たけうちんぐ最新情報


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2010年3月14日日曜日

の子@ファッション誌『KERA』撮影

この日、の子さんは千葉県の自宅で『美ちなる方へ』『僕のブルース』『白いたまご』の3曲をアップロードした。同時刻、僕は神奈川県の自宅でそれを視聴した。

これからNHKの音楽番組に出演するようなミュージシャンが、これほどリアルタイムに音源をアップするというのは、まさに現代。とはいえ、そんなことをやるのは彼一人。しかも映像つき。そしてこれから会う人の表現を家にいながら知るという、まさに現代的な体験をした。
朝10時、休日の気だるい太陽の光を浴びるパソコンのYOUTUBEに流れていたのは、「出かけるようになりました」という歌詞と、青空。グッときた。という言葉にもう一段階あるとすれば、ググッときた。ググッとくるものは、ググッてもなかなか見つからない。実際に足を運ばなければ出会えない。出かけなければ、結局は快感を得るのは難しい。
今、まさに出かけるときだった。ファッション雑誌『KERA』のストリートスナップの撮影のため、Daredevilのスエタカさんにビデオカメラでの撮影をお願いされた。の子さんと原宿駅で待ち合わせするため、出かけた。

「出 かけるようになりました」とはいえ、の子さんは30分遅刻。「僕は早かったんですが電車が遅かった」という見事な言い訳メールが来た。それは仕方ない。登場した彼は、ファッション雑誌の撮影だというのに口元に唾液の塊のようなものを付着させ、赤ちゃんのようだった。そしてアゴには乳首のようなデキモノがあったが、チャームポイントとして捉えた。

二 人でDaredevilに向かうと、スエタカさんとコマツさんが今まさにの子さんのPVをパソコンで見ていた。"本人降臨"というやつだ。その本人は次の 瞬間、スエタカさんに見る見るうちにコーディネイトされていく。下から上まで、普段着ないような格好になっていく。いつも同じような服でライブをしている ため、その変化にはニヤニヤしてしまう。
僕はコマツさんにサングラスをかけさせられ、上着をコーディネイトされた。不気味な存在が鏡に映り、の子さんを撮影している。気持ち悪い光景だ。
の子さんは最初緊張していたのか、頬をピクピクさせて人形のように無言の状態が続いたが、スエタカさんが彼の目にアイラインを入れた瞬間に変わった。
「これ、マジっすか!」
の子さんは自分の顔の変化に感激していた。たしかに、ただでさえ眼力のある目のインパクトが絶大なものになっている。目をかっ広げるのが一つの個性だと思っていたけど、ここまでこだわっていたとは。ここからテンションが様変わりし、彼の美意識の強さを痛感した。

やがて『KERA』のカメラマンの方がいらして、撮影が始まる。スエタカさんの盛り上げ方と、コマツさんの雰囲気の作り方には圧倒される。これはの子さんが 信頼を置くわけだ。「普段のバンドの撮影のときと全然違いますわー」と、彼も感激している。僕も、ライブ以外で彼の表情を撮るのは初めて。これほどまで穏 やかな笑顔は新鮮だった。
「何か歌って」というスエタカさんの要望にも瞬時に応える。B'zの『Ultra Soul』と『LOVE PHANTOM』を渋谷のファイアー通り(消防署近くの路上)で熱唱する。その声はライブや路上ライブ配信とまるで変わらない。
「こういうのは得意分野なんで」
突然のボーカリストに感激した。表情の変わり方にもグッときた。「ライブが始まった」と思い、ドキドキした。何度、この人に感動してきたことなんだろう。いや待て。何を感動しているんだ。単にB'zを歌っただけだろう。

撮影が終わると、アイラインに興味津々なの子さんがスエタカさんにアイラインの入れ方を伝授されていた。されていた、と傍観視点ではあるが、その標本となったのは僕だ。「竹内くんでやったらいいじゃん」というアイデアにより、の子さんにアイラインを入れられる。
入れるのも初めてだし、入れられるのも初めて。
ま るで童貞と処女の関係性のような緊張感が僕の瞼に集中し、「ああ…」と喘いでみた。するとの子さんが「ああって!」とつっこむ。「ああ…」「ああって!」 「つっこむ」と、三つのキーワードからボーイズ・ラブしか感じられないかも知れないが、無事、竹内もアイラインを入られることに成功した。望んではいな かったが。化粧落としも用意されていないため、渋谷から50分間かけて帰路についたが、その間ずっとアイラインが入っていた。すれ違う人々は距離を置いたことだろう。

