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2010年1月31日日曜日

神聖かまってちゃん@渋谷LUSH

神聖かまってちゃん、初のツーマンライブ。バイナリキッドとの"タイマンGIG"と題されたイベント。

演奏する曲は過去最大級に多いだろうし、そのぶんお客さんも多くて盛り上がるはず。予想通り、渋谷LUSHには長蛇の列が。LUSHでは過去に3度ライブをやっているが、一番の混み具合だった。ドラクエが発売されたときみたいな列だ。出来れば前のほうで観たいというお客さんが多いように思った。monoくんのアゴが突き刺さる危険性も知らないで。
開場時間は押していた。ちばぎんは会うたびに乳を揉んでくる。みさこさんは尻を触ってくる。「竹内さん、今日も揉まれに来たんですか?」と言われる。違うんだ。今日、俺は神聖かまってちゃんを撮影しに来たんだ。
開演前のステージ上のスクリーンにはなぜかマイケル・ジャクソンのDVDが流れており、ちばぎんとゆらゆらリズムを取りながら喋っていると、神聖かまってちゃんの物販スタッフである恋愛研究会。の中内さんが近付いてきた。
「これ作ったんですけど、販売しちゃっていいですかね?」
そう言って見せてくれたのが、monoバッジ。3月10日の発売される1stミニアルバム『友だちを殺してまで。』の裏ジャケットに応募したイラストが、まさかの二次使用。承諾前に制作。しかも他のメンバーが切られていて、monoくんとモアイだけになっていて、神聖かまってちゃんのグッズなのか何なのか分からない状況になっている。最高です。
もちろん承諾。次のライブから物販で売られるそうなので楽しみです。正直、神聖かまってちゃんの活動を追ってきて最も嬉しい出来事でした。monoくんというところがいい。

神聖かまってちゃんのライブがスタートする。
いつも以上にお客さんの数が多い。ギュウギュウ詰めとまではいかないが、マイケル・ジャクソンの踊りが出来ないくらいの詰め加減だ。そもそも、なぜマイケルのDVDが流れていたのだろう。

「どうもこんばんわー、神聖かまってちゃんですー」
テンション低めのの子が挨拶。お客さんの「の子ー!」「の子ーー!」という声に、の子が「うるせえよ!」といつもの調子で返す。monoが「"の子ーの子ー"って、俺はねえのかよ…」と呟くと、一人のお客さんの「monoー!」という声にmonoは「ありがとうございます!」と満面の笑み。言わせてどうするんだ。

mono「今日けっこう人いるなー!」
の子「これ全員俺らの客なのかな。俺らのこと観に来た人、手あげてー」
たくさんの人が手を上げる。
の子「少ねえじゃねえかこのやろー!!」
ちばぎん「多いよ!」
の子「少ねえじゃねえか全体的に見て!これだから結束力がないんだよ」

「俺は今日38.9℃の熱がある、、」
この日、終始「38.9℃の熱がある」と言い張っていたの子。ライブには熱があった。の子自身は物凄く元気だったように思えた。

1曲目は『ぺんてる』。最初から出だしが好調。今年は22日にいきなりうわぁ…なライブが繰り広げられていたのもあり、24日は不安を募らせて、そしてこの31日。の子のテンションが次第に高まって(熱も高まったようだが)、この日は好調な滑り出しだった。22日に初めてライブを観て神聖かまってちゃんのライブに通い出した人にとっては、物凄く成長が早いバンドのような印象さえ受けるだろう。そのくらいの浮き沈みの激しさです。
それより、monoのファッションが気になる。どうしたのか。垢抜けたのか。いや、垢抜けようと必死にもがいている気持ちは十分伝わってくる。白とピンク(本人は赤紫だと言い張っている)の服、更にネックレス的なものが首から飾られてあり、田舎のヤンキーがステージでうろうろしている瞬間が多々あった。

「風邪が治んねえんだよー!!」
『ぺんてる』演奏後、キメセリフのように叫ぶの子。「今日どうする? こんなにお客さんいるけど」とちばぎんが尋ねると、の子は「取り込むんだよー!売名?バイナリ?キッドのファンを!」とテンションをギンギンに上げて答える。

ちばぎん「今日、持ち時間が1時間あるんだけど」
mono「1時間つっても俺らいつもオーバーしてんじゃねえか」
みさこ「そうだね、30分の持ち時間を1時間やっているから今日はちょうどいいですね」
ちばぎん「いっつもじゃねえだろ!イメージ悪くすんなよ!」

ちなみに昨年6月の渋谷屋根裏でのライブは、30分の持ち時間で55分間のライブ。みさこの言うことは割と正しいのかも知れない。

次は『黒いたまご』
24日のライブより、遥かにアレンジがかっこよくなっている。正直、ライブでの子の宅禄音源を超えられるのか不安だったけど、余裕で超えていた。やはり大音量の迫力にはかなわない。それに、monoの切ないピアノの音が加わっていた。ヤンキーとしか思えない格好のmonoだが、ヤンキーには決して表現できない繊細なフレーズをサビで弾いていた。わずか7日間での曲の成長に、感激してしまう。

演奏終了後、「ほえー!ほえー!」との子が楽しそうに吠える。演奏がしっかりできた喜びだと解釈できる。本人は「大丈夫かー!頭がー!って感じ」と意味不明なことを叫んでいた。
の子とみさこの鼻炎コンビがティッシュの貸し借りを始め、の子が鼻水を出している間はmonoとちばぎんが場を繋げる。
「今日1時間も大丈夫なのか俺ら」とmonoが喋ると、の子が「だから、風邪を伝染すんだよ!」と。みさこが「そうだね、今日はタイマンギグだからね」と言う。
タイマンがの子の風邪を伝染すという地味な攻撃方法となった、神聖かまってちゃん。いつも通り、曲間はグダグダ。それでも演奏が始まるとばっちりキメるこの日。会場は明らかに神聖かまってちゃんファンが多いように思えたが、の子は終始"アウェー"と言い張る。

の子「いいかお前らこのやろー。神聖かまってちゃんって名前しっかり覚えとけよ!神聖かまってちゃんがどんどんどんどん、来年くらいには武道館だよこのやろー!そういったことを手相で占ってもらったんだよ。そしたら武道館とか出るって言われたんだよ!!」
mono「え?武道館行くなんて言われたっけ?」
の子「…いらんチャチャ入れるな」
mono「…あ!言われたね!武道館行くぞこのやろー!」

無理矢理の子に合わせるmono。そして久しぶりの『ゆーれい未満』の演奏が終わっても尚、テンションが高いの子。

の子「うぉ!うぉ!うぇ!うぁ!うぉ!うぇ!うぉ!???どこだここ!? うぉ!うぇ!?」
みさこ「うぇ?」
の子「うぁ?」
みさこ「うぉ?」
の子「あ?」
みさこ「え?」
の子「なんだ?ケンカ売ってんのかこのやろー!」

