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2006年6月17日土曜日

ミドリ@十三ファンダンゴ

殺気立っていたなあ。
過去最大級に殺気立っていたステージ。ひょっとするとこんなに一触即発な空間に出くわしたのは初めてかも知れない。ピリピリとした緊張感がファンダンゴに充満し、ライブというものがいかに"体験"なのかが手にとって分かる時間となった。

男性メンバー3人が『わっしょい。』の冒頭の不穏なメロディを奏で、いつものようにライブがスタート。後藤まり子が現れるが、チューニングなのかセッティングが原因なのか、はたまた気分なのか、歌もギターも全く始まらない。あまりにも始める気配がないので、劒樹人がベースを奏でながら後藤に何やら耳打ちしている。
このときから、様子がおかしかった。そして様子がおかしいのは後藤だけでなく、劒もなぜかヤクザみたいなサングラスをかけていた。いかついビジュアルとは裏腹に、繊細な面持ちで後藤に「あの…早くやらない?」といった様子で話しかけていた。
そして曲の後半になるとギターを掻き毟りながら客席に突進。マイクを使わずに生声で叫び、やっぱり様子がおかしかった。

『お猿』では煙草の灰やビールの液体がこぼれているであろう床に這い蹲りながら熱唱し、セーラー服も黒ずんで薄汚い状態に。
「早く帰りたい」「もういやや!」
ライブ中に訴えかける。こんなこと言う人、初めて見た。
とにかく気分が優れておらず、怒りと不満を抱えているようだ。とにかくライブをしたくないなどとMCで言っていると、一人のお客さんの反応が気に障ったのだろうか。
「何笑っとんねんお前。殺すぞ」
突然、声色を変えて男のような低い声で投げかける。このときの空気の凍りつき様は忘れたくても忘れられない。いつ、誰かが殴られても、いや、ひょっとすると殺されてもおかしくはない緊張感。メンバーもスタッフも客も、全員が後藤に刃物を突きつけられたかのようなムードだ。

「有名なひとは自分を隠したりすると思いますが、僕は隠せません」
「今日はミドリの後藤まり子ではなく、後藤まり子のことを話しますが」
「僕は十年ほど前にお母さんを亡くして、お父さんはつい最近失踪しました。僕に好きな人ができたんですが、その人は大変な人で」
「今日はステージに立ってライブをする状態ではなく、仕事にも行きたくないし、僕なんかこんなん言うたらイタイ子とか思われるかも知れへんし、手首切って死んでもうたらええねんって思われるかも知れへんのですが」

いまだかつて聞いたことのない、ヒリヒリとしたMC。とにかく赤裸々に自分のことを話し、後藤まり子が抱えている息苦しさがこちらにも伝わり、むしろこちらも息苦しくなるような発言が続く。
ひょっとするとこの人の感性に身を委ねると、こちらまでも同じ苦しみを味わってしまう恐れがあるのでは。それをカリスマと呼べることだってできるだろうし、宗教にもなるだろう。それほどのパワーを持つ人はなかなかいないと思う。是か非か。何が良いのか悪いのか。後藤は擦れ擦れの感覚を叩きつける。生と死にも似たものを。

『都会のにおい』で終わるかと思いきや、最後は「まだや」と後藤が言い、『あんたは誰や』へ。
途中、後藤が思いつきで色んなことを言いまくる箇所では「僕はズボンズのマネージャーが大嫌いです」と大胆発言。更に「大嫌いや!」と続け、「ズボンズというバンド自体はかっこよくて好きですが、マネージャーが本当に大嫌いです」と、対バン相手のズボンズとの気まずさを、観客も抱え込んでしまいそうな発言を続ける。
世の中、嫌いでも「嫌い」なんて言えないことが多い。ステージという最強の立場を縦横無尽に発揮するかのように、後藤は正直に何かに立ち向かっていた。早い話、単に恐いだけかも知れないけど、これほどスリリングなライブがあっていいものだろうか。
その後に出たズボンズのライブではこのことについて一切触れられていなかったが、ライブ外では何かしらの気持ちの衝突があったのでは。
簡単に言えば「衝撃」だが、あえてここは単純になり、言ってしまいたい。衝撃!

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