その後、なぜか僕が胸毛を晒すことになった。なぜか"T"の形をして生えているため、スーパーマンで言 うところの"S"みたいなものだ。タケウチマンはコマツさんに「ドラッグディーラー」「ポルノキング」「芋虫」と形容され、の子さんに「ロシアかなにかのマフィア」と呼ばれる。「だんだん顔に見えてきました」とまで言われる。
場が和んでくれるのであれば、本望だ。本毛だし。

それにしても、ファッション雑誌に"神聖かまってちゃん の子"というのがいい。彼もそれを狙っているのだろう。当たり前のように音楽雑誌に載るより、別の世界に足を突っ込むほうが面白い。それは撮影中、ずっと伝わっていた。だからこそ神聖かまってちゃんは枠に収まらないような印象を受けるのだろう。
そして、の子さんのビジュアルはやはり見事なものだった。これから女性ファンがもっと増えるのだろうし、色々なメディアが取り上げるのだろう。やはりロックミュージシャンはビジュアルが大切。アゴのイボはチャームポイントと捉えたい。

後日、神聖かまってちゃんはNHKの音楽番組『MJ』に出演した。
放送を自宅で見ていると、目に飛び込んできたものがあった。の子さんがカメラの目の前に立って「俺の時代であるのである!」と宣言すると同時にサングラスを外した瞬間、それは映った。


アイラインを入れた目だ。

2010年3月11日木曜日

神聖かまってちゃん@渋谷O-east

神聖かまってちゃん、遂にここまで来た。初の渋谷O-east。

大きな会場でのライブになるたびに「遂に」と書いてしまうが、受付を通り過ぎてドアを開けたときに広がる景色には感動せずにはいられない。普段、O-nestのほうにはよく行くけど、eastには滅多に行かない。以前ここに来たのは、劔マネージャーがベーシストのバンド・あらかじめ決められた恋人たちへのライブのときだ。あのときの劔さんはアグレッシブな演奏をし、ステージから客席にベースを投げた。というのは嘘で、ベースを渡した。投げずに丁寧に渡すところが劔さんらしい。あのときの劔さんは、お世辞でもなく本当にかっこよかった。
神聖かまってちゃんはどうか。誰がが楽器を投げるのか。渡すのか。かっこいいのか。投げるのはやりそうだ。
楽屋に行くとmonoくんが「今日は俺、酔っ払ってないんで…」と言っていたが、見事なまでに酒臭かった。

神聖かまってちゃんの出番はオープニングアクトの後、第1発目ということで冒頭から緊張が高まる。出演者でもない僕が緊張してどうする、とか思われるかも知れないけど、撮影の前は本当に緊張する。もちろんYOUTUBEやニコ動にアップすることを前提として撮っているので、下手な撮影はできないと思っている。せっかくバンドが良いというのに映像が迫力のないものだと、意味がない。しかもこの大きな晴れ舞台。MySpace主催のイベントだなんて、多くのインディーズバンドが羨望の眼差しで見つめるような場所だ。
ステージ前の柵の中でスタンバイ。ステージは広く、ズームしてもまだ遠い。でも、いつかズームをしてもうまく映らなくなるくらい、広い場所でやってほしい。

セッティングを終え、神聖かまってちゃんが登場する。SEは前回はなぜか『ぼのぼの』だったが、今回はちゃんと『クレヨンしんちゃん』だった。
の子とmonoが全速力でステージを駆け走る。追いかけっこのようなトコトコと可愛らしい走り方をしている。出来損ないのアイドルのような登場シーンに、大いに湧く会場。まるで小学生のような走りをする二人の姿。まるで緊張感が伝わってこないオープニングだ。広い会場に感慨深くなって損したかも知れない。

「疲れちゃったよばかやろー」
の子の第一声がこれ。ライブの始まりとは思えない。「ちょっと一回休ませて」と弱音を吐くの子に、「早くやれよ!」とお客さんの声に「早くやれよじゃねえよバカヤロー。ずっと家に昨日もいたんだから、こんなに走ったら疲れるだろ」と答える。「がんばれー」という女の子のお客さんの声も。