頭のおかしい人たちのやり取りのようだが、これが神聖かまってちゃんのライブのMCだ。この日、最も笑いを堪えた瞬間だった。

monoが「またお前、壊すなよ」と、22日のライブでのドラム蹴り事件について触れる。「88万円弁償とか言われたよ。免許証コピーしてとか言われて…まあまあ!武道館出るからね!余裕っちゃあ余裕だけどな!現金でそのまま出すけどな!」との子が答える。怒鳴るゆめならぬ、怒鳴るPAさんに髪の毛を掴まれてステージ脇に連れ出されたシーンを思い出しす。
「目見て話せこのやろーとか言われて、目を見たら、俺の目がこんなん(かっ広げている)だから"お前喧嘩売ってんのか!"って言われて。どうすればいいんだよ!髪の毛掴まれて、学校思い出したよ!」

ちばぎんがようやくmonoの服を指摘してくれる。「お前今日ピンクなの?」と尋ねると、「違うよこれ赤紫」とmono。色にはこだわっているようだ。
次の曲は『笛吹き花ちゃん』の予定だというのに、monoが「次は『いかれたneet』です」と間違えたことで、『いかれたneet』へ。こんなこともあるんですね。
『いかれたneet』は少し前までは演奏するのが意外に思えた曲だが、最近ではもはや定番になっている。『ぺんてる』もそう。だからこそ、いつ予想外の曲を演奏するのか分からない。そのタイミングを逃さないため、毎度撮影に向かっている。

「そろそろ俺らの領地に、俺の手の平でころころ…」
の子は「そろそろ俺らの虜になっただろう」という意味のことをお客さんに言いたいらしいが、なかなか言葉になっていない。ニヤニヤしながら「手に平に、えっと、踊る?だっけ?」と付け加える。客席、「この人は何が言いたいんだろう…なんとなく分かるけど」といった表情で沈黙。の子は「えっ!?」と不安になって叫ぶ。

の子「まだころころさせてない奴は、していくぜ」
mono「さあもうころころさせるぜー」
みさこ「わーmonoくんキモーイ」
mono「また引っ叩きたいのかこのやろー!」
みさこ「叩きたい」
mono「あれ普通に痛かった…」

22日のライブでmonoの頬をみさこが引っ叩いた件について。みさこはまだまだ叩き足りない様子だ。
こうして、の子がなぜかニコニコしながら歌い始める『自分らしく』へ。ジャーン!ジャーン!ジャーン!の部分でmonoは空中をパンチする。その自由なパフォーマンスがツボに入る。
演奏終了後、「チーターマンが!チーターマンが!!」との子が叫ぶ。クソゲー『チーターマン』のことらしい。「チーターマンってあっただろ、ニコニコ(動画)で!」との子が言うと、なぜかその瞬間、monoが飲んでいたジュースを思いっきり吹き出す。爆笑の会場。

の子「ライオンキングって言おうとしたら、チーターマンって言っちゃった」
ちばぎん「レアなほうを」
の子「じゃあ今日はこれで終わりにします!さよなら!」
ちばぎん「うそー!!」
お客さん「え~っ!?」
みさこ「素で"え~っ?"って言ったお客さんいっぱいいたよ」
の子「もうダメだ、頭が朦朧としちゃって…」
女の子のお客さん「がんばってー!!」
の子「えー!はははっ。(嬉しそうに)なんだがんばってーって。こんな淡い声、昔はなかったんだ」
男性客の野太い声「がんばってー!!」
の子「うるせーなんだこのやろー!!」
ちばぎん「ぜんぜん男と女で対応違うんだけど!!」

熱のあまり、の子の本性が明るみに。進行させるため、monoが曲紹介を。だけど「次は『死にたい季節』…じゃなかった。『天使じゃ地上じゃちっそく死』という曲をやります」と露骨に間違え、ちばぎんに「まじめにやってくれる?」と厳しく言われる。
「死にたいって曲です!」との子の爽やかな曲紹介により、『天使じゃ地上じゃちっそく死』の演奏へ。
演奏終了後、「あーー!!」とずっと叫んでいるの子。
高熱があるほうが、テンションが高くてグッとくるライブをするのではないか…と思ってしまうほど、ずっと順調な演奏が続いている。MCも冴え渡っている。

の子「今日はこんなに風邪でフラフラしてんのに!誰だ?1時間もライブ予定入れやがってよ!どこの劒だよ!」
ちばぎん「劒が悪いわ。間違いないわ」
珍しくちばぎんがの子のジョークに乗る。
ちばぎん「(ギターを持つの子を見て)で、キミ、次の曲ギターじゃないけど…」
mono「なんでお前はいつも冷たく言うわけ?もっと優しく言ってやれよ!」
ちばぎん「なんだよ!お前シャツの色気持ちわりーんだよ!」
みさこ「monoくん気持ちわるーい」
ちばぎん「それは色気出した結果なの?」
の子「だってさ、(monoの服とネックレスを触りながら)これも気持ち悪いしこれも気持ち悪いし…全部気持ちわりーよ!!」

mono、マイクに口を近づけて「死にたいなぁ…」と呟く。monoは地上じゃちっそく死。ファッションセンスのせいで。

『夜空の虫とどこまでも』のセッティングのため、の子がキーボードに向かう。「すごい濡れてる…」と、さきほどmonoが吹き出したジュースがキーボードにこってり付着しているようだ。とても幻想的な曲に、monoのジュースが混じるとどんな味がするのだろう。とりあえず、機材が壊れていなくて安心する。この日のmonoはつくづく笑いのツボを刺激する。

「俺はライブ始まる前、泣いてたんだよ。今日ライブどうなるんだろーって」との子が言うと、monoが「嘘、言ってない」とお客さんに説明。

の子「なんだよウソって!お前こういうときだけ俺を踏み台にしてポイント上げようとしやがって!ずっと泣いてたんだよ!」
さっきも声をかけた女の子のお客さん「がんばってー!」
の子「なんださっきから同じ奴が…"がんばってー!"って。どこのニコニコ坊やなのか」
みさこ「ニコニコ坊や…」
先ほどからステージ上で普通に鼻をかんでいるの子。
みさこ「ごめん、私も鼻かみたいんだけど」
ちばぎん「なんだこのバンド…」

ちばぎん、うまいことまとめてくれた。

『芋虫さん』が終わり、「もうそろそろ(俺の手の平に)乗ってきた頃だろ!」とお客さんに尋ねるの子。先ほどから可愛い声援を放ちまくりの女の子が「乗ってきたよー!」と返事する。の子、「うるせー!…あ、ごめん。俺あんまりしつこくされると"うるせー"って言う癖あるから。ごめんねニコニコ坊や」
ニコニコ坊やって一体何なんだ。
ちばぎんが「あと3曲あるんだけど」と言うと、の子が「あと3曲もあんのかよ!早く帰らせろ!」とビックリする返答。お客さんによる「もっと本気でやれー!」という野次により、「もっともっと本気でー!!」との子が叫び、本気モードへ突入。あと3曲という時点で。

