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2010年4月16日金曜日

神聖かまってちゃん@下北沢屋根裏


神聖かまってちゃん、史上初のワンマンライブ。ゆかりの地であり、思い出の場所でもある下北沢屋根裏にて。

昨年3月、の子さんがおしっこを撒き散らしながら行なったライブも店長さんが「最高だったよ!」とステージ上のおしっこを拭きながら褒めてくれたこともある。配信に気を取られたり、めちゃくちゃなライブをやってもずっと応援してくれていたのが下北沢屋根裏。彼らを最も初期から知り、その魅力に気づいていた場所だ。
この日、音声録音のためにICレコーダーを置く場所をPAさんに頼むと、快く協力してくれた。さすが、やはり最高です。下北沢屋根裏。

小雨が降っていた。仕事の後、傘をさして歩いて下北沢の会場へ。カメラマンの方々はすでに場所を確保しており、この日は何台もカメラがあった。『の子さんドキュメンタリー』の丹羽貴幸さんが「あそこ空いてますよ」と教えてくれたのが、ちばぎん側のステージ端。いつも撮っている場所だ。そこを配慮して空けてくれたのか定かではないけど、ありがたかったです。
神聖かまってちゃんはリハーサル中だった。時間は開場ぎりぎり。この日本番では結局演奏しなかった『夜空の虫とどこまでも』を演奏していた。そして気づいた。「あれ、みさこさんが可愛い?」と。Daredevilのスエタカさんにスタイリングされたらしいこの日のみさこさんは、少しいつもと違う雰囲気になっていた。

荷物を楽屋に預け、いざ位置に。開場が始まり、客席が次第に埋まっていく。どうやらこの日、キャパを遥かに超えた200人を強引に収容するらしい。埋まっても埋まっても、後ろからお客さんが。
「ごめんなさい!前に詰めてください!」
劒マネージャーやスタッフの方々が何度も叫ぶ。しかし、前に詰める場所がない。どよめく客席。ステージから見ていると、次第に地獄絵図になっていく。ステージ上の端っこではその重圧がないため、丹羽さんには本当に良い場所を教えてもらいました。
完全にキツキツの状態の下北沢屋根裏。まだ冬の寒さが残る4月中旬、世田谷区のワンスペースは、日本、いや世界で最も暑くて熱い場所となったかも知れない。

客電が消え、いつもの登場SE『夢のENDはいつも目覚まし!』が流れる。下北沢屋根裏のステージには通路がなく、出演者は客席から来なければならない。カメラを客席後方に向けると、monoの顔だけがニュッと出ている。やはり、その存在感は計り知れない。
monoくんが歩くたびに人の波が動いていく。頭上にはノートパソコンが掲げられ、人の波を歩いてくるメンバー。途中握手を求められたり、名前を呼ばれたり。お客さんと距離が近い。というより、もはや肌と肌がぶつかり合っている。

の子がいち早くステージに到達する。「みなさんごめんね」と笑顔で謝る。人の波に埋もれ、へろへろになりながらメンバー全員がようやくステージに到着。

「いやいやいや。配信はどこやった?配信画面、切れてんじゃないの?ね、今日ちばぎんね、今日は下北屋根裏が狭すぎて、プロジェクターとかが置けなかったんだわ。ほんとごめんね。みんなにもレスとか見せて、言いたいことを見せられたらと思ってたんですけども…」

お客さんがあまりの人の重圧に、悲鳴にも似た歓声を上げている。明らかに異常な光景の中、特に気にも留めずにマイペースに配信のことを謝罪しているの子。

みさこ「大丈夫ですかお客さん!」
お客さん「大丈夫ーー!」
みさこ「手前の女の子が潰れそうになってる…!」
ちばぎん「めっちゃかわいそうなことになってる…」
の子「まあまあとりあえず。配信続いてんの?」

劔マネージャーが「みなさん、一歩ずつ下がってくださいー!」と観客にお願いをする。先ほどまでの「前のほうに詰めてください」が、「下がってください」。無理もない。というか、どうしようもない。最前列のお客さんはステージに上がり込むしかない姿勢になっており、いつかのフジロックのイギー・ポップのライブのようになるのか。
「いやいやいや!なんてったって、観客は前回1人とか2人、今やそれがこんなてんやわんや。皆さん本当にありがとうございますほんとに」
劔マネージャーが一生懸命、ケガ人を出さないように仕事をしている傍で、ステージではの子が自分らしくいつも通りやっている様が印象的だった。

ちばぎん「てかねー、これどう考えても人入れすぎでしょ!ホットスタッフ!しっかりしろよ!」
の子「お前が言えたことじゃねーだろ!ホットスタッフの人は頑張ってんだ!」
ちばぎん「はいそうですねすみません!」
の子「昨日のライブで喉がガラガラになっちゃった。ガラガラ蛇がやってくるー♪お腹を空かせてやってくるー♪」

突然、なぜかとんねるずの『ガラガラヘビがやってくる』を歌い出し、臨機応変にみさこのドラムとちばぎんのベースが対応。初めてのワンマンの1曲目が、まさかのとんねるず。

いまだ、客席は過酷な状況。それでも「そういやちばぎん。パソコンはどこにある?」との子はマイペース。ちばぎんが「あなたの真後ろにあります」と言うと、「ここではまずいんじゃないかい。ミスターK」と、なぜか竹内のほうを見て言い出す。ミスターK?

mono「ミスターK?じゃなくて、ミスターTだ!」
の子「あ、そうだTだ。2ちゃんねるで有名なミスターT」
みさこ「どうせネットでも顔出ちゃってるから映しちゃっていいんじゃないですか」
mono「ミスターT!T!!あんたしかいねーんだよ!!」

なぜか竹内がノートパソコンをmonoから受け持ち、配信映像を担当することになる。ビデオカメラをちばぎんのアンプの上に置いた。ところで、「ミスターK」の「K」とは何だったのか。配信画面には「竹内」というコメントが嵐のように流れていく。よく分からないけど、勝手に感動した。ただノートパソコンを持つだけなのに。

の子「昨日もたくさん曲やって、ほんとバテてバテて、家帰って猫とずっとこうやってて、ほんとに猫に…。俺ほんと家で猫とこうやって…一睡もできなかった。昨日がワンマンならよかったのに」
mono「しょうがない、そろそろ曲やろうか!」
ちばぎん「ということで神聖かまってちゃんです!みなさん、よろしくお願いします!!」

デーーーーン!!!といつも通り、ちばぎんのベースとみさこのドラムが会場全体を揺らす。詰め詰めの客席からは大きな歓声が上がり、たくさんの手が上がる。

いや、ちょっと待ってくれ。ニコニコ生放送の画面、なんか止まってるぞ。それに「音がうるさすぎ」とコメントが流れている。配信やってことないから分かんない。ちょっと待ってください。一人で焦りつつ、近くにいるちばぎんに助けを求める。直してもらう。これはもはや、ベース&配信担当のちばぎんだ。頼りがいのある男だ。
「いやもうほんと、俺今日疲れてて…」との子が続けるが、ちばぎんが「そういう話は後にしましょう!」と進行させようとする。

「いや、そういうリアルも伝えていかないと。"の子落ちぶれたな"なんて言われると思いますけど。まあいつかはそうなると思いますけど。けど、今だけだ!ワンマンだからこそ、今だけだ!今が盛り上がればいいんだ!これから繋げていきましょう!いくぜ!『ゆーれいみマン』!!」

ダダッダッダッダダ!「うーっ、ゆれい!!」と始まり、初のワンマンライブが幕を開ける。

ちばぎんのベースアンプの上にビデオカメラを置いたのがまずかったのか、振動でビデオカメラが落下していた。後で映像を確認すると、「ゆれい!!」の直後にカメラアングルが床に急降下。その後はドラムセットの下に置いてあるペットボトルを映していた。壊れてなかった。
ペットボトルの水面は揺れていた。その振動が、このライブの激しさを静かに物語っていた。カメラの落下と、そしてペットボトル。ひょっとすると今までで一番、臨場感溢れるライブが撮れたのかも知れない。
配信画面には「竹内、お前はビデオカメラに専念しろ」などというコメントが。たしかに、この配信映像は音が割れまくっているみたいだし、カメラのズームも使えない。記念すべきワンマンライブを撮影するにあたっては、ビデオカメラのほうがいいのかも知れない。
ちばぎんにノートパソコンを預け、ビデオカメラを持ち直す。

の子「前のほうの人、大丈夫ですか?」
お客さん「ダイブするってレベルじゃねーぞ!!」
の子「えっ?ダイブするってレベルじゃねえ?当たり前だ、PS3買えるってレベルじゃねーぞー!!」

少し意味の分からない返しだが、客席からは「うえーーい!!」と歓声が。そしての子が親指を立てて、満面の笑み。この重圧と熱気に包まれた空間では、もはや何もかもが異常。

みさこ「皆さん、息できてますかー?!」
男性のお客さん「酸素たりねーー!!」
女性のお客さん「酸素ありますよー」
最前列の客の1人が酸素ボンベを持参しており、上に掲げる。笑いが起こり、和む客席。
みさこ「酸素持ってる人がいる!」
の子「酸素…?酸素って何だ?」

そしてギターの弦が切れていることに気づく。ちばぎんが「張り替えたら?時間長いし」と提案。の子と劒マネージャーがギターの交換をしている間、monoとみさことちばぎんが一瞬だけバンドを結成。3ピースの演奏で、何かの楽曲をカバーしていた。ニルヴァーナ?
予備のピンク色のギターに持ち替えたの子。「前のほうの人、大丈夫?下北屋根裏でワンマンとか、アホだよな!!」と言い、笑いを誘う。

次は『天使じゃ地上じゃちっそく死』
まさにちっそく死しそうな状況のライブハウスなのでタイムリーだ。ステージでさえ酸素が足りなくて、身体が自然に空気を取り入れようと、退屈でも何でもないのに無意識にあくびが出る。身体が言うことをきかない。こんなの初めてだ。「死にたいな」というより「死にそうな」空間。ちばぎんがベースを弾きながらクイッとメガネをかけ直す瞬間、汗でメガネがずれ落ちるほどの暑さを物語っていた。
「皆さんも死にたいって思ったりするときがあると思うんですけど、僕も今そんな気持ちなんですけど、そんな曲です」
の子、歌い終わる頃に解説。「それ何?曲終わった後に言うことなの?」と即座につっこむちばぎん。

の子「屋根裏さんでは普段やってない曲をやっていきたいです。ほんと久しぶりなんで。ね、今までたくさんお金をペイミーペイミー。5万とか、返しやがれこのやろー!!…って嘘ですよ。ほんとお世話になりました」
ちばぎん「ね、ほんとお世話になったよね。ステージでおしっこしたもんね」
の子「してねぇよ…し、してねぇよ!そんなことはよ!(最前列の客に)してないよね、そんなことは」
mono「いやー僕はそのとき真横にいたけど、したかなー。わかんねーなー。したような気がするんだけどなー…した後、配信で謝った気がするんだけどなー…」
の子「まあいいや。今日はどんどん曲をやっていきましょうー」
みさこ「ドラムはいつでもOKですよ!」
mono「よし!ドンとこい!ドンとこい超常現象!」
みさこ「何て?」
mono「うるせーバカクソ!!」
の子「mono君、いつもそうやってごまかすんだよな」
ちばぎん「うるせーバカクソ、で」
の子「そんなんで仁義が通るのかと思ってんのかよ!!」
mono「お前ね、たけし映画観すぎなんだよ。『アウトレイジ』一緒に観に行こうぜ」
の子「『その男、凶暴につき』は観たけど」
mono「それってあれだろ?子ども叩くやつだろ?(パンチするジェスチャー)」
の子「それ、くにお君じゃん」
mono「くにお君はこれじゃん(パンチするジェスチャーで、ちばぎんに確認する)」
ちばぎん「…こっち見んな」

いつもの調子のMC。客席が詰め詰めの会場でも、特別感のない神聖かまってちゃんのライブが続いている。
monoがキーボードの近くに置いてあるノートパソコンに向かって話しかける。

mono「配信大丈夫かなー!映ってるかー!」
の子「パソコンはまた『学校に行きたくない』のときに手に持つんで」
mono「で、またお前あれだろ?壊すんだろ?」
の子「しねーよ!!どんだけだよ、俺、どんだけニュージェネレーションなんだよ!その、新しい時代の申し子だよ!どんだけパソコン買ってんだよ!」

