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2003年2月10日月曜日

bloodthirsty butchers@心斎橋クラブクアトロ

心斎橋クラブクアトロへ。
開場時間よりかなり早めに着くと、リハーサルの音が漏れている。『影を慕いて』が。『サンカク』が。これは気分が上がる。もうライブ本番がスタートしたかのようなテンションになる。
この日、元ナンバーガールの田渕ひさ子がブッチャーズのライブに参加。
かつて『ハラキリ・ココロノ・ツアー』で対バンしたバンドに、ひさ子さんが。これは話題騒然だった。一日限りであっても、その姿は確認せねばなるまい。ナンバーガール解散後、ひさ子さんを観るのは初めてだった。

会場にはやはりナンバーガールのライブでお馴染みだった顔ぶれが。何ヶ月ぶりかの再会ばかりだった。皆さん、田渕ひさ子の今後をずっと心待ちにしている様子だった。それがまさかブッチャーズだなんて。そのまま加入しちゃってくださいよ!

かなり時間が押し、開演になる。bloodthirsty butchersの三人と田渕ひさ子が登場する。
全員、黒っぽい服。吉村秀樹は渋めのシャツ。射守矢雄はおしゃれな帽子を被っていており、小松正宏は位置の関係がなかなか見えず。
ステージ中央に田渕ひさ子。これは客演でも何でもなく、もはや1メンバーとして迎え入れられているようだ。

1曲目は『荒野ニオケルbloodthirsty butchers』の1曲目『方位』
CD(というかCCCD)ではトリプルボイスだったが、ライブではやはり一人ボイス。がむしゃらに歌う吉村秀樹の隣で、田渕ひさ子がギターを弾いている。なんだろう、この奇跡。誰が田渕ひさ子がこのバンドに参加するなんて想像しただろう。とにかくジャズマスターのギターの音がとても気持ちがいい。歯切れよく鳴っている。
『襟が揺れてる。』の歌詞はほとんど覚えている。「恐れをなすか」以後の歌詞がたまらない。感動していた。『サラバ世界君主』『悲しみをぶっとばせ!』を披露。久しぶりに観る田渕ひさ子のギターの音には色気さえ感じられた。吉村との鈍く轟く巨漢のようなギターとはまた違い、繊細でキュンとさせられるのに、どこか男気溢れる田渕ギターはこのバンドに映えていると思った。でもどこか、二つのギターが対決しているようにも思った。

『402』の音が洪水のように激しくなだれこむ展開に痺れる。お客さんは大人しいが、モッシュ&ダイブがふさわしい曲だ。
『プールサイド』はなぜか懐かしい。楽しい思い出が頭の中でぱらついて降ってくる。青い照明が吉村のキラキラとしたギターの音色と相俟って、水そのものだった。「水しぶき眩しくて」と熱唱する吉村のボーカルが、4つの楽器の音に掻き消されていく。まるで思い出の中に埋もれていくようで、センチメンタルな演奏だった。

『ゴブリン』、そしてリハーサルでも音漏れで聴いた『サンカク』。射守矢のベースラインが気持ちいい。突き刺してくる。息をつぐヒマもないほど叩かれる小松のドラム。『サンカク』は短いバージョンだったが、ずっと鳴らしておいてほしい演奏だった。『アカシア』の「結局は笑いたい」という歌詞にグッとくる。

MCははほとんど無いに等しかった。田渕ひさ子の前に置かれたマイクスタンド。コーラスがあったけど、他の音が大きすぎるせいか、声がかき消されていた。でも、考えてみよう。田渕ひさ子コーラスだなんて、嬉しすぎる。こんな姿が見れるとは。
「Tシャツは憲太郎がつくってくれました。どこにいる?ありがとう」
吉村が挨拶する。中尾憲太郎が来ているとは。思わずキョロキョロしてしまった。最後の曲は『地獄のロッカー』

アンコール。全員が着替えていた。
『DISCORD MAN』『時は終わる』で締める4人。うわー、ブッチャーズが4人とは。しかも田渕ひさ子がいるとは。
サンカクのbloodthirsty butchersがシカクになる瞬間がたくさんあった。スリーピースの良さは当然あったけど、真ん中に立ったひさ子さんが時折ギターを縦に掲げるのは、やはり、とても絵になる光景だ。
爆音に耳がやられ、しばらくは難聴の状態。誰かに何かを言われても、あまり何を言ったかよく分からない。ブッチャーズによって耳が支配されるのは決して悪いことではない。それもサンカクで三つ尖っていたものが、シカクで四つ尖ってるんだから、仕方ないのだ。

2003年2月1日土曜日

SPARTA LOCALS@十三ファンダンゴ

誰かに口封じされようとも、法律で禁止されていようとも、この日は「スパルタローカルズ、最高!」と声を大にして言いたかった。
アルバムは『悲しい耳鳴り』という不気味かつ陰鬱、されど切なくて悲しいアルバムしか出ていない。その音源だけ聴いてノックアウト。そして福岡出身ということで、ルースターズ、ARB、ナンバーガールという自分の中のロック大好き歴史の次にくるのが、ローカルズだけあって地方出身のこのバンド!と勝手に決めつけていた。
結果、勝手でもなく、それは本当だった。次にくるのがスパルタローカルズなのだ。