久々の『スピード』は今までライブで聴いてきた中で最も凄いスピードだった。
30キロ40キロどころではなかった。優しくされたりしたくなさそうなくらい、人を振り払っていくくらいの全速力が出ていた。最後の「走れ!走れ!走れ!走れーーー!!」がキマっていた。

「2010年が始まって、もう1ヶ月くらい経つんですが、皆さんどうですか? ひとつき経って何かやってますか? 2010年といったら2000年のツインタワーが崩壊されてからもう10年が経つんです。あっちゅう間に時が過ぎていきます。そんな中で、人を殺したいと思ったりする人もいると思います。そんな気持ちを、俺は、ここに、叩き、つけるの、です!よう、よう、ようチェケラ!よう!」

社会派なことを突然語り始めた後、の子はなぜかラップ調に。そして『夕方のピアノ』。人を殺したいと思ったことは、ひょっとすると誰にでもあることなのかも知れない。それを口に出したり、行動に起こしたりすることは稀だ。ここで歌われている「死ね」があまりにも変質的な感性であれば、神聖かまってちゃんを受け入れられることはないだろう。
この日はこの曲の演奏がハイライト。
みさこは髪を振り乱してドラムを叩きまくり、ちばぎんは殴るようにベースを鳴らし、の子はいつも通り喉が張り裂けるように「死ねーー!」と絶叫し、monoは叩くように鍵盤を弾く。メンバーの気迫が凄まじかった。
そしてmonoの表情が何かを悟ったようなもの。かつて、これほどまでのドヤ顔は見たことがない。なんだかもう逆に感動してしまいます。

の子が4月のアルバム発売記念のワンマンライブについて喋る。
「今日初めて観た人に、えーと、4月の十何日かに…あとはググってください」と日付を完全に忘れている様子で、途中で告知を諦める。鼻をかみながら、また「ころころ、ころころ」と手の平の上でジェスチャーをする。
「だから4月にライブ観に来たときは、なんとかしよう!結束力を高めるんだ!俺らに頼るな!」というの子に、ちばぎんが「なんだよ、なんとかしよう!って」とつっこむ。
「違うんだ、みんながなんとかしないといけないんだ。みんなが社会を回していかないと!」

こうして最後の曲は『ちりとり』
お客さんの結束力を求めているが、この『ちりとり』はメンバー同士の結束力が高かったように思える。「バカヤローこんちきしょー!」と叫んだ後にの子がステージ床に倒れ、その後のみさことちばぎんがリズムを合わせる姿。monoが黙々ときれいなメロディを奏でている。それぞれが役割を担い、その中で最大限のパフォーマンスをする。バンドとは、こういうものなのだろう。神聖かまってちゃんは特異なバンドと思われるかも知れないが、やはり正統派としか思えない面もある。『ちりとり』なんて本当にストレートなラブソングだ。目の前にいた多くの人の心をちりとろうとしていた。
最後、monoのピアノ音だけになるところでの子が語り始める。

「分かるぜ。お前らが、俺の手の平の上で踊らされていることが。最後だけども、また会えるかどうかは分かってるぜ。それがいつになるかは分からないけど、まあ…えーと…ググってくれ!!」

またライブの告知を諦めてしまったようで、演奏は終了。
最後の最後にジャーーーーン!という音を合わせるとき、メンバーの鳴らす音がバラバラ。ジャンプした後の着地のタイミングもバラバラ。そのときの床に崩れたちばぎんの無念な様子といったら、ない。
結束力、最後は締めが甘かった。それはそれで神聖かまってちゃんのいつもの光景だ。

の子はまだ喋りたいことがあるのか、ライブが終わってからもずっと喋っている。するとステージ前方にスクリーンが降りてきて、の子の前を遮る。
「なんだこれ!(スクリーンに頭をぶつけながら)下がるなこのやろー!!」
アンコールを求めるお客さんの手拍子。それに合わせて、の子がなぜか演歌らしきものをアカペラで披露。スクリーンは下がりつつある。「北の~ 酒場から~ やってきたぁ~♪ の子でぇ~すぅ~♪ 北酒場からぁ~ ギター抱えてやってきたぁ~♪」。
の子の即興。なぜか演歌調。どこから演歌が降ってきたのだろう。自然にスクリームが上がり、ステージ全体が見渡せる景色に。
「北ぁのぉ~ どこからかやってきたぁ~♪」と歌い続けるの子を気に留めず、「ありがとうございます、アンコールやります」とちばぎんが挨拶。

の子「みんな、いい目してるな。いい目してるな。こうやって一人一人突っ突いたらどうなるだろうな?」
の子がお客さん一人一人に指差していく。
ちばぎん「かわいそうだからやめろよ!」
mono「ほんとありがとうございます。アンコールなんて初めてです」
ちばぎん「2回目です。あなた、あのとき酔っ払っていたから」
の子「こいつ(mono)最初だけ酔っ払ってテンション上げるんです。今はもう素に戻ってるけど」
mono「かんぱーい」
の子「ほらね、意味わかんないでしょ。(客に)もっともっとこいつに言ってやれよ!」
お客さん「アゴーー!!」
の子「いやアゴじゃなくて、"アゴもっとお前なー!"とかさ!」
お客さん「アゴー!お前もっとちゃんとしろよーー!」
mono「うるせーこのやろー!!」
の子「なんなんだお前。なんで今日色気づいてんだよ…」
mono「俺だってモテてえんだよ!」
の子「じゃあこんなmonoくんでもオーケーの人、手を上げて!」
男性客の野太い声「はーーーい!!」
ちばぎん「男じゃねえか!!」

こんな状況で『ロックンロールは鳴り止まないっ』のイントロのピアノが始まるが、の子が止める。「今、俺に対して"早く帰ってほしい"って思っている客はたぶん60人くらいはいるから、アウェーだから!逆境はパワーだから!!」といまいち止めた理由が分からないまま、再度演奏へ。
最後の語りの部分、の子がギターを肩に置く。ロックスター然としたアクションで、ばっちりと演奏を見せつける。
「覚えておいてください、神聖かまってちゃんというバンドを。来年は、来年は、武道館に、出るので」
高熱のせいなのか、いつも以上に熱いことを語るの子。