ニュージェネレーションとは、思いがけない単語。そして『笛吹き花ちゃん』へ。monoが「押してくれー!」と機材のボタン押しをの子に頼む。の子に「お前の仕事だろーー!!」とつっこまながら演奏へ。
中盤では歌詞を変えていた。
「春夏秋冬、秋冬!秋冬!秋冬!秋冬!秋が続くぜ秋が続くぜ秋が続く!そう!花ちゃんには春が来ないのさーー!!」
の子のアドリブの歌詞にはいちいち鳥肌が立つ。この後半の盛り上がり方は貴重だ。恐らくこの日でしか聴けないものがあった。昨年5月、ここ下北沢屋根裏で聴いたこの曲とは比べ物にならないほどのクオリティと勢い。そして客席の状態。
演奏後、スタッフから「前の人、下がってくださいー!」の指示。ちばぎんが「もう前の人、完全に(ステージに)座ってるからね」と。たしかに、客席に収まりきらずにステージに上がり、座り込んで観ている。

配信のコメントを読むの子。「ちばぎん先生ちょっと!"ノイズ直してください"って来てるんだよ!」と助けを求める。「無理だよ…」と答えるちばぎん。の子がマイクを使わずに喋るので、monoが客に気を遣ってマイクフォローしながらのMC。

ちばぎん「劒さん、今日何人入ってるんですか?」
劒「…200人」
ちばぎん「200人?200人入るキャパじゃないでしょうどう考えても!」
みさこ「前は30人いても"今日はいっぱいだねー"って言ってたのに!」

monoがパーカッションをリズミカルに叩き、『自分らしく』へ。「そう、ポンポコ!!」との子が指示。「そうだよ、自分らしくだよ。自分らしく生きてなきゃ、どーすんだよ!」とmonoが煽り、このまま演奏に入ればかっこいいものの、虚しいくらいにの子のギターの音が出ず。
「なんで音出ないの?…あれ?出るじゃん」
ということで仕切り直し。「この憂鬱なときに出来た曲を、あなたの感性に叩き込めればいいと思っています!」と言い、歌に入る。
みさこが楽しそうに頭を振りながら笑顔で叩いていた。最後、の子が興奮のあまり、曲を終わろうとしない。、「男でも女になりたいとかそういうのがあるだろ!」と訴えかけ、まだギターを掻き鳴らし、「歌いたいのでーす」とずっと続ける。

の子が配信のコメントを読んでいる間、monoが「酸素ボンベ要る人ー?」と客席に呼びかける。状況が状況なので、みんなが助け合いの精神がライブハウス内で生まれている。妙な一体感がある。一緒に戦争や大災害を体験しているかのようだ。
しかし、こんな状況でもの子は配信を尊重している。もはや配信へのこだわりは、狂気にも似た執念だ。
そんな中、monoが「あの…タバコ吸っていいすか?」と客席に問いかける。「ふざけんなー!!」という答えに、「なんだよ!喫煙者だったら分かるだろ!」と反論。ちばぎんが「みんなだって吸いたいんだよ!」と的確な意見を。

「"見捨てないで"?なんだよ、見捨てねーよ…これがスクリーンで流せたらよかったんだけどなー」
の子が配信中のノートパソコンを持ちながら、『学校に行きたくない』へ。
monoがドラムスティックでシンバルをバシバシ叩いている。ふらふらと踊ったり、叩いたり。子どものようだ。そしての子がパソコンを持ったまま客席へダイブする。詰め詰めの客席が、ますますカオス状態に。ステージ前方が荒れまくり、の子の前髪もなぜか荒れまくり、七三分けみたいになる。

「あの、ここだけの話なんですけど。客席は冷房ついてると思うんですけど、ステージには冷房がついてないっていう。の子がリハ中に"喉が痛いから切れ"っていう。ほんと暑いんです!!」
ちばぎんから発せられた衝撃的な事実。だからステージもこれほどまで酸素がなくて、暑いのか。ビデオカメラがふやけて変形しそうなほどの熱気だ。
「え、暑いほうがいいんじゃないっすか?」
の子の思わぬ発言に、「そうだよ!暑さで、お客さんと一体感だよ!」とmonoが無理矢理合わせる。無理がある。

『通学low』へ。
「こんな曲やったことねーよ」との子が言い、monoが「ていうか俺、やることねーよ」と笑いを誘う。本当にやることがない。
monoはキーボードの周辺でスティックを振り回し、適度に暴れ、暴れすぎてメガネが落ちそうになるのをバシッと受け止め、その後は少しだけ控え目に暴れるという流れだ。
怪しい色をした照明と、の子のボーカルエフェクター使用の声で一挙にアングラ感が出る。途中からスピードが早くなるところがたまらない。
客席最前のほうに頭を埋め、「真っ黒な顔をして、笑って、いるんだ、クラスのみんながさ、クラスのみんながさぁああああ!!!」と、その声は子どものような声と悪魔ような声に行き来する。どちらも、ひょっとすると似たようなものなのかも知れない。良い意味でも、悪い意味でも。
最後は「通学ろぉおおおおーーー!!!」と叫んで終了。

の子「この曲、3回しかやったことなかったんだけどね」
みさこ「結構リアルな数字が!」
の子「ま、そんなバンドです」
みさこ「それが、かまってちゃんです」
mono「そりゃね、バンドやってたら『死にたい季節』もありますよ本当にね。僕なんか1度もないですけどね。だいたい、1日したら忘れるっていうね。メンバーの中では一番得した性格してます」
みさこ「ほんといいですねー」
mono「(の子に)お前なんかあれだろ?"monoくんはいいよなー鈍感で"とか言ってるんだろ?」
お客さん「鈍感ー!」
mono「うるせー!鈍感だよ!」
お客さん「ブサイクー!」
mono「うるせー!!」

次は『死にたい季節』。「いくよー」というみさこの合図に、「待ってー!」とmono。突然財布を取り出す。ちばぎんが「財布からピック取り出すって…て、10円玉じゃねーかそれ!」と反応。「ピックあげるよ」と優しさのちばぎんにより、曲がスタート。 
「すごいね、熱気でメガネが曇ってきたんだけど」
熱気のあまり、ステージ上にも影響が出始めたようだ。「ドラムのシンバルも曇りが凄いんですけど…」とみさこ。「ベースのネックもすべすべになってる…」とちばぎん。被害報告が次々と。

mono「ほんと今日、気をつけて帰ってね。来てくれた人、ほんとアイラブユーだわほんと」
ちばぎん「ありがとうございます!」
お客さん「ゆきやー!」
mono「おい!!」
みさこ「ゆきやー!かいどうゆきやー!!」
ちばぎん「テライケメンな名前だな…」

『美ちなる方へ』の演奏へ。「ワン、ツー、スリー、フォ!!」と元気よくみさこのカウントで始まる。ライブで聴くのは2回目。やっぱり、他の曲よりも新鮮に思う。PVを何度も見たせいか、曲の途中では何度も電車の中の風景が思い浮かぶ人も多いはずだ。
曲が終わってからも、キラキラとした音がなぜか続いていた。

みさこ「その音は何ですか!?」
mono「俺が作ったんだよ!」
みさこ「そうですね…」
ちばぎん「はい、今のは、mono君が作った音がずっと続いていて、それを止めるのをミスって、ごまかしたね」

「お前さあ、俺ら24才になってしまったけど、ちょっと23才の思い出を蘇らせてみようじゃねーか」
monoがの子に曲紹介をふる。
「え、それガチの話じゃなくて?」
「いやいや、ガチじゃなくてね…は?なんだよ?何を言うつもりだったんだ!お前ガチで言うなよな、ほんとに」
monoが突然必死になる。ちばぎんが「何を握られてんだ…?」とみんなが思っていることを代弁してくれる。すると客席から男性の声で「風俗だろぉ!?」と。

mono「あぁ!?なんつった!?」
お客さん「風俗だろぉ!?」
の子「風俗は俺だったんだこのやろぉお!!こいつは行ってないんだよ!!」
mono「俺も行きましたよ!行きましたけど…」
の子「俺が連れてったんだコノヤローー!!!」
かばい合う二人。これが24才のリアルな姿だ。

「まあ、風俗もロックンロールですよ」
の子が無理矢理絡めて曲紹介し、『ロックンロールは鳴り止まないっ』へ。先ほど、monoが明らかに『23才の夏休み』に繋げるMCをしたはずなんだけど。
「MD聴いたときの、90年代のあの気持ちが、蘇ってくるんだよおおっ!!!」
の子が叫んで終わる。この部分はアドリブで変えられて叫ばれるので、毎度の楽しみになってしまう。

その後は『いかれたNeet』へ。
monoが酸素ボンベを吸いながらお茶目な弾き方をしている。みさこの後ろ、下北沢屋根裏のステージ後方の壁に花の形をしたライトが照らし出される。終盤のちばぎんの「とぉおお、おおおおー!!」のコーラスが気持ちいい。
最後はの子がギターのネックを持ち、ボディを上にしてヒョコヒョコと踊る。「ニートの曲でしたー。僕もいつかまたニートになりますけど」と締める。

「あのー、ニコニコ動画とかにライブ映像をアップしてくださる竹内さんいう方がいらっしゃるんですけど、今日その方が最後になるということで。ほんとに、かまってちゃんは竹内さんがいないとここまで来れていないって本当に思ってるんで、ちょっと皆さん、竹内さんに拍手を!」
ちばぎんが竹内を紹介する。ビックリした。まさか、これほど至近距離で名前を呼ばれるとは。一斉にこちらに視線を向けるお客さん。
「ありがとうーー!!」「竹内ーー!!」「ちんぐーーーー!!!」

の子「竹内ーー、竹内ありがとーー」
mono「竹内さんありがとうー!早くやめてー!」
の子「てめえ何言ってんだよ!(monoの頭を殴る)それはマジでキレるわ」
竹内「いやーでもほんとにそ…」
みさこ「神聖かまってちゃんの存在を本当に色んな人に広めてくれて…」
ちばぎん「喋ってんだろーー!!竹内さんがーーー!!」
竹内「いやいやいや…特に役に立ってないと思うんですけど…」
mono「竹内さん、アイラブユー!」
みさこ「アイラブユー!」
mono「キッカケをほんとくれた方だと思うんで、ほんと。みなさんに知ってもらえることになったのも、竹内さんがちょっとくらいある…」
みさこ「ちょっとじゃないよー、ビッグな力ですよー」
竹内「ほんと、すいませんなんか」

会場から大きな拍手が起こる。なんだ、この光景は。神聖かまってちゃんのいつもの現場じゃない雰囲気になっている。

mono「泣け!今すぐ泣け!」
ちばぎん「…こいつほんと失礼だよねー!!今まで散々お世話になった人にこうしてね、ウィスキー片手にね。死んだほうがいいんじゃないの!?」
mono「いいですよ僕は、死んだほうがいいキャラでいきますよー」
ちばぎん「死ねよ…」
みさこ「これからもお時間あるとき、ライブ来てくれると、幸いです!撮らなくてもさ、よろしくお願いします。これからもセクハラします」
竹内「あ、はい…」

この日で撮影を終える宣言をし、ここまで神聖かまってちゃんのメンバーがMCで言ったり、ライブ前後に声をかけてくれたりするとは思わなかった。
自分ではただ単に好きで撮影し、アップロードを続けていた。それは無名、有名は変わりない。ただ、神聖かまってちゃんを知ってほしかった。当初は誰も興味を示さず、悔しい思いをした。今や、NHKに出たことによってその名前は多くの人に知れ渡った。神聖かまってちゃんのメンバーは良いように言ってくれるが、やはりテレビの力が絶大だと思う。これからは有名になるため、竹内のカメラのインディーズ感より、もっといい映像がある。そう思い込んで、撮影をやめようと思った。
monoもああいう風に見えて、いつもの神聖かまってちゃんのライブのMCの雰囲気を保とうとバランスをとってくれていた。本当、いい人ですよ、monoくんって。

「歌詞できてないけどなー!」と言い、超絶レアな『肉魔法』へ。
ライブでは初めて聴く。「肉体 ひとつ犠牲にすれば」というサビのメロディがかっこいい。そのへんのロックバンドがやってそうでやってない、かなり正統派のロックチューンではないだろうか。
やはりこの曲はmonoがやること無し。スティックをくるくる頭上で回して、これは楽器の担当でいうと何と呼べばいいのか。いつも思う。ある意味、斬新なスタイルだ。熱い演奏の中、ステージの上で何もやっていない人が真ん中にいるバンドなんて、今までに観たことがない。
そんなmonoも後半からはキーボードを弾き始め、バンドメンバーが4人に。デモ音源よりも圧倒的にかっこいい演奏だった。やはりバンドは確実にいい。
演奏後、monoが「みさこさん、後でスティック代払うわ…2本も折った…」と謝る。

