ、「ポイフルいるかい?」と女の子たちに尋ねると逃げられていた。
しかし、今回は人だかりができていた。
むしろポイフルを自分から欲する女の子たちがいてもおかしくはない。そんな光景だった。そうなると気持ち悪いか。

GARDENに向かう道すがら、カメラマン佐藤さんに遭遇。「の子くんがこれから配信やるみたいよ」と佐藤さんが指差す方向に歩いていくと、ファーストキッチン前でちばぎんが座ってノートパソコンをいじっている。そこでなぜか佐藤さんが「ほら、並んで」と指示。そしてなぜかちばぎんとの記念写真を撮られることになる。
そこにの子さんがパーフェクトミュージックのスタッフと共にやってくる。目が合うと「おおっ!」と反応され、「いやー、これから路上配信するんですよ」と教えてくれた。「懐かしいですね」と返した。
ちばぎんが配信の設定をしてくれている間、ファンらしき男女がの子さんに歩み寄ってくる。この時点で昨年5月とはえらい違いだ。
「この人のほうが凄いですよ。この人は僕らの活動を支えてくれた人ですから」
の子さんはなぜか僕を紹介し、強引に僕に話を振る。ファンの方々は僕に一切興味を示さず、ずっとの子さんを見つめていた。正しい反応だ。

配信の準備が出来て、ちばぎんがの子さんにノートパソコンを預ける。遅れてmonoくんもやって来て、路上ライブ配信のスタンバイはOK。そして歩いていくご一行。向かうのは、南口駅前。かつてポイフルを配ろうとした神聖かまってちゃんのいわば"聖地"だ。
の子さんは配信中のノートパソコンを手に持ちながら、大声で叫び始める。
注目する周囲の人々。「の子?」「わ、の子だ!といったの声。人だかりが出来始める。
「俺はサブカルチャー!!」
かつての名曲を歌い出す。なるべくこっそり見ていたつもりだけど、の子さんに見つかってしまい「あれ、竹内さんがいるぞ!」と反応され、見えないところへ逃げる。
隣でmonoくんがアコースティックギターを弾き、『夕方のピアノ』を演奏しようとするも、歌い出すのはなぜか『いかれたNeet』。ずっこけたお客さんは多かった。遠くでちばぎんが恥ずかしそうに隠れていたので、尋ねると「心が折れそう!逃げたい!」とのこと。彼はこの場で最も冷静な視線をの子さんとmonoくんに送っていた。
『あるてぃめっとレイザー!』を歌うが、ドラムの部分を「ドダッ!!」と口で叫んでいた。「ドラムいないとこんなんなんだよ!」と解説すると笑いが。後に、曲を女性客に捧げたり、九十九里浜から来たというおばちゃんに写メを撮られたり、さすがの神聖かまってちゃん。路上に繰り出せば、何かしらイベントが起きる。彼らは注目の的になっていた。そういえばみさこさんは何をしてるんだろう。

路上ライブが終わり、そそくさとGARDENに走っていくの子さん。走って追いかけるファンたち。なんだか凄い光景だ。ノートパソコンはちばぎんが預かり、こちらはゆっくりとGARDENに向かっていく。癒される時間だった。

共演の戸川純さんの出番が終わり、2番目は神聖かまってちゃんの出番。メンバーもお客さんも、なんとか出番に間に合った。

いつもの登場SE『夢のENDはいつも目覚まし!』が流れる中、メンバーが登場。
monoが「こんばんわー!」と言いながらステージに現れる。「今日は配信やってるんでー」と上機嫌で観客に語りかけ、の子さんの登場に「の子ーーー!!」という大きな歓声。

の子「うるせーーーー!!!とりあえず今日は声が枯れてるんで。ちばぎん先生、(配信の)電波大丈夫?とりあえず今日は来てくれてありがとうございます!!」
ピックを探している様子のの子。
mono「ピックがない?」
の子「…あった!」
ちばぎん「そんな感じで神聖かまってちゃんです!今日はよろしくお願いします!」
デーーーーン!!!とベースとドラムが鳴り、ライブがスタートする。
の子「さあ、帰るか」
mono「帰るじゃねーよ!曲やってから帰るんだよ。1曲目、分かるか?」
の子「mono君が言ってくれればいいんだよ」
mono「えっと、『ねこらじ』だよ」
レア曲の演奏に、客席から歓声が上がる。
の子「配信で練習して、最近は色々とセットリストがマンネリ化してるからね」
mono「おう、グダグダいこうぜ」