そもそも、本当に熱があったのか?と疑いたくなるくらい、絶好調なライブだった。本人はその自覚がないのか、「今日やばかったです」と言うと「いやー今日全然ダメでしたね」と照れ笑いしていた。
神聖かまってちゃんのライブの後、フロアを出て外の階段下にいると、神聖かまってちゃんのメンバー全員がライブの本番以上に高いテンションを見せていた。どうやら、『新世紀エヴァンゲリオン』『天元突破グレンラガン』などで知られるアニメ制作会社GAINAXの社員さんが神聖かまってちゃんのライブを観に来られていたようで、普通にファンらしい。GAINAX社内で神聖かまってちゃんが流行っているとか。
神聖かまってちゃんはそれぞれ音楽の趣味趣向が統一感がないそうだが、唯一共通しているのは"エヴァが好き"ということらしい。これは嬉しい話だろう。僕も大好きだ。の子さんのこれほどまでの楽しそうな表情が見れるのも珍しいくらい、嬉しそうだった。monoくんも存分に酔っ払い、楽しそうでした。
の子さんは「今日熱があったんで何があったのかやったのか、自分ではわかんないっす!」と元気いっぱいな表情で言っていた。「次、会うのは新宿LOFTですね。大阪と新宿と柏、3日連続ライブじゃないですか」と僕が言うと、の子さんがこれまた元気いっぱいな様子で「どれかキャンセルします!」と答えた。マジかよ!
車に乗り込むメンバーたちに大きな声で「おつかれさまでーーす!」と声をかけ、みんなから「おつかれさまでしたーー!」とハツラツとした返事が来た。今年一発目のライブで不安を覚えたのも吹っ飛ぶほど、この日のライブはMCも演奏も爽快なものでした。

2010年1月31日 渋谷LUSH
〈セットリスト〉
1、ぺんてる
2、黒いたまご
3、ゆーれい未満
4、いかれたNeet
5、自分らしく
6、天使じゃ地上じゃちっそく死
7、夜空の虫とどこまでも
8、芋虫さん
9、スピード
10、夕方のピアノ
11、ちりとり
〈アンコール〉
ロックンロールは鳴り止まないっ

2010年1月24日日曜日

神聖かまってちゃん@渋谷duo music exchange


日曜日の13時スタートという、休日真っ昼間からのライブイベント。学校帰り/バイト帰り/会社帰りでもない人たちが集った"ROCK'N ROLL SUNDAY"というイベントはその名の通りサンデーであり、夕方16時頃に終わるという日曜日特有の夕方の憂鬱を堪能できるのだ。

前回の新代田FEVERでのこともあり、この日は色々不安があった。
会場に着くと、monoくんの友人・森くんが会場前にいた。monoくんと連絡を取り合うと「今日は大丈夫そう」とのこと。その言葉で少し安心した。そもそも、不安を抱えて観に行くライブって一体何なんだ。親にとっての「わが子は大丈夫かな」といった授業参観みたいなものか。どこまで周囲を心配させたら気が済むんだ。手首の傷みたいな存在でもある。それでこそ"かまってちゃん"なのかも知れないが。
相変わらずduoは広い。それでもお客さんは埋まっていき、神聖かまってちゃんのファンが多いと聞く。2階席の一番で撮影しようと階段をのぼる。遠くから彼らを撮影するのは久々になる。

『夢のENDはいつも目覚まし!』が流れると、メンバー登場の合図。
「あ、どうもこんばんわー。神聖かまってちゃんです」
しょっぱなからの子はテンションがとても低い。無表情で挨拶をする。手には紙コップ。なんだか、検尿直後のテンションのようだった。意味が分からない表現をした。申し訳ない。
「どうもー! 神聖かまってちゃんですー!」
「神聖かまってちゃんです!」
monoとみさこがの子のテンションをカバー。「お前ら、いつもの俺の位置とるなよ!」と、いつも「神聖かまってちゃんです!」と言う役のちばぎんが困る。なんとなく、monoとみさこはの子をカバーしようと意識したせいか、普段言わないことを言った気がする。
「こんばんわ神聖かまってちゃんです!今日一日よろしくお願いします!」と、ちばぎんが改めて挨拶。デーーーン!とベースとドラムの音が鳴り、観客が拍手。こうしてライブがスタート。

monoが「『黒いたまご』です」と曲紹介。きました。元日にの子がアップロードした新曲が初披露。monoがなぜかの子に呼ばれ、顔を近付けた後、なぜか頭を叩かれる。の子は無表情。monoは痛がる。突然の状態に、会場内が爆笑。
「もう一回言っとけ…」
の子がmonoに促し、従われるまま「…『黒いたまご』です」と再びmonoが曲紹介。「もっかい来いよ…」との子。どうやらもう一回頭を叩きたかったらしく、「天丼だろ…」とボソッと呟き、空気が読めていないmonoが「は?テンドン?わかんない。」と返し、「くそっ…」ととにかくテンションが低い割にはちょっと面白いことをやろうとするの子。
そして『黒いたまご』が始まる。
曲が始まるタイミングが微妙だったり、の子のボーカルエフェクターが音源通りに使えていない部分もあったが、これから化けていきそうな予感がプンプンしていた。どう転んでも曲自体が良いため、聴いていて気持ちいい。の子の気分を表しているようなちばぎんの重苦しいベース音が響き、
「どうしようもないだろうね」と繰り返すボーカル。の子はキーボードを操作しながら、テンションを徐々に高めていっているように見えた。の子とmonoが近い距離にいるため、遠くから見るとどうしてもちばぎんだけが離れていて寂しそうな構図のステージに。

演奏後、ようやくの子が笑顔を見せる。
「あーっ、まちがえちゃったー。まちがえちゃったー。お前…」とmonoのせいにしようとして、monoが慌てる。「後で楽屋裏で…とりあえず気を取り直して」との子。なんとなくだが、『黒いたまご』を演奏できたことで気分が少し高揚したように思える。

「今日は来ていただいて、ありがとうございます!」と、monoが礼儀正しくお客さんに喋る。「こんな昼間から…まあ多分チョモランマ・トマト目当ての人とか、そういうアレですけど」とちばぎんが悲観的に言う。
「次は『自分らしく』という曲です」とmonoが曲紹介し、『自分らしく』へ。
monoがパーカッションを叩き、の子が「日溜まりのゆーめー見ーてー」と歌い始め、ベースとドラムが一斉に始まる瞬間がたまらない。monoがスティックを床に落として、ささっと拾い上げるシーンもあった。慌てている姿はなんとなく応援したくなるものだった。
の子は相変わらずテンションは高くないが、曲はしっかりと歌い、いつも以上にまともに演奏している。しかし歌い終わった後、「うぅぅ~~っ!いやっはぁああーい!!」とカウボーイみたいな叫び声を披露。テンションが有り余っている様子で、安心した。

「僕は今、新型インフルエンザにかかってるんで」との子。「嘘つくな!どんだけだよ!」とmono。吉祥寺のライブでもこの嘘をついていた気がする。
monoが今後のライブ告知を。
いつも思うが、monoの口癖は凄い。「ほんとに」という言葉があまりにも多すぎるのだ。ここでmonoがライブ告知で喋った言葉を書き出そうと思う。「ほんとに」に注目して聞いてみよう。