そのまま『ちりとり』へ。
「しかしだ!あなた僕の心までちりとっちゃったのです!そう、それはかけがえのないものであって、だから今しかない!今しかないんだ!ちりとってやりたいんです。あなたを!今しかないから、今しかないから、今しかないから。ちりとってやりたいんです。お前とお前も、今しかないから、ちりとってやりたいんです」
最後、の子はこう叫んだ。真っ直ぐと何かを見つめていた。
演奏後、客席最前にドッと重圧が。の子が手を差し伸べて、最前のいる客の手に触れていく。「ありがとーー!」とお辞儀をする。

の子「さあ、そろそろやる曲がなくなってきたぞ」
ちばぎん「そうですねー。あ、ちなみに僕ら帰る道(ステージ通路)がないんでアンコールとか無いですからね」
お客さん「ええーーっ!!」
ちばぎん「だって、はけられないじゃん!」
の子「あ、でも下北屋根裏いいですね。ここまで近くて、親近感が。ここまで親近感があるライブハウスなんてないですよ、今まで」
ちばぎん「狭いからね」
の子「うん。"の子ーーの子ーーの子ーー!!""の子がいねーーぞーー!!"ってね、今まで色んなライブハウスで色んなことがあったんですけど」
みさこ「色々ありましたね」

の子がセットリストの紙を見て、次にやる曲を決める。「『ぺんてる』でいい?じゃあ、『ぺんてる』やりますか」と言うと、客席から大きな歓声が。

の子「いやーでも、今日お集りの方で、初めて観た方も…あ、いねーのか。でもまたなんか、これで、こいつらもういいやって思った方も含めて、ありがとうございます!がんばっていきます。人生の哲学的なことを歌った曲です」
mono「(ギターに向かって)なんだこれ?チューナー反応しろよバカヤロー」
の子「それは君が選ばれし者じゃないからだよ。ね、最近『ワンピース』ばっか読んでね。『ワンピース』読んだ後はすごい機嫌がいいんですよmono君。ジュースおごってくれたりとかして。『ワンピース』全巻読破した後とか、メールで『の子ー!の子ー!ライブハウスまでの道のりはここだぞー!』って詳細教えてくれたり」
mono「それはお前が辿り着くように送ったんだろ!」
の子「道、あんなの一直線だよ!!」
mono「いや、お前が辿り着けないと思ってたんだよ!いつもケンカしてるけどさ、ありがとうくらい言ってくれよ、な!」
の子「(無言でmonoを見つめている)」
mono「なんだよ!死ぬ前に言われるのかな…」

そして演奏がスタート。しかし仕切り直し。チューニングが合ってないままmonoがギターを弾こうとする。ちばぎんが「チューニングめちゃくちゃじゃん!ちゃんと合わして。もしくは、弾かないで」と厳しいことを。「なんで合ってないんだろ…」と、一瞬弾いてみた曲がニルヴァーナ。客席から「アゴバーナ!!」という歓声が。

「次で最後の曲でーす。『ぺんてる』
ジャカジャーーーン!!と始まるところが。「ぺんてるに、いきました」の瞬間が。印象的なギターのフレーズが。ずっと「ぺんてるに!ぺんてるに!」って言い続けておいてほしいくらい、グッとくる演奏だった。ビデオカメラに映る彼らの表情はキラキラしていた。人間の目とは違い、カメラはズームができる。それが画面いっぱいに映し出されると、なぜか演出にもなる。なんでもない風景が感動的になるのは、映像でも、音楽でも、演出することができる。
演奏を終え、最前列のお客さんの手に触れていくの子。

の子「ありがとうございます!えーと…どうすんの?僕としては体力がなかなか続きました。昨日より。昨日なんかどうでもいい、明日には明日の風が吹く。今日には今日の風が吹く!」
mono「お前には珍しい考え方だね」
の子「考えって何?"詩的なこと"って言えよ」

アンコールを呼ぶ観客の声。「もう遅いよ時間!21時50分だよ!終電なくなるよー!」とmonoが言うが、「大丈夫だよー!」「余裕だよー!」と客席から声。
『夕方のピアノ』は仕切り直しがありながらも、そのまま演奏へ。「はい、はい、悪いやつはみんな友達ー」との子が言いながら。
「死ね!」「死ね!」「死ね!」「死ね!」と、いつもながら歯切れのいい叫び声。「佐藤!」「佐藤!!」「佐藤ーーー!!!」という高音の絶叫はいつも物悲しく、monoの切ないキーボードのメロディが続く中、の子が「佐藤…」という呟き、声を響かせている。

次は『23才の夏休み』
の子が「ぴょんぴょん盛り上がってくれたらいいと思います!」と言うと、演奏が始まると本当にライブハウスが若干揺れるくらいお客さんが一斉に飛び跳ねる。手を上げる人。一緒に歌う人。この熱い中、意識がもうろうとしそうな空間であるにも関わらず、色んな楽しみ方で盛り上がっている。ここにいる人は本当に神聖かまってちゃんが好きなのだろう。自分も含めて。
夏以上に暑い空間は、演奏している人以外も妙な達成感さえ味わうことのできるはず。いわば耐久ライブだ。それでも、まだまだ終わってほしい。そう思った人は多いだろう。
ビデオカメラは熱気のせいか、オートフォーカスがぼやける。の子の顔の輪郭が薄れ、まるで涙で視界が滲んだような映像に。客席にカメラを向ける。一つ一つの手が神聖かまってちゃんに向いている。ライブではよくある光景。ライブではだいたいよくある光景。
でも、こんな光景は初めて観た気になった。
「色々あると思うけど、海水浴とか行ったら気分転換にもなると思うから、鬱病でも!」
の子がこう言って締める。彼が言うと説得力がある。

「叩きつけるだけです!初めてのワンマン!!」
そして最後の最後は、『あるてぃめっとレイザー!』の演奏。
途中、ギターを置いてパーカッション機材を置いていた台に上るの子。「みなさんで、一斉のーせっで、あるてぃめっとレイザーを叩きつけましょう!!」と言い、「あるてぃめっとレイザーーー!!!」と絶叫。
の子の思っていたタイミングとみさこが叩きタイミングが違っていたようで、「ちょいちょいちょい!お前、みんなが"あるてぃめっとレイザー!"って言ったら、止まるんだよ。お前のドラムなしで。それが、清々しいんだよ!」と指示。
「じゃあカウントするから"あるてぃめっとレイザー!"って叫んでくださーい!ワンツースリーフォー!!」
「あるてぃめっとレイザーーー!!!」

こうして、ライブが終わる。
の子は最後のくだりに少し満足がいかなかったのか、それとも名残惜しいのか、よく分からない表情でステージに佇んでいた。

客席が空くまで、ステージに残るメンバー。突然ユンケルを取り出してグビッと飲むの子。
「これね僕ね、ユンケルからCM来ると思ってね。ユンケル、効くんです」
ユンケルのCMかと思うくらい、ユンケル推しの語り。

神聖かまってちゃんの初ワンマンライブが終わりました。
とにかく、すべてを出し切った。今自分のできるすべてを映像に撮った。だけど、あくびが止まらない。身体が酸素を欲していて、眠たくもないし退屈もしていないのに、自然にあくびが出る。こんなのほんと、初めてです。どれほど身体が弱いのか。
お客さんが会場をあとにし、客席にスタッフ以外誰もいなくなり、楽屋へと向かう。の子さんとmonoきかがいた。monoくんが僕に気付き、「竹内さん!ここ座ってください!」と言ってくる。「なんでやめるんですか!」と怒る。酔っ払っている様子だ。
そこに、の子さんがなだめるように話に入ってくる。

「いやいや、またいつでも、撮りたいときに撮りに来てくださいよ。ひょっこり。ひょっこりひょうたん島で」

ひょっこり、ひょうたん島って。

自主的な撮影は終えても、また何かあれば撮影するかも知れないし、自分ではずっと神聖かまってちゃんのことが好きなのは変わりないので、たいそうなことではなかった。いつかまた、撮るかも知れない。誰かに頼まれたら撮るし、1年後くらいにはまた撮っているかも知れない。
だけど、神聖かまってちゃんはもう手の届かないところにいくはずだ。
ただ、一つの区切りとして、この日は本当に撮影できて良かった。
ちょうど1年前の4月に神聖かまってちゃんのライブを観に来て、好きになり、そしてその1年後のこの日、ライブ映像の撮影を終えた。
1年間のドラマとして、1つの着地点に思えた。ありがとうございました。いつか、ひょっこりひょうたん島で撮りに参ります。それがすぐ後になるのかも知れないし、分からないけど。島だし。

ちなみにこの日演奏された曲は、全部で16曲。
この数は、昨年9月の流血ライブのMCで「来年くらいには、ワンマンライブをやりますので。そのときは16曲くらいやりますので」と言った通りなのだ。本人は完全に無意識だったと思うが、この偶然の一致に少なからず感動を覚えました。

2010年4月16日 下北沢屋根裏
〈セットリスト〉
1、ゆーれいみマン
2、天使じゃ地上じゃちっそく死
3、笛吹き花ちゃん
4、自分らしく
5、学校に行きたくない
6、通学low
7、死にたい季節
8、美ちなる方へ
9、ロックンロールは鳴り止まないっ
10、いかれたNeet
11、肉魔法
12、ちりとり
13、ぺんてる
<アンコール>
1、夕方のピアノ
2、23才の夏休み
3、あるてぃめっとレイザー!


2010年4月15日木曜日

神聖かまってちゃん@渋谷屋根裏

神聖かまってちゃんが昨年の6月以来、渋谷屋根裏に帰ってきた。

相変わらず、地下なのに"屋根裏"という矛盾した名前。ここで昨年、の子さんは『アラレちゃん音頭』を踊り、monoくんとラップ対決をし、monoくんがビートたけしのモノマネをした。反応は薄かった。お客さんは10数人。
それから半年後、恵比寿リキッドルームでライブ。そしてNHK、フジテレビの番組に出演。全国流通のCDも発売。状況がまるで変わった。

撮影スタッフとして屋根裏に着くと、ちばぎんに遭遇する。
「竹内さん、マジで撮影やめるんですか?」
Twitterに屋根裏2デイズで神聖かまってちゃんの自主的な撮影を辞めると宣言したことの反応。みさこさんも横から「本当にやめるんですか?」と尋ねてくる。首を縦に振る。「えーっ」とちばぎん。なんとなく薄っすら感じていたことだけど、撮影した翌日にアップロードされることが当たり前になっていいのか分からなかった。自分のやりことを考えたいし、見つけたい。神聖かまってちゃんはもちろん好きだし、撮影したいけど。やめることで、何かを見つけたいと思った。
決定的だったのは、先日のフジテレビ『FACTORY』の公開収録だ。
当然、撮影は禁じられていたため、客席で普通に観ていた。いや、普通というのは嘘だ。身体を動かし、モッシュの中にいた。カメラを置いて観る神聖かまってちゃんは、こんなにも楽しいのか。彼らは大きなカメラに何台も囲まれていた。僕の小さなカメラは、いつかお役に立てない日が来る。そんな光景を目の当たりにし、撮影をやめようと思った。
ちばぎん側から撮るとカメラマイクでは音が完全に割れてしまうため、客席後方にICレコーダーを置くことに。Daredevilのスエタカさんに録音ボタンを押してもらう。「これ、ちゃんと録れてるかな?」という声が入っていました。バッチリ録れています、その声が。

"リリースパーティー"と題されているだけあり、今回のイベントにはゲストも出演。撃鉄とtoddleとの共演に。
まずは撃鉄。体育のようなライブだ。昨年のクリスマス・イブのライブで配信でもの子さんと絡んだボーカル・天野ジョージが、とにかく華麗なほど動きまくる。客席前方に側転をキメるなど、体育だ。上半身裸の汗がライトに照らされ、妙にキラキラしていた。直線的なベースとドラム、都会的なサウンドのギターが印象的だ。
続いてtoddle。ベース・江崎典利さんが「神聖かまってちゃんとかけましてー、人気陶芸家ととくー」と言い、ギターボーカル・田渕ひさ子さんが「その心は?」と振る。
「ろくろ(ロックンロール)が鳴り止まないっ…のでございますー」