「なんなんだよナタリーのインタビュー記事。ふざけんじゃねえよ、言ってもないこと書きやがってよー。(monoに対し)お前の記事見たよナタリーのやつ。2ちゃんのスレ見たら"アゴかっこいい"とか書かれててさ。ふざけんじゃねえよ!"の子には無理強いさせたくない"ばかやろー!無理強いさせてんじゃねえかこの時点でよー!お前が今の(走り?)やればよかったんだよ!」

の子の責めに、monoが「こんなにお客さんがいるところで…」と答えようとすると絶妙なタイミングでちばぎんが「ということでどうもこんばんわ!神聖かまってちゃんでーす!!」と挨拶。みさこがシンバルを勢い良く叩き、デーーーン!とベースが鳴る。

1曲目は『怒鳴るゆめ』。PVが作られているわけでもなく、CDにも収録されていないけど、人気のある曲。この日は1st ALBUM『友だちを殺してまで。』発売日の1日後だった。リリースに全く関係なく、だいぶ古くからある曲をこの大会場の1曲目に持ってくるところに、勝手にグッときてしまう。
曲が始まると、ステージと客席の間の通路にはたくさんのカメラマンが。プロのカメラマンさんなんだろうか。物凄い勢いで位置をころころ変えて、何度も接触しそうになる。映像がブレるのだけは避けたいと思い、いつも以上に緊張感を持って撮影する。

それでも、珍しく間髪入れず『ロックンロールは鳴り止まないっ』なんかを演奏し始めるもんだから、緊張感は興奮に擦りかえられてしまう。撮影は基本的にはライブを楽しめないと思うが、楽しい気持ちにはなってしまう。などと思っていたら、ちょうどそのときカメラマンさんと接触。映像が大きくブレる。
狙っているわけないが、みさこのセクシーショットが撮影できた。

「なんでこんなに人が…僕は人がたくさんいるところが大好きだ!今まで観に来ている人には分かると思うけど、ぼ、ぼえ、ぶえ」と、まったく呂律が回ってないの子。ちばぎんが「落ち着け」と言うが、の子は相変わらず「ぼえ、ぶえ、シルブプレェー」とフランス語らしき言葉まで。

の子「やっぱ、人が多いと燃える」
mono「人が多いと燃える、ってお前あれだよ。ほんと………(滑舌が悪くてまったく聞き取れない)だからね」
の子「は?」
mono「お前ひとの話聞けよ!」
の子「の子に無理強いはさせんなよ!!」

みさこがここで「ナタリーさんのインタビューの記事がネットにあるので、ご覧ください」とここで解説。するとキィーーンとハウリングらしき異音が。「わっ、今の音なんだろ…」というみさこの素朴な反応に客席から笑いが。ちばぎんが「わっ、今の音なんだろ」と言い、みさこを素朴さを再現する。

monoがパーカッションを叩き始め、『自分らしく』へ。の子が「ひだまーりーの夢ーみーてーキィーーーン」とハウリングらしきものを出してしまい、仕切り直し。が、またギターを鳴らすところでミスり、「もう一回、ワンモアッ、おーれーが間違えたっ」とリズムに合わせながら言いつつ、2度目の仕切り直し。
演奏が終わると、「サンキュッ!!元気モリモリだぜ俺は」との子もテンションが高い。

mono「それは良いことだ!ファンのみんなも喜ぶよ元気モリモリだと」
ちばぎん「なんだよファンのみんなも喜ぶって…」
の子「あ、そうだ、アゴヴァーナやりなよ」
mono「アゴヴァーナはお前が欠場したときに取っておくんだよ!」
の子「はぁ!?なんだよそれ!!」

みさこが前回の渋谷eggmanでのライブでちばぎんが憧れのミュージシャン(元ラクリマクリスティと元ホワイトベリー)と対バンしたのにも関わらず、機材の搬出をしていたために会えなかったことを暴露し、monoがなぜか頼まれてもいないのに自分のmixiネームを晒す。「俺、"足の裏"だよー」と言い、みさこが「顔が足の裏に似てるから」と解説する。そのとき、僕のすぐ後ろにいた女性客が小声で「似てる…」と呟いた。