みさこがの子から「誕生日だったんでしょ?」と言われ、歓声を受ける。珍しく優しい振りだ。「じゃいきますー。『ねこらじ』という曲からいきますー。…大丈夫かな。やってみなきゃわかんねーだろ!インターネットは現実とは違うんだよ!」との子の意気込みをぶつける。
そこに客席から小さな子どもの「はい!わかんねえんだよきゃっきゃ」という声が。
「うるせえんだよこのやろ!!」と反応するの子。「ダメだよそんなこと言っちゃ!!」とちばぎんが止めに入る。

こうして「ひー、ふー、みー、よー」との子のカウントから、ようやく『ねこらじ』の演奏が始まる。
前回渋谷LUSHで初めて聴いたときと比べると遥かにかっこいい。ボーカルのキレがたまらない。後半の盛り上がりもmonoのキーボードによってドラマチックになっている。「上へ、上へ、上へ」の高揚感がたまらない。
演奏が終わると、の子が「ありがとうございますー!!ちばぎん先生大丈夫ですかー!?」と尋ねる。ちばぎんが「大丈夫です!なんで僕に!?」と戸惑う。

「今日は下北沢GARDENということで、久々のライブハウスということで、こんなに"ガッシャーーン"って感じ、なんだろうこれ」
の子がライブハウスの内観を擬音で表すと、また客席から小さな子どもが「ガッチャーーーンわきゃわきゃ」と声を出し、「ガッシャーーーン、うるせえんだよこのやろーー!!」との子が怒鳴り、ちばぎんが「ダメだよそんなこと言っちゃ!!」とまた止めに入る。この2人、テンドンを分かっていらっしゃる。もちろん子どもも。
「おめーさっき俺にカンチョーした奴だろ!」と、の子は先ほどの路上配信で子どもに股間を触られたらしく、その恨みを忘れていなかったようだ。そこにmonoが「僕のアゴ見て癒されてねー」とアゴを利用して子どもを和ませようとする。いつからアゴにそんな用途ができたのだろうか。「僕のアゴ見たらおもしろいよ」と繰り返し、客席は戸惑いと笑いが止まらない。

の子「これまた初披露の曲を…」
観客「おおおーーーーっ!!!!!」
の子「なんだこの反応は!初披露じゃないんですけどね」
ずっこけるように戸惑う客席。
ちばぎん「ライブでは初披露かな。配信では、ね」
の子「いかに生で聴いて、それでクソかどうかが分かるから!勢いでいいんだよ!勢いでぴょんぴょん跳ねて!」

そして『制服b少年』が初披露される。公式サイトにmp3で落とされているわけでもなく、当然CD化もされていない楽曲。ニコニコ動画で聴くことができ、ファンの間ではレア曲として認知されている。
P-MODELの曲ようなシンセの高音がビリビリと鳴り、視線恐怖症と劣等感と被害妄想がすべて歌われている。「ギョロッと!!」の声が気持ちいい。たしかに曲の勢いでピョンピョン跳ねたい。残念ながら跳ねている人は1人もいないが。
の子が「ギョギョギョギョギョロッとぉおおお!!」と叫んで曲が終わる。

「やってよかった?」とお客さんに尋ねるの子。「やろうかどうか迷ってたんだけどね」と本音を漏らすと、ちばぎんが「まあこれ、スタジオ練習も合わせると演奏するの3回目くらいなんですけどね」と真実を伝える。