そして、ロックンロールが鳴り止まないっバンドが登場。

セッティングに向かうの子はジャケットを羽織り、落ちついた様子でステージをうろつく。よく分からないけど、なんだかいつもと違う感じがした。彼自身、気合いが入っているのだろうか。田渕ひさ子さんとの共演は特別に思っているはずだ。
神聖かまってちゃんと知り合った頃、僕が以前YOUTUBEにナンバーガールの『TATTOOあり』の田渕ひさ子さんによるギターソロ部分だけを集めた動画をアップしたことについて、「あれ竹内さんだったんですか?」と言われたくらいだから、昔から田渕ひさ子さんを見ていたはず。
monoくんが近づいてくる。
「ほんとに撮影やめるんですか…?」
なんとなく話題を逸らそうと、「酔ってる?」と尋ねると、元気よく「酔ってます!」と返答される。
いつも登場SE『夢のENDはいつも目覚まし!』が流れる。みさこが小走りでステージに入ってくる。それを冷静な目で見つめる劔マネージャー。そして全員、ステージに揃う。

の子「どうもこんばんわー!今日は人いっぱいいるなー」
mono「今日は人がいっぱいいるからね!」
の子「あ?」
mono「あ?」

さっそくいつものディスコミュニケーションからスタート。の子は笑顔になり、「前回、渋谷屋根裏でライブしたときは全然人がいなかったんですよ。だからすごい新鮮…」と純粋に驚いている様子。
monoは「そうだよねー、前回は前のほうに3人しかいなかったから」と言う。ちばぎんが「そんなことねーな」とビシッとつっこむ。
monoのトークがうまいことは無視されたまま、「どうもこんばんわ!神聖かまってちゃんです、よろしくお願いしまーす!」とちばぎんの掛け声でベースとドラムがデーーーン!と鳴り、神聖かまってちゃんのライブが始まる。
「1曲目、『ゆーれいみマン』です。聴いてくださーい」
の子の曲紹介で、ダダッダッダッダダ!というドラムが。「う~っ、ゆれい!」がキマっていた。

「いやー、久々の屋根裏に戻ってきました。今は僕、テンションが鬱期なんで全然アガってないですけども、ハハハハ!!」
の子が鬱期とは思えない笑顔を見せる。テンションは明らかに高いし、この日は落ちついている。表情もキリッとしている。何度も撮影しているとやっぱり次第に分かってくるけど、彼のテンションは表情がすべて物語っている。
monoが「なかなか、こんなにたくさんのお客さん相手にしたことないからね!」と言うと、ちばぎん「ね、すごいね」が素直に返す。
渋谷屋根裏は当然ソールドアウト。開演前、アナウンスで「前のほうにもう一歩お進みください」と告げられるほど、超満員だった。神聖かまってちゃんにとって、これほど詰め詰めの空間は初めてになるのかも。

「次は『死にたい季節』です」
珍しくの子が丁寧に曲紹介をし、失敗することもなく順調に2曲目もスタート。いつもはグダるはずなのに、神妙な雰囲気で2曲連続演奏されるのが、逆に気持ち悪い。他のバンドでは当然のことなのに。

monoが「今日はありがとうございます。今何時か分かんないですけど、皆さん終電に間に合うように帰ってください」と律儀に挨拶。の子が「だいたい何時か分かるでしょ?お前の腹の減りの具合で…次は『ロックンロールは鳴り止まないっ』をやります」と。
「オケイ?」とmonoが聞き、みさことの子が「オケイ」と返事し、monoのピアノが始まる。
演奏途中、ドラムスティックを落とすみさこで。素早く拾う。問題なく、演奏が続く。今まででも類を見ないくらい、完璧な演奏に思う。純粋に歌詞が耳に入ってくる。ゾクゾクする。どうして聴き飽きないんだろう。
しかし、この日は演奏がやけにスムーズだ。の子がかつて見たことないほど、真面目なミュージシャンの姿になっている。

の子「ありがとうございます。次は『自分らしく』って曲やります」
ちばぎん「…今日はMC少ないっすね」
mono「は?いちいちそんなこと言わなくていいんだよバカヤロー!」
の子「そうだよバカヤロー!」

異変に気付いたちばぎんがなぜか責め立てられる。無理もない。この流れは神聖かまってちゃんにとって壮絶に貴重だ。これほどMCを書くことがないライブレポも珍しい。というか、僕の神聖かまってちゃんのライブレポの大半がMCで出来ている分、今現在、書いていてなぜか不安になっている。
monoの軽快なスティックさばきにより『自分らしく』がスタート。
スムーズに曲が進んでいくこの流れは神聖かまってちゃんらしくないけど、後半のmonoのキーボードが始まる瞬間があまりにもバッチリで、こんな神聖かまってちゃんも観たかったのかも知れない。
撮影中は一切の油断が許されない。一度でもライブ映像を撮影した人なら気持ちが分かるだろう。カメラを置いて休むこともできないし、身体を動かしてノることができない。今、ノりたい。monoのリズムに合わせて踊りたい。
演奏後、monoがなぜか「バカヤロー!!」と叫ぶ。

みさこ「どうしたんですか?」
ちばぎん「どうしたんすか?」
mono「嬉しくてバカヤローって言いたかったんだよ…」
の子「お前のほうがバカだけどな」
mono「仕方ねーじゃねえか、酒飲んでんだから」
そしてグビッと飲む。
の子「平然と飲むなよ」
mono「俺のステージドリンクはこれだから(キリッ)」

キリッとしたのも束の間、次の『ちりとり』の出だしでmonoがミスする。「おいおーーい」と観客からの煽り。遂に、このスムーズな流れが打ち砕かれた。一人の酔っ払いによって。

みさこ「どうしましたか?」
ちばぎん「どうしたんすか?」
の子「おいおい、どうした?」
mono「なんでもないよ?…いつものことじゃねーか」
の子「いつものことじゃねーよ!いつものことで済むのか…」
mono「…やけに今日、お前真面目だよね。どうした?」
の子「真面目って…別に真面目じゃないよ」

仕切り直しで再び『ちりとり』のイントロ。いつも通り、バーーン!と始まるリズム隊の動きがたまらなくかっこいい。いやしかし、monoが言う通り、この日のの子は何か違う。絶対違う。真面目と言うべきなのか、神妙な雰囲気というか、ここまでバッチリとギターも歌もキメる彼の姿は貴重なのかも知れない。毎回好きなシーンがある。最後のmonoのキーボードとの子のギターだけになる場面。「僕はもっと、あなたのことをちりとってやりたいのです、」と最後に呟き、たくさんの人の心をちりとっていく。

『夕方のピアノ』って曲聴いてください。ヘイ、チェキラッチョ、ワン、ツー、ワン、ツー、スリー、フォー」
ボーカルエフェクターでキンキンに高くなった声での子が合図し、そのまま曲へ入る。
「死ねよ佐藤!!」と叫び終わった後、ちばぎんが激しい動きを。過去にメガネを振り落としたり、リズムを無視するかのようにエモーショナルに掻き鳴らすという、よく言われている"安定感のちばぎん"らしかぬアクションがあったが、今回はメガネもかかったまま、リズムも失わないまま。
「佐藤ー!!佐藤ーーー!!」というの子の叫び声が虚しく残り、ギターの音が響く。衝撃的というよりも、攻撃的というよりも、根底には虚しさがある。だから夕方なのだ。
「ようやくテンションが戻ってきましたー!」
の子が嬉しそうに言い出す。大きな歓声が鳴り、monoの「ようやく酔いが回ってきたか!」が見事に無視される。

の子「でも僕も久しぶりにここに舞い戻ってきて、嬉しい限りです」
みさこ「ね、舞い戻ってきたね」
の子「お前別に違うじゃねーか!」
mono「お前一回しかここに出てねーじゃねーか!」
ちばぎん「ちなみに1年くらい前は持ち時間30分のところを50分くらいやって、4曲しか演奏しませんでした。半分くらい、の子が『アラレちゃん音頭』を踊ってました」
これが実話なんだから恐ろしい。
の子「…それはないでしょ?」
mono「お前ぶら下がってなかったっけ?」
の子「は?」
mono「あ?」
いつも通りのディスコミュニケーション。
の子「なんか今日、お前とコミュニケーションとれないなあ!」
mono「うるせー!俺はとろうとしてるじゃねーか!お前が噛み付いてるんだろうが!」
の子「別に噛み付いてねーよ…お前酒飲んでるだけじゃねえか…」
この日はの子のほうが明らかに冷静のように思う。

そして『いかれたNeet』へ。
「いかれたニィィィイーーートォーーーーォオオ!!」の叫び声も清々しい。
終盤のちばぎんのコーラスが入る「トォオオ、オオオオ!」の瞬間がたまらない。このとき、観ている側としてはどんなテンションが正しいのだろう。もしタテノリで観ているなら、どんな動きになってしまうのだろう。

mono「何曲やったのか俺覚えていない」
ちばぎん「俺も覚えてない。MCなしで真面目に曲やると、長いね」
mono「いつも俺との子が喋ってくれると大間違いだよ?」
ちばぎん「なんでそんなエラソーなの…」

リズム隊の2人がこの日ステージで着ていたのはtoddleのTシャツ。
「オシャレですね、って言ったらくれたんで」とちばぎん。「田渕ひさ子さんがくれたんです。あ、お2人のぶんもあります」とみさこが先ほどから白い目で見ているmonoを気遣って教える。「ひさ子ひさ子ーって言ってた時代が懐かしいっすわ」と笑うの子。「お前じゃないよ!」との子がみさこに言う。monoが「みさこみさこー」とふざける。みさこ、「むかつく!!」と笑いながら叫ぶ。

「いくぞみんなーぁああ!」という掛け声から『怒鳴るゆめ』へ。
少しリズムが早い。みさこのドラムが早いのか、どうなのか。先ほどの「むかつく!!」が怒鳴っていたからなのか、怒鳴るみさこによってスピード感のある"ゆめ"になっていた。

「もう終わり?…あれ、終わりじゃないの?あ、僕だけタイムテーブルが頭の中に入ってなかったっていうね」というmonoに、「おーい!」と客席から野次。「俺がいなかったら誰がキーボード弾くんだよ」とかっこいい発言をしつつも、次の曲はキーボードを弾かない曲という事実。
「ちゃんとキーボードのインタビューでも言ってるよ。ほとんど僕弾いてません、って」
monoが言うと、の子が「『キーボードマガジン』?ほとんどの子が弾いている、っていう」と添える。「でも人間一人入れるだけでも違うでしょー!!」とmonoが訴える。人間一人って良い言い方。

そしてキーボードを弾かない『学校に行きたくない』へ。
人間一人入れるだけでも違うということで、monoが酔っ払いの動きを十分発揮しながらステージをふらついている。片手にウィスキー、もう一方の手にはドラムスティック。シンバルを思いっきり叩く。これは楽器担当でいうと、何になるのだ。
の子もマイクスタンドを担ぎ上げた後、客席前方に突っ込む。そして興奮のあまりパーカッションに使う機材を持ち上げだし、今にも投げそうな雰囲気。機材破壊の危険フラグが立つ。
そしてここで"人間一人入れるだけでも違う"の意味が発揮されるかのように、monoが危険を察知したのか、の子から機材を取り上げる。このとき、monoは完全に酔いが覚めた表情をしていた。さすが人間一人。好プレーでした。
機材を置いていた台の上に立ち、「計算ドリルを返してください!」と連呼するの子。観客が手を上げ、その中心にの子がいる。そして天井にぶら下がった後、客席に落下。ステージに戻ってきて「おかあさーーーん!!」と絶叫。そしてまた客席に突っ込み、ダイブ。
1曲で計3回のダイブ。客席が大荒れとなり、盛り上がっている。

「ありがとうございました、神聖かまってちゃんでした」と挨拶しながら後ろに直立不動で倒れ込むの子。「ありがとうございました!またのお越しをお待ちしております!」と、なぜか両手をお腹の前で組んで律儀に挨拶するmono。身体が微妙に傾いていて、ちょっと小憎たらしい表情だ。
「ありが、とう、ござい、ました、来て、くれ、て、一回、一回きりのライブを、叩き、つけていく、だけです」
息を切らしながら喋るの子は、最後、マイクを床に叩きつけてステージを去っていく。メンバーも全員、ステージを去っていく。

鳴り止まないアンコールの拍手。戻ってくるメンバー。しかし、monoの姿だけがない。 

ちばぎん「ごめんなさいね、待たせて。あの、monoくんがトイレに行きました」
ささーっと帰ってくるmono。
の子「ふざけんなお前!」
みさこ「monoくんmonoくん…」

呼びかけられたmonoがみさこのほうに顔を向けると、なぜかみさこの手から消しゴムが投げ飛ばされる。
見事にmonoの身体をかすめ、客席のほうに飛んでいく消しゴム。