みさこ「時々ナン(食べ物)に似てるって言われる」
mono「バイトの後輩に言われるんだよ。"先輩ってナンみたいですよね!"」
みさこ「ほんとナンみたいなんですよねー」
mono「誰か僕を食べてください」

食べる人はいるのだろうか。「うるせえ!早く次の曲弾けよバカ!」とちばぎんの厳しい進行により、この雰囲気と似つかわしくない『ちりとり』へ。
「今日は花粉症なんで、全然元気がないです!」との子。僕のすぐ後ろにいた女性客が「"元気モリモリ"はどこ行った…」と苦笑。その通りです。
「ちょっと待って!」とシンバルを直すみさこに、女の子のお客さんから「かわいいー!」の声。「ありがと~!!」と浮かれ気味に礼を言うみさこに、「早く直せよぉ!!」とまたもやちばぎんの厳しい進行。だが、正しい反応。みさこに対して「いつもこんなんだよ、ホント」との子が呆れ顔。そして、またも「みさこかわいいよー!」と客席から女の子の声が。
「ありがとうございます!最近髪切って…」となぜか世間話を始めようとするみさこに、の子が「こうやっているとき、前の3人は何突っ立ってんだよ。(monoに対し)ゴーレムじゃねえんだからよ!」

みさこ「の子さんにも"かわいい"って言ってあげて!」
女の子のお客さん「の子かわいいよー!」
の子「えっ?んなこと分かってんだよばかやろー!アホか!てめーに言われる筋合いはねーよ!」

つっこみどころがありすぎて困る返答だ。この状況下でラブソングの『ちりとり』にいくのだから。だが、の子がミスをして仕切り直し。の子がかっこいい声で「では、ちりとりという曲をやります」とごまかすように告げる。
しかし、この演奏はグッとくるものがあった。
今までに聴いたことのある『ちりとり』よりも遥かに群を抜いて伝わるものがあった。みさこの全身で叩くドラム、monoの酔っ払いつつもきちんと弾くきれいなキーボードのメロディ、ちばぎんの曲全体を支えるベース、そしての子の感情を吐き散らすような「しかしだ!あなたは!僕の心までちりとっちゃったのです!僕は、あなたのことを!あなたのことをーーー!!」という叫び声。
神聖かまってちゃん唯一のラブソング『ちりとり』は、小学生時代、好きな女の子と掃除当番が一緒になった記憶を、体験したことのない人、したことある人にも植え付けてくる。優しくしようとして「先、帰っていいよ」なんて言ってしまって自己嫌悪。僕のバカヤローめが。去年も1階から3階へ夏の声をジャンプさせても、季節を通り越しても届かない気持ち。
結局、あの子がちりとったのはゴミではなく、ゴミみたいな自分だった。
自分にはそんな記憶はない。小学生の頃、好きなあの子がちりとりを持ち、僕がホウキを持って、「先に帰っていいよ。僕が掃除終わらせておくから」なんて言ったことはない。だが、まるで体験したかのように迫りくる感情。あの頃に好きだった女の子への気持ちが蘇る感動。そういった気持ちが、いまだに全く変わっていないことに絶望も感じる。だけど、それを単なる哀愁には留まらせないのが『ちりとり』という曲が持つ力だろう。
この曲の主人公は、街の灯をなぞって帰ってしまったあの子を追いかけたのだ。
いつかのライブで、の子はこの曲の最後にこう叫んだ。
「あなたがもしここにいたら、伝えたい。好きです、と」
僕はそのとき、神聖かまってちゃんに心をちりとられてしまった。奥まで。性を覚える前の、純粋な恋心。恋であるかも定かではない感情だからこそ、忘れていたストレートな気持ちを思い出してしまう。

