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2005年3月21日月曜日

銀杏BOYZ@京都磔磔

銀杏BOYZとサンボマスターのツーマンライブ。

今、最も熱い対バンなのかも知れない。会場が熱狂の渦になることは約束されている。しかも京都磔磔。大丈夫なのか。あの柱がスコンと抜け、建物が倒壊しないだろうか。そんな期待と不安を抱きつつ、まずはサンボマスターのライブがスタートです。
ボーカル・ギターの山口隆のMCの口調は静けさから次第にドドドドーンと盛り上がるのが特徴。それに比例し、観客のテンションもヒートアップ。客層は若く、10代の男女が多いように思えた。山口はツアー中のエピソードを語る。
「卒業旅行だと思われる女子大生が20人くらいいて、みんな俺のことを"きもい"って感じで見ていた」
なぜか観客は「おーー!」と盛り上がり、「おっ、その反応は"きもい"人が多いってことですかね?」と山口が返す。
「でも安心してください!ここには"きもい"って言う人なんて一人もいませんからぁあ!」
ガシャガシャとギターを掻き鳴らし、次の曲へ。サンボマスターのMCは「人を裏切ってしまったあなたへ」「あなたを肯定する」という言葉が多かったように思う。
また、先日ニュースになったあの出来事についても語る。

「俺、あの人のことが本当に好きで、あの人の生き方すごく尊敬してるのに、なんで、なんで、あんな悲しいことが起きるのでしょうか」

それは銀杏BOYZのMCでも引き継がれた。
サンボマスターが終わると、銀杏BOYZ。登場SEは『大地賛唱』。その歌詞の意味は分からなくても、誰もが馴染みのある歌。そして甘酸っぱさや苦さを思い出し、舌を軽く噛んでしまいたくなる歌。思えば、GOING STEADYからずっと学生時代の体育館で聴いたことのあるようなメロディをモチーフにしたような歌があったように思う。
『NO FUTURE NO CRY』『SKOOL KILL』『日本発狂』の3連続は圧巻。ボーカルの峯田和伸き頭にマイクを何度も叩きつける。お客さんと唾を飛ばしあう。ステージにマイクスタンドを叩きつける。お客さんの上に乗ったりと暴れまくり。

「20年前にブルーハーツは"僕たちを縛りつけた大人たちに感謝します"と言った。でも20年経った今、僕らを縛りつけているのは何だ?それは、僕ら自身じゃないか」

峯田のMCはグッと心を鷲掴みにする。その通りだと思った。すべて銀杏BOYZの楽曲に表れている。日本を発狂させているのは、自分自身なのだろう。

「深夜3時にホテルを出て、月を見ていた。月に語りかけた」といったMCから『銀河鉄道の夜』へ。大合唱する客席。そのまま『駆け抜けて性春』に続く。「すべて消えてなくなれ」は暴力衝動を言葉に消化するように叫び、YUKIの歌唱パートでは、峯田が観客にマイクを向けて歌わせる。
「俺はこのツアー始まる前に彼女と別れた。俺、お客さんによく聞かれる。"なんのために生きてるんですか?"俺もよく分かんねえ」
声は完全に枯れきっており、聞き取れない言葉もあった。だけど言っていることが伝わるような語りを続け、『東京』 へ。その後、峯田はアコースティックギターを静かに鳴らしながら、枯れ枯れの声で語り始める。
「神様…人の命は平等なのですか?どうしてあんなに小さな命を奪ったのですか?」
目を真っ赤に充血させながら、「いいないいな、人間っていいな」と歌う。アニメ『日本昔ばなし』のエンディングテーマ。誰もが知ってる懐かしい曲でありながら、いつだってタイムリーな歌詞にも聞こえる。そしてサンボマスターのMCから引き継ぐように、今、峯田が最も心を痛めていることを誰もが理解しただろう。
「僕は何にもしてあげられず」という歌詞が辛い。一人でアコースティックギターを鳴らしながら『人間』へ。後半、バンドの演奏に入り込む直前、峯田が呟く。

「YUKIちゃん、キミの言った言葉"音楽は、人を救う力がある"信じてみるよ」

心から尊敬し、大切な人への想いはそのまま音楽となり、峯田は体中を痙攣させ、自分の中にあるものすべてを爆発させるかのように叫び続けた。枯れた声はますます枯れ、喉が潰れることへの不安は一切感じさせず、絶唱していた。
誰かの不幸を、悲しみを、小さな命を、これからのことを。
つい先日、YUKIのお子さんが『乳幼児突然死症候群』という、そんな病気がこの世にあっていいものかと思ってしまうような症候群で亡くなった。正直、このツアーは続行できるのかと思えるくらいだった。峯田はそれくらい、YUKIを尊敬し、慕っているのは誰が見ても分かる。
「人間っていいな」なんて思える日が来ることを信じて。それを頼りに生きていくことへの決意。
誰もがYUKIのことを思い、YUKIに起きた不幸に心を痛めたことだろう。かつて、これほどまで歌に悲しみと、どうしようもない怒りを感じたことはあっただろうか。
「キミが泣いてる夢を見たよ キミが泣いてる夢を見たよ」
心が張り裂けそうなくらいの絶叫だった。張り裂ける代わりに、感情がぼとぼとと流れ出るように涙になる。
音楽は、人を救う力があるのだろうか。
京都の小さなライブハウスから、救えるのだろうか。その答えは、この日会場にいた誰かの中に宿っている。その答えを続かせていくことが、峯田の言いたいことなのかも知れない。
ヒリヒリした。こんなライブは初めてだ。

「僕たちをこの時代に産み落としてくれた誰かさん、ありがとさまでした」

最後はバンド編成の『なんとなく僕たちは大人になるんだ』。
悲しみも、怒りも、憎しみも全部歌に詰め込んだ銀杏BOYZのライブ。峯田以外のメンバーも、誰かのどうしようもない感情を体現するかのように、ライブハウスがぶっ壊れるくらいの激しいパフォーマンス。過激とは思えない。時に面白く、笑い、その根本にあるのはすっごい普通な人間の暮らしだったり、毎日戦争でも起きたかのように爆発し、ギリギリになる感情なんだろう。
終始、目に涙を溜めっぱなしでした。
悲しみも全部、音楽になる。その音楽に感動する。
このメカニズムは、人間が生み出した文化の一番いいところではないだろうか。「人間っていいな」と心から思える日が来るまで、銀杏BOYZは歌い続けてほしい。

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