とはいえ、開場時間から少し過ぎたあたりに十三ファンダンゴに入ると、見事に誰もいない。今日、本当にライブが行なわれるのか?そんな不安が芽生えるほど。

開演時間間際になると少しずつお客さんが入ってきて、1バンド目はSTRUGGLE MIND。この方々がこのイベント・俺たちの旅という男気あふれる企画を作ってくれたそうで、感謝です。

2バンド目はほろほろ鳥。気になるネーミングセンス。ステージの右端には「ほろほろ鳥」と書かれた提灯が飾られてあり、粋。ドラムの女性がかっこいい。メロディが和。リズムはどこかしらエキゾチック。ボーカルの方が次第にテンションを高め、脱ぎ始める。関西の地底に住んでるのかと疑うほど、根っからの関西弁がMCで炸裂されていた。エンターテイメントの塊のようなライブだった。

3バンド目は野狐禅。なんだこれは。涙が目の端からちょろっと出た。2人組で、片方が体格がごつく、迫力のある歌声でアコースティックギターをかき鳴らしている。もう片方は慎ましい風貌。接点がないような二人が、それぞれギターとキーボードという数少ない楽器から物語を作っていく。「今、僕が生きているということ」について汗だくで熱唱する。2月であることを忘れさせてくれる。これはCD買わなきゃと物販に走ると、そのCDのタイトルにちょっと笑ってしまった。『便器に頭を突っ込んで』。

そして4バンド目、ついにきましたスパルタローカルズ。

ボーカルの安倍コウセイ。とても普通な外見。警察に事情聴取されても、特徴をいまいち伝えられない。「ちょっと面長?」とくらいしか説明できないほど無個性な外見の彼が、個性ありまくりの楽曲とライブで圧倒させる。
いきなり『Oh!Good Life, No Good Life!』からライブはスタート。「10月の思い出を紙に書いて飛ばした」という歌詞がたまらない。自分がミーハー気分前面に押し出して最前列にいるからか、ボーカル部分が聞き取りにくい。だけど大迫力。スカスカのライブハウスがもったいない。と言いつつも、整理番号関係なくて一番前に行けるライブが楽しくて仕方ない自分がいた。
ボーカルが聞き取れないというか、楽器の音がバカでかい。これだけは言える。
そしてそのまま『エレベーターエレベータ』。テーン、テテーン。テーン、テテーンというかわいげなフレーズを繰り返すコウセイのギター。"レインボーサウンド"ってこれのことかと思えるほど、もう一本のギターとの絡まり具合が気持ちいい。
次は今度のアルバムにも収録されるのか、知らない曲。コウセイは意外なタイミングで白目をゆっくり剥く。こう…クワッと。ゆーっくり…クワッと。その瞬間がたまらなく面白い。楽しんでいいのか分からないけど、目が離せない人だ。
そして『春忘却』。なんたる奇跡か。
奇跡、と呼びたくなった。「頭からどろどろと思い出が流れたー」とあるが、この曲を目の当たりにしたという思い出は流れていかない。どろどろと脳に蓄積し、向こう10年は引きずるだろう。最後、「オイッ!オイッ!」と、メンバー全員がギターとベースとドラムスティックを同じタイミングで振り落とす光景、圧巻。一発一発の振り落としが、脳天を直撃していく。かっこいい。
新曲を披露。メロディがキレイで、すぐに覚えてしまいそうなほど印象的なフレーズがあった。これからCDに入ると思うとワクワクが止まらない。
そして、念願の『GRUNGY SISTER』 ですよ。どうしましょうか。
「前回のクラブクアトロのとき、『なんであの曲やんねーんだ』とある人物から叱られたので…」とMCで言っていたが、僕も叱りますよ。こんな圧倒させる曲、やらないのは勿体ない。静寂から、轟音へ。終盤のドラマチックな展開は、映画を観ているかのよう。いや、映画にも勝るかも知れない。どこにでもいそうな風貌の彼らが音と言葉で作り出すものが、音と映像、言葉と演技で作り出すものに勝った瞬間があった。
弦を引きちぎっていた。これはもう、音の暴力だ。全身が叩きつけられるくらいの音圧を得た。

もう終わるのか…
切ない気持ちでいたら、アンコールをやってくれた。「『サイレント』という曲をやります」とコウセイが言うが、ギターの伊東が拒否し、「いや、『サイレント』やめてやっぱり『ホタル』という曲をやります」と。そして『ホタル』という曲を披露。ギターと体が一体化しているかのような伊東ギター。鋭く尖り、単音をストイック弾き鳴らしつつもその動きは狂気そのもの。メンバー全員個性むき出しで、こっちまで何かがむき出しになるわ!
日常を当たり前に謳歌できない自分だからこそ感じることは多いのだろう。
そう思うと、この日常に首を傾げて大正解だぜ。
なんて考えたけど、そもそも日常に疑問なんて僕あったっけ?
とにかく、そんなことは抜きにして、スパルタローカルズは熱かった。また早く関西に来てほしいと願いました。