次は『23才の夏休み』。この曲に必要不可欠なヘッドセットを、の子に優しく装着させるmonoの姿。
またもや女の子のお客さんから「の子かわいいー」の声。「んなこと分かってるよ!」と答える。「ギターがかわいい」と女の子。「なんだよギターがかわいいって!」と怒る。「今、23才の人いますー?」というの子の質問。お客さんが何人か手を上げるが「意外と少ない…」とみさこ。「え、マジで…?」との子、なぜか沈黙が流れ、場を繋げるように演奏を開始。
演奏が終わると同時に、勢いよく地面に倒れるの子。それを無視するかのように、ちばぎんが「どうもありがとうございました、神聖かまってちゃん最後の曲です。これから出るバンドみなさんかっこいいバンドばかりなので、どうぞ楽しんでいってください」と喋るが、「ちょ、待って!」との子が助けを訴える。
の子、どうやら足がつったらしい。「絶対嘘だ!」とちばぎん。助けに来たmonoに「こんな顔初めて見ただろ?」と信憑性を訴えるの子。
後ろで劔マネージャーが険しい視線を送っていたのが印象的だ。
monoが「最後の曲、何やる?」との子に呆れ気味に聞く。

の子「俺の心配をしろよ!の子に無理強いさせんなよ!!」
ちばぎん「大丈夫だろ」
の子「大丈夫じゃねえよ。無理だったんだよ」
ちばぎん「そうか…無理してくれ…」

進行をしなければならないちばぎんの心の叫びに聞こえた。

最後は『いかれたNeet』。「全然大丈夫だった」との子が先ほどまでの足がつった展開をきれいに払拭し、演奏へ。ところがmonoが曲の入りをミス。「はいはいはい、俺とおんなじことやったー」と喜ぶの子。
最後は、最近では毎度おなじみ、の子がパーカッションを置く台の上に乗っかる。見上げるmono。
「ありがとうございましたー!神聖かまってちゃんでしたー。また観に来てくださーい。なるべく元気なときに観に来たほうがいいぜいっ、てな話だぜいっ。次は毛皮のマリーズさんのライブを観よっとう!」
の子が元気よく喋り、ライブが終了。

ライブ後、同じゾーンで撮影していたカメラマンの佐藤哲郎さんに話しかけて頂く。『ROCK'IN ON JAPAN』に掲載されていたパソコンを破壊したときのの子さんの写真や、『友だちを殺してまで。』の歌詞カードの写真を撮られた方。「mixiの日記見てますよー」とおっしゃってくださり、嬉しかった。名刺を頂く。何度も見かけていたけど、ようやく接触できた。
ちばぎんはライブのとき、毎回行きも帰りも運転をしないといけないので、1滴もお酒を飲めない。「そういえばちばぎんが飲んでるとこ見たことないわ」と言うと、「飲んだじゃん!ちんぐの家で!」と怒られる。たしかに、僕の家で一緒に飲んだ。2ヶ月前の話なのに忘れてしまった。みさこさんは頭に付けているリボンの形をした髪留めを「性感帯です」と言ってきたので、思う存分触ってあげた。
劔マネージャーから神聖かまってちゃんの『友だちを殺してまで。』のポスターを頂く。帰り際、「ちょっと待って!」と呼び止められる。何かと思ったら「僕のデザインです!」と。自慢だった。

この日、の子さんは好調なライブをしていたと思う。登場も元気いっぱいに走っていた。だけど、後日知り合った某アーティストのマネージャーさんがこの日、渋谷Oグループの別のライブ会場で仕事をしていたとき、偶然、階段にぶっ倒れているの子さんを発見したという。
の子さんは精神薬とビールを持って倒れていたため、そのマネージャーさんが「しっかり立って!」と助け、無事にライブが行なわれたようだ。これが本番直前の出来事。の子さんとしてはパワーを溜め込んでいたのかも知れないけど、つくづく何か得体の知れないものを感じさせてくれる。


これがその方がなぜか撮影した写真。撮影って。しかしこの頽廃的な光景。よく分からないけど、まさにロックでしかないだろう。
「の子を無理強いさせたくない」
monoくんだけでなく、誰もがそう思ってしまう。

2010年3月11日 渋谷O-EAST
〈セットリスト〉
1、怒鳴るゆめ
2、ロックンロールは鳴り止まないっ
3、自分らしく
4、ちりとり
5、23才の夏休み
6、いかれたNeet

2010年3月9日火曜日

神聖かまってちゃん@渋谷eggman

雪!!