の子「じゃあこっからmono君ラップいってくれ!」
mono「歌うんじゃありまてーん!!」
みさこ「最後時間が余ったらいくかも」
の子「最近エミネム聴かないの?」
mono「最近聴いてないよ。最近はクラフトワークにハマってるよ」
の子「それは俺の影響だろ」
みさこ「仲良しだね」
次に演奏する曲が分からず、戸惑うmono。
の子「彼女がいるなら臨機応変に見ておかなきゃ」
mono「なんでそこを振るわけ?余計なこと言わなくていいんだよお前!ほんとに。嫉妬かー?」
の子「うっせこの野郎…」
みさこ「バイトもできてるし、mono君が一番リア充だよ」
の子「まあまあ、すぐ終わるから」

この流れで『芋虫さん』。「だいたい歌詞覚えてないんだけどな!」とハードルを下げて歌い出すが、歌詞はほとんど間違えていない。むしろ妙なほどに正確に歌い上げていた。

「久々のセットリストで、初心に戻った感じです。2年前とか」
の子が言い、『天使じゃ地上じゃちっそく死』へ。「これからまったり、CDとか話があるんだけど、かったりーよな!ジャケット考えるのとか。あ、あとイラスト募集したんですけどそれが600枚くらい来て」と、12月に発売されるCDについて言及する。僕のピンク色のギター、終わってきてんな」とギターを鳴らしながら首を傾げるの子。たしかに音が変だ。

みさこ「ツーカウントでいきますよ、の子さん」
の子「うん、お前もう10回くらい間違えてるよな。"チン、チン"で」
みさこ「はい、"チン、チン"。きわどかった気がします…」

チン、チン!ではなくドン、ドン!と重たい音でドラムを叩き、『天使じゃ地上じゃちっそく死』の演奏へ。演奏するたびにパワーアップしている曲だ。特にみさこのドラムがますますかっこよくなっている。
「まだまだ!発散しきれてねえ!!まだ時間がある!前回の25分と違って!まだまだやってない曲とかやっていきます!!!…皆さんはあれ、最近は電車でどっか行ったりしますか」
の子、演奏後に勢い余って叫ぶが、なぜかそのまま沈静し、いきなり穏やかな口調で話し始める。笑いに包まれる客席。そこにまたまた「知らないよわきゃわきゃ」と小さな子どもの声が。「知らないよ…」との子が戸惑う。

の子「では『ゆーれいみマン』をやります。皆さん、最初の"う~、ゆれい"ってところだけでも一緒に…」
子ども「ゆれいっ。わきゃわきゃ」
の子「うるせえお前…!お前も飛び跳ねろこの野郎…」
mono「こんにちわー!僕のアゴおもしろいでしょー?」
の子「そのまま天国いっちゃまえ!!」
mono「僕のアゴおもしろいでしょー?」

困ったときのアゴ。そんな感じで『ゆーれいみマン』。子どもはまだゆーれいになるのは早すぎる。とにかく今はアゴをおもしろがってほしいところだ。
「の子ー!」「の子ーーー!!」
この日はやたらとの子コールが多い。「の子の子ーって何だよ!」と嬉しいくせに嫌がるの子。そこにまた「の子ーー!」と小さな子どもの声。「うるせえんだよこのやろー!!」とやっぱり本当は嬉しいくせに嫌がる。客席から女の子たちの「かわいいー!」という声がわき上がり、の子の「うるせえ!死ね!!」という過激すぎるほどの照れ隠しに、会場に笑いが。
monoによるメジャーデビューアルバム発売の告知により、大きな拍手。「買ったら俺に金が入るから!」との子。「予約したよー!」という客の声に、「けど、いいのと、悪いのがあるよ。YOUTUBEに上がるから!」と笑いながら答える。

mono「俺らには金入らないからね、バイト始めないと」
の子「僕だってバイト始めなきゃだよ」
mono「なんでお前がバイトするんだよ。いくら入ってんだか知らないけど」
ちばぎん「ケンカすんなよ!!金のことでケンカするなよ!!」
みさこ「…さすが銀行」