みさこ「えっ!あ、お客さんに当たった?」
の子「おめー何してんだよ!」
みさこ「ごめんなさい…後で、後で、えーと…何しよう」
mono「お前、後であれだ。一夜共にしろ」
の子「えっ?何て?…お前ほんと今日何言ってんだか分かんねーんだよ!腹から声出せよ!」
mono「ア゛ーーー!!」
の子「ア゛ーーー!!」

なんだこの会話。みさこがなぜ消しゴムを投げたのか。後で聞くと、"MONO消しゴム"を投げたそうだ。なるほど。て、納得していいものかどうか。いいmonoかどうか。

mono「バガヤ゛ロ゛ーーーー!!!…あのね、ウィスキーが出てきそうだからダメだよ」
吐いたら吐いたで面白いけど。
mono「酔っ払いのキャラでいくんだよ俺は!!」
の子「キャラってお前、キャラが成り立ってねーからいけねえんだろ!!」
なぜか客席から「フゥーーー!」という歓声を頂くmono。

このテンションのまま『23才の夏休み』へ。
ヘッドマイクをつけたの子は威勢よく叫ぶ。最後はギターを頭上から下へ振りかざし、テンションは最高潮。頭にギターのボディをつけたまま、笑顔で挨拶。「どうもありがとうございます!!」と前方でお辞儀をし、monoに「お前、このマイク使わなかったら俺が使うぞ」とマイクを横取りする。

「またこの渋谷屋根裏に帰って来れたらいいと思っています!こんな時間まで残っていただいてありがとうございます!…(monoに)お前一回ダイブしてみろ!」
急にダイブを促されるmono。自分に指をさして「俺?」と戸惑いの表情。「いっちゃえいっちゃえー!」との子に煽られ、「オイ!オイ!オイ!」と客席からも煽られ、ドラムとベースが始まり、monoがダイブ。しかし失敗。仕切り直しでもう1度、客席に飛び込む。成功する。
空中に打ち上がったmonoと、その後ろにあるライト。その2つの関係性が、月と太陽のように美しかった。アゴの輪郭で、月にしか見えない。太陽と交わり、皆既月食のようにも見える。なんとまあ神々しい光景なのか。

の子とmonoの2人で最前列にいる客全員の手をタッチしていく。「うおーーーい!はいっ!たたたっ!」と三本締めしようとするが、なぜかふらついて倒れるの子。「えーーー…」という観客のため息まじりの声。
「お前のせいだぞー」とまるで子ども同士のケンカのように向かい合うの子とmono。向こう側にはちばぎんとみさこがステージ脇にいながら笑顔で見守り、その4人の構図が微笑ましい。
「お前が三本締めやってみろ!」とmonoに促すも、自分がやり始めるの子。なぜか『笑っていいとも』のオープニング曲を歌い、三本締め。「はいっ、帰っていいとも!」と突然客を突き放し、「えーーー…」と再度観客のため息まじりの声が。
「お前のせいだぞ…」とまたもやケンカに。「お前ちょっと来いっ!」との子がmonoの腕を掴んでそのままステージ脇の楽屋に入っていく。会場は終始笑いに包まれる。
そして、まさかのダブルアンコール。

の子「だいぶ、ダイブしたな。だいぶ鼻水が出た。まだ帰りたくないのか」
ちばぎん「ありがとうございます。ダブルアンコールなんて初めてだね」
客「弦切れてるよ」
の子「弦切れてる?俺には弦が見える」
客「ヒューー!!」
の子「渋谷屋根裏には色々思い出があるので、その思い出の曲を躊躇…」
ちばぎん「躊躇?急遽、急遽」
の子「躊躇って!うん、躊躇やろうかなー」
mono「できるのか?しばらく俺踊っとくわ」
の子「とりあえずティッシュくれ」
この会話の流れでいきなり鼻をかみだすの子。
ちばぎん「楽しんで帰りたいね。次の曲、失敗しなきゃいいけど」
の子「ダブルアンコールなんて初めてだからな。ほんとありがとうございます!ほんと、久々にやります。『あるてぃめっとレイザー』って曲です。じゃあ鼻水…鼻水じゃねえや。もっと心のゴミとか意気込みとか、色々あるんだよ。それを1年ぶりに吐き出してみます」

の子のギターから始まる『あるてぃめっとレイザー!』。初披露となる。の子の宅録音源とは違って、ちばぎんのベースラインがバンドバージョンの個性を際立たせ、新鮮に感じられる。
途中、ギターストラップが外れ、の子は自分で直しながら「まだ足りねえ、まだ足りねえ!」と自分自身と客席を煽る。ストラップが直され、ギターの音が復活。この流れが鳥肌モノだ。先ほどまで踊ってばかりいたmonoがキーボードの席に座り、弾き始める。「あるてぃめっとレイザー!!」とばかり叫ぶの子。
「あるてぃめっとレイザーをもっと!あるてぃめっとレイザーをもっと!」と叫び、最後は「あるてぃめっとレイザーーーーーーーァアアア!!!」と絶叫して、終了。
再びの子の三本締めをし、ゴキゲンな空気でライブは終わっていく。
「ハッピーな夜になりました。皆さん、また来てください!」と爽やかな笑顔で言い残し、去っていくの子。
そして「消しゴム当たった人、ごめんなさい!」と爽やかな笑顔で謝り、去っていくみさこ。いいオチとなった。

まったく非のうちどころのない、大盛況のままライブは終了。みんなが笑顔になるライブでした。
自分が撮影してきた中で、史上最高の撮影ができたと思う。録音もばっちりだった。アングルも完璧な場所だったので、終わった後は感慨深かった。
撃鉄、toddleも撮影していたので、計4時間近くはビデオカメラを扱いっぱなし。さすがに腕は疲れ、放心状態になっていた。物販にはみさこさんとtoddleの小林愛さん。ボブヘアーとボブヘアーだったので、ばっちりビデオカメラに収めた。

の子さんに挨拶する。「竹内さん、またいつでも撮ってくださいよ」と言ってくれた。彼に頼まれたり、何かしら必要なときには撮りたいと思う。毎度毎度の撮影をやめるという意味では、いつかまた撮る日が来るのだろう。
この日のライブを観て、"撮りたい"って思わないことは間違っている。だからこそ。やめることを後悔させるようなライブだった。これは僕の意志が弱いのか、神聖かまってちゃんが魅力的なのか。どちらでもあるのだろう。ちょうど1年近く撮ってきて、こんなに真面目に演奏したの子さんを初めて観たかも知れない。
明日は神聖かまってちゃんはホームグラウンドである下北沢屋根裏で、彼らにとって初めてのワンマンライブ。もちろんソールドアウト。200人近くお客さんが入るという。一体、どうなるのだろうか。

2010年4月15日 渋谷屋根裏
〈セットリスト〉
1、ゆーれいみマン
2、死にたい季節
3、ロックンロールは鳴り止まないっ
4、自分らしく
5、ちりとり
6、夕方のピアノ
7、いかれたNeet
8、怒鳴るゆめ
9、学校に行きたくない
(アンコール)
23才の夏休み
(ダブルアンコール)
あるてぃめっとレイザー!

2010年4月8日木曜日

神聖かまってちゃん@渋谷タワーレコード

渋谷タワーレコードへ向かう前に、ニコニコ生放送で配信がスタートしていた。

リアルタイムで今、渋谷で何が起きているかがパソコンで見れる。便利な世の中だ。の子さんがタワーレコードから駅の方向へ歩いていく姿が映っていた。"神"と書かれたヘルメットを被っている。ファンの方々が数十人、後ろについている。遠足の引率の先生みたいなリーダーっぷりだが、先生が一番問題児なのである。
渋谷駅ハチ公側の交番前でゲリラライブを敢行。なぜか相対性理論の『ミス・パラレルワールド』を「ポイフル、ポイフル、ポイフルワールド」と替え歌でカバーする。感慨深いのかも知れない。下北沢の駅前で通称・ポイフル配信をやっていた頃は誰もが素通りしていた。今や、配信の画面の中には人だかりが出来ている。人気者になった証拠だ。
やがてマイケル・ジャクソンの『Beat It』を流し、交番の目の前で踊ろうとするの子さん。すると歩み寄ってきた警察官により、交番に連行されてしまう。
うっわあ。これから渋谷に向かうというのに、まさかの警察沙汰。
交番の中でも配信は続いており、取調べのシーンも少しだけ映っていた。の子は必死に訴えている。
「俺は踊り子なんだよ!マーニャなんだよ!ミネアなんだよ!」
「ミネアは踊り子じゃないだろう」
警察官、まさかの返し。まさかドラクエの話が通じるとは。の子さんも一瞬、我に返ったような気がする。さすが警察です。
このことはナタリーでも記事にされていました。
『神聖かまってちゃんゲリラライブで警察に連行』
http://natalie.mu/music/news/30283

とはいえ、これからライブをする人が交番に連行されるなんて聞いたことがない。ライブが行なわれるのかハラハラしながらタワーレコードに向かうと、なんてことはない様子のの子さんがいた。話しかけた。
「配信めっちゃ笑いましたわ」
「あれ、ちゃんと映ってました?」
なんと、交番に連れて行かれたことよりも自分がちゃんと映っていたかどうかを気にするの子さん。やっぱりこの人、スケールが違う。拍子抜けしました。
それよりも心配すべきだったのはちばぎんだった。日ごろのライブ前後の運転などで疲れているのか、死にそうな様子だった。これほどまでダウンしているちばぎんは初めて見た。近づいてくると無言で身体を揉んでくる。揉めるテンションであることがまだ救いだった。
開場時間になる。ステージと客席の間でスタンバイする。周囲にはSPACE SHOWER TVのカメラマンさんらが大きなカメラをステージに向けている。僕は小さなカメラを。この違い。大きなカメラ、羨ましい。欲しいです。

"TOWER RECORD"という黄色い中で映えた赤い字を背景に、神聖かまってちゃんのメンバー3人が登場。
今回、タワレコでのイベントだからかいつもの登場SEがない。沈黙の中の登場で、なぜか厳粛な雰囲気に包まれてしまった。
ちばぎん「こんにちわ…なんか、静かですね」
mono「そうですね…」
ちばぎん「今日はなんか、劔さんの手違いでSEがナシということで」

程なくすると、の子がノートパソコンを持ったまま登場。迎え入れられるような拍手が巻き起こる。
「いや違う!!俺は配信しようと思ったらできないんだよ、電波がなくて!」
何に対しての「いや違う」なのか、客席は動揺を隠しきれない。「monoくんが担当な、(パソコン)置いといて」とキーボードの付近に持っていくが、結局置く場所がなくてステージ脇に預けるの子。

の子「いやいや僕は緊張してるんですよ、こんなに人が多くて。こんな人いっぱいなときないもんね」
mono「ないよね」
客「うそつけ!」
mono「うそつけ?うそついてないよ」
の子「うそつけ!って何だ?お前誰だほんとに。ほんとに、こんな人がいっぱいの初めてなんだよ」
mono「(客に)常連か?」
の子「ジョンレノン?まあどうでもいいけど」
ちばぎん「ということで、改めまして神聖かまってちゃんです!!」

どういうことで神聖かまってちゃんなのか分からないが、客席にジョン・レノンがいるという解釈のまま始まったタワーレコード地下1階でのライブ。monoが「はい、張り切っていきましょう!」と掛け声を。
「はい!では『ゆーれいみマン』という曲をやりますー。皆さん、来てくれてありがとうございます!アルバム買ってくれたのかよく分かんないんですけども、何でこんなに来てくれてるのか分かんないんですけども、とりあえず楽しんでいってくださーい!」
の子の合図により、間髪入れずにみさこがドラムを鳴らし、『ゆーれいみマン』からスタート。
後半の「ハーハーハーー」という神々しい雰囲気のコーラスはヘッドマイクを装着したちばぎんが担当。疲れ気味だからか、「ハー」というコーラスがため息にも感じる。
「僕はゆーれいを見たんだーーありがとうございますーーー!!」
演奏終了とともに、すぐさま感謝の意を述べるの子。

の子「どうも!今日来たお客さんは何だ!CD買ってくれたとかなんだかんだ言ってたっけ」
みさこ「そうだね、CD買ってくれた人しか来れなかったのかな」
の子「あ、そう。おー、こんだけ買ってくれたのか!!あんな、クソったれのものを!!」
mono「言ったって、あれだよ。俺ら頑張って作った作品だよ。いくらお前が金儲けのためにやってます、って言ってもね」
の子「いや、金儲けにやるのは当然のことであって。でも僕もお金もらったらちゃんと消費しますよ!その後風俗行ったり何だりで!」
mono「うるせー!みんなのために消費しろマジで」
の子「焼死?」