とにかく雪。3月であるにも関わらず、東京には雪が降っていた。渋谷の路上がつるつると滑り、安物のシューズは水浸し。穴が開いているのか、足に氷漬けされたかのような冷気が走る。感覚が麻痺する。何故そこまでして、仕事終わりにビデオカメラを抱えて渋谷に行く?答えは一つ、神聖かまってちゃんのライブがあるからだ。
それにこの日、の子さんから事前にこっそり"YUIが来ている"という情報を得ており、YUIを見たいというミーハーな動機もあった。

余裕ぶっこいて遅れてeggmanに到着すると、入り口が人で塞がっている。神聖かまってちゃんの人気はもはやここまで来ているのか。ステージが遠く感じる。背伸びしないと見えない。神聖かまってちゃん、明日には武道館か?などと大いに期待と不安に襲われていたところ、シークレットゲストにCoccoが登場。
なるほど、Coccoのファンの人たちか。ため息まじりの安心がそこにあった。
Coccoは元くるりの大村達身さんと2人組で登場。直前まで出演することは公表されていなかったが、このファンの数。平日で、雪なのに。それほどまでファンに愛されているのだろう。
ライブを観ていると、僕の右隣にいた女性が突然倒れる。続いて、左隣にいた女性も倒れる。どちらも気分が悪くなって倒れたようで、すぐに連れの方やスタッフに抱きかかえられてフロア後方に運ばれていく。女性が両サイド倒れたので、自分を軸に女性が倒れたことになる。そんなに僕は臭いのか。はたまたキラーなのか。口笛を歌うだけで卒倒させるという時代のスターなのか。

神聖かまってちゃんは最後の出番。

セッティング中、ステージに下ろされたスクリーンには『ロックンロールは鳴り止まないっ』のPVが流れている。そんな中、スタッフとメンバーが機材をセットする。ちばぎんと目が合う。「ちんぐ(竹内のこと)見ると落ち着く~」と言ってくる。monoくんと目が合う。近付いてくる。ここには書けないことは話しかけてくる。みさこさんが一生懸命スタッフとドラムをセットしている中、の子さんがステージに座り込んでいたり、ドラムを叩き始めたり。ドラム姿は少し貴重に思った。

程なくするとの子さんがステージから消え、登場SEが。いつもの『夢のENDはいつも目覚まし!』とは違い、今回はアニメ『ぼのぼの』のエンディング曲『近道したい』だった。日曜日の昼下がりのような穏やかなムードの中、「毎日がとてもつまらなくって~♪」という歌が流れながらメンバーが登場。アニソンであることは変わりないため、恐らくちばぎんの仕業だろう。

「はじめまして!最後まで残っていただいてありがとうございますー」
monoが挨拶。その口調だけで彼が完全に酔っ払っていることが伺える。続いての子が喋り始める。
「今日はなんと、タワーレコードに行くと、(神聖かまってちゃんの)アルバムがあった!買いましたあなた?買った?ああそう、無駄金だったねそれは。ははは!当たり前だよそんなもんあんなのどこがいいんだよって話だよ。一回目聴いたときは良かったんだけど、その後どんどんどんどん憎悪が…」
明日発売される神聖かまってちゃんの1stミニアルバム『友だちを殺してまで。』をの子がdisりまくる。記念すべき初の全国流通アルバムが発売されるというのにこの言い様。さすがです。
「そんなこと言うなっての!俺らがんばったのにレコーディング!」とmono。「まあ、こんな奴の話は置いといて、僕のソロプロジェクトの音源作りました!親父とPV撮りに行きました!そっちのほうが嬉しいだろ!」との子は容赦なく続ける。
「というわけで神聖かまってちゃんです!よろしくお願いします!」とちばぎんが進行し、みさこがドラムをバシバシバシーン!ベースがデーーーン!と鳴り、神聖かまってちゃんのライブがスタート。

1曲目は『いくつになったら』。遂にこの曲が初披露となる。
みさこが早とちりしたのか、の子がもたついていたのか、演奏やり直し。「色々と空気を読め!」とみさこに注意を促すの子、「ほいっ!」と威勢よく声を張り、「僕はーいつかー!!」と歌い始める。途中、monoのメガネがずれ落ちそうになり、咄嗟に片手でメガネを押さえる。今までに意外とこういうことがなかったため、貴重な瞬間だった。どうでもいいことだが。
「こんな簡単な曲なのにずっと演れなかったっていうね。たぶん君たちでも2、30時間くらいあればできる」との子。「雪が降ってるんで、お酒でも飲んで…」と続けると、monoがパーカッションを鳴らし始め、「うるせえばかやろ!」と苛立つ。
パーカッションといえば、『自分らしく』。冒頭でmonoが途中スティックを落とし、みさこが「落としましたね」と指摘。メガネもスティックも落とすmonoでした。

