2010年5月13日木曜日

神聖かまってちゃん@原宿アストロホール

神聖かまってちゃん、原宿アストロホールにて七尾旅人とのツーマンライブ。

撮影をやめたばかりだというのに、ビデオカメラを持って会場に行こうとしている。だけどこの日、高円寺に関西のバンド・チッツのライブを撮影しに行くので、神聖かまってちゃんのライブはもともと観ることも撮ることもできない。
なので、これはライブレポートではないのです。
Daredevilのスエタカさんが「の子くんが女装するから楽屋見に来なよー」と呼びかけてくれた。女装て。なんだそれ。突然すぎて呑み込めなかったが、『自分らしく』で歌われている「男の子になった 女の子になった」を実践するということなのだろうか。あの曲ではちばぎんが「アーハンアーハン」とコーラスをするが、アハーンな感じになるということなのか。
考えてみれば神聖かまってちゃんの楽屋ってあまりおジャマしたことがない。断る理由もないので、高円寺に向かう前に原宿におじゃました。

の子さんの女装とは一体どういうものか。アゴの輪郭がソリッドなため、似合うんじゃないかと思った。イメージとしては『PS』とかに載りそうなガーリーなビジュアル。
若干の期待も抱えながら楽屋の扉を開けた。


麗しかった。

なんだろう。意外に麗しかった。ガーリーとは程遠い、妖艶な印象だ。メイクをされているの子さんはずっと目を瞑り、開けると周囲を気にせず鏡の中の自分自身を見つめていた。の子が男の子から女の子へ。韻を踏んでいるような光景が目の前に広がり、出オチ感はもう過ぎ去ったのか、楽屋にいるスタッフやメンバーはみんな"日常の光景"として、別段関心を持つ様子はなかった。
みさこさんはカメラマンの佐藤さんにキリッとした表情で写真を撮ってもらっており、monoくんはヒマそうに携帯をいじっている。そしてちばぎんは洗面台でずっと眠っている。どうして洗面台なのか。みんな手が洗えないじゃないか。
とりあえず、ロックバンドの楽屋とは思えない風景があった。

楽屋ではなぜかずっと麗しげな音楽が流れており、の子さんの女装を盛り上がらせていた。鏡に映る、その落ち着いた貫禄のある風貌には女優を感じた。鏡に映る僕を見て、「あんた新人?」とまで言いそうな佇まいだ。これからライブをやるボーカルというよりも、舞台に出る役者の雰囲気をみせていた。だけど、の子さんにとってのライブというのは、そのどちらでもあるのかも知れない。
「このカメラ小僧!」とカメラ目線になり、まばたきを始めた。どうやら涙を流そうとしたらしい。「出なかった…」と呟いた。
時間が経つにつれてますます女らしくなっていくの子さん。みさこさんがそれをボーッと眺めていた。
楽屋に入って約1時間。いまだちばぎんは微動だにしない。死んでるんじゃないかと思えるくらい熟睡しており、みさこさんが後ろから浣腸のような手をして近づくが、そのままぶっ刺せるくらい油断している姿だった。

しばらくすると、andymoriのボーカル・小山田壮平さんが楽屋に遊びに来る。首にヘッドホンをかけており、音楽大好きな好青年。それと女装しているの子。この構図が見事だ。小山田さんは「あ、変身中なんだ」と穏やかな感想を。
楽屋の外に出るとmonoくんがまだ携帯をいじっていた。「ね、今まで撮影しに来てくれたのにね、撮影やめるっていう」と皮肉を言ってくる。それでもmonoくんを撮っていると、いきなりローアングルを撮らせる姿勢になる。「アゴ長いアピールです」と、やっぱりサービス精神旺盛だ。そこに小山田さんが来て、カバンに付けてあるmonoくんバッジを見せびらかしてくる。僕が描いたmonoくんイラストのバッジを、なぜか2個もつけていた。「お守り」と言っていた。何から守ってくれるのか。

ライブが観れないので、monoくんに今日やることを話で聞く。
mono「今日僕、踊ります。『黒いたまご』で」
竹内「えっ、演奏は?」
mono「『黒いたまご』は一切しないっす。却下らしいっす」
この日は1曲目から『23才の夏休み』で、みさこさんがコーラスをやるとのこと。それは珍しい。セットリストの紙を見せてもらうと、ますますライブが観たくなる。高円寺、どうしようかな。なんて思ったりもする。

の子さんの女装に、劔マネージャーが「下睫毛、すごいですね」と反応する。スエタカさんが「劒くんも松山ケンイチに似てるよ」と言うと、「たまーに言われるんですけど、それを聞いてイラッとする人もいるんです」と返す。ほかには温水洋一、堺正章に似ていると言われたことがあるようだ。
の子さんの下睫毛に驚き、劒マネージャーが鏡の中の自分を見ながら「僕、下睫毛3本くらいしかないです!」と言うと、の子さんが爆笑。
「3本とまでは言わないけど…5本くらいですね!」

やがて、の子さんがついにカツラを装着した。の子さんがますます震わしい雰囲気のまま尋ねてくる。

「どうなんですかね。竹内さん判定は?」



「ちょっと襟足が長いっすね…」

言葉を濁し、原宿をあとにしました。ちばぎんは結局、最初から最後まで寝ていた。あとで誰かのライブレポートを読むと、ちゃんと生きてたようでホッとした。

2010年5月13日 原宿アストロホール
〈セットリスト〉(monoメモセットリストより)
1、23才の夏休み
2、黒いたまご
3、美ちなる方へ
4、ロックンロールは鳴り止まないっ
5、芋虫さん
6、いかれたNeet
(詳細は不明)

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