「次、31日はあれか、バイナリキッドさんとのツーマンね。渋谷LUSHでやりますよ、ほんとに。良かったら来てください。ほんとに。(会場が静まっている)あれ?(会場拍手)はは…あのね、実際、拍手もらわないのともらうのとではえらい違いだからね。ほんとに。(ちばぎんに「言ってみたら?もっと拍手くれ、って」と促され)あ、もっと拍手くれ、ほんとに。(会場拍手)はは、いやいや、ほんとにありがたいね、ほんとに。13時か、昼間にやるってのはほんとにね、僕ら売れてないときほんとに、いや今も売れてないけど、ほんとに、客が7人とか8日の頃にやった(サマソニの)オーディションライブ以来ですよ、ほんとに。すごいもうねー、寝不足寝不足でね。ほんとに。でもこんなにお客さんがいるとがんばっちゃうからね、ほんとに

計12回の「ほんとに」の嵐。なんなんだ。どれだけ真実を強調すれば気が済むんだ。ほんとに。挙げ句の果てに、みさこに「口調がおっさんぽい」と指摘され、ちばぎんに「まだ(MC)終わらない?」とイライラされ、の子に冷たい視線で見つめられている。

の子「なげーよ。(観客に)なげーよ、って言ってやってもいいんだぜ?」
みさこ「アゴが…」
お客さん「アゴしかない!」
mono「は? なんだよ、首あるよちゃんと。ほんとに」

ほんとにほんとに『笛吹き花ちゃん』へ。
前回のFEVERでのライブでは曲の中盤まで演奏したのにも関わらず、の子の指示によって演奏中断。今回はそのまま続けたが、後半でテンポが完全にズレまくり。というのも、「そーりゃーも」の後にみさこがドラムをバッシャーンと叩く瞬間、みさこが装着していたヘッドフォンがズレていたからか、どうなのか。カメラはみさこのヘッドフォンがズレた瞬間をばっちり記録した。

の子「お前ズレすぎだろこのやろーー!!」
みさこ「ごめんね…」
の子「"ごめんね"で済まされるかこのやろーーー!!! お前ら一人一人、こっち来てダイブして飛び込んでいけ」
mono「ムチャ振りだね…」

の子が気持ちを落ち着かせ、「次は『ロックンロールは鳴り止まないっ』をやりますー」と言うと客席から「フゥーーー!!」という歓声が。「フゥーじゃねえこのやろーくそやろーーー! ごまかすんだよ!!」との子が意気揚々とアジテーション。
monoがキーボードで美しいメロディを弾き始め、『ロックンロールは鳴り止まないっ』の演奏へ。中盤、monoのキーボードだけになって、みさこのドラムが始まり、の子が歌い出し、ちばぎんのベースも鳴り始める。あの順番がいつもたまらない。曲展開がドラマチックだからこそ、人気のある曲なのだろう。

演奏が終わり、の子が「はぁああー。うぁああー。こんな昼間に、俺らのことを観に来た人は手をあげてくれー!!」と観客に問いかけ、結構な数の人が手をあげる。の子が「はい少ないっ!」と言い、「結構いるだろ!」とちばぎんがつっこむ。monoが「鼻水出てるよ。」との子に指摘。「これは鼻水じゃねえ!涙だ!こんなにお客さんがいっぱい来てくれてるからな、こうやって涙流してんだよ。ありがとうございます」と、まさかの涙。

次は『芋虫さん』。「僕チューニングしないと、叩かれるんで」との子のチューニングタイムが始まる。その間、メンバー3人のMC。しかしグダグダ。「だろ? こんなんだろ?(観客に)鍛えてやれよこいつらをよー。ブーイングしてもいいんだぜマジで?」との子からの厳しい意見。mono、ちばぎんに話を振って逃げる。だいたいこういうときはちばぎんがムチャ振られる。
「そういやちばぎん、最近配信始めたよね?」とmonoが言うと、の子が「インターネットに逃げるな」と名言のようなセリフを。会場は笑いに包まれる。

mono「…ありがとうの子!お前のつっこみがなかったらどうしようかと思ったよ」
の子「『芋虫さん』やりましょーー!ひゃーーーい!!」
ちばぎん「そういう曲じゃねえけどな…」
お客さん「(の子に向かって)てか、涙拭けよ」
の子「涙じゃねーよ!鼻水だっつってんだろさっきから!!」

涙って言ってたのに!
そんなこんなで、の子が元気いっぱいなまま始まった「死にたいな、消えたいな」ばかりの『芋虫さん』。気持ちいい。monoも気持ちよさそうな表情を浮かべていた。
の子が「はい、これで終わりです。早く帰れ!」と観客に言い、monoが「この後は黒猫チェルシーさん、チョモランマ・トマトさんが出るんで、よかったら楽しんで帰ってください」と礼儀正しく告げる。

の子「黒猫チェルシーとチョモランマ・トマトを知ってる方は、いらっしゃいますか?」
あまり手を上げない。
の子「すくねーな…」
mono「俺らのファンが多いってことかな?」
の子「は?それは後で、楽屋で、チョモランマ…チョモッと。チョモチョモ…早いよね。こんなんでワンマンなんかやったら、俺10分くらい休むわ。鼻水も止まんないし」
mono「じゃあ俺がティッシュ用意するから」
の子「え?"天使上陸"?」
mono「いや、ティッシュ用意するから!」
の子「なんだよ"天使上陸"って。」
mono「天使上陸は今度おまえ天使上陸しよう!」
の子「何言ってんのバカ」

ライブ前、の子のテンションに不安がっていたのも杞憂に終わりそうだ。monoとの掛け合いもいつも以上に面白いもので、何度も笑いを誘っていた。monoが何喋ってるのか聞き取れないことも役に立っている。

最後は『いかれたneet』
前回のFEVERの記憶を吹っ飛ばすくらい、かっこいい演奏だった。喉が潰れそうなほど「ニィィィイトォオオオ!!」と叫ぶの子。monoもちばぎんもみさこもゆったりと演奏しているように見えた。
立ちながらゆらゆらと動いてキーボードを弾くmono。ギターをジャカジャカと掻き鳴らす手を一瞬止め、息を止めるように制止し、その後またリズムに合わせてジャッジャッジャッと規則正しく奏でるの子。
最後はギターを床に置いて指揮者さながらの手の動きをし、パーカッションの機械を置いている台の上に立ち、お客さんをアジテーションするかのようなポーズを取る。
「言っとくけども、ダイブはしねーぞ!!」
最後に一笑させ、華麗にライブは終了。とても心温まるライブとなった。