演奏後、お客さんの多さに反応するの子とmono。
「俺らの2、3年前とはえらい違いだよ。今の客の多さを考えたら」とmono。その頃は幕が開けた途端にお客さんか0人だったり、対バンの人しかなかったこともあったという。「あと、バーにいる人と受け付けの人だけ…て、お前なんだよその目!」と、monoの喋りを完全に無視しているの子に戸惑う。

の子「あとは富と名声を…」
mono「お前、今回のアルバムもあれでしょ。結局、売れるか売れないかで金が入るかどうか、みたいな」
の子「は? お前たまに何言ってんのか分かんねーよ。フランス語か!シルブブネレー?」
mono「酔っ払ってんだよ!酔っ払ってなきゃお前の相手なんかできねーんだから!」
の子「あっそ」
mono「あっそ、て何だよお前!付き合い長いだろお前!」
お客さん「アゴざまあ」
mono「誰だよお前!!」

いつも通り、のんびりグダグダなの子とmonoの会話。このやり取りは初めて観る人の目にはどう映るのだろう。YUIはどう思っているんだろう。この日、僕は"YUIはどう思う"と考えていた。「アゴざまあ」そのときYUIは?「誰だよお前!!」そのときYUIは?という気持ちもあった。
その後は『23才の夏休み』。この雪の降りしきる中、夏まっしぐら。夏の暑い日差しが恋しくなる。

の子「『23才の夏休み』はクソみたいなライブばっかだったから色々試行誤差してきたんだけど、」
ちばぎん「試行誤差ってなんだよ。試行錯誤な」
そのときYUIは?
の子「いつも俺ヘッドセットしてかっこいいんだけどな、今回はちばぎんがな」
mono「ちばぎんがヘッドセットして、かっこよさを譲るんでしょ?」
ちばぎん「…死ねばいいと思います」
そのときYUIは?
の子「今日は持ち時間が27分だからな。さっさと終わらせないと」
mono「そうだよ、さっさととっととぺっぺらぺーってな」
の子「は?なんだよそれ」
そのときYUIは!?

YUIの反応を知るよしもなく、『23才の夏休み』は終わる。
「あれ?失敗じゃね?」「見事に失敗だよ」「あれ?なんで失敗したの?」「いやいや俺はちゃんと弾いてたよ」「じゃあちばぎんのせいってことか?」「いや、僕が悪かったちばぎん」
の子とmonoがこのようなやり取りしていることに対し、ちばぎんがキリッと告げる。
「あの、ごめん。反省するのは誰でもいいんだけど、ステージの上ではやめない?」

みさこ「最近ちばぎんも反抗期なんですよー」
mono「ちばぎんは反抗期じゃないよー。みさこー、お前はボーッとしているだけだよー」
みさこ「うそ…そういえばmonoくんも最近女の子のファンが増えてきて…」
mono「うるせえバカ!それ言うなこのやろ!」
の子「女の子のファンが増えてきたのかキミは。その顔で。最近どこもかしくもCD屋に行けば(神聖かまってちゃんが)"非リア充のどうとか"言われてるけど、女の子のファンができていたらリア充じゃん。うなじゅうじゃん」
mono「俺はリア充になりたくてこのバンドやってんだよ!!」

このどうでもいい会話の流れで、『ロックンロールは鳴り止まないっ』。雪も溶けそうなまったりとした雰囲気であるけど、曲自体は熱いため、それこそ雪が溶けてしまいそう。monoのピアノのアレンジも効いており、ライブ感が出ている。音源で聴くのとはまた違う迫力がある。
そういえばこの日、ライブハウスに向かう前、渋谷のタワーレコードで神聖かまってちゃんのコーナーが出来ているところを目撃した。やはり感激する光景だった。
しかし、目の前のステージではmonoがの子に近付き、靴のにおいを嗅いでいた。やはり感激できない光景だった。

