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2010年8月8日日曜日

太平洋不知火楽団@SUMMER SONIC'10

太平洋不知火楽団がSUMMER SONIC'10の一般公募枠『出れんの!?サマソニ!?』に出演が決定しました。

とはいえ、実は彼らのライブを一度も観たことがない。霊能者パフォーマンスで新宿Motionにて共演したとき、ステージ脇通路でスタンバイ中に音だけは聴いていた。最後の曲が何度も盛り上がり、自分の出演を不安にさせてくれた。結果、太平洋不知火楽団で温まった客席フロアは霊能者中の温まっており、彼らのライブのおかげで霊能者パフォーマンスも盛り上げられたのかも知れない。
やがてベース・大内貴博氏があらかじめ僕のことを知ってくれており、関西に住んでいた頃に制作した大阪のバンド・チッツのライブDVDを購入していたと知る。チッツの大ファンらしい。『レディオヘッド死ね!』『レディオヘッドはよ死ね!』の2枚を観ていたなんて、知り合い以上に知り合いな気分だ。
そんな大内氏に、「昨年の神聖かまってちゃんに引き続き、太平洋不知火楽団のサマソニ出演も撮影してくれないか」とお願いされ、いざ、幕張へ。

『出れんの!?サマソニ!?』のブースは昨年に引き続き、千葉マリンスタジアムのど真ん前に位置していた。最も小さな会場と、最も大きな会場が対峙している図。インディーズバンドの野心を芽生えさせるような光景だ。
この日、スティービー・ワンダーなどの大物が出演する会場の目の前で、太平洋不知火楽団がぶちかました。

セッティングが終わり、リハーサルがてらに「世界の名曲から、ニール・ヤングさんの『Hey Hey My My』」と言い、 メンバー3人で『Hey Hey My My』を演奏。どうやら毎回ライブ前に音合わせ・確認のつもりで演奏しているらしい。
「どうすかね?ギター大きい?小さい?」
 ボーカル・ギターの笹口聡吾は観客に尋ねる。『Fade』と書かれたTシャツに、メガネ。どこにでもいそうな風貌をしている。
一度ステージ脇に引っ込み、登場SE『柳川下り』 と共にメンバーが登場。大内はピョンと飛び跳ねるように現れ、笹口は麦わら帽子を投げ、ドラムの津金リョータは普通に歩いてくる。待ってましたといわんばかりの歓声の中、太平洋不知火楽団のライブがスタートする。
昼下がり、少し雲がかかった空の下で。

「どうもこんにちわー。サマーソニック…サマーソニック…夏といえば花火ですね。花火の曲を…いぇーー!サマーソニック!!」

穏やかな口調から、いきなり煽動スタイルの叫びを笹口が。「皆さんでカウントダウンお願いします。5、4、3、2、1…」と観客と共にカウントして、津金のドラムがダンッダンッダンッと新たなカウントを始めるように『不知火花火』の演奏へ入る。大内がベースを頭上に掲げ、笹口の熱く燃え滾るようなギターが鳴る。 そして曲の途中で笹口が語る。

「サマーソニックといえばですね、2003年のレディオヘッドの凄いライブ観て感化されてきたんですけど、そのとき僕、全曲熱唱して、隣にいた女の人にすごい煙たがれたのを覚えています。あそこ(マリンスタジアム)でやっていたので、あそこに近づけてちょっと嬉しい」

再び演奏に戻り、音がマリンスタジアムに乗り込んでいくように笹口がギターを掻き鳴らし、大内がぶんぶん首を振り回し、津金がマシンガンのようにドラムを撃ち鳴らす。

「時間が短いんで3曲くらいしかできないんですけど、あと1時間くらいやりたいですー。はははは」

照れ笑いの中で本性をさりげなく見せる笹口のMC。恐らく普段はライブハウスで彼らのライブを観ている人たちが、客席で温かく見守るかのように歓声を上げる。大空の下で白い景色の中に埋もれ、真っ暗闇の地下とはまた違う姿に違いない。

「僕たちあのー、色々頑張ってるんですけど。いまだに何も、ない。誰か見つけて…そういう歌を。あと2曲、頑張って帰ってください」

恐らく「頑張ってやるんで、観て帰ってください」が省略されて「頑張って帰ってください」になってしまっていた。照れ笑いしながらギターを鳴らし、『たとえば僕が売れたら』が始まる。
地震が来ることもなく、台風は通り過ぎ、津波が起きるはずがなく、戦争も始まらない。それくらいの「たとえば」「もしも」の話として、"売れる"ことが奇跡のように、夢のように歌われている。終盤のギターソロ直前、「たとえばー僕がー売れたらー」と大合唱になる瞬間の興奮。マリンスタジアムに届いていたに違いない。
そして演奏はそのまま続き、津金がドラムを鳴らし続ける中で大内がベースをありえない高さまで掲げ、笹口が叫ぶ。

「通りがかりの人よー!立ち止まれー!聴いてけよ、おい。マリンスタジアムに行っても、なんかあの、スティービー・ワンダーしかいないよ」

最後は『Dancing Hell』。変身ポーズのような格好で大内がパワーを溜め、爆発するように動きまくる。笹口は歌詞のほとんどを叫んでいた。
初めて彼らのライブを観ながら撮影した。ライブのテンションに圧倒される。3人、誰をずっと見ていてもそれが伝わる。「ここでぶちかます!」という気合いが見えていた。『出れんの!?サマソニ!?』は意外にそれほど大きくはない舞台ではあるが、まるで何千人の目の前で見せるようなライブだった。

その証拠に、最後のパフォーマンス。
大内がベースを観客に預け、マリンスタジアムに目がけて猛ダッシュ。一瞬、行方不明になったと思いきや、マリンスタジアム2階の塀までよじ登っていた。塀の上に立ち、ポーズを決める大内。それを笑いながら叩いている津金。
「落ちないでね!落ちないでね!」
笹口が遠くに行ってしまった大内に呼びかける。やがて大内は塀から降りて姿を消し、津金がドラムを叩きまくる中、笹口がギターを頭上に掲げながらステージから客席へ突進する。
これにて終了。たった20分間で、その存在を叩きつけるパフォーマンスを披露した。大のヒーロー好きで知られる大内はこの日、ヒーローにしか見えなかった。変身し、パワーを身につけた。大内タカヒーローだったのだ。

後に話を伺うと、太平洋不知火楽団は運営側にこっぴどく注意され、激怒されたらしい。安全面ではその通りなのかも知れないが、いち観客としてはロックを提供するはずのロックフェスで、ロックが規制されている気がした。禁じられたものを打ち破ることがロックなのか、定義は人それぞれだけど、この日の太平洋不知火楽団は間違いなくロックだった。

なぜなら、あまりにも満足し、映像を早くアップロードしたいがために他のバンドのライブを観ずにサマーソニックをあとにしたくらいだ。PIXIESとか、この日はどうでもよかった。

太平洋不知火楽団【不知火花火】2010/8/8 SUMMER SONIC'10

【たとえば僕が売れたら】

【Dancing Hell】

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