なんと、お客さんからアンコールの手拍子。1バンド目なのに。
その手拍子に合わせながら「チョモランマトマト!チョモランマトマト!」と叫び、テンション上がりっぱなしのの子。嬉しそうだし、楽しそうだ。ステージに居座っていたらスタッフに連れ出され、客席から笑いが。時間的にアンコールはできなかったようだけど、お客さんの拍手がライブの出来を物語っていた。

終わった後、フロアでmonoくんに抱きつかれる。ちばぎんに抱きつかれる。みさこさんに尻を触られる。集団レイプを受けつつ、抱きつくほどこの日のライブは緊張感があったように思う。の子さんのテンションもライブ中に次第に上がっていき、安心した。『黒いたまご』の演奏がとにかく嬉しかった。
そういえば最後、客席からの子に向かってティッシュ(画像にあるピンク色の物体)が投げられていたのが印象的だった。結局、彼が流していたのは鼻水なのか、涙なのか。
お客さんによる温かいプレゼントの飛行をカメラは捉えた。が、ティッシュは受け取られることはなかった。ほんとに(mono)。

2010年1月24日 渋谷duo music exchange
〈セットリスト〉
1、黒いたまご
2、自分らしく
3、笛吹き花ちゃん
4、ロックンロールは鳴り止まないっ
5、芋虫さん
6、いかれたNeet

2010年1月22日金曜日

神聖かまってちゃん@新代田FEVER

この日の対バンは、THE NOVEMBERS、昆虫キッズ、竹内道宏。神聖かまってちゃんも出演経験のあるFMおだわらの番組『象の小規模なRADIO』などに関わるelephant主催イベント。フライヤーは竹内が描いたものです。

THE NOVEMBERSは『カウントダウンジャパン』に出演したり、恵比寿リキッドルームでワンマンライブをソールドアウトさせたりと大人気のバンド。昆虫キッズは豊田道倫と共作のアルバムを制作したり、音楽ライター・松本亀吉からの評価も高い。神聖かまってちゃんは説明は要らないだろう。ということで、竹内道宏という者だけがよく分からない。
神聖かまってちゃんとまさかの共演となった。
リハーサルを共演者という形で一緒の時間を過ごし、自分のリハ時間はほんの30秒で終えるという快挙を成し遂げた。なぜならCD-Rが流れるかどうかを確認するだけだからだ。他のバンドとは"機材が一切必要ない"という点だけは一線を画せたはずだ。まるで自慢にもならない。
それぞれバンドという属するものがあるだろうが、自分だけは違う。楽屋でも全くの一人だ。その孤独感は計り知れず、携帯をずっといじっていた。その姿をちばぎんに隠し撮りされていた(画像参照)。何もすることがないとき、携帯いじりますよね。誰からもメール来てないのに。画像フォルダとか整理していました。

うずくまくっていると、昆虫キッズのボーカル・高橋翔くんが絡んでくる。どうせなら紅一点ベース・のもとなつよさんに絡んできてほしかったが、我慢した。嘘です。高橋くんは好青年だった。
神聖かまってちゃんは妙な緊張感を漂わせていた。リハーサルでもの子さんの精神状態があまり良くないことが分かるもので、PAさんに「映像が」とか言っていた。映像は一切使わないライブだ。ただ、リハの演奏はめちゃくちゃ気合いが入っていた。まるで本番のようなテンションで叫んで歌い、それには昆虫キッズやTHE NOVEMBERSのメンバーも驚いたらしい。
他のバンドがリハーサルや時間潰しなどで楽屋から消え、なぜかの子さんと竹内の2人きりになった。なんで?他のメンバーとスタッフは?の子さん一人置き去りとかかわいそうじゃないか。とはいえ、僕も一人きりだった。かわいそうだ。

の子「竹内さんって今日何やるんですか?」
竹内「あ…僕がね、霊能者ってことで、色んな霊としゃべるんですよ」
の子「え?」
竹内「え?」

そうか、そりゃそうだ。「え?」だろう。2007年からこの活動をやっているため、自分では当たり前になっていた。ビデオカメラで撮影した奴がいきなり霊能者って、意味が分からないだろう。

の子「そんなことやる人、聞いたことないっすよ。てか、竹内さん1人で出るんすか?」
竹内「はい…」
の子「パンクっすわ。一番パンクじゃないっすか。俺には1人出るとかできないっすよ」

そうなのか。パンクというか、孤独なんじゃないか。しかし、ここでの子さんが「一人で出ることができない」と言っていたのが印象的だった。音源は一人で作り込んでも、人前ではバンドとして出たい気持ちがあるのだろうか。
の子さんから「竹内さんは配信やったほうがいいですよ」「オナ禁はマジでいいっすよ。髪の毛サラサラ。お肌ツヤツヤ。曲の発想は浮かぶ浮かぶ。竹内さんもやってみてくださいよ」と促される。この二つをまとめると「オナ禁配信やるべき」ということだ。違うか。とにかく、の子さんのオナ禁スカイウォーカーぶりを語られた。僕の場合はフォースの力が発揮できる気はしないし、ライトセーバーは伸びたままになりそうです。
そんなこんなでフォースの力は得られない僕は、の子さんの「2ちゃんねるで煽られてダンプカーで突っ込んだヤクザの組長」の話に笑いつつ、時間はイベント開始直前。ぞろぞろと出演者が楽屋に戻ってくる。そして出演者どうしの顔合わせをし、イベントが始まる。

お客さんの入りを確認しようと、楽屋通路からステージ前を覗く。THE NOVEMBERSファンと見られる若い女の子たちが柵の前に被りついている。JKがいる。この子らの目の前でやるのか。鉄の壁としか思えない。僕はJK(若干、緊張)どころではない。気が気でなかった。
250人のお客さんが入ったという。250人対1人。この構図。正直、神聖かまってちゃんの撮影のことはほぼ忘却の彼方にあった。自分のことで精一杯。かまってちゃん・セイ・グッバイ。嘘です。

1バンド目は昆虫キッズ。
『27歳』がかっこよかった。最後の『ピートタウンゼント』はドラム・佐久間くんのドラムがバッシバシ鳴り、ギター冷牟田さんが何もしなくてもかっこいい、高橋くんが叫びまくり、飛び跳ねるのもとさんのボブヘアーが揺れていた。お客さんの顔を見ると、最初はガッチガチの表情で観ていた人たちも昆虫キッズのライブを観て、表情が柔らかくなっていく様に安心した。高橋くんによる「おしっこノベンバ」などといったMCが笑いを誘い、パフォーマンスがやりやすくなった。