ジョン・レノンに引き続き、本日2度目の聞き間違え。「焼死しろ」は「リア充爆発しろ」などと同類の言葉に入るのだろうか。この間、観客は取り残され、ちばぎんは苦笑いするしかない。

mono「ほら、ちゃんと募金しますとかさ」
の子「あ、そう。勝手に言ってくださいよ。何言ってんのかほんと分かんねーお前の声…」
みさこ「昨日ラジオに出てね。生放送の『ミューコミプラス』って番組に出させて頂いて。monoくんの声がラジオだとこんなにクリアに聞こえるんだ、みたいな。ライブだとマイク響くから本当に聞こえないときがあるんですよね…」
の子「早く次行け次行けーー!って煽られてたんだよな、前のライブで」
mono「最終的には俺がラップを強要されてね。みさこにブチ切れしーの、俺の株が落ちーの」
の子「そんなことより曲いきます。『天使じゃ地上じゃちっそく死』です。死にたいって曲です。まだ完成されてないんだけどねーーー!!!」

なぜか突然の絶叫により、『天使じゃ地上じゃちっそく死』へ。の子は「死にたい」と何度も連呼し続け、その後ふらついてステージ中央まで歩き、倒れ込みそうになる。

の子「弦が切れてしまったー。だいたい俺、1曲目で弦が切れるんだ!」
mono「うん、まあこれ2曲目だけどね」
の子「あ?違う!!いつもは1曲目で切れるんだよ!!」
mono「あ、そーですかーー。じゃあ新しいギター用意したらいいんじゃないですー」
の子「お前なんでそんなつまんないこと言うんだよ。話が膨らまない!」
みさこ「mono君のギター使えばいい」
mono「うるせーばかクソ。…ばかクソってのは無いと思うけど」
の子「みさこさん何か喋れよ!こないだ何か言いたいことあったんだろ!」
みさこ「言いたいこと?言いたいこと…今日ライブ前、の子さん何してたんですかー。私たち3人でリハ始めたときにいなくて…」

の子、「はい次の曲いきましょう!!」と逃げる。自分で話を振ったのに。
客席から「踊り子ー!」という事情通の歓声。の子は「踊り子?(爆)」くらいに照れ笑い。ほんと(爆)がつくくらいに笑っていた。
「うるっせー!!マーニャだよ俺は!!…えーっと『美ちなる方へ』」
喋りながらバッチリとセットリストが書かれた紙を手に持って見ていたの子。

みさこ「すっごいカンペ見てます」
の子「だって(monoを指して)こいつがいつも言ってくれるって言ってたのに、言わないんだもん」
mono「俺!?俺かよ!?俺は準備で忙しいんだよ!!」
の子「準備で忙しいんだよ?ふざけんなよ、お前『アンパンマン』の中に出てくるナンパンマンだろ!」
ちばぎん「出てこない!」

「はい、これ都内では初めてだけど、まったくもっと完成度が低い!」
の子のハードルを下げた曲紹介により、『美ちなる方へ』。遂にこの曲を生で聴ける。大阪で初披露されたと聞いたときは悔しかった。
「ワン、ツー、スリー、フォー!」とみさこの元気いっぱいなカウントにより始まる。ちばぎんのテンションとは真逆だ。
後半はの子の宅録とまた違い、アレンジが効いている。ウネウネと鳴るベースとドラムのリズムが気持ちいい。これはライブで盛り上がるに違いない。の子は「出かけるようにーなりましたーぁああ!」と最後は叫び、マイクスタンドをギターをなぎ倒す。「ベイベーー!」というエコーが響かせて曲が終わる。
「出かけるようになりましたー!はいありがとうございましたー!こんなでいいのか分かんないけど…」
まだ未完成という印象だけど、ライブで聴く『美ちなる方へ』は格別だった。

の子「ちょっと待って、チューニングを…」
mono「はい。じゃあチューニングしている間に。僕らね、4月の15、16とワンマンライブをやりましょうよ」
の子「やりましょうよじゃねえ、やるんだよ!!」
mono「はいそうだね。俺ら今回配信できなかったからね、ワンマンでやろうよ」
の子「配信したってつまんねーよ!2時間くらい…なんだこれ?ギターぶっ壊れてんじゃねえか?その間、話繋げろよ」
お客さん「ちばぎーん」
ちばぎん「はい?」
mono「ちばぎんかっこいいって?ゲイですか?あ、違いますかすいません。ゲイは僕でした!」

なぜか突然のゲイ発言に笑顔で取り繕うmono。色々と会話のチューニングがずれている。
「なんだこれ?全然ギターのチューニングができないぞ。…あ、弦がない!!」
会場、爆笑。もはや騒然にも近い笑いだ。
まさか見えない弦でチューニングをやろうとしていたとは。やはり、この人にはみんなには見えないものが見える代わりに、見えるものが見えない。会場は大きな笑いに包まれた。

の子「…俺はそれほど燃えてるんだよ!!熱い魂が、今、宿ってるんだよ!!」
ちばぎん「よかった」
みさこ「よかったね。元気玉つくれるよ」

次は『ロックンロールは鳴り止まないっ』
「レコ発だからやらなきゃいけないと思うけど。ほんとはやりたくないんだけど」と言い放ちつつも、ばっちりとドゥーダドゥーダオウイエイエイしていた。最後、monoが弾き間違えてしまったけど、誰も突っ込まずにいたのが優しい。たぶん、特に気にしなかっただけだと思うけど。

ボーカルエフェクターで子ども声に変わったまま、の子が喋る。
「学校に行きたくない奴はいっぱいいると思いますが、学校に行きたくない奴はいっぱいいると思いますが、学校なんかどうでもいいんだよ!学校なんかやめちまえ!僕も学校なんかやめてしまいます!」
そこに「お前辞めただろ」とちばぎんがすかさずつっこみ。たしかに。
こうして学校を辞めた人による『学校に行きたくない』がスタート。
の子がノートパソコンを持ちながら歌い、首に飾ってあるタンバリンを揺らしながら「計算ドリルを返してください!」と連呼。monoも「計算ドリルを!!」とコーラスというより怒鳴り声で参加。後半、配信できていないノートパソコンを危なっかしく持ちながら「おかあさーーーん!!」と絶叫し、パソコンをへの字に折り曲げて頭に被せる。そして突然、ステージ後方に目がけてパソコンを投げ飛ばす。そしてまた拾い、床に叩きつける。4度ほど。
パソコンは完全に大破し、その後はマイクスタンドを床に叩きつけて終了。大迫力のステージになった。昨年12月に続き、2度目のパソコン破壊。

「壊れちゃった…」
の子が呟くと、ちばぎんが「また壊しちゃったの!?あーあ…」と。客席からも「あーあ…」といった声が。

みさこ「ギター1台壊して、パソコン2台壊して…ニートのくせにこういうのにお金がかかりすぎです」
の子「ふざけんなよ!!…すいません」
みさこ「謝られた!」

monoが壊れたパソコンを拾う。「これ、水銀?水っぽいのが出てきたよ」と言うと、客席から「水銀じゃないよ。液晶の液だよ」と教えてもらう場面も。

の子「今日は熱いぜ!今日は燃えてるぜ。これもみんなが来てくれたおかげです。俺は!人が多いところが大好きだー!!みんなと共有できるってことは素晴らしいってことで。殴りたい奴もいると思うけどウハハハハハ。俺は、俺は今、どこにいるんだ?」
ちばぎん「の子さん、次は『夕方のピアノ』ですよ」
みさこ「佐藤を殺しにいきましょう」
の子「お前が言うなよ!お前関係ないだろ!」
mono「俺も関係ないけどな」

の子が壊れたパソコンを手に持ち、「パソコンって壊れるとかっこいいよね…」と素朴な発言。「前回も思ったけど…」と笑いを誘う。まだチューニングがおかしいギター。「もうこのギター、ダメなのかな…」とまたまた素朴な発言で笑いを誘う。
monoのアドリブのピアノから曲に入る『夕方のピアノ』
最後は「死ねよ佐藤!!」と、関係ないはずのちばぎんとみさこもコーラスに。ちばぎんは疲労感が嘘のように暴れまくり、メガネを吹っ飛ばしていた。毎度、この曲ではちばぎんは何かが取り憑いているときがある。本当に佐藤に死んでほしいのはちばぎんなのでは、というほど。

mono「次の曲で最後になります」
の子「はい最後でーす」
mono「次は『ちりとり』なんで、みなさんの心をちりとっちゃいましょう」
の子「は?」
みさこ「みなさんのハートをちりとっちゃうんですか?」
mono「僕だけ、ちりとっちゃいます」
みさこ「そのアゴでちりとっちゃうんですか?しゃくり取るんですか?」
mono「なんでこのアゴがあるかというと、ここでしゃくり取るためにあるんですよ。だから皆さん、触ってあげてください。触って帰ったら、ちりとられちゃうからね」
みさこ「汗まみれのアゴをね」

今、このどうでもいい会話を書いているときにmonoをmoonと書いてしまった。気付いた。そうか、monoがたまに月に見える瞬間があるけど、それは1文字違いだからなのか。みさこの「しゃくり取るんですか?」の一言の破壊力はとりあえず凄い。
の子は「ティッシュない?」と言い出し、誰も持っていないことに気付くとセットリストが書かれた紙で鼻をかみ始める。monoが「セットリストが台無しだぁーー」と悲鳴を。
自前のマイクが壊れたらしく、monoのマイクを借りるの子。

mono「まあ、俺がマイク持っててもね。口説くことしかできないからね」
お客さん「がんばって口説けよ」
の子「がんばって口説けよって、1人しか言ってねーじゃねえか。mono君もそういう曲作ればいいじゃん。そういう相手がいるんでしょ?」
mono「いません、いませんよ(必死)」
の子「いませんって…てめー、いるって言ってたじゃねえかよインターネットでよーー!!!インターネット上で言ってたじゃねえかよ!!!」
mono「言ってねえよ!!」
の子「言っただろ!酒飲んでて覚えてないんだよ、ばーか。ね!言ってたよね!!」
頷く客席。
みさこ「じゃあ、この会場にその人がいるかどうか分からないですけど…」
mono「うるせー!!」
みさこ「その人のハートをちりとるためにも、いきましょう!」
mono「俺の曲じゃねーし…」

の子のチューニングがまだ狂っている状態で、また空き時間が。突然monoが顔を天井に向かってのけぞり始め、急に「もー俺はだめだーー」と発言。monoの突然の嘆きに会場内が笑いに包まれる。の子が「なんで?」と尋ねる。恐らく、ちりとりたい相手がいるのがバレてしまった焦りからくる動きなのだろう。
そこでみさこが究極の一言。
「たぶんお客さんにはアゴしか見えていない」
たしかにアゴしか見えていなかったので、会場が爆笑の渦に。

の子「アゴだけでこんなにウケ狙えるってスゲーな…」
mono「もうこれは天がくれたものですよ…」
の子「好きな人もそれを好きって言ってくれたらね…」
mono「うるせーーー!!!!」
の子「女神様が…」
mono「やめて本当に…」
みさこ「mono君、マイク通しましょう!」
mono「あ、そうだ…て、マイク無いんだよ!!」

「じゃあ、最愛な人に、晴れなんでカッポーカッポー(カップル)で来ているバカヤローもいると思うんですけど、その人たちに捧げます。じゃあ『ちりとり』という曲をやります。聴いてください」

『ちりとり』はmonoの最愛の相手に届いたのだろうか。の子にしか関係ないはずなのに、ちりとりはmonoのもの、佐藤はちばぎんのものに。
最後は「いつぞやかのあなたに伝えたい!僕の気持ちを!いつぞやかのあなたに伝えたいー、僕の気持ちを、伝えたいだけです」との子が言い、monoのピアノとの子のギターだけが残り、終わる。首からタンバリンを抜いて投げ捨て、ギターのボディを上にしてステージ前方まで挨拶に来る。
「はい!今日は本当にありがとうございました!はい!これ鏡にでも使ってやってください!」
壊れたノートパソコンの破片を客にプレゼントする。
「もう今日はお開きです!燃え尽きた…真っ白に…」
そう言いつつも、アンコールの手拍子が始まってもいまだステージに残り、手拍子に合わせて「はい!はい!はい!」と自分も拍手するの子。「はい!ワーー、チャチャチャ!」と三本締めをする。