の子「え? どうして今近付いてきたの?」
mono「いや、絡みたかったんだよ…」
ちばぎん「仲良しだな」
mono「うるせえばかやろ!」
の子「(monoに対し)お前のせいで俺、顔の形が変形したんだよ。奥歯抜けたし。メリケンサック持ってんだろ?引くわ」
mono「いつかお前をぼっこぼこにするために買ったんだよ。2600円で買ったんだよ」
みさこ「リアルな数字…」
の子「ほんとに引くわ。メリケンサックなんか持ってたら捕まっちゃうんじゃないの?捕まっちゃえよ」
mono「うん、軽犯罪で捕まっちゃうね」
の子「いやいやいやいや、キミは捕まっちゃうよ!サイバーポリスに」
mono「サイバーポリスといえば、ロックマンだよ!」
ちばぎん「その話長い?」

YUIはこの会話にどう思うのだろう。もういいか、このくだり。

最後は『いかれたNeet』。いつも通りのグダグダな会話の終止符を打つためにも都合のいい曲への進行。ああ、音楽があって良かった。
ちばぎんがmonoと向かい合ってベースを弾いている最中、の子がパーカッションを置く台の上によじ登り、立つ。最近はこのアクションが多いけど、この日はちょっと違っていた。
なんと、の子がバランスを崩し、落下してしまうのだ。
ビデオカメラにはメンバー4人がきれいに収まる構図が映り込み、ドラムとベースが息を合わせてジャーーーン!!と奏でる。
この構図、これこそが神聖かまってちゃんだ。
YUIはどう思っただろうか。

終了後、の子とmonoがステージ前方に来て挨拶する。「今日は雪が降っているんで、疲れて帰ってください」との子がこれまたよく分からないことを言う。monoがまるで何も考えていないような表情で、「バイバーーイ!」と元気いっぱいに声を上げる。
ちなみに、この2人の顔の大きさの違いはちょっと無視できない。
その後もファンサービスを忘れないmonoはステージ最前でファンの人たちと絡んでいる。いい人だ。ほんとにいい人だ。YUIも惚れるよ。しかし、長居しずきたせいか、下りてきたスクリーンがmonoの後頭部に突き刺さってしまう。
の子は最後の最後まで「アルバムは買わないでくださいー!」と斬新な宣伝を。monoが咄嗟に「買ってくださいー!」とフォローし、神聖かまってちゃんの出番は終わる。

イベント終了後、お客さんが少なくなったフロアでの子さんのはしゃぐ声が聞こえてくる。
なんと、振り返るとYUIがいた。そのYUIの前で、の子さんが大声を上げてなんだかはしゃいでいるではないか。いや、はしゃいでいるかどうかは分からないけど、とにかく動いている。そしてYUIの曲にある「やいやいやいやい~♪」をパロっているのか「ゆいゆいゆいゆい~!!」と歌っているのだけは確認できた。
YUIは笑顔での子さんを見つめていた。まるで会話になっていない。YUIはどう思ったのだろうか。

eggmanの会場が深夜イベントのための片付けと準備に入り、外に追い出される。雪は雨に変わっていた。そして肌寒さは尋常ではなく、靴の中の冷気はただごとではない様子。足の感覚がない。monoくんを本名で呼んでみると「本名で呼ぶな!」と言われ、みさこさんには壁に押し込まれ、ちばぎんはこの日残念なことがあって(次回のライブレポでそれが分かります)少し元気がないようで、の子さんは「こんな雪の中、普通は来ないですよ」と言ってくる。
Coccoのとき、両隣の女性が倒れたのがやっぱりショックだった。「自分では気付かない体臭が?」などと仮説を立ててしまった。
「Coccoのとき、僕の隣にいた女の人が2人も倒れたんですよ。次々と」との子さんに告げると、「えっ?Coccoのライブってそんなに激しいんですか?」という解釈が返ってきた。
「それは竹内さんの…音楽ですよ」
こんな仮説をの子さんからいただき、帰路につく。

YUIは帽子を深くかぶっていたけど、それだけでも可愛らしい雰囲気だった。神聖かまってちゃんをどう思ったんだろうか。(結局そればっかりですみませんでした)

2010年3月9日 渋谷eggman
〈セットリスト〉
1、いくつになったら
2、自分らしく
3、23才の夏休み
4、ロックンロールは鳴り止まないっ
5、いかれたNeet