竹内は"幕間"というバンドとバンドの間に登場。出演時間は10分間。
出演前に楽屋で準備をしていたら、劒マネージャーに「いやぁ、みっちー、今日はスベるね~」と脅され、の子さんに「竹内さんの後はやりやすいっすわ~」と妙にプレッシャーをかけられる。
唯一"誰やねん"的役割があるのだから、せっかくならここでドカーン!という気持ちもあった。ステージに立つと、ものすごい人の数。出番が終わると、拍手が巻き起こる。緊張を通り越してよく分からない気持ちのままライブをやったけど、劔さんの予想に反して笑い声もたくさん聞こえ、あとでmixiでエゴサーチをしてもTHE NOVEMBERSのファンの人からの反応がよかったのが一番嬉しかった。"色んな人に薦めたい"だなんて、自信になっちゃうぞ!
ステージ脇にいたちばぎんとみさこさんからお褒めの言葉を。竹内のライブ後、楽屋に戻るとの子さんから「どうでした?」と。ほらほら、僕のライブ余裕で観ていないですよ。

そんなこんなで、ようやく神聖かまってちゃんのライブがスタート。

今回はステージ脇から撮影。かまってちゃんメンバーも当然、鉄の壁の洗礼を受けるわけだ。の子はセッティング中に「この中で僕らのファンはいますかー?手あげてくださいー」と聞く。何人かが手を上げるが、「いねえじゃねえかよ!」と1人でキレて笑いが起きる。
セッティング終了後、『夢のENDはいつも目覚まし!』をBGMにメンバーが登場。しかしの子が出てこない。どうやら本番直前にトイレに行ったらしく、SEが終わってから余裕でのこのこ出てくる。の子だけに。うんこした後のライブってわけだ。

「はじめは『芋虫さん』って曲やりまーす」との子が言った後に歓声が聞こえ、それについて「"うぇ~ぃ!"って、分かってない奴ぜってーいるだろうがこのやろー!」とまたもや1人でキレつつ、『芋虫さん』がスタート。
しかし最初、リズムがズレていて、かなり怪しい演奏に。
怪しいなと思っていると、monoを撮った途端にmonoが若干カメラ目線で苦笑いをし、その後ろに映っているちばぎんもなぜかこっちを見ているという映像が撮れた。何かに助けを求めているような表情だった。
出てきていきなり高音で「死にたいな~」というボーカル。THE NOVEMBERSのファンはどう思っただろうか。そしてJKは。対バンがまたタイプの違うバンドだと、そのファンの方がどう思ったかが結構気になったりするものです。

しかし、今回はいつも以上にグダグダだった。
MCと呼べるものなのか分からないフリースタイルな会話は、毎度ながら健在。現在、SPACE SHOWER TVやMTVなどで流す用の『ロックンロールは鳴り止まないっ』のPVの編集しているらしいの子は、「スネ毛が剃れたまんまだから痛い…」と呟き、monoが「剃れたというか、剃ったんだろ?」とつっこむ。ニコニコ動画でなぜかセーラー服姿でB'zを熱唱しながら踊るという動画をアップしたの子はそのときスネ毛まで剃っていたようで、今は毛が生えかかりのときなんだろう。僕も中学生の頃、何を思ったのか突然スネ毛を全部剃ったことがあるので、気持ちは痛いほど分かる。痛いのだ。
「スーパー内輪バンドだからな」と言うの子はメンバーにライブの進行を促す。「進行っつっても、曲やることが一番の進行なんだけど」とmonoが正論を呟く。

突然、「この中でみさこにINしたい奴はいるか?」との子の質問。そして『笛吹き花ちゃん』へ。久々の演奏になる。しかし、なかなか曲始めない。「機材多くてむかつくんだよこのやろー!」との子がイライラする。monoが「そんなん、俺のほうが多いよ!ほら、1、2、3…」と機材を数える様に笑いが。
そしてようやく『笛吹き花ちゃん』へ。と思いきや、1番が終わった後にの子が突然演奏ストップを。曲のやり直しは割といつものことではあるが、1番までいってから再び演奏したのは今回初めてなのかも。
再び演奏した『笛吹き花ちゃん』もいつ演奏がストップするかドキドキするものだった。無事、演奏は終了。
「今日はアウェイなのか…?アウェイのほうがやりやすい。」と機材をいじりながら喋るの子。これは、やりやすい状況なのだろうか。最前列の女の子たちは無表情。やっぱり鉄の壁なのだ。

mono「みさこ何か言えよ」
みさこ「いぇ~」
mono「いぇ~じゃねえよ。お前、リズムよれてたよ」
みさこ「monoさん、(機材を指差して)"5"なのに"8"押したでしょ!monoさん!」
mono「いや、俺"5"押したよ!」
みさこ「monoさん、こっち来なさい」

monoが操作するスイッチのボタンを、monoが押し間違えていたと指摘するみさこ。みさこに言われるがままにドラムセット付近に近づくmono。
バチコーーーーン!!!
みさこ、monoを突然ビンタ。痛がるmono。
その後、「しっかりしろこのバカ!」と更にの子に頭を叩かれるmono。「なんで今日俺こんなに殴られなきゃなんねーの…?」と呟く。突然のバイオレンスのステージに笑いが。

テンションが下がった様子のmonoに、「いいじゃん、Mなんだし。次行っていい?」と特に気遣うこともなくちばぎんがササッと進行する。monoがちばぎんに「なんだよお前、早く帰りたそうな感じで」と言うと、「そんなことないっすよ」と返答。更に「俺のバンドの理想像はこんなのじゃない的な?もっとスマートに、アグレッシブにという感じなんだけどなぁ的な?」とmonoが嫌味っぽく続ける。

次は『いかれたneet』。と思いきや、また曲を中断。たしかにいかれてる。
の子がチューニングに手間取っている間、monoが「ノベンバーズのファンの人」と手を上げるように促すと、目の前の女の子たちが手を上げる。「なんだよこのやろー、どうせあれだろ、なんだよこのアゴ、キーボード弾きやがってって感じなんだろ?」と最大級の卑屈を述べる。ちばぎんが弁解してくれる。「すいません、(monoは)心の中では"うわ…かわいい"って思ってますから」とちばぎんがフォローし、みさこが「気をつけて、前の女の子たち」と注意を促す。「いや思ってますよ思ってます…ノベンバーズはいいなあ…」とmonoが白状。なんともライブ中は思えない、まったりとした会話が続く。
こうして『いかれたneet』が再開。この日、一番ばっちりな演奏だったように思う。
僕の出番のときにプレッシャーの固まりでもあった最前列のJKが、神聖かまってちゃんのライブを真剣な表情で観ている姿がビデオカメラの映りこみ、なんだかキュンとなった。曲が終わり、の子がマイクを通さずに「どうだった?」と観客に聞いた途端に笑顔になって拍手するJK。物凄くイイ子じゃないか。平成生まれ、ありがとう!