そしてアンコール。
「また戻ってきました。さっき初めて三本締めってのをやった…まさかやってくれるとは思わなかった」との子。ティッシュで鼻水をかみながら登場。なぜか会話の流れでmonoとの子が言い合いに。

mono「なんだコノヤロー!」
の子「なんだコノヤローって、なんだこのヤロー!!」
mono「俺こう見えて怒ってないよー!!」
の子「は?だからお前、最近酒飲みすぎて変わってきてるんだよ。昔の純粋なmono君はどうしたんだよ…」
お客さん「あーあ…」
mono「あーあって何だよ…人間なんてね、お酒ひとつで変わってしまうんだよー。お酒ひとつで人生変わってしまうこともあるし、お酒ひとつで、1人の女を口説くことだってできるし」
お客さん「ヒューー!!」
の子「なんか素晴らしいこと言った?」
ちばぎん「口説いてから言ってください」
の子「聞いてなかったんだけど」
mono「あ?お前は聞かなくていいよ!」
の子「なんでだよ!」
mono「分かるだろ!付き合い長いんだから」
の子「付き合い長くてもわかんねー!お前酒飲むと、ほんと汚れてきてるからさ…」

最後は『いかれたNeet』。の子が喋り続ける。
「今日はさ、早く帰って、うちの親父にねぎトロ巻きを買ってあげなきゃなんねーんだよ。これほんとの話で。早く帰って来い、って言われてんだよ。帰り、だからちばぎん寄ってくれ」
ちばぎん、ここでずっと溜め込んでいた気持ちを吐露。
「うん、分かった。…すーごいね、今お腹が痛い。1曲頑張るからさ、(準備)早くしてくれるかな?」
客席からちばぎんの腹痛を心配する声が。体調の悪さがそろそろピークに達してきたようだ。

mono「なんでちばぎんがそう言うとみんな心配してあげてさー!」
お客さん「だから早くしてやれよ!」
ごもっともな意見に客席が湧く。
の子「ね、なんでちばぎんがこういう言うとみんなさ。僕らなんてパソコンぶっ壊しても、あー、みたいな」
みさこ「だから早くしてあげましょう!」
痛みのあまり、床にしゃがみこんでいるちばぎん。
の子「じゃ『いかれたNeet』やりますー」

ちばぎんのいかれたお腹のまま、演奏へ。楽曲が持つ気怠いムードが、ちょうどちばぎんの体調にピッタリだった。最後はの子だけ演奏をやめて、色んな持ち方でギターを扱ってピョコピョコとリズムに乗っている。
「はい!今日はありがとうございました!初めて観に来てくれた方も、またよかったら来てください!いや来なくていいんですけど!ありがとうございました!」
の子だけステージに残る。ちばぎんはいまにも白目を剥くような表情で、ふらふらとお辞儀して去っていく。
そしての子の三本締めで、元気いっぱいにライブは終了。

渋谷HMVに続き、東京のCDショップを代表するといっても過言ではない渋谷タワーレコードでのインストアライブが終了。
パソコン破壊はこれで2度目。いかにも神聖かまってちゃんらしいライブでした。
狭い空間で撮影していたので、足が痛い。ちばぎんもくたばっていたが、僕だって帰り道は足を引きずるくらいの痛さで渋谷を歩く。SPOTTED PRODUCTIONSの直井さんに呼ばれていたので、近くのカフェへ。すると、『SR サイタマノラッパー』などで知られる入江悠監督を紹介される。
入江監督と直井さんに、神聖かまってちゃんの歴史を簡潔に話す。この日撮影したテープを見せて、入江監督が初体験のかまってちゃんライブ、その臨場感に興奮していた。これから始まる、ある企画の話。
神聖かまってちゃん、どこまで行ってしまうのだろう。
そんなことを考えさせる話し合いでした。

今年に入ってから、新宿LOFT、代官山UNITは撮影禁止。そして今回、渋谷タワーレコードも映像のアップロードができないらしい。彼らが大きなイベントや人気者になるにつれて、これからはアップができなくなってくるのだろう。そりゃそうだ。テレビに出ているミュージシャンのライブ映像が次の日にはアップだなんて、聞いたことがないんだもの。
いつかは神聖かまってちゃん、きっと絶対アップできない存在になるのだろう。
CDも発売され、そろそろ身を引く頃かも知れない。そう思いながら電車に揺られる帰り道でした。

2010年4月8日 渋谷タワーレコードB-1
〈セットリスト〉
1、ゆーれいみマン
2、天使じゃ地上じゃちっそく死
3、美ちなる方へ
4、ロックンロールは鳴り止まないっ
5、学校に行きたくない
6、夕方のピアノ
7、ちりとり
(アンコール)
いかれたNeet

2010年4月4日日曜日

神聖かまってちゃん@渋谷HMV

神聖かまってちゃん史上初のインストアライブ。

いや、インストアライブは以前もやっていた。ところが無許可だった。新宿のタワーレコードではの子さんが配信中のノートパソコンを持ちながら『学校に行きたくない』を流し、まさかの店内ゲリラライブ。当然、店員に追放された。
今回は正式なインストアライブ。誰も彼を追い出したりはしないはず。
曇り空の中、渋谷まで向かう前に神聖かまってちゃんがニコニコ生放送を開始していた。『ちばぎんの車窓から』といった、『世界の車窓から』とは程遠い高速道路の風景が眺められる放送が行われており、"ちばぎんが運転がんばっている""みさこさんだけが喋り続けている"という要素しかない映像だったけど、これから渋谷に向かうという状況が一緒なだけに、そのリアルタイムに迫っている感には妙にドキドキした。そして車中、みさこさんの後ろにいるmonoくんの表情の変わらなさにもドキドキした。後ろの風景にまったく変化が見られない。固形物が後ろからずっとこっちを見ているようで、恐い。

渋谷HMVに着き、イベントスペースへ。
まだ会場にお客さんがいない。ステージ後方のモニタには『ロックンロールは鳴り止まないっ』の新しいPVが延々と流れており、パーフェクトミュージックの方々やイベント関係者がゆったりとしている。少し前から神聖かまってちゃんの舞台裏を撮影している映像ディレクターの丹羽貴幸さんに話しかけて頂き、ようやく知り合う。
メンバーはまだ到着していない。遅刻している。どうやらHMVの近くで火災が起きたようで、周辺に消防車がたくさん停車していたために楽器の搬入が大変だったらしい。
まさに"嵐を呼ぶ神聖かまってちゃん"。『クレヨンしんちゃん』のタイトルみたいだ。昨年のサマーソニックのときなんて出演後、本当に雨と風が巻き起こり、文字通り、嵐を呼んでしまったのだから。

しばらくすると、お客さんが仮の入場。前方に詰めず、スタンバイ。撮影はメンバーが到着してからスタンバイしようと思い、ビデオカメラ片手に後ろのほうでゆったりしていると、前に立っていたパンクロックなファッション&モヒカンの長身お兄さんが「あっ、すいません。ジャマになりますよね…」と謝る。なんていい人なのか。気になったので、その後も話しかけてしまう。
程なくすると、聞き慣れた大声が。
「もうさっきライブ終わっちゃった。疲れちゃった!」
"神"と書かれたヘルメットを被ったの子さんとちばぎんの姿が。
ヘルメットはザ・タイマーズとしか思えない。僕に気付いたのかカメラ目線をする。この日、帰宅後に急いでカメラ目線の画像をツイッターにアップすると、HMV渋谷店さんから「NICE SHOT!」というRTを頂いた。

「俺はもうライブ終わっちゃった」との子。ちばぎんが「終わったねー。みなさん、カメラ映りますよー!」とお客さんに注意を促す。
どうやらここに来る前に、渋谷HMVのど真ん前での子が大声で歌っていたらしい。ニコニコ生放送で配信中のノートパソコンを手に持つちばぎんと、その被写体となるの子。店外でのライブなので、言うなればアウトストアライブだ。インストアライブでもこのままぶっ続けでライブ配信をするようで、劔マネージャーにノートパソコンを託していた。

「リスナーの皆さん、すみませんね、なんか俺、車から出た途端にこんな状況に追いやられてるから…(目の前のお客さんに向かって)なんだお前ら!無料だからいるのか?さっきの路上ライブのほうが十分熱かったぞ!疲れちゃった…帰りたい」
パソコンの前にいるお客さんと、目の前のお客さんとの配慮の違いは容赦ない。どちらが大切かなんて、の子は全く意識していない。どちらも同じ"リスナー"なのだ。コメントを読むの子。「"シーンとしている"。たしかに。ああ、真っ昼間ボーイズのことは言うな。あれは俺だ!」と、最近2ちゃんねるの神聖かまってちゃんスレッドを中心に話題になっている、の子が10代の頃に組んでいたデュオ"真っ昼間ボーイズ"が自分であることを認める。ナンバーガールに影響されたのがバレバレなネーミング。かつ、そのアーティスト写真はシュールな空気が漂っている。
参照URL:http://www.welcomeback.jp/schedule/diary.cgi?action=view&date=20050205

楽器を手に持つメンバー。「はい、ではライブモードでライブをいたしますー。はい、一気にシーンとしちゃった。こんなに集まってくれてありがとうございます」との子。お客さんの拍手。「拍手なんかいらねー!」となぜか拒否。
「劔さん、じゃあこれカメラぼやけててあんま映らんないと思うんで、客席とか映しといてくださいー。あとカメラアングル、しっかりしてくれたまえ。あと、ジュース持ってきてくれたまえ!」
マネージャーをこき使い、ちばぎんも「僕もお願いします」と便乗するかのようにこき使う。

「こんばんわー、神聖かまってちゃんです!よろしくお願いしまーす」
ちばぎんの挨拶により、ライブをスタートしようとするメンバー。「まだ待って!今からお客さんに整理番号順に入ってもらうんで!」とスタッフに止められる。「え?これまだ入ってないの?これ何?見せ物?」とうろたえるちばぎん。
「さっき僕とちばぎんが路上でやったので、そのせいで何かよくわからん人たちが(インストアライブに)ついてきたのかも知れません」との子。「いや、こんなにいなかった」とちばぎん。「うん、たぶん2人くらい」との子。
「ごめんなさい、一旦捌けます!」とマネージャー劔さんの指示により、メンバーが一時退場。の子が「はーい、このまま帰りまーす」と言い、「ありがとうございました。神聖かまってちゃんでしたー」とちばぎんがステージを去っていく。あたかもこれでライブが終わったかのような、寂しいセリフだった。

ニコニコ生放送についてはmonoが「延長したから大丈夫!」と元気いっぱいに答え、「monoくん冷静だな」との子。「たまには俺が冷静になってもいいんじゃない!」とmono。
一旦捌けた後、再入場するメンバーたち。
の子一人だけがゆったりとステージに上がり、「はい、じゃあ神聖かまってちゃんのメンバーが来たら拍手お願いします。はい、神聖かまってちゃんのメンバーが入ってきましたー!いぇー、ロックンロールの一発屋~!」とお客さんを盛り上げるのか盛り下げるのか分からないことを。
ノートパソコンをちばぎんに渡され、「俺がこれ持ちながらやるのかこのやろー!」との子。劔マネージャーが「はいはい!」と歩み寄り、「ミスターツルギィ~」と言いながらノートパソコンを渡す。
monoが「急遽配信やることなってね」と話し始めるとちばぎんとみさこが演奏を始め、声がかき消される。そしての子がマイクを使って語り始める。

「あー渋谷HMVに来ました。前回来たときは警察に、警察に、ポリスに連れていかれそうになった。でもこうやって日々が過ぎていくたびに僕はなんかここにいる、そう店員を呼べ店員をそこにいるんだろバカヤローてめーこのやろー。てめーに言いたいんだよこのやろー!あのとき俺のことバカにして追放しようとしやがって…今ではこの有り様だーー!!俺はまだまだまだまだこのまま上に行って、差し上げて、参りましょう」

先日のNHK『ミュージック・ジャパン』の放送の最後にも似た、自信発言と日本語崩壊のミックス。盛り上がる客席であるのにも関わらず、「僕今日ずっと寝てたんで、曲目が全然わかんない」といつもの調子。なぜだか安心のテンションにも思う。
『23才の夏休み』をやろうとしたが、『ゆーれいみマン』から演奏。サングラスをかけながら、「これ(耳の部分)がめっちゃ痛いんだよね…」との子。
「ということで改めまして、神聖かまってちゃんです!」
ちばぎんが挨拶すると、みさこがダダッダッダッダ!とドラムを叩き、「うーーっゆれい!!」からライブはスタート。