ちばぎんという名前の本来の意味を感じさせたちばぎん。みさこの一言はたまにかなりの破壊力がある。ちばぎんが「もう2曲いけるみたいです」と言い、観客から拍手が。

「じゃ『ちりとり』いこうか。だいたいこういうときは『自分らしく』で誤摩化すけど。『いかれたNeet』もね、歌ってると気持ちいいんだよ」
の子が語り始め、『ちりとり』のmonoのイントロがスタート。
デーーン!!とちばぎんのベースとみさこのドラムが一斉に鳴るとき、その2人のアグレッシブな動きがいつも気持ちいい。
「優しくしようとして先帰っていいよなんて言っちゃいました、このバカヤローが!何がしたいんだよお前は!!」
そして毎回歌詞にアドリブがあるのがニクい。終盤、「あなたが階段をのぼるたびに、あなたの後ろ姿を見るたびに、僕は一体何を言えばいいのか分からなくなるのです」と、の子が優しい口調で語っていた。

ちばぎん「次の曲で最後でーす」
の子「早いね、45分。前回なんて25分が16秒くらいに感じたね!次はエレクトリック・イール…(忘れたようだ)で電気ビリビリしちゃってください。さっきも配信出て…反応しろよこのやろーー!!」
ちばぎん「皆さん配信見てないから…」
の子「えーっとですね、最後は久々の曲で」

最後は『夕方のピアノ』。が、の子が「あー、ちょっとちょっと待った!ジョニー、ジョニー、コード進行間違えてるよ」とmonoに対して言い始める。ジョニーって誰だ。ひょっとして昨年末に対バンした水中、それは苦しいのジョニー大蔵大臣のことか。また「死ね」って言うのか。
一旦仕切り直し。そのまま演奏を再開。無事、ジョニー大蔵大臣が「死ね」と叫ばれることもなく、佐藤が「死ね」と叫ばれて、終了。
「ありがとうございました、神聖かまってちゃんでした!」といつものちばぎんの挨拶で締め。

「一回ここで休憩して、雑談配信やって、それで終わりにしますかー」と配信に向かって喋り続けるの子。「今日は、次の出演者がいるんで。次はエレクトリック…はい」と、またもやバンド名を言えてないまま、ステージをあとにする。

この日はまさかの『制服b少年』の演奏。今回は『学校に行きたくない』『ロックンロールは鳴り止まないっ』などのいつものセットリストとは少し違い、ダイブすることもなく、平然と終わる。だけど、いつもより演奏がキマっていて、MCでは子どもとの掛け合いが見事だった。

終演後、ロビーに出るとmonoくんが背中を押してきて、「の子が呼んでます」と楽屋に連れていかれる。
ゆっくり話すのは7月の坂戸市でのお祭り以来になる。機会がなかった。お互い、いつの間にか失恋していた。「恋愛なんか知らなきゃよかった」と呟いていた。いい言葉だと思った。結構真剣に話していたので、スタッフの人に「何の話してるの…」と困惑される。みさこさんが「きっと彼女さんは竹内さんに引き止めてほしかったんですよ」とフォローしてくれるが、の子さんが「ね、こんなこと言われるとムカつきますよね!」と同意を求める。
新しいアルバムのタイトル候補を教えてもらう。グッときた。パッと聞いただけで胸ぐらを掴まれる響き。彼らしく、神聖かまってちゃんらしい、見事なタイトルだ。「…それ最高」と言ってしまった。
ファーストキッチン前でのちばぎん同様、なぜかここでもの子さんとの記念写真を佐藤さんに撮られる。僕がもうじき死ぬとでも思っているのだろうか。

その後、雑誌『GiGS』の編集の野口さんと知り合う。僕がしょこたんのブログに載ったことや、某宗教団体で取材していたことを話すと、興味を持っていただく。「一緒に何かやれたら!」と淡い約束をする。神聖かまってちゃんの機材の撤収を少し手伝い、裏口まで荷物を運ぶ。初めてスタッフぽいことやったという満足感を得て、帰路につく。
帰り道、ライブ前にの子さんが叫んでいた下北沢駅南口は閑散としていた。彼がまたここで叫ぶと、人だかりができるんだろうか。昨年との比較にはちょうど良い場所でした。

2010年10月15日 下北沢GARDEN
〈セットリスト〉
1、ねこらじ
2、制服b少年
3、芋虫さん
4、天使じゃ地上じゃちっそく死
5、ゆーれいみマン
6、ちりとり
7、夕方のピアノ