monoが3月10日に発売される1stミニアルバム『友だちを殺してまで。』を「ひどいタイトルだけど」と宣伝する。の子が「あれは、『ロックンロール~』と『ぺんてる』と『ちりとり』が良い」と付け加える。他の曲は?
この時点で、後ろでイベンターの江戸原さんが劒マネージャーに「申し訳ないですけど、あと何曲やりますか?」と尋ねる声が。すでにだいぶ時間が過ぎているようだ。
『自分らしく』の演奏へ。
monoがパーカッションからキーボードに移行する瞬間が気持ちいい。昨年9月から神聖かまってちゃんのステージレイアウトは、monoのキーボードがトライアングルの形を作り、無駄にかっこいいのだ。無駄とか言ったら失礼か。

「この中で僕らのこと知ってる人、手上げて」との子が言い、お客さん何人かが手をあげる。結構いる。この日、こういうやり取りはこれで3回目くらい。「こんなにいるのになんだよおめーらよー!!」との子がキレる。「さびしかったみたいでーす」とちばぎんがなだめる。
「いやいやいや、まあこれが僕らの力量なんですけどね。こんだけいて、僕らのこんな無様な姿見てドン引きしてるわけですね。ナンダコリャー!って。2度と観ねーよ!ってね」との子が卑屈に言い始めると、monoが「なんでお前悲観的なんだよ!」と返す。「いいじゃん。2ちゃんで書かれてんだから。実際ここでボカーンって殴ってこられたほうがいいじゃん」と悪態をつく。

最後の曲は『夕方のピアノ』
の子、ちばぎん、みさこの3人で「死ねーーー!!!」と叫ぶ。いつの間に3人コーラスになったんだろう。今まではの子とちばぎんだけが叫んでいたが、より一層迫力を増していた。

しかし、演奏が終わる頃にちょっとした事件が。
みさこが叩いているドラムセット(新代田FEVERのもの)をの子が蹴り始める。蹴る。蹴る。何度も蹴る。ライブが終わる。蹴る。まだ蹴る。ドラムセットが崩れつつある。劒マネージャーが咄嗟にの子の服を後ろから引っ張って制止する。
その後、ステージ上で悠々と笑い、客席に挨拶するの子。時間が限界の状態だ。すると客席後方にいたはずのPAさんが急にステージ脇に突撃。ステージにいるの子の後ろ髪を思いっきり引っ張り、ステージ脇に引きずり込む。
今にもバイオレンスなことが起きそうなステージ脇。PAさんを劒マネージャーやイベンターの江戸原くんらが制止する。「あんたたちは全く悪くない。でも俺はこいつだけは許さねえ!」との子に対しての怒りをあらわにする。江戸原さんらになだめられたPAさんから離れたの子。再びステージに戻り、「こんなとこ2度と出ねえし~」とますます悪態をついていた。

これは難しい状況だ。ライブは生き物であるし、の子はの子そのものを表現しているため、機材を蹴ったりお客さんに悪態をつくことで腹が立つ人もいるかも知れない。だけど、暴力はいけない。PAさんの気持ちは完全に正しいが、ちょっと心臓に悪い光景だった。

その後、神聖かまってちゃん後の楽屋は重苦しい空気が流れていた。無言だ。それに耐えきれず、僕はすぐにファンタオレンジという自販機の中で一番可愛い飲み物をチョイス、THE NOVEMBERSのライブを覗く。
盛り上がるフロア。THE NOVEMBERSは有名なだけあって、さすがの空気作り。

ライブハウスのロビーで色んな方に挨拶をする。ライターの九龍ジョーさんに音楽ニュースサイト・ナタリーの社長のタクヤさんを紹介してもらう。SPOTTED PRODUCTIONSの直井さんや、神聖かまってちゃんのファンの方などと話す。とりあえず、楽屋より居心地が良かった。
荷物を取るために楽屋に戻ると、の子さんが憔悴しきった表情で「88万円の請求っすわ…」と呟く。え?と思いきや、突っ込むのも恐いのでなぜかスルーしてしまって「でも明後日、またライブがんばってくださいよ」と無責任なことを言ってしまった。彼は再度、「でも88万円っすわ…」と落ち込む。本当?ドラムセット代?どういうこと?真相は掴めないまま、「88万円っすわ」という言葉が脳内をエコーし、イベントが終了する。

ライブハウスの中で打ち上げが始まる。
神聖かまってちゃんはいつも通り、参加しない。THE NOVEMBERS、昆虫キッズ、竹内、イベンターの方々だけで「じゃ、乾杯しましょう」とグラスを手に持った瞬間、の子さんがPAさんと店長さんに謝りに来た。ところがPAさんを"メガネをかけている"という共通点だけで他の人に間違えて謝り始めた。昆虫キッズのマネージャー・熊谷くんに謝り始めたのだ。一番関係ない。動揺するライブハウス内。笑ってはいけないけど、かなり笑いそうになる光景だった。だけど、彼は本気だったのだ。

昆虫キッズの高橋くんに「よかったら僕らのライブも撮ってくださいよ」と言われる。のもとさんが隣で「その携帯かわいいですね」と言ってくる。人のこと言えるかちくしょう…あなたこそかわいいですよ…。
帰り道は、疲労感が物凄い劒マネージャーと下北沢駅まで一緒に。

神聖かまってちゃんのライブは色々あったけど、全編通すと良いイベントだった。自分が出演したところも、反応が良くて嬉しかった。いいお客さんが来るイベントは、いいイベントなのだ。思えば、「神聖かまってちゃんは何と共演したら面白い?」とイベンターの成川くんと江戸原くんと話をし、江戸原くんのお友達であるTHE NOVEMBERSの名前が出て、このイベントが企画されたわけだ。
この日、神聖かまってちゃんのファンの方々と終演後色々話したけど、皆さんは残念がっていた。やはり、お客さんが多い上に注目度が高いイベントである分、「ぶちかましたれ!」という気持ちはファンもみんな一緒。それでも、後で初見の人に話を聞くと「衝撃でした」「おもしろかった」「え?今日のダメな感じだったの?」と意外な反応があった。よく分からないものです。でも、前のほうにいたTHE NOVEMBERSのファンと見られる人が「なにこれ、ヒドい!」と神聖かまってちゃん終了直後にイライラしていたそうな。

人の感想は色々だ。この日はメンバー同士のフォローが目立った。ちばぎんはmonoくんに冷たくあしらっているように見えて、monoくんを面白いキャラクターに見せようとしている。みさこさんのビンタは、ライブのMCを面白くしようと頑張っていたように思える。の子さんも、彼なりにテンションの沈みをなんとかパフォーマンスに消化しようとしていたように見えた。
だからこそ、この日のライブは正直残念な点が多かった。今後に響かないことを祈るばかりです。

2010年1月22日 新代田FEVER
〈セットリスト〉
1、芋虫さん
2、笛吹き花ちゃん
3、いかれたNeet
4、自分らしく
5、夕方のピアノ