演奏終了後、「今、自分がどこにいるのかわかんなくなる!サングラスかけてたら…」と弱気になるの子。「家だよ家!」とmono。「すいません、どなたか水分を」とちばぎん。いつも通り、気持ちはバラバラだ。

の子「皆さんは僕らのことを知っている方々なんですかね?"初めて観た"って人はハーイって言ってください。初めて観た人~」
誰も手を上げない。
ちばぎん「いねぇじゃねえか…」
mono「みんな俺らのことを知ってくれて観に来てんだね。そういうことよ。あれ?」
の子、monoの話をまったく聞いていない様子。
mono「なんで俺が話してんのにお前は…」
の子「違う、生でだ!ネットじゃなく、生で初めて観た人!」
改めて挙手を促し、結構な数の人が手を挙げる。
の子「よし、これが幻滅した人の数だ!!」
ちばぎん「そうかも知れない…」

次は『死にたい季節』。「今日はギター用意してないから、何もやることない」と言ったmonoに対し、「なんでキーボード2つもあるのにやることねーんだよ、意味わかんねーよ!」との子。ごもっとも。ということで、monoがギターではなくキーボードを弾く『死にたい季節』は昨年6月の渋谷屋根裏以来、久しぶり。ポツリポツリと呟くように単音を弾くピアノのメロディが寂しくて、正直ギター使うよりもこちらのほうがいいのかも知れない。

の子「アルバム、クソだったでしょ?」
ちばぎん「ぅおい!そんなこと言わない!今から買う人もいるから」
の子「いないだろ」
ちばぎん「いないか」
納得かよ!
みさこ「(monoに対し)この人ねー、行きのときの配信もずっと私に丸投げだったんですよ!」
mono「おめーは適当じゃねえかバカヤロー!」
みさこ「もうねー、あ、映ってる?」
mono「おー映ってる」

みさことmonoがステージ後方のモニタに自分たちの姿が映っていることに気付く。話の途中で。ここがすごい。話の途中なのがすごい。気付いたことにすぐ反応するあたり、まるで動物としか思えない。
「monoくん、これ全国に映ってるから(全国に映ってないが)、あんまり醜態さらさないほうがいいよ。ま、顔がもう醜態だけどな!ははは!」
思う存分笑ったあと、すぐに無表情になるの子。

「うぃっしょー、燃えてきたぜ」とこのタイミングでの子がやる気発言。「燃えてきたって、お前さっきのライブで燃えてきたんじゃないの!」とmonoが突っ込む。

の子「キミ、一番トークがグダってるね。どうしたの?」
mono「あのですね…緊張してるよ。こんな感じ、初めてじゃないの!」
の子「まあ、こんなに人が入ってるのは都内では初めてかもしんないけど、お前いつも"余裕だよー"とか言ってんじゃん」
mono「いや、今日は雰囲気が違うでしょ。違うでしょー、ライブハウスとは」
の子「あっそー。がんばってくれー」
まさかの放棄!
mono「お前ね、俺、歯がないからってね…」
の子「え?何言ってんの?ちばぎん、なんか今日こいつ中途半端だよな。歯切れが悪い。歯がないからか!」

いつも通りのゆったりとしたトークの中、『23才の夏休み』へ。毎度おなじみ、の子はヘッドマイクがずれ落ちそうになるのを気にしながら演奏している。終始マイクを触りながら落ち着かない様子だった。うまく固定ができる日は来るのだろうか。

の子「まあ、けど、環境は新鮮だよね」
mono「ね!だから緊張すんだよ!(ウィスキーをグビクビと飲む)」
の子「お前、飲んでんじゃねーか思いっきり。こんな人どう思います?」
お客さんに尋ねるの子。無反応。
mono「…なんか反応してよ、頼むから」
お客さん「あごーー!!」
mono「ほーい!あごだよーーー!!」
ちばぎん「気持ちわりぃ、こいつ…」
mono「あご触ってねー!不幸になるからみんな!彼女できなくなるよほんとに!」
みさこ「monoくん…」

の子はmonoを憐れみの表情で見ていた。

の子「ちょっと、チューニングさせて…」
mono「あれだね。そのギター、すぐチューニング狂うね」
の子「おめー、いつもチューニングのことなんか触れねーだろ!どんだけなんだよ…こんなにお客さんいるんだから、何か語ってあげろよ」
mono「いや僕は昨日の配信で散々、『(最強伝説)黒沢』のことを語りましたよ!」
の子「知らねーよ!だからどうした!昨日と今は違うんだよ…日はまた昇るんだよ!!」

まさかの名言、出ました。
「みんな、(monoを)見てください。…一生懸命酒飲んでんじゃねーか!!」
この日はの子がつっこみ役に回るほど、monoが暴走していたように思う。酒を飲めば無敵である。

「はい、早くやるぞ曲」と珍しくの子が演奏を催促し、「お前今日優しいね」とmono。「優しいねじゃねえよ、お前テンパリすぎだろ…」というの子に対し、monoがなぜかドヤ顔で「わかってらっしゃる」と。
そしてそのまま『ロックンロールは鳴り止まないっ』へ。

の子「これ、配信止まってんじゃないの?つるぎー、ちゃんとしろ!クビにするぞ!」
みさこ「どれだけ上から目線なんですか!」
の子「止まってるんですか、まあ、放っておこう…今目の前にある現実こそがすべてなんですから!!」

またまた名言でました。

ちばぎん「画面の中にいる人ざまぁ、ということで」

ちばぎんも名言でました。

そして『学校に行きたくない』へ。
「monoくん、ぶっ飛ばせよ」との子。「ぶっ飛ばすよー!スピーカー全部飛ばしちゃうよー」とmonoの自信発言により、演奏がスタート。とはいえ、monoはほとんど演奏というものをしていない。踊りなのかシャドウボクシングなのかよく分からない動きをし、イスを手に持ったり、マイクで「あー!!」と叫んだり。「計算ドリルを返してください!」を連呼するの子に「言ってやれよ!」と叫んでいる。mono、この日はいつも以上に自由だ。
曲の中盤、の子が客席最前に歩み寄り、柵に足を乗っける。そしてこの後、思いっきりダイブ。店内でダイブする光景は新鮮だった。

その後は最前列のお客さんと握手していく。「大丈夫ですか?皆さん、怪我ないですか?」とちばぎん。「怪我ないですか?すいません」との子が謝る。「エヴァンゲリオンみたいに10分休憩とかあれば…」との子。昨年も下北沢でのライブで『学校に行きたくない』の後に同じこと言っていた気がする。
持ち時間が30分ということで、あと残り1曲。

の子「最後はmonoくんラップか、『ちりとり』で」
mono「余計なこと言うなお前」
の子「観たいんだよ、俺が一番観たいんだよ」
mono「ふざけんなよ!死ねバカ!」
演奏を始めようとするみさこに対し、monoが「お前やんなよ!ぶっ殺すぞマジで!」となぜか必死に抵抗。
の子「あごラップ~!!」
みさこ「私がやらせてんじゃなくて、みんなが聴きたいんだって」
mono「うるせえんだよバカクソ!!」

「フゥ~~!!」とお客さんから歓声と拍手。「おい、ほんとにふざけんな!」マイクを持って立ち上がり、本気で抵抗するmono。どれほどやりたくないのだ。「その威勢があればできるじゃないか!」との子が持ち上げる。たしかにその通り。「その威勢だったらアフリカのダウンタウンにも行けるよ!」との子。アフリカですか。
ちばぎんとみさこがリズムを作り、の子がギターを軽快なカッティングで演奏。mono、一人だけ必死に抵抗。
「ほんとにやんねーって言ってんだろ!ふざけんな!!」
ここからmonoブチギレタイムがスタート。
「お前ら(ちばぎん、みさこ)、なんだよ!いつも俺に流れ持って行きやがって!このやろー!」と激怒。みさこに歩み寄り、「お前なんなんだよ!女だからって調子乗んなよ!ぶっ殺すぞ!!おい!!晒すぞこのやろー!このバカクソ!メスブタ野郎!!」とひどい暴言が。

ちばぎん「おい、マジ切れすんなよ…」
の子「まあ、落ち着いて落ち着いて…」
みさこ「じゃあ私がラップやります…」

monoの異常なキレ様に全員がなだめている。先ほどまでふざけていたmonoとは思えないほど、恐い。というか、これがラップなのかも知れない。disという奴だ。

「『ちりとり』というものは、昔愛した人に捧げた曲です」
この異様なムードの中で語り始めるの子に、会場が爆笑の渦に。「皆さんも、そういう人がいると思いますが。monoくんは、今愛する人がいるんだっけ?」との子が尋ねる。「マジギレしちゃったよまったく…」と先ほどまでの自分に後悔しているmonoに対し、「こんなにマジギレしてるmonoくん初めて見た」との子が素の表情で呟く。「(みさこに)こいつがムカつくんだよ!ドラムぽんぽこぽんぽこ叩きやがってよー!!」とまだキレているmonoに、の子が珍しく爆笑。

の子「それは配信で言え!」
mono「ほんとね、配信じゃなくても生で言っていくわ!」
ちばぎん「お前でも別にやんねーじゃん、毎回」
mono「いやね、心の準備ができないんだよ…」
の子「monoくん、もうね、名誉毀損だからねこれ。訴えられるよ。これがもう、monoくん最後のライブ。最後の『ちりとり』。イメージダウンなんですよ、キミはっ!」
mono「いいんですよー僕はイメージダウンでー」
の子「がんばって」
mono「はい」

なんだか可愛い会話の後、『ちりとり』の演奏へ。最後の部分、の子は歌詞をアドリブで変えて歌っていた。
「HMVに来てくれてありがとうございました!僕はあなたしかいません!だから!もっともっと伝えたいことが、この夜に、昼に、あるんですけど、これが最後になります!僕はもっと、もっと、奥まで、、あなたたちのことをちりとってやりたいのですー!!」
monoのブチギレを相当過去のものにさせるくらい、ドラマチックな叫びだった。の子なりにmonoのフォローをしたのかも知れない。
この曲でライブは終了する。

「今日は曲数も少なくて本調子だったけど、これでワンマンとかだったら、もっとグダるから!だいたい6曲が限界!ありがとうございました!もしも気に入ってくれたら、インターネットでヤフってください!」
なぜかその後、お客さんが無反応。
「なんだこの空気!!」との子が怒鳴って終了。

この後、会場はライブからサイン会に変わる。
ステージに高めのテーブルが置かれ、メンバーが立ちながらお客さんにサインをしていくという流れ。劔マネージャーが司会を担当し、「はい、HMV名物のサイン会ということで、これは人気者の宿命です」と告げる。
の子さんが「これ全部サインするんですか?」と遠くから劔さんに尋ねる。「はい、全部。もう、ちゃちゃっと簡単に書いていいんで」と答えると、「お前テキトーだな!失礼だろ!」との子さん。

monoくんとみさこさんが2人仲良く並んでサインをしている光景。先ほど怒鳴り散らした、散らされた関係が嘘のよう。どちらも笑顔なので、大丈夫か。
サインをもらった方にメンバーのサインを見せてもらったけど、全員丁寧な字に見えた。100人以上にサインをしていたようだ。長時間のサイン会が終了したときには、400人くらいは詰めかけていた会場も人がまばらに。ステージからの子さんが威勢よく「ありがとうございました!!」と大声で挨拶し、インストアライブは幕が閉じる。

イベント撤収後、monoくんが近付いてきた。そのまま『ロックマン10』のサントラを探しに店内へと消えていった。しかしmonoくん、そこはR&Bのコーナーだ。酔っ払っているのか。

この日、monoくんの見事なフリースタイルラップ(みさこdisりver.)も披露されたし、お客さんもたくさん来て、大盛況だった。
インストアライブの前にHMV前でライブ。サービス精神と自己実現パワーがいつも以上に炸裂し、インもアウトもライブ尽くしだったの子さんの執念にも似た熱意は相変わらず半端ない。以前HMVにノートパソコン片手に乗り込んだときは追い出されたというのに、今や店内BGMに神聖かまってちゃんが流れているという状況。
約1年間の変化が、この日のHMVでの出来事を見るだけでもすぐに分かる。追放されたという伏線を自ら作り、それを辻褄合わせるように繋げていく。いわばドラマだ。
そして、このみさこさんを後ろから見つめるmonoくんの表情も、この後のブチギレ展開の伏線だったに違いない。


2010年4月4日 渋谷HMV
〈セットリスト〉
1、ゆーれいみマン
2、死にたい季節
3、23才の夏休み
4、ロックンロールは鳴り止まないっ
5、学校に行きたくない
6、ちりとり