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2006年3月19日日曜日

ミドリ@新世界ブリッジ

新世界ブリッジのロケーションは独特だ。
興行的に大失敗した"フェスティバルゲート"という大型商業施設の最上階にあるライブハウス。元々はレストランだったところを改装し、いわば関西ゼロ世代と呼ばれているバンドたちが夜な夜な大きな音を奏でている。大きな窓の外には大阪・新世界の夜景が広がり、ライブハウスに窓があること自体珍しいが、そのすぐ傍に西成のあいりん地区があり、わけのわからない場所だとつくづく思う。
そこで、やはりわけのわからない面子でイベントが行われる。
佐伯誠之助司会のもと、ミドリ、オシリペンペンズ、水中、それは苦しいという個性的なバンドばかりが登場。

佐伯誠之助の「後藤まり子のおま○こ、おま○こ」などと最悪な歌で紹介されるミドリ。メンバーがセッティングし、ミドリのライブがスタートする。
男性メンバー3人が演奏する中、後藤が客席後方から全速力で走って登場。
第一声は「あんたら"全然"とか言ったら、殺すからな」と、さっそく観客を威嚇。『わっしょい。』からその大迫力は約束され、アップライトベースを操る劒の頭もクネクネと暴れ、はっきり言うと大人のおもちゃみたいな動きをしていた。

水中、それは苦しいのジョニー大蔵大臣の「後ろのほうの人が観れないから…」という意見によって、観客全員が体育座りしてライブを観ることになる。
「なんか変な感じやなあ」
後藤は笑ってその光景を楽しむ。学校の体育館のようだった。
新曲『今日は彼氏がいないから』では「忘れてた!大事なもの!ひとつ!ふたつ!みっつ!」とリズムよく叫んでおり、「今日は彼氏がいないから おっぴろげー」といった猥雑な女の子を歌った歌詞が印象的。そして、後藤まり子はステージよりも客席にいる時間のほうが長いように思う。それだけ距離が近く、ライブを肌で感じさせようとしてくる。

「あんたら、ここに何しに来たんや?暇人なんか?ちゃうやろ!実体験しに来たんやろ!家におってもよう分からんことあるから、ここに来たんやろ!」

後藤の言うことは、いちいちどこかにグサッと刺さってしまう。実際、それほど何も考えずにライブハウスに来て、ああライブ観たいなーよっしゃーという感じで来た僕でも、後藤の発言にはなぜかキリッとしてしまう。
ミドリのライブは確実に現実に近い。無様で、汚くて、嫌なことばかりの現実だけど、恐くも強烈な後藤まり子のパフォーマンスはどこか勇気づけられるもので、感動してしまう。
自分をさらけ出す、その極限に向かっている。
だいたい、その歌詞のほとんどは自分のことを歌っているのだろう。

最後は出来たばかりの新曲『都会のにおい』。キーボードのメロディが終始切なくて、「田舎で暮らそうか。」と寂しげにつぶやいた歌詞が耳に残った。ひとしきりポツリポツリと静かに歌った後、ギターを掻き毟るアクションが激しく、曲は何度も盛り上がるがいつもいいところでピタッと止まり、センチメンタルな余韻を残して終わる。
いつもの『POP』で終わるように後藤がステージから走って去ることはなく、「ありがとう」と一言呟いて、ステージに居座りながら終わる。
美しくも儚い、ミドリらしい新曲。
暴力や恐怖も感じさせるが、ミドリの根源にあるのは人間くささである。 赤裸々なまでに綴った実体験と感情。それに従った後藤の歌詞とパフォーマンスは、観る者を圧巻させる。

一気に現実に戻すかのように、佐伯誠之助の最低で最高な司会が続き、イベントは割と和気藹々とした様子で進んでいく。
今回、ベースの劒樹人氏に初めて接触。彼はチッツのボーカル・ひっしーが2ちゃんねるで友人バンドの悪口が書かれた書き込みにケンカを売っていたことを知っていた。関西のバンドの間では有名な話になっていた。
ひっしーもまた、強烈な男だ。でも、女性で後藤まり子みたいな人がいることはやっぱり頼もしい。というか、女性だからとか関係ないのだろう。人間というのはかくも汚くて苦しくて、ヤバイ動物なのか。正直な人がいるのは頼もしいのです。

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