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2010年12月24日金曜日

芯・レッド・ライン




僕の家のトイレのトイレットペーパーの芯の数が深刻化していた。

足場が脅かされ、用を足すたびに緊張感を余儀なくされた。来客のたびにトイレから悲鳴が聞こえた。
「わっ!」「うおっ!」「えっ!」「てか和式なんすね!」
芯の数は150本近く。排泄行為のたびに過去の排泄の思い出が目の前に広がっている。言うなればBIOGRAPHYだ。かつてTPS78(トイレットペーパーの芯78本)などと記述していたが、いまや不可能に近い。この本数は劇団四季としか思えない。
人恋しいときは1本ずつマジックで名前を書いたりもした。「YOSHIKI」「KONISHIKI」「MAKIDAI」「ガンダム」。どれもしっくり来 なかった。芯を並べて文字を作ったりもした。「人生」「勇気」「希望」「要潤」。そこにメッセージ性は生まれなかった。
そもそも、なぜこれほどまで芯を放置していたのか。

その理由を思い出した。





『毎度ありがとうございます』

このようなことが書かれていたからだ。
芯はくるくる回りながらずっとこんなことを思っていたのだ。感動した。逆に、我々は回しながら何を思っていただろうか。「今日はよく出た」「拭こう」としか思っていなかったのではないだろうか。
芯との出会いは近所のスーパーの生活用品コーナー。16本で特売だった。安かった。中田ヤスカッタ。たとえお求めやすい値段でも、芯は感謝の気持ちを忘れていなかった。
もっと芯と向き合えば良かった。
そんな気持ちが、僕に芯を捨てさせなかった。「芯のために、そして自分自身のために、何か出来ることはないだろうか」と、今後の人生のために真剣に考えた。

そして、思い立った。





芯でイスを作った。

非常に実用的である。生活用品と化した芯も、きっと喜んでいるに違いない。これでもう2度と「わっ!」「うおっ!」「ええっ!」「てか和式なんすね!」などと叫ばれることもなく、
「疲れたんで、ちょっと座ってもいいですかね」
そんな心温まる会話の中心に芯が存在し、「毎度ありがとうございます」の本来の意味を取り戻すことができる。
イスを作り上げた深夜2時頃、僕はたくさん汗をかいた。
「疲れたんで、ちょっと座ろうかな」

そっとトイレットペーパーの芯に腰掛けた。





潰れた。





捨てるわ。

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