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2006年2月25日土曜日

ミドリ@天王寺アリス

先日のバレンタインデーにチョコではなく、後藤まり子に水を顔面に吹きかけられたことが強烈なトラウマであり、気が付けばその約10日後に阿倍野区を歩き、ライブハウスに向かっているのだから単純なものである。
『不思議の国のアリス』という一風変わったライブハウスへ。そこでこの日、ミドリの後藤まり子主催の『2006年しばいたんねん』というこれまた一風変わった名前のイベントが行われた。

ライブハウスは不思議の国のアリスの世界観とは一線を画す、不気味な雰囲気が漂う場所だった。近辺には普通にぶっ倒れているホームレスがいる。なぜか血痕のついた子ども用手袋とジャンパーが路上に落ちてあった。そんなロケーションにふさわしいハコは、恐らく日本でも有数だろう。

ミドリのライブが始まる前、デーーーンとベースとキーボードが不穏なメロディを作り出した瞬間に「怖い~怖い~」と悲鳴を上げる女性客がいた。確かに、コワイ。なんたって、後藤まり子の姿がなく、どこから現れるか分からないスリルがある。これがライブハウスではいまだかつて味わったことのない刺激で、とにかくドキドキする。
後藤は客席入り口から登場。ステージに向かって猛ダッシュする。『わっしょい。』からライブは始まる。

「何見とんねんボケ!」と観客を威嚇し、たいしてレスポンスのない客席。怖気ついているという表現が正しい。とはいえ、「もっと見んかい!」と乙女の複雑な心情を赤裸々にぶつけてくる。それには演奏する楽曲がジャズというのかロックというのか、形容しがたいのと同じように何とも言い表しづらい感情が芽生える。
MCでは自身のイベントいうのもあって「ソープランド揉美山なんで来えへんかってんアホ!」と暴言。どうやらソープランド揉美山をブッキングしていたようだが、1ヶ月前に出演がキャンセルになったという。「でも僕、ソープランド揉美山好きやから許すわ」という発言になんとなく会場全体がホッ。

『SASU』は初めて聴いた。静寂と轟音のバランスが気持ちいい。一触即発なミドリのライブをそのまま音楽にしているような楽曲だ。『あんたは誰や』はドキドキする。後藤は天井の太い配管に両手でしがみつき、ぶら下がりながら叫ぶ。
「そこ!なにロック気取っとんねん!」
入り口付近でおとなしく観ていた男性客(恐そうな皮ジャンの人)に向かって、遠慮なく怒鳴り散らす。どちらもこえーよ。小銭がドラムを間違えたらしく、「間違えんなやボケ!」と怒り、マイクスタンドをドラムセットに投げ込むシーンも。
ライブハウスが狭いぶん、後藤との距離も近い。また水をぶっかけらるか、もしくは血でもぶっかけられるのではないかと恐怖するくらいのスリル。ライブはもちろん、日常でもこんな緊張感は得られない。そこだけに魅力を感じるのではなく、絶叫と激情が炸裂している場でありながらピアノのメロディが上品で、それを支えるベースとドラムがかっこいいわけだ。
『ロマンチック夏モード』の曲の途中、少しブレイクする場面で後藤が「間違えんなや!」と小銭に叱る。「ごめんなさい!」というわかりやすい平謝りはあまり聞いたことがない。
最後は『POP』で締める。歌い終えると、一目散にステージを去る後藤。演奏を続ける男性メンバーたち。テレビ番組でのやしきたかじんのような去り方だ。
アンコールで呼ばれ、姿を見せない後藤に小銭が「後藤ー!」と叫ぶ。「うるさいんじゃ!」と叫び声で返し、ステージに再登場する後藤でした。

油断はできないし、一切の退屈を許さない。「僕を見ろ」という自己主張を余すことなく堪能させ、小さい身体からは想像できない暴力性と持っている。あと、可愛い。これは単純なことでありながら、重要だろう。カリスマになるのかも知れないといった期待と不安の両方を抱ける、数少ない女性なのではないだろうか。
大阪の阿倍野区の殺伐とした空気にピッタリなミドリ。根っからの大阪のバンドという印象が強い。後藤まり子のコテコテの関西弁も魅力のひとつだ。

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